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公開番号2025086636
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-09
出願番号2023200744
出願日2023-11-28
発明の名称光遮蔽層形成方法
出願人吉田テクノワークス株式会社
代理人弁理士法人一色国際特許事務所
主分類G02B 5/18 20060101AFI20250602BHJP(光学)
要約【課題】表面に金属薄膜からなる反射層が形成された微細な凹凸構造を有する透光性樹脂からなる成形体に光遮蔽層を効果的に形成する方法を提供する。
【解決手段】開閉可能な第1の窯41aと第2の窯41bを備えた転写装置40、及び転写フィルム30を用い、成形体50を第1の窯内に配置し、成形体において凹凸構造21が形成された一主面53にインク層32を対面させるとともに、成形体を覆いつつ第1の窯の空間44aを閉鎖するように転写フィルムを第1の窯に掛け渡し、第1の窯内を減圧して成形体の表面形状に沿って転写フィルムを密着させ、窯41を閉状態にして第2の窯内に所定の温度の飽和水蒸気を導入し、第2の窯内を加圧して転写フィルムのインク層を光遮蔽層23として成形体における凹凸構造の形状に沿って熱圧着させる。
【選択図】図7
特許請求の範囲【請求項1】
一主面に凹凸構造が形成されているとともに、当該凹凸構造の形状に沿って積層された金属薄膜からなる反射層を有する透光性樹脂からなる成形体に対し、前記反射層の表層側に光遮蔽層を形成するための方法であって、
転写装置と転写フィルムとを用い、
前記転写装置は、第1の窯と第2の窯からなる開閉可能な窯を備え、窯内の減圧と加圧とが可能であるとともに、前記窯内に飽和水蒸気の導入が可能であり、
前記転写フィルムは、基材にインク層を積層させてなり、
前記成形体を前記第1の窯内に配置するとともに、前記転写フィルムを当該第1の窯に掛け渡す配置ステップと、
前記転写フィルムが掛け渡された状態の前記第1の窯内を減圧する減圧ステップと、
前記第1の窯と前記第2の窯とを閉状態にしつつ、前記第2の窯内に飽和水蒸気を導入する水蒸気導入ステップと、
前記第2の窯内を加圧する加圧ステップと、
を含み、
前記配置ステップでは、前記成形体において前記凹凸構造が形成された面に前記転写フィルムのインク層を対面させるとともに、前記転写フィルムで前記成形体を覆いつつ前記第1の窯の空間を閉鎖し、
前記減圧ステップにより前記成形体の表面形状に沿って前記転写フィルムを密着させ、
前記水蒸気導入ステップにおいて導入した所定の温度の飽和水蒸気と、前記加圧ステップによる前記第2の窯内の圧力により、前記転写フィルムの前記インク層を前記光遮蔽層として前記成形体における前記凹凸構造の形状に沿って熱圧着させる、
光遮蔽層形成方法。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
前記インク層は、複数の層で形成され、表層側の層が黒色、又は白色以外の色である着色層である請求項1に記載の光遮蔽層形成方法。
【請求項3】
前記着色層は、前記透光性樹脂を透過する光の補色であることを請求項2に記載の光遮蔽層形成方法。
【請求項4】
前記インク層は、複数の層で形成され、前記基材となるベース層側に黒色以外の無彩色の層が配置され、当該無彩色の層に対して表層側に黒色の層が配置されている、請求項1に記載の光遮蔽層形成方法。
【請求項5】
前記転写フィルムは、前記基材となるベース層の表層側に前記インク層が剥離層を介して積層されてなり、前記減圧ステップにより熱圧着された前記転写フィルムから前記ベース層を剥離するベース層剥離ステップを含む、請求項1に記載の光遮蔽層形成方法。
【請求項6】
前記剥離層はUV塗料を含んで構成され、前記ベース層剥離ステップの後に当該UV塗料を硬化させる紫外線硬化ステップを含む、請求項5に記載の光遮蔽層形成方法。
【請求項7】
前記転写フィルムは、前記基材となるベース層の表層側に前記インク層が直接積層されてなり、前記転写フィルムにおいて、前記減圧ステップによって熱圧着された領域以外を裁断するフィルム裁断ステップを含む、請求項1に記載の光遮蔽層形成方法。
【請求項8】
前記一主面を前面として、前記成形体は、後方から前方に向けて入射した光を前記凹凸構造によって分光する請求項1~7のいずれかに記載の光遮蔽層形成方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、光遮蔽層形成方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
光透過性を有する樹脂からなる成形体に対し、表裏一方の面に光を遮蔽するための層を形成する場合がある。例えば、スマートフォンなどの平板状の電子機器では、平板状の筐体の一方の面でディスプレイが配置されている面を前面、他方の面を後面とすると、後面には背面カバーが配置される。スマートフォンでは、全領域にディスプレイが配置されて他の製品との差別化が難しい前面に対し、後面は、背面カバーの意匠や素材を工夫することで他の製品との差別化を図ることができる。
【0003】
そして、その背面カバーに光透過性を有する樹脂成形品(以下、光透過性樹脂成形品)を用いることがある。それにより、スマートフォンの後面は、ガラスのような光沢を伴う高級感を有するものとなる。そして、光透過性樹脂成形品樹脂素材は、ガラスとは異なり、衝撃によって割れる可能性が少ない。電子機器をより軽量なものにすることもできる。複雑な形状に成形することもできる。
