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公開番号2025090789
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-17
出願番号2025041262,2022545802
出願日2025-03-14,2022-04-08
発明の名称経口ワクチン組成物
出願人KAICO株式会社,国立大学法人 鹿児島大学,国立大学法人九州大学
代理人個人,個人
主分類C12N 5/10 20060101AFI20250610BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】免疫原性を有する経口投与用蛹を簡易に製造する方法及びそれにより製造される経口投与用蛹を提供すること。
【解決手段】抗原タンパク質をコードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスを、バキュロウイルス感染性昆虫の幼虫又は蛹に感染させ、当該感染後の幼虫から蛹化した蛹、又は当該感染後の蛹を凍結乾燥する工程を含む、経口用蛹の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
抗原タンパク質コードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスの感染処理及び凍結乾燥処理された、バキュロウイルス感染性昆虫の蛹。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
抗原タンパク質コードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスの感染処理及び凍結乾燥処理された、バキュロウイルス感染性の細胞。
【請求項3】
請求項1に記載の蛹及び/又は請求項2に記載の細胞を含む、経口ワクチン組成物。
【請求項4】
アジュバントを含む溶液をさらに含む、請求項3に記載の経口ワクチン組成物。
【請求項5】
蛹が、組成物の全重量に対して少なくとも20重量%含まれる、請求項3又は4に記載の経口ワクチン組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の蛹及び/又は請求項2に記載の細胞を含む機能性食品。
【請求項7】
抗原タンパク質をコードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスを、バキュロウイルス感染性昆虫の幼虫又は蛹に感染させ、当該感染後の幼虫から蛹化した蛹、又は当該感染後の蛹を凍結乾燥する工程を含む、経口用蛹の製造方法。
【請求項8】
抗原タンパク質をコードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスを、バキュロウイルス感染性の細胞に感染させ、当該感染後の細胞を凍結乾燥する工程を含む、経口用細胞の製造方法。
【請求項9】
抗原タンパク質をコードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスを、バキュロウイルス感染性昆虫の幼虫又は蛹に感染させ、当該感染後の幼虫から蛹化した蛹、又は当該感染後の蛹を凍結乾燥する工程を含む、経口ワクチンの製造方法。
【請求項10】
抗原タンパク質をコードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスを、バキュロウイルス感染性の細胞に感染させ、当該感染後の細胞を凍結乾燥する工程を含む、経口ワクチンの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、経口投与用蛹、経口ワクチン組成物、及びそれらの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
バキュロウイルスは、昆虫を主な宿主として感染する核多角体病ウイルス(Nucleopolyhedrovirus:NPV)であり、増殖過程で感染細胞の核内にポリヘドリン(Polyhedrin、多角体)と呼ばれる結晶構造のタンパク質を形成する。そこで、バキュロウイルス-カイコ系を用いて目的タンパク質を生産する方法の一つとして、目的タンパク質をコードする遺伝子をバキュロウイルスに導入し、その組換えバキュロウイルスをカイコ幼虫又は蛹に接種することにより、カイコに目的タンパク質を生産させる方法がある(非特許文献1)。このようにバキュロウイルス-カイコ系を用いてワクチンを製造した場合、目的タンパク質を大量に生産させることができる点で有用である。
【0003】
しかしながら、ワクチンを生産する場合には、通常カイコに生産させた抗原タンパク質の抽出及び/又は精製などの工程が必要である。
従って、バキュロウイルス-カイコ系を用いてより簡易にワクチンを生産する方法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Maeda et al.,“Production of human α-interferon in silkworm using a baculovirus vector.”Nature,315,592-594(1985)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、免疫原性を有する経口投与用蛹を簡易に製造する方法及びそれにより製造される経口投与用蛹を提供することを目的とする。また、本発明は、上記経口投与用蛹を含む経口ワクチン組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、抗原タンパク質をコードするDNAを導入した組換えバキュロウイルスをカイコの蛹に感染させ、その後凍結乾燥することで、驚くべきことに、免疫原性を維持させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、例えば以下の各発明に関する。
