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公開番号2025133294
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-11
出願番号2024031157
出願日2024-03-01
発明の名称光触媒を用いた水素ガス製造装置
出願人トヨタ自動車株式会社
代理人個人,個人
主分類C01B 3/04 20060101AFI20250904BHJP(無機化学)
要約【課題】 光触媒を用いた水素ガス製造装置1に於いて、水槽2内の水素発生量をできるだけ精度良く推定できるようにする。
【解決手段】 水素ガス製造装置に於いて、水素発生量推定手段は、予め調べられた、光源装置4から光触媒体へ光が種々の照射光強度にて照射されたときの水槽部内の水素発生量の値に基づいて決定される現在の照射光強度に於ける水槽部内にて発生している水素発生量の暫定推定値に、水素ガス量検出手段12にて検出された水素発生量の検出値と、その検出値に対応する水素ガスが水槽部内にて発生した時点に於ける照射光強度に於ける水槽部内の水素発生量の暫定推定値とに基づいて算出された補正係数を乗じて得られた値を現在の水槽内の水素発生量の現在推定値として決定する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
水素ガス製造装置であって、
水を貯留する水槽部と、
前記水槽部内の水中に分散又は配置された光触媒体にして、光が照射されると、励起電子と正孔を発生し、水分子を水素と酸素とに分解する水の分解反応を起こし水素ガスを発生する光触媒物質を有する光触媒体と、
前記光触媒体へ照射されて前記水の分解反応を惹起する光を発する光源装置と、
前記水槽部内で発生した水素ガスの所定時間当たりの発生量を水素ガスと酸素ガスとの分離後に検出する水素ガス量検出手段と、
前記光源装置から前記光触媒体へ照射された光の照射光強度に基づいて前記水槽部内で発生した水素ガスの所定時間当たりの発生量を推定するよう構成された水素発生量推定手段と
を含み、
前記水素発生量推定手段が、
予め調べられた、前記光源装置から前記光触媒体へ光が種々の照射光強度にて照射されたときに前記水槽部内にて発生する水素ガスの所定時間当たりの発生量の値に基づいて、任意の照射光強度にて前記光源装置から前記光触媒体へ光が照射されているときに前記水槽部内にて発生している水素ガスの所定時間当たりの発生量の暫定推定値を決定するよう構成された暫定推定値決定手段と、
前記水素ガス量検出手段にて検出された前記水槽部内の水素ガスの所定時間当たりの発生量の検出値と、前記暫定推定値決定手段により決定される、前記検出値に対応する水素ガスが前記水槽部内にて発生した時点に於ける照射光強度にて前記光源装置から前記光触媒体へ光が照射されたときに前記水槽部内にて発生する水素ガスの所定時間当たりの発生量の暫定推定値とに基づいて補正係数を算出するよう構成された補正係数算出手段と、
前記暫定推定値決定手段により決定される、現在の照射光強度にて前記光源装置から前記光触媒体へ光が照射されたときに前記水槽部内にて発生する水素ガスの所定時間当たりの発生量の暫定推定値を前記補正係数を用いて補正して現在の水槽内で発生している水素ガスの所定時間当たりの発生量の現在推定値を決定するよう構成された現在推定値決定手段とを含んでいる装置。
続きを表示(約 530 文字)【請求項2】
請求項1の装置であって、前記水素ガスの所定時間当たりの発生量の現在推定値に基づいて前記光源装置からの光の照射光強度を調節する照射光強度制御手段を含む装置。
【請求項3】
請求項2の装置であって、前記照射光強度制御手段が前記水素ガスの所定時間当たりの発生量の現在推定値が所定の閾値に達すると、前記光源装置からの光の照射光強度の増大を制限するよう構成されている装置。
【請求項4】
請求項1の装置であって、前記補正係数算出手段が前記補正係数を逐次的に更新するよう構成されている装置。
【請求項5】
請求項1の装置であって、前記補正係数が、前記検出値を、前記検出値に対応する水素ガスが前記水槽部内にて発生した時点に於ける照射光強度にて前記光源装置から前記光触媒体へ光が照射されたときの前記水槽部内にて発生する水素ガスの所定時間当たりの発生量の前記暫定推定値で除して得られる値であり、前記現在推定値が、前記現在の照射光強度にて前記光源装置から前記光触媒体へ光が照射されたときの前記水槽部内にて発生する水素ガスの所定時間当たりの発生量の前記暫定推定値に前記補正係数を乗じて得られる値である装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガス製造装置に係り、より詳細には、光触媒を用いた水の分解反応により水素ガスを製造する装置に係る。
続きを表示(約 4,600 文字)【背景技術】
【0002】
