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公開番号
2025072877
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-12
出願番号
2023183308
出願日
2023-10-25
発明の名称
非複製型牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)ワクチン
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
弁理士法人フィールズ国際特許事務所
主分類
A61K
39/21 20060101AFI20250501BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】新規な非複製型牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)ワクチンが提供される。
【解決手段】本発明によれば、pol遺伝子の機能の少なくとも一部が欠損した牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)ワクチンが提供される。本発明によれば、免疫原性が高く、かつ、感染した対象において複製しない安全性の高いBLVワクチンを提供できる点で有利である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
pol遺伝子の機能の少なくとも一部が欠損した牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)を含む、BLVワクチン。
続きを表示(約 270 文字)
【請求項2】
接種回数が2回以上であり、かつ、接種間隔が1週以上である、請求項1に記載のBLVワクチン。
【請求項3】
非複製型牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)産生細胞を培養する工程を含む、BLVワクチンの製造方法であって、非複製型BLV産生細胞がpol遺伝子の機能の少なくとも一部が欠損した牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)の遺伝子を含んでなるものである、製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載のワクチンを対象に接種する工程を含む、BLVの予防方法または治療方法(但し、対象からヒトを除く)。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、非複製型牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)ワクチンに関する。
続きを表示(約 4,800 文字)
【背景技術】
【0002】
牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)は、悪性Bリンパ腫である地方病性牛伝染性リンパ腫(EBL)の原因ウイルスであり、宿主細胞のDNAにプロウイルスとして組み込まれるレトロウイルスである。BLV感染牛の約7割は未発症健康、約3割は持続的リンパ球増多症であり、長年の潜伏期間を経て約数%が牛伝染性リンパ腫を発症する(非特許文献1および2)。
【0003】
近年、EBLは増加し続けているが、EBLに対する予防効果のあるワクチンの開発には至っていない。その主な要因の一つとして、BLV感染細胞からのウイルス産生量が同じレトロウイルス科に属するエイズウイルスの約1000から10000分の1と極めて少なく、不活化ワクチンや細胞由来ワクチンの開発が困難であったことが挙げられる。これまでに、BLVの産生量を高めるための発現ベクターの開発等が試みられてきたが(特許文献1)、レトロウイルスであるBLVは感染後、宿主のゲノムにウイルス遺伝子が組み込まれるリスクがあるため、生ワクチンの実用化における問題が依然として残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2019-24351号公報
【非特許文献】
【0005】
Gillet NA, et al., Retrovirology, 2007, 4: 18.
Aida Y, et al., Frontiers in Microbiology, 2013, 4: 328.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、新規な非複製型牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)ワクチンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは今般、感染能を有し、かつ、複製能を失った牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)を産生する、ウイルス産生細胞株の樹立に成功し、該細胞株が産生するウイルスの遺伝子配列を解析した結果、pol遺伝子の一部が欠失していることを見出した。本発明者らはまた、該ウイルスの接種によりマウスおよびウシにおいて抗体産生が誘導されることを見出すとともに、当該マウスおよびウシから採取した血清のBLVに対する中和抗体価が経時的に上昇することを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0008】
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]pol遺伝子の機能の少なくとも一部が欠損した牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)を含む、BLVワクチン。
[2]接種回数が2回以上であり、かつ、接種間隔が1週以上である、上記[1]に記載のBLVワクチン。
