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公開番号
2025152562
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-10
出願番号
2024054508
出願日
2024-03-28
発明の名称
ジルコニア系複合酸化物
出願人
第一稀元素化学工業株式会社
代理人
弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類
C01G
25/00 20060101AFI20251002BHJP(無機化学)
要約
【課題】 熱膨張率が従来品と同程度であり、膜強度が従来品と同程度かそれ以上であり、熱伝導率が従来品と同程度かそれ以下でありながら、熱安定性に優れる溶射膜を得ることが可能なジルコニア系複合酸化物を提供すること。
【解決手段】 ジルコニアと安定化剤とを含み、安定化剤は、酸化イットリウムと他の安定化剤とを含み、他の安定化剤は、酸化ガドリニウム又は酸化スカンジウムであり、酸化イットリウムの含有量は、3.66mol%以上4.57mol%以下であり、他の安定化剤として、酸化ガドリニウムを含む場合、酸化ガドリニウムの含有量は、0.18mol%以上0.45mol%以下であり、他の安定化剤として、酸化スカンジウムを含む場合、酸化スカンジウムの含有量は、0.46mol%以上1.39mol%以下であり、比表面積が0.2m
2
/g以上4.5m
2
/g以下であるジルコニア系複合酸化物。
【選択図】 なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ジルコニアと安定化剤とを含み、
前記安定化剤は、酸化イットリウムと他の安定化剤とを含み、
前記他の安定化剤は、酸化ガドリニウム又は酸化スカンジウムであり、
前記酸化イットリウムの含有量は、前記ジルコニアと前記安定化剤との合計を100mol%としたとき、3.66mol%以上4.57mol%以下であり、
前記他の安定化剤として、酸化ガドリニウムを含む場合、前記酸化ガドリニウムの含有量は、前記ジルコニアと前記安定化剤との合計を100mol%としたとき、0.18mol%以上0.45mol%以下であり、
前記他の安定化剤として、酸化スカンジウムを含む場合、前記酸化スカンジウムの含有量は、前記ジルコニアと前記安定化剤との合計を100mol%としたとき、0.46mol%以上1.39mol%以下であり、
比表面積が0.2m
2
/g以上4.5m
2
/g以下であることを特徴とするジルコニア系複合酸化物。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記比表面積が、0.2m
2
/g以上0.3m
2
/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のジルコニア系複合酸化物。
【請求項3】
前記他の安定化剤として、酸化ガドリニウムを含む場合、前記酸化ガドリニウムの含有量は、前記ジルコニアと前記安定化剤との合計を100mol%としたとき、0.18mol%以上0.35mol%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のジルコニア系複合酸化物。
【請求項4】
下記製膜条件で製膜し、得られた溶射膜を大気圧下1450℃で90時間熱処理した後の全結晶相中の正方晶相比率が30%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のジルコニア系複合酸化物。
<製膜条件>
溶射方法:大気中でのプラズマ溶射
溶射膜厚さ:150μm
出力:28kw
作動ガス:Ar,70L/min、N
2
,10L/minの混合ガス
【請求項5】
下記製膜条件で製膜し、得られた溶射膜を大気圧下1450℃で90時間熱処理した後の全結晶相中の正方晶相比率が50%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のジルコニア系複合酸化物。
<製膜条件>
溶射方法:大気中でのプラズマ溶射
溶射膜厚さ:150μm
出力:28kw
作動ガス:Ar,70L/min、N
2
,10L/minの混合ガス
【請求項6】
下記製膜条件で製膜し、得られた溶射膜のビッカース硬度が、300Hv以上400Hv以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のジルコニア系複合酸化物。
<製膜条件>
溶射方法:大気中でのプラズマ溶射
溶射膜厚さ:150μm
出力:28kw
作動ガス:Ar,70L/min、N
2
,10L/minの混合ガス
【請求項7】
下記製膜条件で製膜し、得られた溶射膜のビッカース硬度が、310Hv以上370Hv以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のジルコニア系複合酸化物。
<製膜条件>
溶射方法:大気中でのプラズマ溶射
溶射膜厚さ:150μm
出力:28kw
作動ガス:Ar,70L/min、N
2
,10L/minの混合ガス
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジルコニア系複合酸化物に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
製鉄生産における連続鋳造工程で用いられるハースロールや、ガスタービンエンジンを構成するタービンブレードなどの部材は、高温環境下で使用されるため、耐熱性や強度が必要である。
【0003】