(1)抗原タンパク質コードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスの感染処理及び凍結乾燥処理された、バキュロウイルス感染性昆虫の蛹。
(2)抗原タンパク質コードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスの感染処理及び凍結乾燥処理された、バキュロウイルス感染性の細胞。
(3)(1)に記載の蛹及び/又は(2)に記載の細胞を含む、経口ワクチン組成物。
(4)アジュバントを含む溶液をさらに含む、(3)に記載の経口ワクチン組成物。
(5)蛹が、組成物の全重量に対して少なくとも20重量%含まれる、(3)又は(4)に記載の経口ワクチン組成物。
(6)(1)に記載の蛹及び/又は(2)に記載の細胞を含む機能性食品。
(7)抗原タンパク質をコードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスを、バキュロウイルス感染性昆虫の幼虫又は蛹に感染させ、当該感染後の幼虫から蛹化した蛹、又は当該感染後の蛹を凍結乾燥する工程を含む、経口用蛹の製造方法。
(8)抗原タンパク質をコードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスを、バキュロウイルス感染性の細胞に感染させ、当該感染後の細胞を凍結乾燥する工程を含む、経口用細胞の製造方法。
(9)抗原タンパク質をコードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスを、バキュロウイルス感染性昆虫の幼虫又は蛹に感染させ、当該感染後の幼虫から蛹化した蛹、又は当該感染後の蛹を凍結乾燥する工程を含む、経口ワクチンの製造方法。
(10)抗原タンパク質をコードするDNAが導入された組換えバキュロウイルスを、バキュロウイルス感染性の細胞に感染させ、当該感染後の細胞を凍結乾燥する工程を含む、経口ワクチンの製造方法。
(11)昆虫がカイコである(7)又は(9)に記載の方法。
(12)細胞が、クワゴマダラヒトリ、サクサン、カイコ、ヨトウガ又はイラクサギンウワバに由来するものである(8)又は(10)に記載の方法。
(13)(1)に記載の蛹、(2)に記載の細胞、(3)~(5)のいずれか1項に記載の経口ワクチン組成物、又は(6)に記載の食品を対象に投与することにより、対象において抗原タンパク質に対する免疫を誘導させる方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、簡易に免疫原性を有する経口投与用蛹及びそれを含む経口ワクチン組成物を製造する方法が提供される。また、製造した経口投与用蛹は、そのまま投与に用いることができるため、例えば、抗原タンパク質の抽出・精製等及び薬剤による処理等を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
蛹を摂食したマウスの血清を用いて、PCV2aを発現する蛹及びPPV VP2を発現する蛹の免疫原性をそれぞれELISA法により確認した結果を示す。図1上はPBSコートの結果を示し、図1下はBicarbonate bufferコートの結果を示す。「希釈なし」は一次抗体を原液のまま用いた結果を示し、「1/50希釈」は一次抗体を50倍に希釈して用いた結果を示す。
PCV2 ORF2抗原に対する抗原特異的IgG抗体又はIgA抗体産生応答を示す図である。左上:血清(原液)および腸管洗浄液(原液)のIgG抗体産生応答(OD450 nm)左下:血清(50倍希釈)および腸管洗浄液(50倍希釈)のIgG抗体産生応答(OD450 nm)右上:血清(原液)および腸管洗浄液(原液)のIgA抗体産生応答(OD450 nm)右下:血清(50倍希釈)および腸管洗浄液(50倍希釈)のIgA抗体産生応答(OD450 nm)値はN=3の平均値を示している。非投与群の血清および腸管洗浄液をNaiveと記載する。
PPV VP2抗原に対する抗原特異的IgG抗体又はIgA抗体産生応答を示す図である。左上:血清(原液)および腸管洗浄液(原液)のIgG抗体産生応答(OD450 nm)左下:血清(50倍希釈)および腸管洗浄液(50倍希釈)のIgG抗体産生応答(OD450 nm)PPV VP2抗原に対する抗原特異的産生応答右上:血清(原液)および腸管洗浄液(原液)のIgA抗体産生応答(OD450 nm)右下:血清(50倍希釈)および腸管洗浄液(50倍希釈)のIgA抗体産生応答(OD450 nm)値はN=3の平均値を示している。非投与群の血清および腸管洗浄液をNaiveと記載する。
NV VP1抗原に対する抗原特異的抗体産生応答を示す図である。左:血清(50倍希釈)および腸管洗浄液(50倍希釈)のIgG抗体産生応答(OD450 nm)右:血清(50倍希釈)および腸管洗浄液(50倍希釈)のIgA抗体産生応答(OD450 nm)値はN=6の平均値を示している。非投与群の血清および腸管洗浄液をNaiveと記載する。蛹を週二回投与した群を週2回投与群、週五回投与した群を週5回投与群と記載する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.概要
カイコ異種タンパク質発現系を用いて感染症に対するワクチン抗原を生産する場合、対象となる病原微生物(ウイルス等)由来のワクチン抗原遺伝子を挿入した組換えバキュロウイルスを作製し、これをカイコ幼虫又は蛹に接種することにより、カイコ個体内でウイルスが増殖し、ワクチン抗原を産生する。通常の注射により投与するワクチンでは、何らかのワクチン抗原タンパク質の精製を行う必要がある。そして、精製するにはアフィニティー精製、イオン交換精製、硫安沈殿など、複数のクロマトグラムを組み合わせることが必要とされる。しかし、ワクチン抗原を発現させたカイコ蛹そのものをワクチン抗原として投与することができれば、精製のコストを下げることが可能となり、注射投与に関わる労力の削減が期待できる。
(【0011】以降は省略されています)

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