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公開番号
2025109569
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-25
出願番号
2024003543
出願日
2024-01-12
発明の名称
多加水パンに添加できる発酵種
出願人
三菱商事ライフサイエンス株式会社
代理人
主分類
A21D
8/02 20060101AFI20250717BHJP(ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地)
要約
【課題】パンの副原料として多量に添加してもパン生地がだれにくく、小麦粉に備わった吸水量を上回る水を含んでいても、製パン性やパンの品質に影響を与えない発酵種を提供することである。
【解決手段】発酵種に用いる乳酸菌を、GshR活性を示さない乳酸菌にすることで解決した。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
チオール基(SH基)含有量が発酵種1gあたり8μM以下である発酵種。
続きを表示(約 670 文字)
【請求項2】
GshR活性を持たない乳酸菌で発酵させた請求項1に記載の発酵種。
【請求項3】
乳酸菌がLimosilactobacillus pontis(リモシラクトバチルス・ポンティス)、Lactobacillus helveticus(ラクトバチルス・ヘルベティカス)、Limosilactobacillus reuteri(リモシラクトバチルス・ロイテリ)、Lactobacillus sakei(ラクトバチルス・サケイ)、及びLactobacillus perolens(ラクトバチルス・ぺロレンス)のうち、いずれか1種類以上より選ばれる、請求項1に記載の発酵種。
【請求項4】
乳酸菌がLimosilactobacillus pontis(リモシラクトバチルス・ポンティス)、Lactobacillus helveticus(ラクトバチルス・ヘルベティカス)、Limosilactobacillus reuteri(リモシラクトバチルス・ロイテリ)、Lactobacillus sakei(ラクトバチルス・サケイ)、及びLactobacillus perolens(ラクトバチルス・ぺロレンス)のうち、いずれか1種類以上より選ばれる、請求項2に記載の発酵種。
【請求項5】
請求項1~4に記載の発酵種を、穀物粉100重量部に対して、全水分量71重量部以上75重量部以下になるように添加するパン生地。
【請求項6】
請求項4に記載のパン生地の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、多加水パンに添加できる発酵種に関するものである。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
コストをかけずにパンの食感を向上させる方法として、水の配合量を増やす多加水製法という製パン法がある。多加水パンに添加される水は、通常、小麦粉100重量部に対して70重量部以上とされており、この配合量は小麦澱粉の保水力(吸水量)を上回っている。そのため、小麦澱粉による水和が追い付かず離水が生じ、パン生地は保形性を失って流動状となるため、ミキシング以降の製パン作業は困難を極める。このような不均質な状態で、生地の繋がりが悪いままパン生地を焼成してしまうと、焼成後のパンは、しっとりさに欠け、くちゃつきやすく、老化しやすいパンとなる。
【0003】
そのため、多加水パンの従来技術では離水を抑制したり、パン生地のべたつきを失くしたり、パンの食感を改質できる組成物や製法について開示されている。例えば、特許文献1は、こんにゃく粉と澱粉と水とを、アルカリ性凝固剤とこんにゃく粉のグルコマンナンによる水和ゲル反応によってゼリー状固体に形成し、酸溶液に浸漬してpHを中性から酸性の範囲に調整した多加水パン用有形水を用いる。特許文献2は、エーテル化度が0.7-1.2の範囲内であるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を用いている。特許文献3及び4は、水不溶性・水膨潤性の食物繊維を水中油型乳化物に混合してからパン生地と混捏する方法、特許文献5は水不溶性・水膨潤性の食物繊維を澱粉ゲルの形態を成すフラワーペースト類に混合してからパン生地と混捏する方法について開示している。その他に、グリセリン有機酸脂肪酸エステルを用いる方法(特許文献6)、ポリグリセリン脂肪酸エステルを乳化剤として、油脂、乳化剤、水からなる可塑性油脂組成物を用いる方法(特許文献7)、湯種を調製する方法(特許文献8)、低強度寒天を含む高含水寒天ゲルを用いる方法(特許文献9)、水を2段階に分けて添加する方法(特許文献10)、トランスグルタミナーゼと油脂を中種法における中種生地に添加し、予め生地の弾力性と保形性を高めつつ、本捏生地との纏まりを改善した方法(特許文献11)、などが開示されている。
このように多加水製法による製パンにはさまざまな工夫が必要とされるが、その結果として製造される多加水パンはもっちりした弾力性としっとりした食感が特徴であるため、昨今の消費者の嗜好性に合っているが、製造する場合には高い技術力を要する。