燃焼しても二酸化炭素を生じないクリーンな次世代の燃料としての利用が期待されている水素ガスは、光触媒を用いた光エネルギーによる水の分解反応により生成できるので、光触媒を用いた水素ガスの製造技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、水を受容する容器部と、容器部内の水中に分散又は配置された光触媒体にして、光が照射されると、励起電子と正孔を発生し、水を水素と酸素とに分解する水の分解反応を起こし水素ガスを発生する光触媒物質を有する光触媒体と、光触媒体へ照射されて水の分解反応を惹起する光を発する光源と、光源を担持する筐体とを含み、筐体が容器内の水中に配置されて、水が筐体の表面から放出される光源の排熱によって加温されると共に、筐体の水に接触する表面が光触媒物質にて被覆されている構成の水素ガス製造装置が提案されている。特許文献2に於いては、外壁によって構成された複数のケーシングの内部に電解液を収容し、かつ、それぞれのケーシングの内部に隔壁を設けた光水電解セルを複数備え、隔壁の下部は、イオン伝導膜の両面に光触媒電極及び対極を形成した光水電解電極膜接合体に構成されて前記電解液中に浸漬されると共に、光触媒電極及び対極が互いに導通され、複数の光水電解セル内におけるそれぞれの光水電解電極膜接合体が電気的に直列に接続されている構成の光水電解装置が開示されている。なお、水素ガスの製造技術ではないが、光触媒を活性化している光量を検出し、この検出した光量に基づいて、光量を制御する手段が最適光量を決定し、光量を調整する手段により光源の光量を調整制御することにより、光触媒は被除去物質を分解除去するに必要な光量で活性化される光触媒装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2023-094488
特開2008-075097
特開2000-325796
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水槽内に光触媒の分散又は配置された水を貯留し、その水へLEDなどの光源装置からの光を照射して水分解反応を惹起して水素ガスを製造する装置の場合、任意の場所に設置できる点で、有利である。かかる構成の水素ガス製造装置に於いて、水素ガスの単位時間当たり又は適宜設定されてよい所定時間当たりの水素ガスの発生量(以下、単に「水素発生量」と称する。)は、水に照射される光の強度によって変化するので、照射光強度を調節することにより装置に於ける水素発生量を調節することが可能である。
【0005】
かかる水素ガス製造装置に於いて、水素発生量を検出する水素センサなどの水素ガス量検出手段は、通常、水槽にて水分子から生成された水素ガスと酸素ガスが回収され、水素分離器へ送られ、そこに於いて水素ガスが単離された後の位置に配置される。そうすると、水素ガスが水槽から水素ガス量検出手段の位置までに到達するまでには、通常、数秒程度要するので、水素ガス量検出手段で検出される水素発生量の検出値(水素検出量)は、水槽にて発生している水素発生量よりも水素ガスが水槽から水素ガス量検出手段の位置まで到達するのに要した時間だけ遅れた値となる。従って、かかる時間遅れのため、水素発生量の調節のための光強度の調節を、水素ガス量検出手段で検出された水素検出量に基づいて精度良く実行することは困難である。特に、水素分離器に受け入れ可能な水素ガス量の許容限界値があり、水素発生量がその許容限界値を超えないように照射光強度を制御する必要がある場合、水素ガス量検出手段に於ける水素検出量は、水槽内の水素発生量よりも時間的に遅れているので、水槽内の水素発生量が既に水素分離器の許容限界値に達していても水素ガス量検出手段に於ける水素検出量が閾値を下回っていることから、照射光強度を上げてしまい、水槽内の水素発生量が水素分離器の許容限界値を超えてしまうといった状況が起き得る。そのような状況を回避するためには、水槽内の水素発生量が水素分離器の許容限界値を十分に下回るよう、水素検出量が許容限界値よりも十分に低く設定された閾値に達すると、照射光強度の増加を抑制するといった対応が取られることとなるところ、その場合、水槽内の水素発生量が水素分離器の許容限界値までに余裕があっても水槽内の水素発生量を抑制することとなり、水素ガス製造装置の水素ガスの発生能力を十分に発揮させられないこととなる。従って、水槽内の水素発生量をリアルタイムでできるだけ精度良く推定し、その推定値に基づいて照射光強度を調節し水槽内の水素発生量を制御できるようになっていると有利である。
【0006】
かくして、本発明の主な課題は、光触媒を用いた水素ガス製造装置に於いて、水槽内の水素発生量をリアルタイムでできるだけ精度良く推定できるようにすることである。
【0007】
この点に関し、水槽内の水素発生量を推定する手法として、種々の照射光強度に於ける水槽内の水素発生量を予め調べておき(各照射光強度に於いて、照射光強度を一定に保ち、水素発生量が定常的になれば、水素ガス量検出手段に於ける水素検出量は、水槽内の水素発生量に対応するので、各照射光強度に対する水槽内の水素発生量を決定することが可能である。)、その予め調べておいた照射光強度と水素発生量との関係を用いて、現在の照射光強度から現在の水槽内の水素発生量を推定するといった手法が考えられる。しかしながら、照射光強度に対する水素発生量は、光触媒の劣化などの状態によって変動するので、実際の水槽内の水素発生量を精度良く推定するためには、予め調べておいた照射光強度と水素発生量との関係は、光触媒の状態に基づいた補正をしつつ、利用する必要がある。光触媒の現在の状態は、水素ガス量検出手段に於ける水素検出量に反映されているので、予め調べられた照射光強度と水素発生量との関係に、水素ガス量検出手段に於ける水素検出量を加味することにより、光触媒の現在の状態を考慮した、より精度の良い水槽内の水素発生量のリアルタイムの推定ができそうである。本発明に於いては、この知見が利用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、上記の課題は、水素ガス製造装置であって、
