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公開番号2025080091
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-23
出願番号2023193106
出願日2023-11-13
発明の名称異音診断システムに於ける異音特定用装置
出願人トヨタ自動車株式会社
代理人個人,個人
主分類G01H 3/00 20060101AFI20250516BHJP(測定;試験)
要約【課題】 機械器具にてマイクによって集音される音から異音を検出し、その発生源を診断するよう構成された異音診断システムに於いて、作業者がマイクにより集音された音のパワースペクトル上で異音が発生していると推定される周波数帯域にて抽出された音を耳で聴いて確認する際に、それと同じ周波数帯域で機械器具の部位にて実際に異常な振動が発生しているか否かを確認し、異音の有無とその周波数帯域をより正確に特定できるようにする。
【解決手段】 異音特定用装置は、マイクで集音された音のパワースペクトルを生成し、マイクで集音された音データの中から作業者により設定された周波数帯域の成分を抽出し、作業者が耳で聴こえる音として再生すると共に、機械器具に設置された加速度センサで計測された加速度値データの中から音データについて画定された周波数帯域と同じ帯域の成分を抽出し、作業者が耳で聴こえる音として再生する。
【選択図】 図2
特許請求の範囲【請求項1】
機械器具にてマイクによって集音される音から異音の有無を検出し、その存在時にはその発生源を診断するよう構成された異音診断システムに於ける異音の有無とその周波数帯域を作業者が特定するための装置であって、
前記機械器具に設置された集音用のマイクと、
前記マイクで集音された音データの周波数解析を実行してパワースペクトルを生成する周波数解析手段と、
前記パワースペクトルに於ける前記作業者により設定される周波数帯域を画定する周波数帯域画定手段と、
前記マイクで集音された音データの中から前記作業者により設定された前記周波数帯域に於ける成分を抽出する第一のバンドパスフィルタと、
前記第一のバンドパスフィルタにて抽出された音データの成分を前記作業者が耳で聴こえる音として再生する第一の音再生手段と、
前記機械器具に設置された加速度センサと、
前記加速度センサで計測された加速度値データの中から前記作業者により設定された前記周波数帯域に於ける成分を抽出する第二のバンドパスフィルタと、
前記第二のバンドパスフィルタにて抽出された加速度データの成分を前記作業者が耳で聴こえる音として再生する第二の音再生手段と
を含む装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、車両やその他の機械器具にて発生する異音を検知して、その原因を診断するシステム(異音診断システム)に係り、より詳細には、同システムに於ける作業者が異音を特定するための装置に係る。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
車両やその他の機械器具の作動に於ける異常な振動の検出は、従前は、作業者が機械用又は自動車用聴診器を、機械器具の種々の部位に当てて振動を音として聴きながら異常な振動の発振源を探索するといったことが行われていたところ、そのような聴診器を用いた異常な振動の検出は経験を積んだ熟練の技術を要するものであった。そこで、近年、経験の少ない利用者にも機械器具に於ける異常振動の検出を可能とすることを目的として、機械器具にて集音される音から異常な振動の有無とその周波数帯域の検出をし、検出された異常な振動の発振源を、AI(人工知能)を用いて、診断する異音診断システムの開発が進められている。そのようなシステムとして、例えば、特許文献1には、20Hz程度から10kHz程度の帯域の音を集音するマイクが、異音診断の対象物(車両やその他の機械器具)の適当な部位に設置され、そのマイクで計測された音声のパワースペクトルが算出され、作業者が、かかるパワースペクトルを参照しながら、任意に画定した周波数帯域の音を抽出して再生して、異常な振動に対応する音(異音)の存在を確認するといった過程によって、異音が検知され、更に、検知された異音の周波数特性などに基づいてAIが異音の原因を診断する構成が提案されている。なお、特許文献2に於いて、どんな音声信号でも明瞭度を向上させる音響処理として、音声入力信号の周波数特性を分析し、分析の結果に基づいて、左右の耳に異なる周波数帯域の信号を与える構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2023-108581
特開2006-87018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如き異音診断システムに於いて、機械器具にてマイクによって集音された音の中から異音、即ち、機械器具に於ける異常な振動を起こしている部位から発生する音、を特定する過程では、より詳細には、先ず、マイクで集音された音のデータからSTFT(短時間フーリエ変換)等を用いて(周波数を変数とした)音のパワースペクトルが作成され、次いで、作業者がパワースペクトルを参照して、異音が発生していると推定される周波数帯域を画定し、画定された周波数帯域の音をバンドパスフィルタにより抽出して再生し、その再生された音を作業者が耳で聞いて実際に異音が存在しているか否かが判定される(そして、異音の発生が確認されると、その異音の情報がAIに送られ、その原因が診断される。)。かかる作業者の耳による異音の特定の過程に於いて、マイクで集音された音には、実際には、機械器具の各部から発生する音だけでなく、種々の環境音も重畳しているため、パワースペクトル上で異音が発生していると推定される画定された周波数帯域に於いて聴こえる音が、確かに機械器具の部位に於ける異常な振動によるものかどうかは判断が困難な場合がある。また、パワースペクトル上で異音が発生していると推定される画定された周波数帯域にて抽出された音を作業者が耳で聴いた際、環境音と比べて、異音の音量が十分に大きくない場合には、異音の存在を確認することが困難となり得る。従って、周波数スペクトル上で画定された周波数帯域にて抽出され再生された音を作業者が聴いて異音の存在を確認する際、それと同じ周波数帯域で機械器具の部位が実際に異常な振動を起こしていることが確認できれば、異音の存在をより正確に判定できるであろう。即ち、パワースペクトル上で異音が発生していると推定される画定された周波数帯域にて抽出された音と同時に、それと同じ周波数帯域で機械器具の部位の振動が確認できたときに、異音として聴こえた音が「異音」であるとより正確に判定できることとなる。なお、一の周波数帯域で機械器具の部位の振動が在るか否かは、機械器具の適当な加速度センサを設置し、その加速度センサの検出データからその一の周波数帯域の信号を抽出して音として再生し、それを、作業者が耳で聴くことで確認することが可能である。
