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公開番号2025118941
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-13
出願番号2025083563,2022534315
出願日2025-05-19,2020-12-07
発明の名称ユニバーサル細胞療法のための免疫逃避機構のモジュレーター
出願人ヴィセリックス・インコーポレーティッド
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類A61K 38/16 20060101AFI20250805BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】安全かつ有効なユニバーサル細胞に対する必要性が当該技術分野において依然として存在する。
【解決手段】バルキーなタンパク質、例えばCD45、CD148、およびCD43を、グラフト細胞およびCD45陽性宿主エフェクター細胞(例えばT細胞、NK細胞、B細胞、または樹状細胞)の間の細胞インターフェースの中央に留置し得る治療剤が開示され、それらの使用方法およびそのような治療剤を用いて製造された製造物も開示され、治療剤は、機能的な免疫学的シナプス(生理学的SMACを含む)の形成を予防または阻害し、また、それらはシグナル伝達経路の連続的な脱リン酸化を結果としてもたらす。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
CD45、CD148、またはCD43の能力をモジュレートして、細胞傷害性細胞と機能的な免疫学的シナプスを形成することにより細胞傷害性を予防するように構成された1つまたは複数の分子または細胞を含み、
ULLタンパク質もその断片も含まない、治療剤。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
単鎖抗体またはVHHナノボディを含む表面結合型エンゲージャーを含む、請求項1に記載の治療剤。
【請求項3】
タンパク質、アプタマー、ペプチド核酸(PNA)、ナノ粒子、または前記1つもしくは複数の分子を発現もしくは分泌する細胞を含む、請求項1に記載の治療剤。
【請求項4】
タンパク質、好ましくは抗体を含むタンパク質、より好ましくは単鎖抗体またはVHHナノボディを含むタンパク質を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の治療剤。
【請求項5】
ナノ粒子、好ましくは脂質ナノ粒子(LNP)、デンドリマー、リボ核タンパク質(RNP)、または細胞外小胞、好ましくはエクソソームもしくは微小胞、を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の治療剤。
【請求項6】
配列番号1、3、5、54、56、58、60、62、64、66、68、71、73、216、218、220、223、もしくは224、または配列番号1、3、5、54、56、58、60、62、64、66、68、71、73、216、218、220、223、もしくは224に対して少なくとも80%の同一性を有するタンパク質を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の治療剤。
【請求項7】
細胞の表面上に発現された1つまたは複数の分子を有する前記細胞を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の治療剤。
【請求項8】
前記細胞の前記表面上に発現された前記1つまたは複数の分子が、発現された膜貫通タンパク質を含み、かつ前記細胞がグラフト細胞を含み、任意選択的に
前記膜貫通タンパク質が、CD45、CD148、またはCD43に結合し得、任意選択的に
前記CD45、CD148、またはCD43が、細胞傷害性細胞、好ましくはT細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞の表面上に存在し、任意選択的に
前記膜貫通タンパク質が、前記細胞傷害性細胞の前記表面上の発生中の免疫学的シナプス中にCD45、CD148、またはCD43を保持し、それにより機能的な免疫学的シナプスの形成を妨害し得る、請求項7に記載の治療剤。
【請求項9】
細胞傷害性細胞誘導性溶解を予防し得るタンパク質複合体であって、