【0004】
一方で、パンの副原料である発酵種または発酵風味料(以下、まとめて発酵種と記載する)は、穀物粉や果実・野菜、乳原料等を基質として、酵母や乳酸菌で発酵させた発酵食品であり、主にパンへの風味付与を目的として用いられる。しかし、発酵種の添加量は、通常、穀物粉100重量部に対して3-5重量部程度であり、多量に添加するとパン生地がだれてしまう。そのため、発酵種を添加するときは、添加量の半分量に相当する水を減らすことで、パン生地の性状を調整しなければならず、加水量の多さを特徴とする多加水パンに発酵種を使用することは、高度な技術を要するか、発酵種以外の副素材で生地物性を修正しない限り、製造することは出来なかった。
【0005】
発酵種の添加によりパン生地がだれやすくなる要因は複数存在するが、酵母や乳酸菌による有機酸の生成により、小麦生地のpHが低下し、小麦粉に内在する酸性プロテアーゼが活性化され、グルテンが部分的に分解されて生地が軟化することが要因の一つとして考えられている。また別の要因としては、発酵種に生育する主要な乳酸菌がグルタチオンレダクターゼ(GshR)を生成し、発酵種中のグルテニンマクロポリマー(GMP)のジスルフィド結合(S-S結合)、すなわちグルテンの架橋結合を分解し、発酵種の生地を軟化させることが考えられている。S-S結合が開裂した発酵種は、還元剤として働くチオール基を多量に含むことから、パンの副原料として用いた場合、パン生地のグルテン形成にも影響を与えることが示唆されている。(非特許文献1及び非特許文献2)
【0006】
一方で、非特許文献1及び非特許文献2では、GshRの活性を持たない乳酸菌として、Limosilactobacillus pontis(旧 Lactobacillus pontis)、Limosilactobacillus reuteri(旧 Lactobacillus reuteri)、Latilactobacillus sakei subsp. sakei (旧 Lactobacillus sakei)、SchleiferiLactobacillus perolens (旧 Lactobacillus perolens)などを報告しており、これらの乳酸菌から得られた発酵種は、発酵の前後でチオール基の増減が少なかったことも報告している。しかしながら、GshRの活性を持たない乳酸菌で発酵させた発酵種を添加したパン生地、特に多加水パンに対する影響や効果については未だ報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2006-320207号公報
特開2009-017848号公報
特開2011-097923号公報
特開2011-097924号公報
特開2011-223899号公報
特開2010-252667号公報
特開2021-193974号公報
特開2016-077202号公報
特開2011-200140号公報
特開2010-081870号公報
特開2016-174577号公報
【非特許文献】
【0008】
Andre´ Ja‥nsch, Maher Korakli, Rudi F. Vogel, and Michael G. Ga‥nzle:Glutathione Reductase from Lactobacillus sanfranciscensis DSM20451T: Contribution to Oxygen Tolerance and Thiol Exchange Reactions in Wheat Sourdoughs. APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, 73, pp. 4469-‘76. 2007
Nicoline Vermeulen, Jan Kretzer, Hetty Machalitza, Rudi F. Vogel, Michael G. Ga‥nzle:Influence of redox-reactions catalysed by homo- and hetero-fermentative lactobacilli on gluten in wheat sourdoughs. Journal of Cereal Science, 43, pp.137-143, 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、パンの副原料として多量に添加してもパン生地がだれにくく、小麦粉に備わった吸水量を上回る水を含んでいても、製パン性やパンの品質に影響を与えない発酵種を提供することであり、発酵種の添加効果である風味付与も可能な発酵種を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題の解決につき鋭意研究を重ねた結果、GshR活性を示さない乳酸菌を発酵種の製造に用いることにより、該発酵種を、パンの副原料として多量に添加してもパン生地がだれにくく、多加水パンのような小麦粉の吸水量を上回る水を配合しても製パン性やパンの品質に影響を与えないものにできることを見出し、本発明に至った。
(【0011】以降は省略されています)
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