【0005】
上記の事情を鑑み、本発明の主な課題は、上記の如き異音診断システムに於いて、マイクで集音された音の中から異音の存在を確認する段階にて、作業者がパワースペクトル上で異音が発生していると推定される周波数帯域として画定された帯域にて抽出され再生された音を耳で聴いて確認する際に、それと同じ周波数帯域で機械器具の部位にて実際に異常な振動が発生しているか否かを確認できるようにして、異音の有無とその周波数帯域をより正確に特定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記の課題は、機械器具にてマイクによって集音される音から異音の有無を検出し、その存在時にはその発生源を診断するよう構成された異音診断システムに於ける異音の有無とその周波数帯域を作業者が特定するための装置であって、
前記機械器具に設置された集音用のマイクと、
前記マイクで集音された音データの周波数解析を実行してパワースペクトルを生成する周波数解析手段と、
前記パワースペクトルに於ける前記作業者により設定される周波数帯域を画定する周波数帯域画定手段と、
前記マイクで集音された音データの中から前記作業者により設定された前記周波数帯域に於ける成分を抽出する第一のバンドパスフィルタと、
前記第一のバンドパスフィルタにて抽出された音データの成分を前記作業者が耳で聴こえる音として再生する第一の音再生手段と、
前記機械器具に設置された加速度センサと、
前記加速度センサで計測された加速度値データの中から前記作業者により設定された前記周波数帯域に於ける成分を抽出する第二のバンドパスフィルタと、
前記第二のバンドパスフィルタにて抽出された加速度データの成分を前記作業者が耳で聴こえる音として再生する第二の音再生手段と
を含む装置によって達成される。
【0007】
上記の構成に於いて、「機械器具」とは、自動車等の車両又はその他の任意の機械器具であってよい。「マイク」は、例えば、可聴域の音を集音する任意の形式のマイクであってよい。本発明に於いて、「異音」とは、既に述べた如く、機械器具に於ける異常な振動を起こしている部位から発生する音であり、環境音の異常な音は含まない。「異音診断システム」とは、上記の如く、機械器具にてマイクによって集音される音から異音の有無を検出し、その存在時にはその発生源を診断するよう構成されたシステムである。「周波数解析」は、時系列の音の強度値(音データ)をSTFT或いはFFTを用いて周波数を変数としたパワースペクトルを生成する解析であってよい。「加速度センサ」は、部位の振動を加速度値の変化として捉えることのできる任意のセンサであってよい。バンドバスフィルタは、音データ又は加速度データに於ける指定された周波数帯域の成分を抽出するフィルタである。第一、第二の音再生手段は、それぞれ、バンドバスフィルタから送られてきた音の強度値又は加速度値を音として再生するスピーカであってよい(ヘッドホン又はイヤホンのスピーカであってよい。)。
【0008】
上記の如く、本発明の装置は、端的に述べれば、上記の如き「異音診断システム」に於いて、マイクで集音された音の中から、作業者が「異音」を特定するために用いられる装置(異音特定用装置)である。かかる異音特定用装置は、従前の、例えば、特許文献1に記載の如き異音診断システムに於いては、マイクで集音された音のデータの周波数解析により生成されたパワースペクトル上で、作業者が、異音が存在していると推定する周波数帯域を画定し、その画定された周波数帯域の音成分を再生し、再生された音を作業者が耳で聴いて異音の有無を判定していた。しかしながら、既に述べた如く、マイクで集音された音には、種々の環境音等も重畳しているため、音だけから、機械器具の部位の異常な振動に対応する異音が発生しているか否かを判断し、異音を特定することが困難な場合があった。
【0009】
そこで、本発明の装置は、作業者が、マイクで集音された音から抽出された、異音が存在していると推定する周波数帯域の成分の音と同時に、機械器具の加速度センサで検出された加速度値から、異音が存在していると推定する周波数帯域の成分を音として、聴こえるよう構成される。ここで、加速度センサで検出された加速度値は、機械器具の部位の振動を直接的に加速度変化として捉えた値となる。かかる構成によれば、作業者は、マイクで集音された音に於いて、異音と考えられる音に対応して、機械器具のいずれかの部位にて異常な振動が発生しているか否かを検知することができることとなり、かくして、従前よりも、より正確に、機械器具に於ける異常な振動に対応する異音の有無と、その周波数帯域とを特定することが可能となる。
【0010】
上記の本発明の装置の構成に於いて、周波数解析手段とバンドパスフィルタの処理は、音データ又は加速度データをA/D(アナログ-ディジタル)変換して得られたディジタルデータを用いて実行し、音再生手段は、バンドパスフィルタから出力されたディジタルデータをD/A(ディジタル-アナログ)変換して得られたアナログデータをスピーカで音声として発声するよう構成されていてよい。機械器具に於けるマイク及び加速度センサの設置部位は、実験等を通じて、適宜、選定されてよい。また、本発明による周波数解析手段、周波数帯域画定手段、第一、第二のバンドパスフィルタ、第一、第二の音再生手段は、作業者の操作可能な携帯端末(スマートホン、タブレット)に於いて実現されてよい。実施の態様に於いて、マイクで集音した音から抽出した成分をヘッドホンの一方で再生し、加速度センサで検出したデータから抽出した成分をヘッドホンの他方で再生するなどの構成が採用されてよい。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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