配列番号1、3、5、64、66、68、71、73、220、223、もしくは224、または配列番号1、3、5、64、66、68、71、73、220、223、もしくは224に対して少なくとも80%の同一性を有するタンパク質を含むエンゲージャー;および
T細胞またはNK細胞の表面上に発現されたCD45、CD148、またはCD43タンパク質
を含む、タンパク質複合体。
【請求項10】
医薬として用いるための、請求項1~3のいずれかに記載の治療剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【背景技術】
【0001】
細胞療法は、損傷した組織および/または臓器を置き換えるために現在使用されている現代科学の素晴らしい達成であり、糖尿病、網膜色素変性症、パーキンソン病、心筋梗塞、リンパ腫および白血病を含む血液がん、貧血および血球減少症を含む骨髄不全症候群、ウィスコット-オルドリッチ症候群(WAS)および重症複合免疫不全症(SCID)を含む遺伝性免疫障害、サラセミア、鎌状赤血球貧血および先天性赤血球形成異常性貧血を含む異常ヘモグロビン症、リソソーム貯蔵障害、ガラクトース血症、フェニルケトン尿症およびグリコーゲン貯蔵病を含む遺伝性代謝障害、視神経脊髄炎を含む神経学的障害、膝関節置換術を含む軟骨置換術、ならびにクローン病などを含む多くの病気に対して有望であるようである。臓器移植と同様に、細胞療法もまた、制限されたドナー利用可能性および免疫拒絶という課題に直面している。これは、細胞を免疫特権的とする機構の開発を要求する。免疫特権細胞は、「オフザシェルフ」細胞製造物の生成を可能とするだけでなく、「オフザシェルフ」臓器の生成にも繋がり得る。
続きを表示(約 5,200 文字)【0002】
ユニバーサル細胞は、免疫応答のトリガーとなることなく任意の患者に投与することができる細胞である。これは、これらの分野が作られて以降、臓器移植および細胞療法の究極の目標となってきた。ユニバーサル細胞の欠如は、一般にオフザシェルフ療法を制限し、多くの療法を、ドナーおよびレシピエントの間の緊密な組織マッチまで低減させる。ほぼ全ての症例において免疫抑制薬は重大な副作用と共に投与される。
【0003】
免疫抑制剤の投与の自明な副作用は、感染症およびがんに対する全般的感受性の増加である。一般的に使用される免疫抑制薬としては、シクロスポリン、アザチオプリン、抗リンパ芽球、抗胸腺細胞グロブリン、ムロモナブ-CD3、およびブタ抗リンパ球グロブリン(P-ALG)が挙げられる。シクロスポリンは、腎毒性、肝毒性、高カリウム血症、高血圧、振戦、歯肉過成長、および多毛症を引き起こすことが公知である。アザチオプリンは骨髄抑制を抑制して白血球減少症に繋がる。抗リンパ芽球および抗胸腺細胞グロブリンは、アレルギー型反応、例えば発熱、悪寒、および低血圧を引き起こし得る外来性抗体である。モノクローナル抗体(ムロモナブ-CD3、OKT3)の初期の副作用はP-ALGのそれに類似している。それは、高熱、悪寒戦慄、頭痛、硬直、および低血圧を含む。Min, D. I. and Monaco, A. P. (1991), Complications Associated with Immunosuppressive Therapy and Their Management. Pharmacotherapy: The Journal of Human Pharmacology and Drug Therapy, 11: 119S-125S。
【0004】
当該技術分野は、任意のレシピエントと適合性の細胞を製造する試みの多くの例を含有する。最も一般的なアプローチはベータ-2ミクログロブリン(B2M)の妨害であり、これは全てのクラスI分子の表面発現を排除するが、細胞をナチュラルキラー(NK)細胞による溶解に脆弱なままとする。ヒト多能性幹細胞(PSC)中のB2M座位におけるHLA-E遺伝子の挿入は、HLA-A、BまたはCのいずれの表面発現もなしに、HLA-E一本鎖二量体(B2Mに融合している)または三量体(B2Mおよびペプチド抗原に融合している)の誘導性の、調節された、表面発現を付与する。これらのHLA操作型PSCおよびそれらの分化誘導体は、CD8

T細胞により同種として認識されず、抗HLA抗体に結合せず、NK媒介性溶解に対して抵抗性である。Gornalusse,
German G,Hirata, Roli K,Funk, Sarah E, Riolobos, Laura,Lopes, Vanda S, Manske, Gabriel, Prunkard, Donna, Colunga, Aric
