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公開番号2025039500
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-21
出願番号2024021025
出願日2024-02-15
発明の名称子宮内膜がん患者の臨床的転帰を予測する方法、予測装置、予測プログラム、検査試薬、及び検査キット
出願人株式会社医学生物学研究所,国立研究開発法人国立がん研究センター
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類G01N 33/53 20060101AFI20250313BHJP(測定;試験)
要約【課題】
本発明は、新たなPOLE-mutに基づく子宮内膜がん患者の臨床的転帰を予測する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
子宮内膜がんを有する患者の臨床的転帰を予測する方法であって、前記方法は、
前記患者から採取した子宮内膜がん試料からDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異(POLE-EDM)に関連する情報を取得することと、
POLE-EDMが存在する場合、前記患者の臨床転帰は予後良好であると決定すること、及び/又はPOLE-EDMが存在しない場合、前記患者の臨床転帰は予後良好ではないと決定すること、を含む、前記方法により課題を解決する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
子宮内膜がんを有する患者の臨床的転帰を予測する方法であって、前記方法は、
前記患者から採取した子宮内膜がん試料からDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異(POLE-EDM)に関連する情報を取得することと、
POLE-EDMが存在する場合、前記患者の臨床転帰は予後良好であると決定すること、及び/又はPOLE-EDMが存在しない場合、前記患者の臨床転帰は予後良好ではないと決定すること、
を含む、前記方法であって、
前記POLE-EDMは、下記A)又はB)を含まない前記方法:
A)NCBI Reference Sequence: NP_006222.2で表されるPOLEのアミノ酸配列においてP286C、P286R、S297Y、S297F、V411L、A426V、P436R、M444K、A456P、S459F、及びA465Vから選択される単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異、
B)POLEアイソフォームのアミノ酸配列における前記変異に対応する単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記POLE-EDMが、
NCBI Reference Sequence:NP_006222.2で表されるPOLEのアミノ酸配列におけるN末端から299番目のM、363番目のN、367番目のF、369番目のW、459番目のS、及び463番目のAよりなる群から選択される少なくとも1つ、又は
POLEアイソフォームのアミノ酸配列における前記変異に対応する変異である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記POLE-EDMが、
NCBI Reference Sequence:NP_006222.2で表されるPOLEのアミノ酸配列におけるM299L、N363D、F367C、W369*(*はストップコドンを表す)、S459del、及びA463Vから選択される少なくとも1つ、又は
POLEアイソフォームのアミノ配列における前記変異に対応する変異である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
子宮内膜がんを有する患者の臨床的転帰を予測するための予測装置であって、
前記予測装置は、制御部を備え、
前記制御部は、前記患者から採取した子宮内膜がん試料から検出されたDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異(POLE-EDM)に関する情報を取得し、
POLE-EDMが存在する場合、前記患者の臨床転帰は予後良好であると決定し、及び/又はPOLE-EDMが存在しない場合、前記患者の臨床転帰は予後良好ではないと決定し、
前記POLE-EDMは、下記A)又はB)を含まない予測装置:
A)NCBI Reference Sequence: NP_006222.2で表されるPOLEのアミノ酸配列においてP286C、P286R、S297Y、S297F、V411L、A426V、P436R、M444K、A456P、S459F、及びA465Vから選択される単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異、
B)POLEアイソフォームのアミノ酸配列における前記変異に対応する単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異。
【請求項5】
コンピュータに実行させた時に、コンピュータに、
前記制御部は、子宮内膜がんを有する患者から採取した子宮内膜がん試料から検出されたDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異(POLE-EDM)に関する情報を取得し、
POLE-EDMが存在する場合、前記患者の臨床転帰は予後良好であると決定し、及び/又はPOLE-EDMが存在しない場合、前記患者の臨床転帰は予後良好ではないと決定する、
前記患者の臨床的転帰を予測するための予測プログラムであって、
前記POLE-EDMは、A)又はB)を含まない、前記予測プログラム:
A)NCBI Reference Sequence: NP_006222.2で表されるPOLEのアミノ酸配列においてP286C、P286R、S297Y、S297F、V411L、A426V、P436R、M444K、A456P、S459F、及びA465Vから選択される単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異、
B)POLEアイソフォームのアミノ酸配列における前記変異に対応する単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異。
【請求項6】
子宮内膜がんを有する患者から採取された子宮内膜がん試料におけるDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異(POLE-EDM)を検出するためのプライマー、プライマーセット、及び/又はプローブを含む、請求項1に記載の方法を実施するための試薬。
【請求項7】
請求項6に記載の試薬を含む、請求項1に記載の方法を実施するための検査キット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本明細書には、子宮内膜がん患者の臨床的転帰を予測する方法、予測装置、予測プログラム、検査試薬、及び検査キットが開示される。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
子宮内膜がんの分子分類は、4つのサブタイプを含む:(i) DNA polymerase epsilon 変異 (POLE-mut)、(ii)mismatch repair protein欠損 (MMR-D), (iii) protein 53異常発現 (p53abn)、及び (iv) no specific molecular profile (NSMP)(非特許文献1)。
POLE-mutとして、非特許文献2~11にいくつかの変異が報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
Leon-Castillo A, et al., J Pathol. 2020;250:312-22.
