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公開番号2025031442
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023191204
出願日2023-11-09
発明の名称金属ナノ粒子のない表面増強ラマン散乱基板、及びその製造方法
出願人国立成功大学,NATIONAL CHENG KUNG UNIVERSITY
代理人弁理士法人みなとみらい特許事務所
主分類G01N 21/65 20060101AFI20250228BHJP(測定;試験)
要約【課題】三次元孔構造を有する陽極アルミナ基板と、前記陽極アルミナ基板上の金属ナノフィルムとを含む、金属ナノ粒子のない表面増強ラマン散乱基板を提供。
【解決手段】表面増強ラマン散乱基板は、金属ナノ粒子を用いる必要がなく、金属ナノフィルムの構造を採用することで表面プラズモン共鳴を生じさせるため、従来の金属ナノ粒子を含む表面増強ラマン散乱基板と比べ、優れた均一性、安定性、及び再現性を有する。三次元孔構造を有する陽極アルミナ基板を用いることにより、本発明の表面増強ラマン散乱基板は高感度、高安定性、高再現性を有する。また、本発明は、迅速なプロセスを実現することができ、かつ、表面増強ラマン散乱基板に三次元孔構造を持たせることができる、基板の簡易製造方法も提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
三次元孔構造を有する陽極アルミナ基板と、
前記陽極アルミナ基板上の金属ナノフィルムとを含み、
前記三次元孔構造は、ミクロン級やナノ級窪み中にナノ級細孔を有する構造、又はナノ級孔の周りにナノ級先端を有する構造からなり、前記金属ナノフィルムは、前記三次元孔構造の形状に合わせて貼り付くように形成される、
金属ナノ粒子のない表面増強ラマン散乱基板。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記三次元孔構造における窪みの平均孔径は、0.1~5μmである、請求項1に記載の表面増強ラマン散乱基板。
【請求項3】
前記陽極アルミナ基板の平均粗さは、0.1~2μmである、請求項1に記載の表面増強ラマン散乱基板。
【請求項4】
前記金属ナノフィルムの厚さは、6~30nmである、請求項1に記載の表面増強ラマン散乱基板。
【請求項5】
前記ナノ級細孔の平均孔間隔は、10~300nmである、請求項1に記載の表面増強ラマン散乱基板。
【請求項6】
前記表面増強ラマン散乱基板のメラミンに対する検出限界値は最低0.05ppmであり、前記表面増強ラマン散乱基板のメチレンブルーに対する検出限界値は最低1×10
-10
Mである、請求項1~4のいずれか1項に記載の表面増強ラマン散乱基板。
【請求項7】
請求項1に記載の表面増強ラマン散乱基板の製造方法であって、
(A)15~25℃で、電解液中において5~40Vの直流でアルミ箔に電気化学処理を施し、前記アルミ箔の表面構造を変化させる、第1回電気化学処理工程と、
(B)複合パルス方形波で、更に前記アルミ箔に電気化学処理を施し、前記陽極アルミナ基板を得る、第2回電気化学処理工程と、
(C)前記陽極アルミナ基板の表面に、単層の金属をめっきし、前記金属ナノフィルムを形成する、金属めっき工程とを含む、
表面増強ラマン散乱基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の表面増強ラマン散乱基板の製造方法であって、
(A)15~25℃で、電解液中において5~40Vの直流でアルミ箔に電気化学処理を施し、前記アルミ箔の表面構造を変化させる、第1回電気化学処理工程と、
(B)複合パルス方形波で、更に前記アルミ箔に電気化学処理を施し、陽極アルミナフィルムを有するアルミ箔の構造を得る、第2回電気化学処理工程と、
(C)5wt%のリン酸電解液中において前記陽極アルミナフィルムを有するアルミ箔の構造に電気化学処理を施し、前記陽極アルミナ基板を得る、第3回電気化学処理工程と、
(D)前記陽極アルミナ基板の表面に、単層の金属をめっきし、前記金属ナノフィルムを形成する、金属めっき工程とを含む、
表面増強ラマン散乱基板の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の表面増強ラマン散乱基板の製造方法であって、
(A)-20~20℃で、電解液中において5~40Vの直流でアルミ箔に電気化学処理を施し、前記アルミ箔の表面構造を変化させる、第1回電気化学処理工程と、
(B)複合パルス方形波で、更に前記アルミ箔に電気化学処理を施し、陽極アルミナフィルムを有するアルミ箔の構造を得る、第2回電気化学処理工程と、
(C)過塩素酸とエタノールの混合電解液中において、前記陽極アルミナフィルムを有するアルミ箔の構造に電気化学処理を施すことで、前記陽極アルミナフィルムと前記アルミ箔を分離させ、前記ナノ級先端を有する前記陽極アルミナ基板を得る、第3回電気化学処理工程と、
(D)前記陽極アルミナ基板の表面に、単層の金属をめっきし、前記金属ナノフィルムを形成する、金属めっき工程とを含む、
表面増強ラマン散乱基板の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の表面増強ラマン散乱基板の製造方法であって、
