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公開番号2025066445
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-23
出願番号2023176062
出願日2023-10-11
発明の名称炎症性疾患の治療薬、及び治療薬のスクリーニング方法
出願人国立大学法人東北大学
代理人個人
主分類A61K 45/00 20060101AFI20250416BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】免疫抑制などの重篤な副作用のない炎症性疾患、特に炎症性腸疾患の治療薬を提供することを課題とする。
【解決手段】スルファサラジンの作用機序の解析から、細胞内のグルタミン酸を増加させることにより、抗炎症作用が生じることが明らかとなった。細胞内のグルタミン酸を増加させるxCT阻害剤、あるいはグルタミン合成酵素阻害剤が炎症性腸疾患の治療に効果がある。また、xCT、あるいはグルタミン合成阻害酵素の発現を抑制する化合物も治療効果があると考えられる。
【選択図】図5D
特許請求の範囲【請求項1】
細胞内のグルタミン酸を増加させる化合物を有効成分とする炎症性疾患治療薬及び/又は予防薬。
続きを表示(約 490 文字)【請求項2】
前記細胞内のグルタミン酸を増加させる化合物が、
xCT阻害剤、又はグルタミン合成酵素阻害剤であることを特徴とする請求項1記載の炎症性疾患治療薬及び/又は予防薬。
【請求項3】
前記細胞内のグルタミン酸を増加させる化合物が、
xCT、又はグルタミン合成酵素の発現を低下させる化合物であることを特徴とする請求項1記載の炎症性疾患治療薬及び/又は予防薬。
【請求項4】
前記炎症性疾患が炎症性腸疾患であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の炎症性疾患治療薬及び/又は予防薬。
【請求項5】
候補化合物を添加し、
グルタミン酸、シスチン、又はシステインを指標として候補化合物を選択する炎症性腸疾患治療薬及び/又は予防薬のスクリーニング方法。
【請求項6】
候補化合物を培養細胞の培地に添加し、
xCT、又はグルタミン合成酵素の発現量を解析し、
発現量の低下を指標とすることにより候補化合物を選択する炎症性腸疾患治療薬及び/又は予防薬のスクリーニング方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性疾患、特に炎症性腸疾患の治療薬、及び治療薬のスクリーニング方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎とクローン病に代表される疾患であり、腸管に慢性炎症が生じる疾患である。日本では、1990年代から、急激に患者が増え続けており、潰瘍性大腸炎は20万人、クローン病は7万人を超える患者がいると言われている。炎症性腸疾患は、若年で発症し、寛解期と再燃期を繰り返す疾患であり、生涯にわたり医療サポートを必要とする。炎症性腸疾患の発症の原因は未だ不明であるが、免疫細胞によるサイトカイン発現の増加、腸内細菌叢の乱れによる腸内環境の悪化、腸管上皮のバリア機能の低下等により悪化することが知られている。
【0003】
炎症性腸疾患に対しては、種々の治療薬が開発されている。炎症を抑制する5-アミノサリチル酸(5-ASA)、体内で代謝によって5-ASAに分解されるスルファサラジンなどの5-ASA製剤、ステロイド、免疫抑制薬、抗TNF-α抗体製剤等の生物学的製剤が、重症度に応じて用いられている。そして、内科治療に効果がない場合、あるいは副作用等で内科治療が困難な場合には、外科手術による治療を行うことになる。しかし、外科手術による治療は、非常に侵襲性が高く、できれば内科治療によって寛解を誘導することが望ましい。さらに、中等度以上の症状を有する場合に使用するステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤は、いずれも免疫抑制など重篤な副作用を有することから、重篤な副作用のない治療薬の開発が期待されている。
【0004】
現在、炎症性腸疾患の治療薬として比較的軽症の患者に投与されているスルファサラジン(サラゾスルファピリジン)という治療薬がある。スルファサラジンは、腸管の粘膜下結合組織に蓄積し、抗炎症作用を発現することにより、炎症性腸疾患に効果があると考えられている。また、スルファサラジンはin vitroでは、シスチン/グルタミン酸アンチポーター(xCT、SLC7A11)の特異的阻害剤であることが知られている(非特許文献1)。xCTは細胞膜に存在し、細胞外のシスチンと細胞内のグルタミン酸を交換し輸送を行うアミノ酸トランスポーターである。xCTにより取り込まれたシスチンは、抗酸化物質であるグルタチオンの合成に関与し、がん細胞の生存維持に関わることが示されていることから、脳腫瘍、乳がんなどいくつかのがんにおいて治療効果を有することが示されている(非特許文献2)。
【0005】
しかしながら、炎症性腸疾患において、xCTがどのように関与しているかは明らかではなかった。炎症性腸疾患では、グルタミン投与が症状の改善につながるという報告があるが、シスチン/グルタミン酸アンチポーターであるxCTとの関連は不明である。本発明者らは、xCTが炎症性疾患にどのように関わるか、その作用機序を解析したところ、xCT阻害によって抗炎症作用が示されること、さらに、グルタミンではなく、xCT阻害によるグルタミン酸の細胞内保持が抗炎症作用を誘導していることを見出し本発明を完成させた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Gout PW. et al., Leukemia, 2001, Vol.15(10), pp.1633-1640.
Chung, W. J. et al., J. Neuroscience, 2005,Vol.25(31),pp.7101-7110.
SatoH. et al., J Biol Chem, 2005, Vol.280(45), pp.37423-37429.
WirtzS. et al., Nat Protoc, 2017, Vol.2(7), pp.1295-1309.
Erben U. et al., Int J Clin ExpPathol, 2014, Vol.7(8), pp.4557-4576.
Shiomi Y. et al,. InflammatoryBowel Diseases, 2011, Vol.17(11), pp.2261-2274.
Villar VH. et al., NatChem Biol , 2023, Vol.19(3), pp.292-300.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、免疫抑制などの重篤な副作用のない炎症性疾患の治療薬、及びスクリーニング方法を提供することを課題とする。
(1)細胞内のグルタミン酸を増加させる化合物を有効成分とする炎症性疾患治療薬及び/又は予防薬。
従来から、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患では腸管上皮のグルタミンが重要であることが示唆されていたが、本発明者らにより、グルタミンではなく、グルタミン酸が重要であり、細胞内のグルタミン酸を増加させることが、炎症性腸疾患の治療や予防につながることが示された。
【0008】
(2)前記細胞内のグルタミン酸を増加させる化合物が、xCT阻害剤、又はグルタミン合成酵素阻害剤であることを特徴とする(1)記載の炎症性疾患治療薬及び/又は予防薬。
細胞内のグルタミン酸を増加させる化合物としては、グルタミン酸の細胞内からの排出を担うシスチン/グルタミン酸アンチポーターであるxCTの阻害剤、あるいはグルタミン酸からグルタミンを合成する酵素であるグルタミン合成酵素の阻害剤が挙げられる。
【0009】
(3)前記細胞内のグルタミン酸を増加させる化合物が、xCT、又はグルタミン合成酵素の発現を低下させる化合物であることを特徴とする(1)記載の炎症性疾患治療薬及び/又は予防薬。
xCTやグルタミン合成酵素の阻害剤だけではなく、xCTやグルタミン合成酵素の発現を低下させても同様に炎症性疾患に対して治療、及び予防効果を奏する。
【0010】
(4)前記炎症性疾患が炎症性腸疾患であることを特徴とする(1)~(3)いずれか1つ記載の炎症性疾患治療薬及び/又は予防薬。
炎症性腸疾患の中でも、特に、本明細書で多くのデータを上げて解析している炎症性腸疾患に対して効果を奏する。
(【0011】以降は省略されています)

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