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公開番号2025031407
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023137620
出願日2023-08-25
発明の名称生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法
出願人学校法人千葉工業大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C04B 35/447 20060101AFI20250228BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】従来よりも焼結率が高く、焼結率97%以上の焼結体で、かつ、かさ密度が3.0g/cm3以上の焼結体からなる緻密質のβ型リン酸三カルシウムで構成された生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体製造方法を提供する。
【解決手段】カルシウム塩類とリン酸塩類とを、リンに対するカルシウムの比(Ca/P)がモル比で1.50となるように混合して混合物とする原料配合工程と、前記混合物の成形体を成形する成形工程と、反応焼結法により、前記成形体を1100℃以上1150℃以下で焼結して、β型リン酸三カルシウムからなる焼結体を得る焼結工程と、を有し、前記原料配合工程の原料に、化学量論組成の水酸アパタイトを使用する、生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
カルシウム塩類とリン酸塩類とを、リンに対するカルシウムの比(Ca/P)がモル比で1.50となるように混合して混合物とする原料配合工程と、
前記混合物の成形体を成形する成形工程と、
反応焼結法により、前記成形体を1100℃以上1150℃以下で焼結して、β型リン酸三カルシウムからなる焼結体を得る焼結工程と、を有し、
前記原料配合工程の原料に、化学量論組成の水酸アパタイトを使用する、生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
前記混合物の平均一次粒子径は、0.1μm以上800μm以下である、請求項1に記載の生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
【請求項3】
前記成形工程において、直接金型成形法と冷間等方圧加圧法により、前記混合物を成形体に成形する、請求項1に記載の生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
【請求項4】
前記混合物の化学組成は、β型リン酸三カルシウムを形成するリン酸とカルシウムからなり、
前記成形工程において、焼結助剤である第三成分を添加しないで、前記混合物を成形体に成形する、請求項1に記載の生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
【請求項5】
前記成形工程において、ホットプレス、熱間等方圧加圧法または放電プラズマ焼結を使用することなく、前記混合物を成形体に成形し、
前記焼成工程において、ホットプレス、熱間等方圧加圧法または放電プラズマ焼結を使用することなく、前記成形体を焼結する、請求項1に記載の生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
【請求項6】
生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の原料として、反応焼結法によって得られた化学量論組成の水酸アパタイトを用いる、請求項1に記載の生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
β型リン酸三カルシウム(以下、「β-Ca

(PO



またはβ-TCP」と記すこともある。)は、生体親和性と生体吸収性が高く、自家骨と置き換わる性質を持つことから、骨欠損部の修復に使用される骨補填材として臨床応用されている。中でも、多孔質β-TCPは、適切な気孔径と気孔率を有し、多孔体内部で骨組織等を生長させることができるため、骨組織自体の修復を促進する足場材料として使用されている。一方、緻密質β-TCPは、骨欠損部や腸骨等のスペーサーとして比較的機械的強度が必要な部位に利用されている。多孔質β-TCPの製造方法と緻密質β-TCPの製造方法は、その焼結体の微構造の違いから大きく異なる。
【0003】
多孔質β-TCPの製造方法としては、一般的に、β-TCPの原料粉末にノニオン界面活性剤を添加して混合物とし、その混合物を物理的な攪拌によって発泡させて乾燥し、得られた乾燥物を1000℃~1100℃の焼結温度で焼結させる方法が挙げられる。また、多孔質β-TCPの製造方法としては、β-TCPの原料粉末に高分子やカーボン等のテンプレート材(造孔剤)を加えて成形体を成形し、その成形体を高温加熱して、テンプレート材を燃焼により除去し、気孔を有する多孔質β-TCPを得る方法が挙げられる。
【0004】
一方、緻密質β-TCPの製造方法としては、一般的に、カルシウム塩類の原料粉末とリン酸塩類の原料粉末とを、Ca/Pモル比=1.50として混合し、700℃~1000℃で仮焼し、仮焼原料を一次成形および冷間等方圧加圧法(CIP)で成形し、得られた成形体を制御した焼結プログラムにより1100℃~1150℃で5時間~48時間焼結する固相焼結法が挙げられる。また、緻密質β-TCPの製造方法としては、カルシウム塩類の原料粉末とリン酸塩類の原料粉末とを、Ca/Pモル比=1.50として混合し、メカノケミカル法や水熱合成法、水溶液法等を使用して得られた前駆体を、700℃~1000℃で仮焼し、仮焼原料を一次成形およびCIP成形し、得られた成形体を制御した焼結プログラムにより1100℃~1150℃で5時間~48時間焼結する方法が挙げられる。通常、緻密体の焼結温度は、多孔質の焼結温度よりも高いことが多い。
【0005】
さらに、緻密質β-TCPの製造方法としては、非特許文献1や非特許文献2に記載の方法が知られている。これらの方法はいずれも、酸化物系の焼結助剤の添加と1150℃以上の高温焼結での緻密化を図っている。
【0006】
また、緻密質β-TCPの製造方法としては、非特許文献3に記載の方法が知られている。この方法における反応焼結では、β-TCPが単相にはなりにくく、しかも得られた焼結体のかさ密度は1.7g/cm