耐熱性を付与するための遮熱コーティング用溶射材料として、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、8%イットリア安定化ジルコニアからなる平均粒子径が24μmの粒子を含む溶射材料が開示されている(実施例のサンプル8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2015/079906号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を溶射材として使用する場合、溶射後の膜の結晶構造は、正方晶相と立方晶相に支配され、膜強度が高く維持されている。しかしながら、赤熱した鋼鉄、スラブの高熱、ガスタービンの燃焼熱による熱応力によって、正方晶相の一部が単斜晶相に相転移し、析出することで、体積変動が生じ、溶射膜の損傷や剥離が発生することがある。
イットリアの添加量を増加させることにより、立方晶相比率を増やし、高温負荷による単斜晶相析出を抑制することはできるが、イットリアの添加量を増加させると、膜強度の低下や、立方晶相の存在に起因する熱膨張率の増大により、溶射膜の剥離が発生することとなる。
また、ジェット機のエンジンに装着されるタービンブレードは熱伝導を抑えるため、ポーラスなコート膜が採用される。しかしながら、このような膜では、外部からの粉塵等のアタックにより損傷しやすいといった問題がある。
また、YSZ溶射膜のイットリア含有量を若干減らすことで膜の強度を向上させることがあるが、熱応力による脱安定化が進むため、メンテナンスの時期が早まることが課題となる。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱膨張率が従来品と同程度であり、膜強度が従来品と同程度かそれ以上であり、熱伝導率が従来品と同程度かそれ以下でありながら、熱安定性に優れる溶射膜を得ることが可能なジルコニア系複合酸化物を提供することになる。
【0008】
本発明者らは上記課題に対して鋭意研究を行った。その結果、イットリア安定化ジルコニア中のY
2
O
3
の一部をGd
2
O
3
又はSc
2
O
3
と置換することで、赤熱した鋼鉄、スラブの高熱、ガスタービンの燃焼熱による熱応力にさらされても、正方晶相から単斜晶相への相転移が低減され、熱安定性に優れることを見出した。また、溶射膜表面のビッカース硬度も従来のイットリア安定化ジルコニア(例えば、特許文献1に開示されているような、8%イットリア安定化ジルコニア)から得られる溶射膜に比べて同等かそれ以上となること見出した。これにより、外部からの応力による損傷低減効果が期待できる。また、熱伝導率が、従来のイットリア安定化ジルコニアから得られる溶射膜に比べて同等かそれ以下となることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下を提供する。
(1) ジルコニアと安定化剤とを含み、
前記安定化剤は、酸化イットリウムと他の安定化剤とを含み、
前記他の安定化剤は、酸化ガドリニウム又は酸化スカンジウムであり、
前記酸化イットリウムの含有量は、前記ジルコニアと前記安定化剤との合計を100mol%としたとき、3.66mol%以上4.57mol%以下であり、
前記他の安定化剤として、酸化ガドリニウムを含む場合、前記酸化ガドリニウムの含有量は、前記ジルコニアと前記安定化剤との合計を100mol%としたとき、0.18mol%以上0.45mol%以下であり、
前記他の安定化剤として、酸化スカンジウムを含む場合、前記酸化スカンジウムの含有量は、前記ジルコニアと前記安定化剤との合計を100mol%としたとき、0.46mol%以上1.39mol%以下であり、
比表面積が0.2m
2
/g以上4.5m
2
/g以下であることを特徴とするジルコニア系複合酸化物。
【0010】
前記(1)の構成によれば、前記酸化イットリウムの含有量が3.66mol%以上4.57mol%以下であり、前記他の安定化剤として、酸化ガドリニウムを含む場合、前記酸化ガドリニウムの含有量が0.18mol%以上0.45mol以下であるため、正方晶相から単斜晶相への相転移が低減され、熱安定性に優れる。また、溶射膜表面のビッカース硬度も良好となる。これにより、外部からの応力による損傷低減効果が期待できる。また、熱伝導率も良好となる。また、熱膨張率も従来品と同程度となる。
また、前記酸化イットリウムの含有量が3.66mol%以上4.57mol%以下であり、前記他の安定化剤として、酸化スカンジウムを含む場合、前記酸化スカンジウムの含有量が0.46mol%以上1.39mol以下であるため、正方晶相から単斜晶相への相転移が低減され、熱安定性に優れる。また、溶射膜表面のビッカース硬度も良好となる。これにより、外部からの応力による損傷低減効果が期待できる。また、熱伝導率も良好となる。また、熱膨張率も従来品と同程度となる。
このことは、実施例からも明らかである。
メカニズムについては明確ではないが、安定化剤の酸化イットリウムは、熱応力による固有の分子運動によって脱固溶(脱安定化)、すなわち、正方晶相の単斜晶相への相転移が進むが、酸化イットリウムの一部を酸化ガドリウムや酸化スカンジウムで微量置換することで、酸化ガドリニウム、酸化スカンジウムの固有の分子運動により、酸化イットリウムの脱固溶の原因となる分子運動を打ち消し、脱固溶(脱安定化)が低減された(正方晶相の単斜晶相への相転移が低減された)と推察される。
また、比表面積が0.2m
2
/g以上4.5m
2
/g以下であるため、溶射材として好適に使用することができる。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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