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公開番号
2025106639
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-16
出願番号
2022090745
出願日
2022-06-03
発明の名称
軟骨修復用細胞シートおよびその製造方法
出願人
学校法人東海大学
,
国立大学法人京都大学
代理人
弁理士法人秀和特許事務所
主分類
C12N
5/077 20100101AFI20250709BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】多能性幹細胞を細胞ソースとする軟骨細胞シートを提供する。
【解決手段】軟骨修復用細胞シートであって、該軟骨修復用細胞シートは、多能性幹細胞から誘導された誘導軟骨細胞の培養物から形成され、前記培養物は、前記誘導軟骨細胞を低血清培地にて培養して得られたものである、軟骨修復用細胞シート。
【選択図】図3
特許請求の範囲
【請求項1】
軟骨修復用細胞シートであって、
該軟骨修復用細胞シートは、多能性幹細胞から誘導された誘導軟骨細胞の培養物から形成され、
前記培養物は、前記誘導軟骨細胞を低血清培地にて培養して得られたものである、軟骨修復用細胞シート。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
以下の(1)~(3)のすべてを満たす、請求項1に記載の軟骨修復用細胞シート:
(1)培養72時間における単位面積当たりのTransforming growth
factor-β1(TGF-β1)の分泌量が3.0ng/cm
2
以上である。
(2)培養72時間における単位面積当たりのMelanoma inhibitory
activity(MIA)の分泌量が10.0ng/cm
2
以上である。
(3)細胞シートに含まれる全細胞数当たりのCD56陽性細胞数の割合が85%以上である。
【請求項3】
以下の(1)~(3)のすべてを満たす、請求項1または2に記載の軟骨修復用細胞シート:
(1)培養72時間における単位面積当たりのTransforming growth
factor-β1(TGF-β1)の分泌量が3.5ng/cm
2
以上である。
(2)培養72時間における単位面積当たりのMelanoma inhibitory
activity(MIA)の分泌量が12.5ng/cm
2
以上である。
(3)細胞シートに含まれる全細胞数当たりのCD56陽性細胞数の割合が90%以上である。
【請求項4】
以下の(A)~(D)のすべてを満たす、請求項1または2に記載の軟骨修復用細胞シート:
(A)I型コラーゲンに対する抗体を用いた免疫染色において陽性である。
(B)II型コラーゲンに対する抗体を用いた免疫染色において陰性である。
(C)サフラニンO染色において陰性である。
(D)アグリカンに対する抗体を用いた免疫染色において陽性である。
【請求項5】
前記低血清培地の血清濃度が、5v/v%以下である、請求項1または2に記載の軟骨修復用細胞シート。
【請求項6】
前記多能性幹細胞は、ヒト由来のiPS細胞である、請求項1または2に記載の軟骨修復用細胞シート。
【請求項7】
ヒト多指症患者軟骨組織由来軟骨細胞シートにおけるCOL2A1遺伝子の発現量を1としたとき、COL2A1遺伝子の発現量が100以上である、請求項1または2に記載の軟骨修復用細胞シート。
【請求項8】
前記誘導軟骨細胞を低血清培地にて培養することが、低酸素条件下で行われるものである、請求項1または2に記載の軟骨修復用細胞シート。
【請求項9】
前記低酸素条件下は、培養雰囲気中の酸素濃度が5v/v%以下の条件下である、請求項8に記載の軟骨修復用細胞シート。
【請求項10】
軟骨修復用細胞シートの製造方法であって、
多能性幹細胞から誘導された誘導軟骨細胞を低血清培地にて培養する工程を含む、方法
。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、多能性幹細胞由来軟骨細胞より作製した軟骨修復用細胞シートに関する。
続きを表示(約 4,200 文字)
【背景技術】
【0002】