G, Hanafi, Laila-Aicha, Clegg, Dennis O,
Turtle, Cameron, Russell, David W.; HLA-E-expressing pluripotent stem cells escape allogeneic responses and lysis by NK cells, Nature Biotechnology (Vol 35 p 765) 2017/05/15/online;およびGlas R, Franksson L, Ohlen C, Hoglund P, Koller B, Ljunggren HG, et al. Major histocompatibility complex class I-specific and -restricted killing of beta 2-microglobulin-deficient cells by CD8+ cytotoxic T lymphocytes. Proc Natl Acad Sci U S A. 1992;89(23):11381-5。そのようなアプローチは、一部の細胞を免疫系による認識から予防するが、真のユニバーサル細胞を提供しない遺伝子操作アプローチである。さらには、HLA-EとNKG2AおよびNKG2Cとの間の潜在的なシス相互作用は、グラフトの機能に影響して最適以下の細胞製造物に繋がり得る。さらに、細胞製造物は、全てのHLAクラスI分子の同時のノックアウトおよびHLA-E B2M融合タンパク質のノックインからなる複数の遺伝子編集ステップにおいて生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CRISPR-Cas9および他の遺伝子編集技術は、免疫系にとって見えない「オフザシェルフ」ドナー細胞を作出するための競争を開始させた。そのような細胞を作出するための一般的なアプローチは、免疫認識のために要求される遺伝子、特にHLAクラスIおよびIIタンパク質のマニピュレーションを伴う。他のアプローチは、免疫抑制分子、例えばPD-L1およびCTLA4-Igを発現するように細胞を改変することにより同種細胞ベース療法に対して寛容を誘導するためにある特定の細菌、ウイルス、寄生生物、胎児、およびがん細胞により使用される免疫偽装(immune-cloaking)戦略の知識を活用する。細胞および組織拒絶に繋がる同じ機構はまた、自己免疫疾患に結び付けられる。安全かつ有効なユニバーサル細胞に対する必要性が当該技術分野において依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
多くの病原性および非病原性微小生物が本発明による免疫系を形成させてきたため、それら自体は、特に慢性感染症において見られる、免疫逃避を進化および熟達させてきた。エプスタイン・バーウイルス(EBV)は1つのそのような免疫系忌避者の例である。病原体を免疫特権的とする様々な病原体により進化された免疫逃避機構を活用することが可能であることを本発明者らは発見した。ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)は、CD45とのUL11タンパク質(図27)のエンゲージメントを通じてT細胞活性を阻害して、T細胞の活性化および/または発生のために要求される近位シグナル伝達の妨害を結果的にもたらす。同様に、アデノウイルスからのE3タンパク質(図21)はCD45とエンゲージし、NKおよびT細胞を阻害する。遺伝子改変を通じて、グラフト細胞表面上のCD45に対する結合性分子を発現させることによりグラフト拒絶を回避できることを本発明者らは示した。(図7~12)。同じ道筋にしたがって、本発明者らはまた、CD45に対するモノクローナル抗体の一本鎖(a-CD45-sc)を組み立てた(図24)。CD45エンゲージャーを発現するように改変された細胞が、それらの免疫逃避特性についてここに報告される。この目的のために、UL11、E3.49Kもしくはa-CD45-scまたはGFP(対照として)を発現する標的細胞に対するNKおよびT細胞の細胞傷害性を試験し、比較した(図7~12)。
【0007】