Shuangni Yu, et al., J Gynecol Oncol. 2022 May;33(3):e38. doi: 10.3802/jgo.2022.33.e38.
https://cancer.sanger.ac.uk/cosmic/mutation/overview?id=107938599
https://www.mycancergenome.org/content/alteration/pole-s297f/
https://cancer.sanger.ac.uk/cosmic/mutation/overview?id=107933199
Marina Stasenko, et al., Gynecol Oncol. 2020; 156(1): 194-202.
Leon-Castillo, et al., J Pathol. 2020;250:323-33
Eduard Dorca, et al., Virchows Archiv, 2023; 483: 787-794
https://www.mycancergenome.org/content/alteration/pole-s459f/
https://acsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cncr.29046
Caroline C. Billingsley., Cancer, 2015: 121(3): 386-394
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新たなPOLE-mutに基づく子宮内膜がん患者の臨床的転帰を予測する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書には以下の実施形態が開示される。
項1.
子宮内膜がんを有する患者の臨床的転帰を予測する方法であって、前記方法は、
前記患者から採取した子宮内膜がん試料からDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異(POLE-EDM)に関連する情報を取得することと、
POLE-EDMが存在する場合、前記患者の臨床転帰は予後良好であると決定すること、及び/又はPOLE-EDMが存在しない場合、前記患者の臨床転帰は予後良好ではないと決定すること、
を含む、前記方法であって、
前記POLE-EDMは、下記A)又はB)を含まない前記方法:
A)NCBI Reference Sequence: NP_006222.2で表されるPOLEのアミノ酸配列においてP286C、P286R、S297Y、S297F、V411L、A426V、P436R、M444K、A456P、S459F、及びA465Vから選択される単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異、
B)POLEアイソフォームのアミノ酸配列における前記変異に対応する単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異。
項2.
前記POLE-EDMが、
NCBI Reference Sequence:NP_006222.2で表されるPOLEのアミノ酸配列におけるN末端から299番目のM、363番目のN、367番目のF、369番目のW、459番目のS、及び463番目のAよりなる群から選択される少なくとも1つ、又は
POLEアイソフォームのアミノ酸配列における前記変異に対応する変異である、
項1に記載の方法。
項3.
前記POLE-EDMが、
NCBI Reference Sequence:NP_006222.2で表されるPOLEのアミノ酸配列におけるM299L、N363D、F367C、W369*(*はストップコドンを表す)、S459del、及びA463Vから選択される少なくとも1つ、又は
POLEアイソフォームのアミノ配列における前記変異に対応する変異である、
項2に記載の方法。
項4.
子宮内膜がんを有する患者の臨床的転帰を予測するための予測装置であって、
前記予測装置は、制御部を備え、
前記制御部は、前記患者から採取した子宮内膜がん試料から検出されたDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異(POLE-EDM)に関する情報を取得し、
POLE-EDMが存在する場合、前記患者の臨床転帰は予後良好であると決定し、及び/又はPOLE-EDMが存在しない場合、前記患者の臨床転帰は予後良好ではないと決定し、
前記POLE-EDMは、下記A)又はB)を含まない予測装置:
A)NCBI Reference Sequence: NP_006222.2で表されるPOLEのアミノ酸配列においてP286C、P286R、S297Y、S297F、V411L、A426V、P436R、M444K、A456P、S459F、及びA465Vから選択される単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異、
B)POLEアイソフォームのアミノ酸配列における前記変異に対応する単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異。
項5.
