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公開番号2025142835
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-01
出願番号2024042419
出願日2024-03-18
発明の名称ムチンの捕捉剤およびその使用
出願人住友ベークライト株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類G01N 33/53 20060101AFI20250924BHJP(測定;試験)
要約【課題】ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖の捕捉剤およびその回収方法の提供。
【解決手段】ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖の捕捉剤であって、捕捉剤は、ベタイン構造を有する化合物を含み、ベタイン構造は、アニオン部位、カチオン部位及びリンカーを有し、アニオン部位は、リン酸基、カルボキシル基及びスルホン酸基からなる群より選択される基であり、カチオン部位は、4級アンモニウム基であり、アニオン部位とカチオン部位を連結するリンカーは、炭素数1~4のアルキレン基である、捕捉剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖の捕捉剤であって、
捕捉剤は、ベタイン構造を有する化合物を含み、
ベタイン構造は、アニオン部位、カチオン部位及びリンカーを有し、
アニオン部位は、リン酸基、カルボキシル基及びスルホン酸基からなる群より選択される基であり、
カチオン部位は、4級アンモニウム基であり、
アニオン部位とカチオン部位を連結するリンカーは、炭素数1~4のアルキレン基である、捕捉剤。
続きを表示(約 870 文字)【請求項2】
請求項1に記載の捕捉剤が不溶性支持体に固定された、ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖の捕捉用担体。
【請求項3】
捕捉用担体が、粒子である、請求項2に記載の捕捉用担体。
【請求項4】
粒子が、平均孔径が1nm以上の孔を有する、請求項3に記載の捕捉用担体。
【請求項5】
ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖を回収する方法であって、該方法が、
a)ムチン、ムチン断片または糖ペプチドもしくは糖鎖を含む試料を請求項1に記載の捕捉剤または請求項2~4のいずれか一項に記載の捕捉用担体と接触させて、ムチン、ムチン断片または糖ペプチドもしくは糖鎖を捕捉する工程、および
b)ムチン、ムチン断片または糖ペプチドもしくは糖鎖を捕捉した捕捉剤または捕捉用担体を、溶媒1で洗浄して、ムチン、ムチン断片ならびにムチン由来の糖ペプチドおよび糖鎖以外の物質を除去させる工程
c)ムチン、ムチン断片または糖ペプチドもしくは糖鎖を捕捉した捕捉剤または捕捉用担体から、ムチン、ムチン断片または糖ペプチドもしくは糖鎖を溶媒2により溶出させる工程
を含む、方法。
【請求項6】
前記工程b)の溶媒1は、有機溶媒と水の混合溶液または有機溶媒と水と有機酸の混合溶液であって、水を10容量%以上含むものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記工程b)の有機溶媒が、アルコールおよびアセトニトリルより選択される1または2以上を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記工程c)の溶媒2は、水を40容量%以上含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記工程c)の溶媒2は、弱アルカリ性の溶媒である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドを含む試料が、ムチンの分解物である、請求項5に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖の捕捉剤およびその回収方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
ムチンは、多量のO-結合型糖鎖に覆われている巨大な糖タンパク質である。CA19-9、CA125といった腫瘍マーカーの多くが糖鎖抗原であり、これら糖鎖抗原はムチン上の糖鎖と考えられている。そのため、新たな疾患マーカー探索の対象としてムチンが有望視されている。
【0003】
一方で、近年プロテオミクス技術を駆使したマーカー探索が盛んにされているが、ムチンはトリプシンなどのプロテアーゼ耐性があるため、ペプチド断片化がされにくく、本技術の適応が難しい。そのため、従来のプロテオミクスとは異なる分析技術が必要と考えられる。
【0004】
例えば、特許文献1には、ムチン様糖タンパク質、ヒト唾液中ムチン等をセルロースアセテート膜電気泳動により分離し、ムチン上の糖鎖を分析する発明が記載されている。膜電気泳動法を使用した場合、ムチンを高度に分離・分析することが可能となるが、スループット性に課題があるため、より簡便なムチン精製手法の確立が有用であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2009-265078
