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公開番号2025154880
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024058131
出願日2024-03-29
発明の名称VI型コラーゲンを評価する方法
出願人株式会社 資生堂
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類G01N 33/50 20060101AFI20251002BHJP(測定;試験)
要約【課題】老化を評価することができる手法の開発、並びに光老化を改善又は予防可能な薬剤の開発を目的とする。
【解決手段】露光部の皮膚と、非露光部の皮膚とで、発現に変化がないとされていたVI型コラーゲンについて、顔面皮膚、特に真皮乳頭層における存在量の変化を見出し、光老化(ソーラーエラストーシス)のレベルと、VI型コラーゲン量とが相関することを見出し、皮膚におけるVI型コラーゲンを評価する方法を提供する。また、VI型コラーゲンの発現を指標としたスクリーニング方法を提供し、さらにツバキ種子エキスを含むVI型コラーゲンの発現抑制剤を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
対象皮膚における真皮のソーラーエラストーシスレベルを測定する工程、及び
ソーラーエラストーシスレベルとVI型コラーゲンレベルとの対応関係からVI型コラーゲンレベルを決定する工程、
を含む、皮膚におけるVI型コラーゲンを評価する方法。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
ソーラーエラストーシスレベルが、皮膚に励起光を照射し、エラスチンの自家蛍光を検出することにより決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
VI型コラーゲンレベルが、真皮乳頭層におけるVI型コラーゲン量である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対応関係が、露光部の皮膚領域に応じた対応関係である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対応関係が、相関式である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の方法により決定されたVI型コラーゲンレベルに基づき、光老化状態を決定する方法。
【請求項7】
候補薬剤を含む培地中で、真皮線維芽細胞、表皮角化細胞、マクロファージなどの免疫細胞などから選ばれる皮膚細胞を含む培養物を培養する工程;
候補薬剤を含む培地で培養後において、前記皮膚培養物におけるVI型コラーゲンの発現を測定する工程;及び
測定された発現量を対照と比較し、候補薬剤のVI型コラーゲンの発現抑制作用を決定する工程
を含む、VI型コラーゲンの発現抑制剤をスクリーニングする方法。
【請求項8】
前記VI型コラーゲンの発現抑制剤が、光老化抑制剤である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記対照が、候補薬剤を含まない培地で培養された真皮線維芽細胞を含む培養物におけるVI型コラーゲンの発現量又は当該発現量から決定された閾値である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
ツバキ種子エキスを含む、VI型コラーゲン発現抑制剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚におけるVI型コラーゲンを評価する方法、VI型コラーゲンの発現抑制剤をスクリーニングする方法、並びにVI型コラーゲン発現抑制剤を提供する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
肌のしわやたるみは見た目年齢への影響が大きく、肌のハリを維持し、しわやたるみを改善することは、美容上の大きな課題である。肌のハリが失われることで、肌の触感が変化するだけでなく、頬のたるみ又はこけ、目周りのしわが現れ、これにより老けた印象を与える。肌のハリは、主に真皮層の厚さや物性に起因しており、ハリのある肌には、真皮層を充填するコラーゲンやエラスチンといった細胞外マトリックス成分が豊富に含まれている。真皮中のコラーゲンやエラスチンなどの細胞外マトリックスは加齢により真皮線維芽細胞による合成が減少する。