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公開番号2025075395
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-15
出願番号2023186516
出願日2023-10-31
発明の名称含ニッケル硫化物の浸出方法、ニッケル及び/又はコバルトを含む溶液の製造方法
出願人国立大学法人九州大学,住友金属鉱山株式会社
代理人個人,個人
主分類C22B 23/00 20060101AFI20250508BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】ニッケル及び/又はコバルトを含有する硫化物の浸出方法において、硫化物からのニッケル及び/又はコバルトの浸出速度を向上させるとともに、硫化水素(H2S)の発生を抑えることができる方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ニッケル及び/又はコバルトを含有する硫化物の浸出方法であって、硫化物に、硫黄に対して還元性を有する金属体が共存する状態で、水素イオン濃度で0.5M以上の酸溶液を加えることによりニッケル及び/又はコバルトを浸出する工程を含み、その浸出工程では、金属体を共存させるとともに、1価銅イオン(Cu+)を生じさせる金属塩を添加して該1価銅イオンを共存させた状態で浸出する。
【選択図】図2

特許請求の範囲【請求項1】
ニッケル及び/又はコバルトを含有する硫化物の浸出方法であって、
前記硫化物に、硫黄に対して還元性を有する金属体が共存する状態で、水素イオン濃度で0.5M以上の酸溶液を加えることによりニッケル及び/又はコバルトを浸出する工程を含み、
前記工程では、前記金属体を共存させるとともに、1価銅イオン(Cu

)を生じさせる金属塩を添加して該1価銅イオンを共存させた状態で浸出する、
含ニッケル硫化物の浸出方法。
続きを表示(約 480 文字)【請求項2】
前記工程では、前記1価銅イオンを、前記硫化物に対する該1価銅イオンのモル比(Cu

/硫化物)が1.0以上となる量で共存させる、
請求項1に記載の含ニッケル硫化物の浸出方法。
【請求項3】
前記硫化物は、ニッケル及び/又はコバルトと硫黄との元素比が等倍もしくは硫黄の方が多い形態の硫化物を含む、
請求項1に記載の含ニッケル硫化物の浸出方法。
【請求項4】
前記金属体は、銅を含む、
請求項1に記載の含ニッケル硫化物の浸出方法。
【請求項5】
前記硫化物は、ニッケル酸化鉱石を硫酸により浸出して得られる水溶液に硫化剤を添加して生成された硫化物である、
請求項1に記載の含ニッケル硫化物の浸出方法。
【請求項6】
ニッケル及び/又はコバルトを含有する硫化物からニッケル及び/又はコバルトを含む溶液を製造する方法であって、
請求項1に係る浸出方法を実行する工程を含む、
ニッケル及び/又はコバルトを含む溶液の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、硫化物の浸出方法に関するものであり、より詳しくは、ニッケルやコバルトを含有する硫化物(含ニッケル硫化物)を効率的に浸出させる浸出方法、並びにその浸出方法を実行してニッケルやコバルトを含む溶液を製造する方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
ニッケルの製錬方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、ニッケル硫化物であるニッケルマット等の原料に塩素ガスを吹き込んで塩素浸出し、浸出されたニッケルを電解採取することにより、電気ニッケルを製造する方法が実用化されている。この方法は工程がシンプルであるうえ、浸出時に銅イオンを介在させることで、塩素ガスによる浸出反応性を向上させることができ、さらに電解採取により発生した塩素ガスを浸出に再利用することができるため、経済的に優位な方法である。なお、特許文献1に記載されているニッケルマットとは、例えばニッケル硫化鉱石を炉で熔解して不純物と分離する工程や、硫黄と共に熔解する工程等からなる乾式溶錬法で製造される。
【0003】
一方、近年では資源の有効活用として埋蔵量が豊富なラテライト鉱等の低品位ニッケル酸化鉱石の処理技術が開発されている。代表的な製錬法としては、例えば特許文献2に記載されている高圧硫酸浸出法がある。この方法は、ニッケル酸化鉱石を高温高圧雰囲気下で硫酸により浸出し、得られた浸出液から鉄をはじめとする不純物を除去した後、硫化水素ガス等の硫化剤を浸出液中に吹き込んでニッケル硫化物を生成するものである。このようにして得られるニッケル硫化物は、ニッケルとコバルトとを含む混合硫化物(MS:Mixed Sulfide)であり、特許文献1に記載されている方法を利用して精製処理が可能である。
【0004】
しかしながら、MS(ニッケル硫化物)は、ニッケルマットに比べて塩素浸出する際の浸出速度が遅いため、設備が相応して大型化しコストが増加するという問題がある。
【0005】
浸出速度の違いは、それぞれの製造方法に由来するニッケル硫化物の組成によると考えられている。具体的には、特許文献3に示すように、ニッケルマットではNiメタル(Ni

)やNi



等の、ニッケルに対する硫黄の存在比がNiの方が多い、すなわちニッケル過多(Niリッチ)なものが主成分として構成されている。それに対して、MSではNiSやNi



等の、硫黄がニッケルと等倍もしくは硫黄の方が過多な形態(Sリッチ)となるものが主成分として構成されている。このようなSリッチなニッケル硫化物は、酸に溶解しにくいという問題がある。
【0006】
MS等のニッケル硫化物の溶解性を向上させることにより、増処理や設備の小型化が可能となる等の経済優位性が見込まれることから、様々な取り組みが行われてきた。
【0007】
ここで、特許文献4では、浸出反応速度を向上させることができる硫化物の浸出方法が開示されている。具体的には、Sリッチな金属硫化物を含む硫黄化合物に、標準酸化還元電位が0V以下の金属体が共存する状態で、酸を加えて酸化することによりその硫化物を浸出する方法が開示されている。
【0008】
MS等のニッケル及び/又はコバルトを含有する硫化物においては、硫化物の表面に難溶性物質である単体硫黄(S

)やNiS

等の硫黄化合物が生成して硫化物表面を覆っており、これにより、その硫化物の浸出においては浸出反応が阻害されて浸出速度が遅滞することが、本発明者らの研究により分かっている。その点、特許文献4に開示の方法によれば、浸出処理において共存させた金属体が硫化物表面を覆う難溶性物質を還元してその表面から離脱させるように作用し、その結果、酸による浸出反応を促進させることが可能となる。
【0009】
ところが、特許文献4に開示の方法によってニッケル及び/又はコバルトを含有する硫化物からニッケル等を効果的に酸浸出できるものの、その処理中に硫化水素(H

S)が生成することが分かった。この硫化水素は、下記式1、式2に示すように、浸出時に生成するS
2-
と酸溶液のプロトン(H

)とが反応して生成すると推測される。
NiS → Ni
2+
+S
2-
・・・[式1]

2-
+2H

→ H

S ・・・[式2]
【0010】
言うまでもなく硫化水素は有害であり、作業環境等を慎重に考慮する必要性があり、発生は避けるべき化合物である。また、硫化水素が発生する状況下では、浸出反応が次第に遅滞し、停止してしまう可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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