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公開番号2025114019
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-05
出願番号2024008401
出願日2024-01-24
発明の名称シールド掘進機による切羽土質分布の判別システム
出願人株式会社奥村組
代理人弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類E21D 9/093 20060101AFI20250729BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】カッターヘッドで切削中の切羽面の地盤の状況を、精度良く綿密に把握することで、シールド掘進機の掘進管理を、より安定した状態で行なうことが可能な切羽土質分布の判別システムを提供する。
【解決手段】カッタービット16に取り付けられた加速度センサー14と、コンピュータ20とを含み、コンピュータ20は、カッタービット16によって切羽面12を切削する際の切削振動データを、カッターヘッド13の回転角度毎に記憶させる振動データ記憶部21と、振動データ記憶部21に記憶された切削振動データを、切羽断面を模した円と同心円状の複数の環状の切削振動分布23a,23bとして表示させる振動データ表示部22とを備える。振動データ表示部22により表示された同心円状の複数の環状の切削振動分布23a,23bにおける、振動の変動箇所24aから、切羽面12の地盤12a,12b,12cにおける異なる土質の境界部分を判別する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
回転するカッターヘッドをシールド本体の先端部に有し、カッターヘッドに取り付けられた複数のビットによって切羽面を切削しながら掘進する密閉型のシールド掘進機に設けられて、切羽面の地盤の土質分布を判別可能とするシールド掘進機による切羽土質分布の判別システムであって、
前記カッターヘッドを構成するカッタースポークの前面板から前方に突出した状態で前記前面板に固着された、複数のビットから選択された2以上の加速度検知ビットに、各々一体として取り付けられた加速度センサーと、これらの加速度センサーと接続されたコンピュータとを備えており、
前記2以上の加速度検知ビットは、前記カッターヘッドの外周部分に配置された外周部加速度検知ビットと、前記カッターヘッドの中心部と外周部分との間の中間領域に配置された中間部加速度検知ビットとを含んでおり、
前記コンピュータは、前記外周部加速度検知ビット及び前記中間部加速度検知ビットに取り付けられた前記加速度センサーから送られる、これらの加速度検知ビットによって切羽面を切削する際の切削振動データを、前記カッターヘッドの所定の回転角度毎に記憶させる振動データ記憶部と、該振動データ記憶部によって記憶された前記外周部加速度検知ビット及び前記中間部加速度検知ビットによる前記回転角度毎の切削振動データを、切羽断面を模した円の円周方向に分布する同心円状の複数の環状の切削振動分布として、各々表示させる振動データ表示部とを備えており、
前記振動データ表示部によって表示された同心円状の複数の環状の前記切削振動分布における、分布の波の状態の変動箇所から、切羽面の地盤における異なる土質の境界部分を判別可能としたシールド掘進機による切羽土質分布の判別システム。
続きを表示(約 970 文字)【請求項2】
前記振動データ表示部は、同心円状の複数の環状の前記切削振動分布として、回転角度毎の振動加速度の分布を表示させる請求項1記載のシールド掘進機による切羽土質分布の判別システム。
【請求項3】
前記シールド本体の内側壁面に、前記コンピュータと接続する補助加速度センサーが取り付けられており、前記振動データ表示部は、該補助加速度センサーから送られる本体部振動データによってノイズや機械震動を取り除いた状態で、前記回転角度毎の切削振動データを、同心円状の複数の環状の前記切削振動分布として表示させる請求項1又は2に記載のシールド掘進機による切羽土質分布の判別システム。
【請求項4】
前記加速度センサーは、互いに垂直な少なくとも2方向の切削振動データを検出できるようになっており、第1の検出方向を、前記カッターヘッドの回転円周方向に沿わせ、第2の検出方向を、前記加速度センサーが取り付けられた部分の前記カッターヘッドのヘッド面と垂直な方向に沿わせて、前記外周部加速度検知ビット及び前記中間部加速度検知ビットに取り付けられている請求項1又は2に記載のシールド掘進機による切羽土質分布の判別システム。
【請求項5】
前記加速度センサーが取り付けられた前記中間部加速度検知ビットは、前記カッターヘッドの中心部と外周部分との間の中間領域に1か所、又は中心部からの径方向の離間長さが異なる2か所に配置されて取り付けられている請求項1又は2に記載のシールド掘進機による切羽土質分布の判別システム。
【請求項6】
前記外周部加速度検知ビット及び前記中間部加速度検知ビットは、同じカッタースポークに配置されて取り付けられている請求項1又は2に記載のシールド掘進機による切羽土質分布の判別システム。
【請求項7】
前記コンピュータは、境界線表示部を備えており、該境界線表示部は、前記振動データ表示部によって表示された同心円状の複数の環状の前記切削振動分布における、隣接する各一対の分布の波の状態の変動箇所を結んだ折れ線状の結合線を、切羽面の地盤における異なる土質の境界部分として表示させるようになっている請求項1又は2に記載のシールド掘進機による切羽土質分布の判別システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機による切羽土質分布の判別システムに関し、特に密閉型のシールド掘進機に設けられて、切羽面の地盤の土質分布を判別可能とするシールド掘進機による切羽土質分布の判別システムに関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、例えば都市部においては、立坑用地の問題や地下埋設物との輻輳を理由として、シールドトンネルを長距離化して構築することが望まれている。シールドトンネルを長距離化して構築する場合、シールド掘進機による掘進に伴って、切羽面の地盤の土質が変化することが多い。また、シールド掘進機が、例えば上下方向や左右方向に積層した異なる土質の地盤の境界部分を掘進してゆく際には、切削される同じ切羽面に、異なる土質の地盤が同時に現れる場合がある。