非特許文献1および特許文献1には、多能性幹細胞より軟骨パーティクルを作製し、関節軟骨の欠損部位へ移植することで軟骨パーティクルが周囲の組織と結合し、欠損した関節軟骨を補う方法が記載されている。軟骨パーティクルを関節軟骨の欠損部位へ移植する場合はフィブリン糊などで周囲に固定する必要があるが、固定力が弱いため移植後に軟骨パーティクルが脱落する可能性がある。また、固定が困難なため変形性関節症の軟骨欠損のような広範ですり減った軟骨欠損や変性に対しての移植は難しい。そのため、広範な欠損や変性に対しての移植が可能な、接着性に優れる軟骨細胞シートに対する需要が存在する。また、軟骨パーティクルは欠損した関節軟骨を補い、軟骨パーティクルそのものが関節軟骨としての機能を果たすことが期待される一方、軟骨細胞シートの作用機序としては欠損部を覆う効果と同時にパラクライン効果がメインであると考えられる。軟骨細胞シートは移植時には関節軟骨の特性を有していないが、ホスト側の細胞を活性化させ従来の関節軟骨に近い硝子軟骨様組織の修復再生を促すと考えられる。
【0003】
非特許文献2、非特許文献3、特許文献2、および特許文献3には、多指症患者などの生体に由来する軟骨組織を細胞ソースとした軟骨細胞シートおよびその製造方法が示されている。また、そのような軟骨細胞シートが変形性膝関節症に対して適用可能であり、臨床研究においてその安全性と有効性を確認したことが記載されている。しかし、多指症患者などの生体に由来する軟骨組織を細胞ソースとする軟骨細胞シートを同種移植に用いる場合の課題として、ドナー不足、ドナーの細胞の特性に応じて軟骨細胞シートの品質が異なること、商業利用には細胞数を確保するために継代培養により増幅させる必要がありその過程で細胞の品質が低下することなどがある。一方、細胞ソースとして多能性幹細胞を用いることで、軟骨細胞シートの品質を安定させることが可能であり、多能性幹細胞は無制限に増幅させることができることから必要な細胞数を確保することも容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開2015/064754号
国際公開2006/093151号
特開2020-006207号公報
【非特許文献】
【0005】
Yamashita, A. et al. Generation of Scaffoldless Hyaline Cartilaginous Tissue from Human iPSCs. Stem Cell Reports 4, 404-418 (2015).
Maehara, M. et al. Characterization of polydactyly-derived chondrocyte sheets versus adult chondrocyte sheets for articular cartilage repair. Inflammation and Regeneration 37, 22 (2017).
Sato, M. et al. Combined surgery and chondrocyte cell-sheet transplantation improves clinical and structural outcomes in knee osteoarthritis. npj Regenerative Medicine 4, 1-11 (2019).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、多能性幹細胞を細胞ソースとする軟骨細胞シートを提供することを課題とす
る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記のような多指症患者などの生体に由来する軟骨組織を細胞ソースとした従来の軟骨細胞シートの製造方法において、当該細胞ソースとして当該生体由来軟骨組織の代わりに多能性幹細胞を用いた場合に製造される軟骨細胞シートは移植モデルにおいて有効性が確認されない一方で、当該細胞ソースとして多能性幹細胞を用いた場合に、多能性幹細胞から誘導された軟骨細胞(以下、誘導軟骨細胞とも称する)を低血清培地において培養することで、関節軟骨の修復・再生に適した軟骨細胞シートを製造し得ることを見出し、本発明を完成させた。本発明は下記の態様を含む。
【0008】
[1]
軟骨修復用細胞シートであって、
該軟骨修復用細胞シートは、多能性幹細胞から誘導された誘導軟骨細胞の培養物から形成され、
前記培養物は、前記誘導軟骨細胞を低血清培地にて培養して得られたものである、軟骨修復用細胞シート。
[2]
以下の(1)~(3)のすべてを満たす、[1]に記載の軟骨修復用細胞シート:
(1)培養72時間における単位面積当たりのTransforming growth
factor-β1(TGF-β1)の分泌量が3.0ng/cm
2
以上である。
(2)培養72時間における単位面積当たりのMelanoma inhibitory
activity(MIA)の分泌量が10.0ng/cm
2
以上である。
(3)細胞シートに含まれる全細胞数当たりのCD56陽性細胞数の割合が85%以上である。
[3]
以下の(1)~(3)のすべてを満たす、[1]または[2]に記載の軟骨修復用細胞シート:
(1)培養72時間における単位面積当たりのTransforming growth
factor-β1(TGF-β1)の分泌量が3.5ng/cm
2
以上である。
(2)培養72時間における単位面積当たりのMelanoma inhibitory
activity(MIA)の分泌量が12.5ng/cm
2
以上である。
(3)細胞シートに含まれる全細胞数当たりのCD56陽性細胞数の割合が90%以上である。
[4]
以下の(A)~(D)のすべてを満たす、[1]~[3]のいずれかに記載の軟骨修復用細胞シート:
(A)I型コラーゲンに対する抗体を用いた免疫染色において陽性である。
(B)II型コラーゲンに対する抗体を用いた免疫染色において陰性である。
(C)サフラニンO染色において陰性である。
(D)アグリカンに対する抗体を用いた免疫染色において陽性である。
[5]
前記低血清培地の血清濃度が、5v/v %以下である、[1]~[4]のいずれかに
記載の軟骨修復用細胞シート。
[6]
前記多能性幹細胞は、ヒト由来のiPS細胞である、[1]~[5]のいずれかに記載の軟骨修復用細胞シート。
[7]
ヒト多指症患者軟骨組織由来軟骨細胞シートにおけるCOL2A1遺伝子の発現量を1としたとき、COL2A1遺伝子の発現量が100以上である、[1]~[6]のいずれ
かに記載の軟骨修復用細胞シート。
[8]
前記誘導軟骨細胞を低血清培地にて培養することが、低酸素条件下で行われるものである、[1]~[7]のいずれかに記載の軟骨修復用細胞シート。
[9]
前記低酸素条件下は、培養雰囲気中の酸素濃度が5v/v%以下の条件下である、[8]に記載の軟骨修復用細胞シート。
【0009】
[10]
軟骨修復用細胞シートの製造方法であって、
多能性幹細胞から誘導された誘導軟骨細胞を低血清培地にて培養する工程を含む、方法。
[11]
前記低血清培地の血清濃度が、5v/v%以下である、[10]に記載の方法。
[12]
前記誘導軟骨細胞を低血清培地にて培養する工程が、培養雰囲気中の酸素濃度が5v/v%以下の条件下で前記誘導軟骨細胞を培養する工程を含む、[10]または[11]に記載の方法。
[13]
多能性幹細胞から誘導された誘導軟骨細胞を培養する方法であって、
該誘導軟骨細胞を低血清培地にて培養する工程を含む、方法。
[14]
前記低血清培地の血清濃度が、5v/v%以下である、[13]に記載の方法。
[15]
前記誘導軟骨細胞を低血清培地にて培養する工程が、培養雰囲気中の酸素濃度が5v/v%以下の条件下で前記誘導軟骨細胞を培養する工程を含む、[13]または[14]に記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、細胞ソースとして多能性幹細胞を用いた、関節軟骨の修復・再生に適した軟骨細胞シートを製造できる。また、細胞ソースとして多能性幹細胞を用いることで、品質の安定した軟骨細胞シートを作製することが可能となり、確立されたドナー細胞より無制限に多能性幹細胞を増やすことができるため、必要な細胞数を容易に確保できる。さらに、多指症患者由来軟骨組織などの同種細胞のドナー選定には継続してコストがかかることから、細胞ソースとして多能性幹細胞を用いることでコストを削減し得る。
加えて、一態様においては、本発明の軟骨細胞シートは接着性に優れ、広範ですり減った軟骨欠損や変性部位に対しての移植が容易となる。例えば、超高齢化社会を迎え、日本での有症状者が800万人ともいわれている変形性膝関節症に対して、人工関節に依拠しな
い根治的な治療法となる可能性もあり、医療費削減や健康寿命の延伸の観点からも極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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