また顔などの露光部では、加齢による内因性の老化に加え、紫外線への曝露による光老化が起こり、マトリクスメタロプロテイナーゼが活性化しコラーゲンが分解される一方で、変性したエラスチンが沈着するソーラーエラストーシス(あるいはアクチニックエラストーシス、日光性弾力線維症とよばれる)が起こることが知られている。これにより真皮層の弾性や剛性に変化が生じ、ハリの低下、しわやたるみにつながることが知られている。ソーラーエラストーシスを起こした皮膚では真皮の深部でコラーゲンが消失し変性したエラスチンが大量に蓄積するが、表皮直下の真皮乳頭層ではコラーゲンが残存する。表皮と真皮内の病変との間に一定幅の正常真皮成分が介在する領域はグレンツゾーンと呼ばれる。加齢による真皮細胞外マトリクスの変化はスキンケアや、紫外線への曝露量、食生活によっても影響を受ける。
【0003】
コラーゲンは、動物の体タンパク質の約30%を占め、皮膚のみならず、骨、歯、腱などを構成する主要なタンパク質である。ヒトのコラーゲンとしては、10種以上のコラーゲンが知られているが、皮膚に存在するコラーゲンとしては、I型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲン、VII型コラーゲン等が知られており、その分布が異なっている。皮膚科学の領域では、皮膚に多く存在する観点からI型コラーゲン(特許文献1:特許第7265015号、特許文献2:特開2014-172849、特許文献3:特開2014-055116号)及びIII型コラーゲン(特許文献4:特開2013-203683号)、基底膜に特異的に分布するIV型コラーゲン(特許文献5:特開2004-18471号)、VII型コラーゲン(特許文献6:特開2023-089539号)などについて研究が盛んにおこなわれている。一方、VI型コラーゲンは、胃癌の悪性度(特許文献7:特開2004-248502号)、線維症(特許文献8:特表2012-522233号)、及び筋ジストロフィー(特許文献9:特表2009-532404号)に関与することが報告されており、美容面よりは疾患との関連で着目されていたところ、また近年、真皮や基底膜に存在することが報告されて注目されている(特許文献10:特開2024-006969号、特許文献11:特開2024-006968号)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第7265015号公報
特開2014-172849号公報
特開2014-055116号公報
特開2013-203683号公報
特開2004-18471号公報
特開2023-089539号公報
特開2004-248502号公報
特表2012-522233号公報
特表2009-532404号公報
特開2024-006969号公報
特開2024-006968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光老化を評価することができる手法の開発を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が、光老化とコラーゲンとの関係に着目して研究を行ったところ、露光部の皮膚と、非露光部の皮膚とで、発現に変化がないとされていたVI型コラーゲンについて、顔面皮膚、特に光老化が進行して起こるソーラーエラストーシスの部位において真皮乳頭層のグレンツゾーンにおける存在量の変化を見出した。そして、ソーラーエラストーシスのレベルと、VI型コラーゲン量とが相関することを見出し、本発明に至った。
そこで本発明は以下に関する:
[1] 対象皮膚における真皮のソーラーエラストーシスレベルを測定する工程、及び
ソーラーエラストーシスレベルとVI型コラーゲンレベルとの対応関係からVI型コラーゲンレベルを決定する工程、
を含む、皮膚におけるVI型コラーゲンを評価する方法。
[2] ソーラーエラストーシスレベルが、皮膚に励起光を照射し、エラスチンの自家蛍光を検出することにより決定される、項目1に記載の方法。
[3] VI型コラーゲンレベルが、真皮乳頭層におけるVI型コラーゲン量である、項目1に記載の方法。
[4] 前記対応関係が、露光部の皮膚領域に応じた対応関係である、項目1に記載の方法。
[5] 前記対応関係が、相関式である、項目1に記載の方法。
[6] 項目1~5の何れか一項に記載の方法により決定されたVI型コラーゲンレベルに基づき、光老化状態を決定する方法。
[7] 候補薬剤を含む培地中で、真皮線維芽細胞、表皮角化細胞、マクロファージなどの免疫細胞などから選ばれる少なくとも1の細胞を含む培養物を培養する工程;
候補薬剤を含む培地で培養後において、前記培養物におけるVI型コラーゲンの発現を測定する工程;及び
測定された発現量を対照と比較し、候補薬剤のVI型コラーゲンの発現抑制作用を決定する工程