(A)15~25℃で、電解液中において5~40Vの直流でアルミ箔に電気化学処理を施し、前記アルミ箔の表面構造を変化させる、第1回電気化学処理工程と、
(B)複合パルス方形波で、更に前記アルミ箔に電気化学処理を施し、陽極アルミナフィルムを有するアルミ箔の構造を得る、第2回電気化学処理工程と、
(C)前記陽極アルミナフィルムを有するアルミ箔の構造をリン酸とクロム酸の混合溶液中に置き、前記陽極アルミナフィルムを除去し、表面構造を有するアルミ箔を得る、前記陽極アルミナフィルムの除去工程と、
(D)複合パルス方形波で、前記表面構造を有するアルミ箔に電気化学処理を施し、前記陽極アルミナ基板を得る、第3回電気化学処理工程と、
(E)前記陽極アルミナ基板の表面に、単層の金属をめっきし、前記金属ナノフィルムを形成する、金属めっき工程とを含む、
表面増強ラマン散乱基板の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ナノ粒子のない表面増強ラマン散乱基板、及びその製造方法に関する。特に、三次元孔構造を有する陽極アルミナ基板と、前記陽極アルミナ基板上の金属ナノフィルムとを含む表面増強ラマン散乱基板、及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
表面増強ラマン散乱(Surface Enhanced Raman Scattering、略してSERS)は、被検査物の分子内の結合をもとに、迅速かつ非破壊的に、非接触で光学分析を行うことが可能なスペクトル分析技術である。SERSは、ミクロン級やナノ級表面構造上に付着した貴金属をレーザーで励起させることにより、表面プラズモン共鳴現象を生じさせる。レーザーを照射する際に、局所電磁場が生じるため、金属の局所表面に電荷分離が生じ、ラマン信号が増幅される。そのため、分析科学、材料物理学、生物医学の分野で広く応用されている。SERS技術は高感度、非破壊性、液体サンプルを直接検査できる等の特性を有するため、農業研究、環境検査、分子生物検査、及び医療保健等の分野で運用されており、潜在性が高い分析ツールである。
【0003】
従来のSERS技術では、ラマン増強の方法として、銀粒子又は金粒子等の金属ナノ粒子が用いられているが、金属ナノ粒子は、制御が難しく、加えてレーザーに照射されると、形やピッチが変化しやすい。そのため、従来のSERS基板は、再現性と均一性が悪い。中国特開CN102621122Aにおいて、電気メッキを用いて複数のナノ級金属粒子を多孔質陽極アルミナフィルムの孔底に堆積させることで、SERSの検出能力を向上させる方法が開示されている。しかし、この特許技術はプロセスが複雑のみではなく、アルミナのバリア層を酸性ウェットエッチング又は破壊する必要があるため、環境汚染の恐れがある。また、ナノ級金属粒子を用いるため、SERS基板は再現性と均一性が悪い。
【0004】
陽極アルミナ(Anodic Aluminum Oxide、略してAAO)は多孔質のナノ材料である。基板としてケイ素、ガラス、又は高分子材料を用いる場合と比べ、AAOを用いた場合には、SERS基板は複雑かつコストの高いリソグラフィーやエッチングプロセスを経る必要がなくなる。
【0005】
なお、台湾特許公告第I731600号によれば、AAO基板を用いて製造したSERS基板は、電場がAAOのナノ孔に沿って増強されるため、SERSの検出能力を向上させることができる。しかし、この二次元構造のAAO基板を有するSERS基板は増強効果を有するが、濃度が極めて低い被検査物の検査ではまだ検出能力が不足しており、応用にはまだ困難がある。
【0006】
以上から、これまで多くのSERS基板に関する研究が行われてきたが、現在の産業界では、製造プロセスがよりシンプルで、より低コストで、汚染なしで、高再現性で、高均一性で、極めて低濃度の物質も検出できる(即ち、検出能力がより高い)SERS基板が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
台湾特許公告第I731600号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のことに鑑み、本発明は、金属ナノ粒子のないSERS基板、及びその製造方法を提供し、よりシンプルで、より低コストで、汚染のないプロセスを提供することを目的とする。また、前記プロセスにより製造されたSERS基板は、三次元孔構造のAAO基板を有し、極めて低濃度の物質も検出でき、再現性と均一性が高い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のSERS基板は、金属ナノ粒子ではなく金属ナノフィルムを用いることで、レーザー照射による金属ナノ粒子の形やピッチの変化を避け、SERS基板の再現性と均一性が向上する。
【0010】
また、本発明のSERS基板は、三次元孔構造のAAO基板を有する。下記のメカニズムにより、検出能力が極めて高いSERS基板が得られる。即ち、二次元構造を有する基板と比べ、三次元構造を有する基板は、三次元構造のAAO孔により、立体的に分布したホットスポットがより多く、かつホットスポットの強度がより高いため、より高い感度を得ることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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