【0004】
ところで、光透過性樹脂の成形体からなる背面カバーを電子機器の一面に用いる場合、筐体内部の電子回路、あるいは加飾や光沢を付与するなどの表面処理がなされていない筐体の素地が外から透けて見えないように、背面カバーにおいて、内側となる面(以下、裏面)に光遮蔽層が設けられることが多い。この光遮蔽層は、印刷によりインクを塗布することで形成されたり、以下の非特許文献1に記載された転写フィルムを用いることで形成されたりする。なお、以下の非特許文献2には、転写フィルムの転写方法である「真空転写」について記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
株式会社フジコー、”転写印刷フィルム事業”、[online]、[令和5年10月5日検索]、インターネット<URL: http://www.fujiko.jp/product/copy.html>
ローヤルテック株式会社、”真空転写フィルム”、[online]、[令和5年10月5日検索]、インターネット<URL:https://www.royal-ind.co.jp/printing/vacuum/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、「ホログラム調」、「レインボーカラー」等と称されるデザインを採用した商品が注目されている。この商品では、筐体の表面に、分光機能を有するフィルム(以下、ホログラム調フィルム)が貼着されている。概略的にはストライプ状の微細な凹凸が形成されたフィルムの上に蒸着などによって金属薄膜からなる反射層を形成したものである。微細な凹凸は実質的に回折格子として機能し、凹凸の形状に沿って形成された反射層によって分光した光が干渉することで、フィルムが虹のような色味に見えるものである。そして見る角度に応じて色味やその発色の領域が変化するものである。
【0007】
そこで、光透過性樹脂からなる成形体にもホログラム調フィルムと同様の色彩効果を付与することができれば、美観をより優れたものにすることができる。しかしながら、光透過性樹脂からなる成形体の裏面に分光機能が発現できる程度の微細な凹凸構造を形成すると、光遮蔽層を効果的に形成することができないことが判明した。具体的には、微細構造に沿って金属薄膜からなる反射層を形成することは難しくないものの、その反射層は極めて薄いため、表面から入射した光を十分に遮光することができず、やはり光遮蔽層が必要となる。そして、シルク印刷などによって光遮蔽層を形成すると、微細な凹凸の溝にインクが詰まってしまい、表面から入射した光が分光せず、「ホログラム調」の色調が得られなくなる。成形体の形状が平坦な底面を有する浅い皿状で、その底面に凹凸構造が形成されている場合、底面の周囲の湾曲した部分にインクが溜まり、色や濃度にムラが生じる。また、微細な凹凸構造では、凹凸における突起の部分の厚さが極めて薄く、インクに含まれる溶剤によりその突起部分が侵され、凹凸構造が崩れてしまう。
【0008】
一方、転写フィルムを用いて光遮蔽層を形成すれば、目の詰まりやインクの溜まり、溶剤による劣化等は発生しないが、上記非特許文献2に記載されているような従来の転写方法では転写フィルムが微細な凹凸に追従できず、やはり「ホログラム調」にすることが難しい。
【0009】
そこで本発明の目的の一つは、表面に金属薄膜からなる反射層が形成された微細な凹凸構造を有する透光性樹脂からなる成形体に対して転写フィルムによる光遮蔽層を効果的に形成する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、一主面に凹凸構造が形成されているとともに、当該凹凸構造の形状に沿って積層された金属薄膜からなる反射層を有する透光性樹脂からなる成形体に対し、前記反射層の表層側に光遮蔽層を形成するための方法であって、
転写装置と転写フィルムとを用い、
前記転写装置は、第1の窯と第2の窯からなる開閉可能な窯を備え、窯内の減圧と加圧とが可能であるとともに、前記窯内に飽和水蒸気の導入が可能であり、
前記転写フィルムは、基材にインク層を積層させてなり、
前記成形体を前記第1の窯内に配置するとともに、前記転写フィルムを当該第1の窯に掛け渡す配置ステップと、
前記転写フィルムが掛け渡された状態の前記第1の窯内を減圧する減圧ステップと、
前記第1の窯と前記第2の窯とを閉状態にしつつ、前記第2の窯内に飽和水蒸気を導入する水蒸気導入ステップと、
前記第2の窯内を加圧する加圧ステップと、
を含み、
前記配置ステップでは、前記成形体において前記凹凸構造が形成された面に前記転写フィルムのインク層を対面させるとともに、前記転写フィルムで前記成形体を覆いつつ前記第1の窯の空間を閉鎖し、
前記減圧ステップにより前記成形体の表面形状に沿って前記転写フィルムを密着させ、
前記水蒸気導入ステップにおいて導入した所定の温度の飽和水蒸気と、前記加圧ステップによる前記第2の窯内の圧力により、前記転写フィルムの前記インク層を前記光遮蔽層として前記成形体における前記凹凸構造の形状に沿って熱圧着させる、
光遮蔽層形成方法である。
(【0011】以降は省略されています)

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