【0003】
シールド掘進機が異なる土質の地盤の境界部分を掘進してゆく際に、例えば一方の土質の地盤が岩盤等であって、他方の土質の地盤よりも相当程度固い硬質の地盤である場合には、このような切羽面の土質の状況を適切に把握していないと、シールド掘進機が、固い地盤に乗り上げ易くなったり、横滑りし易くなったりすることで、シールドトンネルの縦断線形や平面線形を精度良く保持することが困難になる。このため、切羽面の土質の状況を面的に把握して、例えばコピーカッターによるオーバーカット量を固い地盤の部分で増やすこと等によって、固い地盤に乗り上げたり、横滑りしたりしないように制御しながら、地盤の状況に応じたシールド掘進機の掘進管理を安定した状態で行えるようにする技術の開発が望まれている。
【0004】
特に、シールド本体の先端部に設けられたカッターヘッドを回転させて、切羽面を切削しながら掘進する従来の密閉型のシールド掘進機では、切羽面の土質の変化は、一般に、例えば隔室から排出される切削土砂の性状を調べたり、切羽面の土圧や、カッターヘッドによるカッタートルク値を計測したりすることによって評価するようになっていたが、このような評価方法では、切羽面の土質を面的に把握して、切羽面における異なる土質の分布状況を適切に判別することは困難である。
【0005】
このようなことから、本願出願人は、例えば後述する特許文献1において、シールドトンネルを構築する際に、簡易な構成によって、カッターヘッドで切削中の切羽面の地盤の状況を、リアルタイムで面的に精度良く把握することを可能にして、シールド掘進機の掘進管理をより安定した状態で行えるようにする、シールド掘進機による切羽土質分布の判別システムを提案している。
【0006】
特許文献1に記載のシールド掘進機による切羽土質分布の判別システムでは、カッターヘッドの外周部分に取り付けられた加速度センサーと、該加速度センサーと接続されたコンピュータとを含んで構成されており、コンピュータは、加速度センサーから送られる、ビットによって切羽面を切削する際の切削振動データを、カッターヘッドの所定の回転角度毎に記憶させる振動データ記憶部と、振動データ記憶部によって記憶された回転角度毎の切削振動データを、切羽断面を模した円の円周方向に分布する切削振動分布として表示させる振動データ表示部とを備えており、振動データ表示部によって表示された円周方向の切削振動分布における分布の波の状態の変動箇所から、切羽面の地盤における異なる土質の境界部分を判別可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第6342723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の切羽土質分布の判別システムでは、加速度センサーは、ビットと離れたカッターヘッドの外周縁部分に取り付けられていて、主として外周部のビットのみからの振動を計測するもとなっており、またカッターヘッドを通じて伝達される外周部のビット以外の、これの周囲のビットによる振動も含んだ計測値となるため、地盤によっては精度良く振動を検知することが困難になるといった技術的課題や、異なる土質の地盤の境界部分を、直線によって大雑把にしか表示することができないといった技術的課題が生じていることから、このような技術的課題を解消できるようにするための、新たな判別システムの開発が望まれている。
【0009】
本発明は、シールドトンネルを構築する際に、カッターヘッドで切削中の切羽面の地盤の状況を、リアルタイムで面的に、より精度良くかつ綿密に把握することを可能にして、シールド掘進機の掘進管理を、さらに安定した状態で行えるようにすることのできるシールド掘進機による切羽土質分布の判別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、回転するカッターヘッドをシールド本体の先端部に有し、カッターヘッドに取り付けられた複数のビットによって切羽面を切削しながら掘進する密閉型のシールド掘進機に設けられて、切羽面の地盤の土質分布を判別可能とするシールド掘進機による切羽土質分布の判別システムであって、前記カッターヘッドを構成するカッタースポークの前面板から前方に突出した状態で前記前面板に固着された、複数のビットから選択された2以上の加速度検知ビットに、各々一体として取り付けられた加速度センサーと、これらの加速度センサーと接続されたコンピュータとを備えており、前記2以上の加速度検知ビットは、前記カッターヘッドの外周部分に配置された外周部加速度検知ビットと、前記カッターヘッドの中心部と外周部分との間の中間領域に配置された中間部加速度検知ビットとを含んでおり、前記コンピュータは、前記外周部加速度検知ビット及び前記中間部加速度検知ビットに取り付けられた前記加速度センサーから送られる、これらの加速度検知ビットによって切羽面を切削する際の切削振動データを、前記カッターヘッドの所定の回転角度毎に記憶させる振動データ記憶部と、該振動データ記憶部によって記憶された前記外周部加速度検知ビット及び前記中間部加速度検知ビットによる前記回転角度毎の切削振動データを、切羽断面を模した円の円周方向に分布する同心円状の複数の環状の切削振動分布として、各々表示させる振動データ表示部とを備えており、前記振動データ表示部によって表示された同心円状の複数の環状の前記切削振動分布における、分布の波の状態の変動箇所から、切羽面の地盤における異なる土質の境界部分を判別可能としたシールド掘進機による切羽土質分布の判別システムを提供することにより、上記目的を達成したものである。
(【0011】以降は省略されています)

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