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖を捕捉または回収するための捕捉剤および捕捉用担体、ならびにその方法を提供することである。また、本発明の別の目的は、簡便かつ短い時間で、高い回収率で、網羅的かつ特異的に、良好な再現性で、またはスケールアップ可能な方法で、ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖を捕捉または回収するための捕捉剤および捕捉用担体、ならびにその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ベタイン構造を有する化合物を含む捕捉剤を用いることにより、ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖を捕捉または回収することができることを見出し、発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1] ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖の捕捉剤であって、
捕捉剤は、ベタイン構造を有する化合物を含み、
ベタイン構造は、アニオン部位、カチオン部位及びリンカーを有し、
アニオン部位は、リン酸基、カルボキシル基及びスルホン酸基からなる群より選択される基であり、
カチオン部位は、4級アンモニウム基であり、
アニオン部位とカチオン部位を連結するリンカーは、炭素数1~4のアルキレン基である、捕捉剤。
[2] [1]に記載の捕捉剤が不溶性支持体に固定された、ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖の捕捉用担体。
[3] 捕捉用担体が、粒子である、[2]に記載の捕捉用担体。
[4] 粒子が、平均孔径が1nm以上の孔を有する、[3]に記載の捕捉用担体。
[5] ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖を回収する方法であって、該方法が、
a)ムチン、ムチン断片または糖ペプチドもしくは糖鎖を含む試料を[1]に記載の捕捉剤または[2]~[4]のいずれか一項に記載の捕捉用担体と接触させて、ムチン、ムチン断片または糖ペプチドもしくは糖鎖を捕捉する工程、および
b)ムチン、ムチン断片または糖ペプチドもしくは糖鎖を捕捉した捕捉剤または捕捉用担体を、溶媒1で洗浄して、ムチン、ムチン断片ならびにムチン由来の糖ペプチドおよび糖鎖以外の物質を除去させる工程
c)ムチン、ムチン断片または糖ペプチドもしくは糖鎖を捕捉した捕捉剤または捕捉用担体から、ムチン、ムチン断片または糖ペプチドもしくは糖鎖を溶媒2により溶出させる工程
を含む、方法。
[6] 前記工程b)の溶媒1は、有機溶媒と水の混合溶液または有機溶媒と水と有機酸の混合溶液であって、水を10容量%以上含むものである、[5]に記載の方法。
[7] 前記工程b)の有機溶媒が、アルコールおよびアセトニトリルより選択される1または2以上を含む、[6]に記載の方法。
[8] 前記工程c)の溶媒2は、水を40容量%以上含む、[5]~[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 前記工程c)の溶媒2は、弱アルカリ性の溶媒である、[5]~[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10] ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドを含む試料が、ムチンの分解物である、[5]~[9]のいずれか一項に記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖を捕捉または回収することができる。さらに、本発明によれば、簡便かつ短い時間で、高い回収率で、網羅的かつ特異的に、良好な再現性で、またはスケールアップ可能な方法で、ムチン、ムチン断片またはムチン由来の糖ペプチドもしくは糖鎖を検出、捕捉、回収または濃縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本実施形態に係る捕捉用担体の一例を模式的に表した図である。
実施例3において、ビーズ孔径によるムチン由来の糖ペプチド回収への影響を評価した結果を示す。各チャートのビーズの孔径は、(1)70Å、(2)300Å、(3)1000Åである。図中、矢印の時間におけるピークが、ムチン由来のピークである。
実施例4において、様々なビーズ洗浄液によるムチン由来の糖ペプチド回収への影響を評価した結果を示す。各チャートは(1)75%アセトニトリルと0.1%ギ酸を含む水溶液、(2)50%アセトニトリルと0.1%ギ酸を含む水溶液、(3)70%アセトニトリルと0.1%ギ酸を含む水溶液、(4)80%アセトニトリルと0.1%ギ酸を含む水溶液である。図中、矢印の時間におけるピークが、ムチン由来のピークである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書における「ムチン」は、スレオニン、セリンおよびプロリンに富むコアタンパク質に多数の糖鎖が結合した高分子糖タンパク質を指す。ムチンは、当該技術分野で知られるとおり、消化管や気道など動物の内腔を覆う粘液の主成分である。少なくとも20種類の異なるムチンが知られており、MUC1、MUC2、MUC3A、MUC3B、MUC4、MUC5AC、MUC5B、MUC6、MUC7、MUC8、MUC9、MUC10、MUC11、MUC12、MUC13、MUC14、MUC15、MUC16、MUC17、MUC18、MUC19およびMUC20が挙げられる。また、ムチンは構造的および機能的に異なる2つのクラスに分類でき、上皮細胞などが産生する分泌型ムチンと、疎水性の膜貫通部位を持ち細胞膜に結合した状態で存在する膜結合型ムチンがある。
本明細書における「ムチン断片」は、糖タンパク質のムチンをプロテアーゼ等により断片化し得られる、ムチンの一部分を指す。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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