CD45は、有核細胞上に発現される膜貫通タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPase)である。それは、重度にグリコシル化された大きい細胞外ドメインおよびタンデム細胞内ホスファターゼドメインを有する。CD45はBおよびT細胞の表面積の約10%をカバーし、そこにおいて膜近位シグナル伝達を支配することにより細胞の発生および活性化を調節する。細胞シナプス形成後に、CD45は、SRCファミリーキナーゼのテイル中の阻害性チロシンを脱リン酸化して、「オープン」の非阻害コンホメーションを可能とする。「オープン」のSRCファミリーキナーゼは、それら自体のキナーゼドメイン活性化ループ上の自己リン酸化を通じてキナーゼ活性の上昇を達成する。活性SRCファミリーキナーゼは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含有するタンパク質分子およびSYKファミリーキナーゼをさらにリン酸化することで、シグナルの伝達、伝播および増幅を結果としてもたらす。成功裏の細胞免疫反応において、CD45は免疫シナプスから除外され、反応の中止でのみシナプス中に戻される。CD45は、活性化ループリン酸化を脱リン酸化し、SRCファミリーキナーゼ活性を低下させて、免疫シグナル伝達の終了を結果としてもたらす。さらに、それはまた、ヤヌスキナーゼを脱リン酸化することでサイトカイン受容体シグナル伝達を減弱する。CD45はまた、ZAP70およびCD3-ゼータを含む他の近位シグナル伝達分子を脱リン酸化し得る。CD45は、膜近位ドメインの内因性触媒活性を有する、重度にグリコシル化された細胞外ドメインおよび細胞内タンデムホスファターゼドメインからなる構成的な活性のI型膜ホスファターゼである。膜近位細胞外領域は、フィブロネクチンIII型ドメイン、続いてシステインリッチドメインおよび重度にグリコシル化された遠位領域からなる。CD45遺伝子は複数のエクソンを有し、4(A)、5(B)、6(C)エクソンの選択的スプライシングは可変の長さの転写物を生成する。ヒトCD45は、選択的エクソン使用の結果であり得、ABC、AB、BC、BおよびOアイソフォームを生成し得る。3つ全てのエクソン(A、BおよびC)が欠失した最短の生成物はCD45ROと呼ばれ、全てのこれらのエクソンを含有するものは最長であり、CD45RABCと呼ばれる。異なるアイソフォームは、様々なリンパ球において発生および活性化マーカーとして使用される。CD45ROは、全てのアイソフォームの中で、標的化される保存されたドメインである。
【0008】
CD148は、重度にグリコシル化された大きいフィブロネクチン細胞外ドメインおよび細胞内触媒ドメインを有する受容体チロシンホスファターゼである。造血系列と共に、CD148は血管および腺管内皮細胞においても発現され、そこにおいて細胞の増殖および形質転換を負に調節する。CD148の喪失はがん細胞株において観察されており、再発現はインビトロおよびインビボの両方で腫瘍成長の抑制を結果としてもたらした。CD148は、VEGFR、EGFR、HGFRおよびFGFRを含む多数の増殖因子受容体ならびにp85、PLCγ1、およびERK1/2のような他の鍵となる下流のシグナル伝達分子を脱リン酸化する。
【0009】
CD43は、幹細胞、T細胞、単球、顆粒球、NK細胞、および血小板を含む造血細胞上に発現される大きい細胞外ドメインおよび小さい球状細胞内ドメインを有する高度にグリコシル化されたムチン型タンパク質である。CD43細胞外ドメインは、E-セレクチン、ガレクチン-1およびガレクチン-3、シグレック-1、M-フィコリン、インテグリン、細胞表面ヌクレオリン、ならびにICAM-1(細胞間接着分子1型)との相互作用を通じて接着を促進する。保存された細胞内ドメインは、エズリン、ラディキシンおよびモエシン(ERM)タンパク質への結合を通じた細胞骨格への接続を媒介するシグナル伝達に関与するが、CD43は、SH3結合性コンセンサスに似たプロリンリッチ配列、およびCD43の核局在性を説明する核局在化シグナル(NLS)を有する。
【0010】
B細胞受容体(BCR)は、3アミノ酸の短い細胞内ドメインを有する膜結合型免疫グロブリンである。BCRは2つの同一の重鎖および2つの軽鎖から作られている。細胞外ドメインは、抗原を特異的に認識して結合する能力を有する。BCRは、鎖Igα(アル
ファ)およびIgβ(ベータ)を含有する2つの会合したITAMにより補償される細胞内シグナル伝達を欠いている。抗原への成功裏の結合後に、BCRはB細胞の活性化および成熟に繋がるシグナルを伝達する。クラススイッチ後に、BCRは、膜結合型から放出形態に切り替えられ、抗体と呼ばれる。
(【0011】以降は省略されています)

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