~2.5g/cm

であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
AKAO. M. etc. Yogyo-Kyokai-Shi, 92 [11], 672-674 1984
鳥山素弘ら,日本セラミックス協会学術論文誌96[8]. 837-841 (1988)
Yoshida.K, etc., Journal of the European Ceramic Society 27.3215-3220(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の緻密質β-TCPの製造方法には、(1)焼結性の不足、(2)機械的強度の不足、(3)化学組成の不純物化、(4)緻密質β-TCPの物性の未解明等の課題があった。
(1)焼結性の不足:一般的なカルシウム塩類とリン酸塩との仮焼物を用いた固相法において、1100℃~1150℃で焼結した場合、気孔率が5%~15%の焼結体しか得られず、高密度の焼結体を製造することが難しい。焼結体の焼結性を向上させるためには、これら以上の高温で焼成する必要があり、エネルギー消費が高くなる。しかし、1150℃で長時間加熱すると、結晶構造転移が生じてしまう。すなわちβ-TCPからα型リン酸三カルシウム(α-TCP)への結晶構造変化が起こり、所望の緻密質β-TCPは得られない。
(2)機械的強度の不足:焼結体内および焼結体の表面に存在する気孔が、三点曲げ強度や圧縮強度の低下につながり、機械的強度が不十分となる。
(3)化学組成の不純物化:緻密質β-TCPの製造では、焼結助剤として金属イオンの置換固溶が必要となるが、これによってカルシウム、リン以外の不純物も含まれてしまい、緻密質β-TCPの溶解性等の性質に悪影響を及ぼす。
(4)緻密質β-TCPの物性の未解明:従来の緻密質β-TCPの製造法は、焼結助剤(MgO、SiO

等)の添加、α化転移温度以上の1200℃~1300℃の高温焼結、高圧での成形(ホットプレス・HIP)等、特殊な条件で高いエネルギー消費量が必要であり、省エネルギーで実験操作が簡便な方法が存在しない。また、これまでに高純度の高緻密β-TCPの物性値が正確なものが報告されておらず、そのために緻密質β-TCPの使用用途が限定されている。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、従来よりも焼結率が高く、焼結率97%以上の焼結体で、かつ、かさ密度が3.0g/cm

以上の焼結体からなる緻密質のβ型リン酸三カルシウムで構成された生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]カルシウム塩類とリン酸塩類とを、リンに対するカルシウムの比(Ca/P)がモル比で1.50となるように混合して混合物とする原料配合工程と、
前記混合物の成形体を成形する成形工程と、
反応焼結法により、前記成形体を1100℃以上1150℃以下で焼結して、β型リン酸三カルシウムからなる焼結体を得る焼結工程と、を有し、
前記原料配合工程の原料に、化学量論組成の水酸アパタイトを使用する、生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
[2]前記混合物の平均一次粒子径は、0.1μm以上800μm以下である、[1]に記載の生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
[3]前記成形工程において、直接金型成形法と冷間等方圧加圧法により、前記混合物を成形体に成形する、[1]または[2]に記載の生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
[4]前記混合物の化学組成は、β型リン酸三カルシウムを形成するリン酸とカルシウムからなり、
前記成形工程において、焼結助剤である第三成分を添加しないで、前記混合物を成形体に成形する、[1]~[3]のいずれかに記載の生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
[5]前記成形工程において、ホットプレス、熱間等方圧加圧法または放電プラズマ焼結を使用することなく、前記混合物を成形体に成形し、
前記焼成工程において、ホットプレス、熱間等方圧加圧法または放電プラズマ焼結を使用することなく、前記成形体を焼結する、[1]~[4]のいずれかに記載の生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
[6]生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の原料として、反応焼結法によって得られた化学量論組成の水酸アパタイトを用いる、[1]~[5]のいずれかに記載の生体材料用β型リン酸三カルシウムの緻密質焼結体の製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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