水を貯留する水槽部と、
前記水槽部内の水中に分散又は配置された光触媒体にして、光が照射されると、励起電子と正孔を発生し、水分子を水素と酸素とに分解する水の分解反応を起こし水素ガスを発生する光触媒物質を有する光触媒体と、
前記光触媒体へ照射されて前記水の分解反応を惹起する光を発する光源装置と、
前記水槽部内で発生した水素ガスの所定時間当たりの発生量を水素ガスと酸素ガスとの分離後に検出する水素ガス量検出手段と、
前記光源装置から前記光触媒体へ照射された光の照射光強度に基づいて前記水槽部内で発生した水素ガスの所定時間当たりの発生量を推定するよう構成された水素発生量推定手段と
を含み、
前記水素発生量推定手段が、
予め調べられた、前記光源装置から前記光触媒体へ光が種々の照射光強度にて照射されたときに前記水槽部内にて発生する水素ガスの所定時間当たりの発生量の値に基づいて、任意の照射光強度にて前記光源装置から前記光触媒体へ光が照射されているときに前記水槽部内にて発生している水素ガスの所定時間当たりの発生量の暫定推定値を決定するよう構成された暫定推定値決定手段と、
前記水素ガス量検出手段にて検出された前記水槽部内の水素ガスの所定時間当たりの発生量の検出値と、前記暫定推定値決定手段により決定される、前記検出値に対応する水素ガスが前記水槽部内にて発生した時点に於ける照射光強度にて前記光源装置から前記光触媒体へ光が照射されたときに前記水槽部内にて発生する水素ガスの所定時間当たりの発生量の暫定推定値とに基づいて補正係数を算出するよう構成された補正係数算出手段と、
前記暫定推定値決定手段により決定される、現在の照射光強度にて前記光源装置から前記光触媒体へ光が照射されたときに前記水槽部内にて発生する水素ガスの所定時間当たりの発生量の暫定推定値を前記補正係数を用いて補正して現在の水槽内で発生している水素ガスの所定時間当たりの発生量の現在推定値を決定するよう構成された現在推定値決定手段とを含んでいる装置によって達成される。
【0009】
上記の構成に於いて、「光触媒物質」は、上記の如く、光を照射されると、水の分解反応を惹起して、水を還元して水素ガスを発生することのできる物質であってよい。「光触媒体」は、かかる光触媒物質から成り、水中に分散される粒子、或いは、光触媒物質そのもので形成された部材又は任意の基板又は基質上に光触媒物質を固定してなり、水中の任意の位置に配置されたもの、若しくは、それらの両方であってよい(以下、本明細書に於いて、単に「光触媒」という場合には、光触媒物質を指すものとする。)。「光源装置」は、典型的には、電力の供給を受けて、光触媒物質に吸収されて水の分解反応を惹起させる光を発する任意の形式の装置であってよい。「水素ガス量検出手段」は、酸素ガスと水素ガスとを分離する水素分離器の下流の水素ガスの流路に設けられ、水槽部内の所定時間当たりの水素ガスの発生量を取得できる水素ガス流量又は濃度を検出可能な任意の形式のセンサであってよい。ここで、「所定時間」は、適宜設定された時間幅であってよく、単位時間であってよい。
【0010】
光源装置の発光波長は、光触媒へ照射される光が効率的に光触媒に吸収されて励起電子と正孔とを生成するように、好適には、光触媒の量子収率が(任意に選択されてよい)所定の閾値を超える波長帯域に入るように選択される。この点に関し、典型的な光触媒の量子収率は、照射光の波長が或る波長付近を下回ると急激に増大する。従って、光源の発光波長が、かかる光触媒の量子収率の急激な増大が生ずる波長よりも短波長側となるように、光源が選択されてよい。本発明に於いて利用可能な光触媒としては、例えば、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)、La2Ti2O7(チタン酸ランタン)、Ga2O3(酸化ガリウム)、GaN(窒化ガリウム)、NaTaO3(タンタル酸ナトリウム)、TiO2(酸化チタン)などが利用可能である。なお、これらの光触媒は、適宜、助触媒が付加されて使用されてよい。光源装置の発光素子としては、種々の発光ダイオード(LED)が採用されてよく、具体的には、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、ダイヤモンド(紫外)、窒化ガリウム(GaN)/アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)(紫外、青)、セレン化亜鉛(青)、酸化亜鉛(近紫外、紫、青)を用いたものが利用可能である。
(【0011】以降は省略されています)

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