コンピュータに実行させた時に、コンピュータに、
前記制御部は、子宮内膜がんを有する患者から採取した子宮内膜がん試料から検出されたDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異(POLE-EDM)に関する情報を取得し、
POLE-EDMが存在する場合、前記患者の臨床転帰は予後良好であると決定し、及び/又はPOLE-EDMが存在しない場合、前記患者の臨床転帰は予後良好ではないと決定する、
前記患者の臨床的転帰を予測するための予測プログラムであって、
前記POLE-EDMは、A)又はB)を含まない、前記予測プログラム:
A)NCBI Reference Sequence: NP_006222.2で表されるPOLEのアミノ酸配列においてP286C、P286R、S297Y、S297F、V411L、A426V、P436R、M444K、A456P、S459F、及びA465Vから選択される単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異、
B)POLEアイソフォームのアミノ酸配列における前記変異に対応する単独、若しくはこれらの組み合わせのみの変異。
項6.
子宮内膜がんを有する患者から採取された子宮内膜がん試料におけるDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異(POLE-EDM)を検出するためのプライマー、プライマーセット、及び/又はプローブを含む、項1に記載の方法を実施するための試薬。
項7.
項6に記載の試薬を含む、項1に記載の方法を実施するための検査キット。
項8.
項1に記載の方法においてPOLE-EDMが存在する場合、外科的治療に加えて化学療法、分子標的療法、及び放射線療法を患者に適用せず、又はPOLE-EDMが存在する場合、外科的治療に加えて化学療法、分子標的療法、及び/又は放射線療法を患者に適用する、子宮内膜がん患者の治療方法。
【発明の効果】
【0006】
子宮内膜がん患者の臨床的転帰を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
予測装置10のハードウエア構成を示す。
予測プログラム104bによる処理の流れを示す。
NCCHにおけるPOLE-EDMを有していた患者(POLE-EDM)とPOLE-EDMを有していなかった患者(Non-POLE-EDM)の無再発生存期間(Relapse-free Survival)、及び生存期間(Overall Survival)を示す。
(i)POLE-EDM陽性群、(ii) ミスマッチ修復欠損(MMR-D)陽性群、(iii)p53abn陽性群、及び(iv) no specific molecular profile (NSMP)群の無再発生存期間(Relapse-free Survival)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.子宮内膜がん患者の臨床的転帰を予測する方法
ある実施形態は、子宮内膜がんを有する患者の臨床的転帰を予測する方法(以下、単に「予測方法」とも表記する)は、患者から採取した子宮内膜がん試料からDNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異(POLE-EDM)に関連する情報を取得することを含む。
【0009】
前記方法は、さらに、POLE-EDMが存在する場合、患者の臨床転帰は予後良好であると決定すること、及び/又はPOLE-EDMが存在しない場合、患者の臨床転帰は予後良好ではないと決定すること、を含む。
【0010】
POLE(ヒトDNAポリメラーゼε)は、例えばNCBI Reference Sequence: NP_006222.2(配列番号1)で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質である。
POLEは、DNAポリメラーゼドメイン、及びエキソヌクレアーゼドメインを含む。POLEのエキソヌクレアーゼドメインは、NP_006222.2(配列番号1)で表されるアミノ酸配列中、268番から471番までで表される。DNAポリメラーゼεエキソヌクレアーゼドメイン変異(POLE-EDM)は、POLEのエキソヌクレアーゼドメインにおける変異をいい、POLEのエキソヌクレアーゼドメインにおいて、1又は複数の変異が含まれ得る。配列番号1で表されるアミノ酸配列をコードするmRNA配列は、例えばReference Sequence: NM_006231.4(配列番号2)としてNCBIに登録されている。
(【0011】以降は省略されています)

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