を含む、VI型コラーゲンの発現抑制剤をスクリーニングする方法。
[8] 前記VI型コラーゲンの発現抑制剤が、光老化抑制剤である、項目7に記載の方法。
[9] 前記対照が、候補薬剤を含まない培地で培養された真皮線維芽細胞、表皮角化細胞、マクロファージなどの免疫細胞などから選ばれる少なくとも1の細胞を含む培養物におけるVI型コラーゲンの発現量又は当該発現量から決定された閾値である、項目7又は8に記載の方法。
[10-1] ツバキ種子エキスを含む、VI型コラーゲン発現抑制剤。
[10-2] 光老化の予防又は改善を必要とする対象において、ツバキ種子エキスを適用することを含む、VI型コラーゲン発現抑制方法。
[10-3] VI型コラーゲン発現抑制を介して、光老化を改善又は予防に使用するためのツバキ種子エキス。
[10-4] VI型コラーゲン発現抑制剤の製造のためのツバキ種子エキスの使用。
[11] 項目10-1に記載のVI型コラーゲン発現抑制剤を含む、光老化予防又は改善剤。
【発明の効果】
【0007】
ソーラーエラストーシスのレベルをエラスチン線維の自家蛍光を利用することで決定し、決定されたソーラーエラストーシスレベルに基づき、VI型コラーゲン量を評価することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、78歳の女性から取得された非露光部である臀部(Buttock)と、露光部である上頬(Upper cheek)、目じり(Eye corner(upper))の皮膚試料の分析結果を示す。皮膚試料の切片は、それぞれエラスチカワンギーソン染色(A)、ピクロシリウスレッド染色(B)、及び抗VI型コラーゲン抗体を用いた蛍光免疫染色(C)に供された。
図2は、非露光部(臀部)と露光部(目じり)から取得された皮膚試料の真皮上層のコラーゲン線維を、電子顕微鏡で撮影した結果を示す(A)。撮影したコラーゲン線維の太さを測定した結果を示す(B)。
図3は、各レベルのソーラーエラストーシスを示す対象から取得した皮膚試料について、エラスチカワンギーソン染色を行った結果を示す(A)。各ソーラーエラストーシスレベルに分類された対象の臀部、頬、目じりから皮膚試料を取得し、VI型コラーゲンレベルとの相関性を示す(B)。
図4は、真皮線維芽細胞培養物において、VI型コラーゲンの構成遺伝子であるCOL6A1、COL6A2、及びCOL6A3の発現をツバキ種子エキスが抑制したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、皮膚におけるVI型コラーゲンレベルを評価する方法に関する。VI型コラーゲンは、光老化を受けることで、ソーラーエラストーシスの進行に伴い、真皮内の病変と表皮との間に一定幅の正常真皮領域であるグレンツゾーンにおいて増大し、皮膚の線維化に寄与するため、適切な評価が必要とされる。またVI型コラーゲンレベルを評価することで光老化の進行を決定することができる。
より具体的に、VI型コラーゲンレベルを評価する方法は、以下の:
対象皮膚における真皮のエラストーシスレベルを測定する工程、及び
エラストーシスレベルとVI型コラーゲン量との対応関係からVI型コラーゲンレベルを決定する工程
を含む。
【0010】
VI型コラーゲンは、細胞外において、ビーズ状のマイクロフィラメントとして存在する非線維性のコラーゲンである。コラーゲン線維束を包むメッシュワーク上に存在しており、コラーゲン線維を太く、整った線維とする機能を有する。線維症を引き起こした組織において発現が増加し、皮膚、肝臓、肺、関節などで増大する。正常皮膚においては、露光部と非露光部とで発現に差異が見られないことから、真皮に存在するI型コラーゲンや、III型コラーゲンとは異なり、光老化への寄与は少ないと考えられていた。一方、本発明者の研究により、VI型コラーゲンは、ソーラーエラストーシスを引き起こした皮膚の真皮乳頭層において存在するグレンツゾーン(図1(A)において、白点線で領域を明示する)に存在しており、光老化(ソーラーエラストーシス)の進行に伴い、発現が増加する(図1(A)、(B)、(C))。光老化を伴う皮膚の真皮では、コラーゲンは消失し、異常エラスチンが沈着する(図1(A))一方、グレンツゾーンのコラーゲンは太く密集している(図1(B))。図中、グレンツゾーン((A)黒矢印、(B)白矢印)に該当する部位に蓄積しているVI型コラーゲンを矢印で示しており((C)白矢印))、図1(A)では、さらに異常なエラスチン沈着を白矢印で示す。また、露光部の皮膚では線維が太くなることが示される(図2(A)、(B))。
(【0011】以降は省略されています)

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