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公開番号
2025101693
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-07
出願番号
2023223915
出願日
2023-12-25
発明の名称
精製リン酸およびその製造方法
出願人
燐化学工業株式会社
代理人
主分類
C01B
25/18 20060101AFI20250630BHJP(無機化学)
要約
【課題】リン酸を簡単な操作でSi等の複数の元素を同時に効率よく精製することを課題とする。
【解決手段】78.75質量%を超え91.60質量%未満のリン酸原料に種晶を添加して結晶析出を行い、かつ、結晶を分離してH
3
PO
4
含量が90.00質量%以上の結晶を回収し、この結晶を用いてリン酸濃度を調節することを特徴とする精製リン酸の製造方法、ならびに、Si濃度が0.5ppm以下、あるいは、0.1ppm以下の再生リン酸である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
78.75質量%を超え91.60質量%未満のリン酸原料に種晶を添加して、結晶析出を行い、かつ、結晶を分離してH
3
PO
4
含量が90.00質量%以上の結晶を回収し、この結晶の濃度を調節することを含む精製リン酸の製造方法。
続きを表示(約 610 文字)
【請求項2】
結晶回収後の晶析残液中の水分が原料に対して5.00質量%以上となるように結晶分離することを特徴とする、請求項1記載の精製リン酸の製造方法。
【請求項3】
結晶分離が遠心分離で行われることを特徴とする、請求項1または2記載の精製リン酸の製造方法。
【請求項4】
結晶化のための降温速度が3.5℃/時以下である、請求項1または2記載の精製リン酸の製造法。
【請求項5】
結晶化のための降温速度が0.5℃/時以下である、請求項1または2記載の精製リン酸の製造法。
【請求項6】
原料のリン酸濃度に対応する凝固点の±5℃の範囲内で種晶を添加することを特徴とする、請求項1または2に記載の精製リン酸の製造方法。
【請求項7】
85質量%リン酸換算でSiが1ppm以上をリン酸原料とし、78.75質量%を超え91.60質量%未満のリン酸原料に種晶を添加して、結晶析出を行い、かつ、結晶を分離してH
3
PO
4
含量が90.00質量%以上の結晶を回収し、この結晶の濃度を調節することを含む再生リン酸の製造方法。
【請求項8】
85質量%リン酸換算でSiが0.5ppm以下の再生リン酸。
【請求項9】
85質量%リン酸換算でSiが0.1ppm以下の再生リン酸。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、精製リン酸、その製造方法、および再生リン酸に関するものであり、特に、窒化ケイ素膜エッチング廃液の精製に好適であり、リン酸半水結晶を用いる精製に関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
リン酸は、アルミニウムの化学研磨や半導体製造工程での窒化ケイ素膜のエッチング等に利用されているが、処理を重ねると溶解成分の濃度増大に伴い固形物が析出する場合があり、特に半導体関連分野においては用途に悪影響を及ぼす。このような不具合を防止するには、定期的に液の入れ替えが必要となる。
【0003】
他方、近年は資源の有効活用が求められ、このような廃リン酸の再生も広く検討されている。リン酸精製法としては、非特許文献1に記載されているように、溶媒抽出法、結晶化法、イオン交換樹脂法、透析法、吸着剤による特定成分の除去等が知られている。また、非特許文献1のp.3には、晶析時に不純物を多く含む場合は晶析困難となることや、同文献のp.5には、一回の晶析のみでは高純度のリン酸は得られないことが記載されている。
窒化ケイ素膜用エッチング液として使用された廃リン酸の再生については、例えば特許文献1~3が提案されている。特許文献1は、窒化ケイ素のエッチングに使用されたリン酸水溶液にフッ化水素を加えて加熱しケイ素化合物をフッ化物として蒸発させる方法を記載しているが、処理後のSiは低くても45mg/L(45ppm)であり、フッ化物イオンも残存する。
特許文献2は、廃リン酸を80~50質量%に希釈してケイ素化合物を析出させてろ過した後濃縮するものであるが、70質量%に希釈してろ過した場合でSi 2.9ppmで、精製度は不十分であり、濃縮操作も必要となる。
特許文献3は、特定の有機リン化合物を含む疎水性有機溶媒で処理してケイ素化合物を析出除去する方法を開示しているが、3回処理してもSiが数ppmと精製効果が低い。
また、特許文献4は、懸濁晶析と層状晶析を組み合わせることによりリン酸の精製効果を高めようとするものであるが、晶析操作を複数回行う必要があり、しかも不純物として例示されているAsは15ppbであり、Siの含量や精製効果についての記載はない。
このようにリン酸の精製技術が種々提案されているが、近年の半導体回路の微細集積化に伴い、要求される純度も上がっていること、不純物種や不純物量が変わると精製挙動も変化することから、現在入手しうる廃リン酸に過去の技術を適用したとしても処理後の不純物がどのようになるのかは、先行技術文献からは類推できない。加えて、再生リン酸を幅広く利用するため、Siをはじめとした多元素の低減が求められている。
【0004】
リン酸の精製法の一つとして、非特許文献1に記載されているように、リン酸の晶析がある。リン酸濃度が62.5質量%以上ではリン酸の半水結晶(H
3
PO
4
・1/2H
2
O)が析出し、94.8質量%以上では無水結晶(H
3
PO
4
)が単独で析出する。62.5~91.6質量%の範囲では、冷却するとリン酸の半水結晶と液体となり、結晶を分離することにより純度の向上したリン酸を得ることができ、これを融解と希釈で濃度調整すれば、リン酸として製品化できる。非特許文献2には、水和および無水オルソリン酸の溶解性および凝固点曲線の測定結果が記載されており、リン酸濃度と温度を変えるとどのような組成になるかの参考となる。
本発明において、特にSiの低減に言及しているが、リン酸の精製に広く適用できるものであり、窒化ケイ素膜廃リン酸の精製に限定するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平7-86260号公報
特開2004-134780号公報
WO2010-010638号公報
特表2016-510256号公報
【非特許文献】
【0006】
渡辺修他著、「リン酸精製技術の動向〔2〕」、東洋曹達研究報告 第23巻 第1号、1979年、p.3-13
Journal of the American Chemical Society,(米),1925,Vol.47,p.2165-2170
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、窒化ケイ素膜やアルミニウムのエッチング等に使用されたリン酸水溶液を簡単な操作でSi等の複数の元素を同時に効率よく精製することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、78.75質量%を超え91.60質量%未満のリン酸原料に種晶を添加して結晶析出を行い、かつ、結晶を分離してH
3
PO
4
含量が90.00質量%以上の結晶を回収し、この結晶を用いてリン酸濃度を調節することを特徴とする精製リン酸の製造方法、ならびに、Si濃度が0.5ppm以下、あるいは、0.1ppm以下の再生リン酸である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の精製リン酸の製造方法は、簡単な操作で1段処理でも複数元素の精製効率が高く、廃リン酸を原料とし、また、0℃~室温付近で操作するためエネルギー的にも環境負荷が極めて小さい。このようにして得られた精製リン酸は原料よりも純度が向上しており、より高純度が必要となる用途に適用可能となる。また、例えばアルミニウムの化学研磨や半導体製造工程での窒化ケイ素膜のエッチングのように特定用途で使用されたリン酸液を精製して得られた再生リン酸は、純度が向上し、新品同様に使用でき、このような使用は資源を有効活用でき、環境的にも極めて大きな利点を有する。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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