[3]非複製型牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)産生細胞を培養する工程を含む、BLVワクチンの製造方法であって、非複製型BLV産生細胞がpol遺伝子の機能の少なくとも一部が欠損した牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)の遺伝子を含んでなるものである、製造方法。
[4]上記[1]または[2]に記載のワクチンを対象に接種する工程を含む、BLVの予防方法または治療方法(但し、対象からヒトを除く)。
【0009】
本発明によれば、免疫原性が高く、かつ、感染した対象では複製しない安全性の高い牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)ワクチンを提供できる点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、野生型BLVの遺伝子構成を示すとともに、CMVΔU3-pBLV-416ΔRTプラスミド(pBLV-416ΔRT)のpol遺伝子の欠失部分をCMVΔU3-pBLV-416プラスミド(pBLV-416)との対比において示す。
図2Aは、pBLV-416ΔRTおよびpBLV-416のpol遺伝子領域をPCRで増幅した結果をそれぞれ示す。なお、陰性対照には空ベクターであるpBluescript II KS(-)プラスミドを使用し、陽性対照にはBLV持続感染細胞であるFLK-BLV細胞を使用した。図2Bは、pBLV-416ΔRT導入細胞およびpBLV-416導入細胞により産生されるウイルスタンパク質の発現について、BLV感染牛血清(左)およびBLV非感染牛血清(右)を用いたウエスタンブロットの結果をそれぞれ示す。なお、陰性対照には空ベクターであるpBluescript II KS(-)プラスミドを導入した細胞を使用し、陽性対照にはBLV持続感染細胞であるFLK-BLV細胞を使用した。
図3は、pBLV-416ΔRT導入細胞およびpBLV-416導入細胞におけるウイルスタンパク質の細胞内局在について、免疫蛍光抗体法の結果をそれぞれ示す。なお、陰性対照には空ベクターであるpBluescript II KS(-)プラスミドを導入した細胞を使用し、陽性対照にはBLV持続感染細胞であるFLK-BLV細胞を使用した。
図4は、pBLV-416ΔRT導入細胞およびpBLV-416導入細胞におけるウイルスタンパク質の発現量について、ウエスタンブロットの結果をそれぞれ示す。なお、陰性対照には空ベクターであるpBluescript II KS(-)プラスミドを導入した細胞を使用し、陽性対照にはBLV持続感染細胞であるFLK-BLV細胞を使用した。スチューデントのt検定の結果、
*
はp<0.05、
**
はp<0.01をそれぞれ示す。
図5は、pBLV-416ΔRT導入細胞およびpBLV-416導入 細胞におけるシンシチウム形成能の結果をそれぞれ示す。なお、陰性対照に は空ベクターであるpBluescript II KS(-)プラスミドを導入した細胞を使用した。スチューデントのt検定の結果、
**
はp<0.01、
***
はp<0.001をそれぞれ示す。
図6は、pBLV-416ΔRT導入細胞およびpBLV-416導入細胞における細胞間感染能の結果をそれぞれ示す。なお、陰性対照には空ベクターであるpBluescript II KS(-)プラスミドを導入した細胞を使用し、陽性対照にはBLV持続感染細胞であるFLK-BLV細胞を使用した。
図7Aは、pBLV-416ΔRT導入細胞およびpBLV-416導入細胞により産生されたウイルスタンパク質の放出量をそれぞれ示す。図7Bは、pBLV-416ΔRT導入細胞およびpBLV-416導入細胞により産生されたウイルスタンパク質の逆転写酵素活性をそれぞれ示す。図7Cは、pBLV-416ΔRT導入細胞およびpBLV-416導入細胞におけるシンシチウム形成能の結果をそれぞれ示す。図7Dは、pBLV-416ΔRT導入細胞およびpBLV-416導入細胞から放出されたウイルスタンパク質について、ウエスタンブロットの結果をそれぞれ示す。なお、陰性対照には空ベクターであるpBluescript II KS(-)プラスミドを導入した細胞を使用し、陽性対照にはBLV持続感染細胞であるFLK-BLV細胞を使用した。スチューデントのt検定の結果、
***
はp<0.001を示す。
図8は、野生型BLVの遺伝子構成を示すとともに、CMVΔU3-pBLV-IFΔRTプラスミド(pBLV-IFΔRT)のpol遺伝子の欠失部分をCMVΔU3-pBLV-IFプラスミド(pBLV-IF)との対比において示す。
図9Aは、pBLV-IFΔRT導入細胞およびpBLV-IF導入細胞におけるウイルスタンパク質の発現量について、ウエスタンブロットの結果をそれぞれ示す。図9Bは、pBLV-IFΔRT導入細胞およびpBLV-IF導入細胞におけるシンシチウム形成能の結果をそれぞれ示す。図9Cは、pBLV-IFΔRT導入細胞およびpBLV-IF導入細胞の培養上清中のウイルス量をCapture ELISAで測定した結果をそれぞれ示す。なお、陰性対照には空ベクターであるpBluescript II KS(-)プラスミドを導入した細胞を使用し、陽性対照にはBLV持続感染細胞であるFLK-BLV細胞を使用した。スチューデントのt検定の結果、
*
はp<0.05、
**
はp<0.01、
***
はp<0.001をそれぞれ示す。
図10Aは、pBLV-416ΔRT導入細胞およびpBLV-416導入細胞により産生されたウイルスタンパク質をマウスに接種した実験のスケジュールを示す。図10Bは、接種後3週目の血液細胞中のBLV遺伝子について、Nested PCR法の結果を示す。図10Cは、マウスから摘出した脾臓細胞とCC81-GREMG細胞を共培養した結果を示す。図10Dは、接種後0~6週目までの抗p24抗体をELISAにより定量した結果を示す。陰性対照にはPBSを使用し、陽性対照にはBLV持続感染細胞であるFLK-BLV細胞を使用した。スチューデントのt検定の結果、
*
はp<0.05を示す。
図11は、野生型BLVの遺伝子構成を示すとともに、PK15-BLVΔRT細胞株中のBLVのpol遺伝子の欠失部分をCMVΔU3-pBLV-416プラスミド(pBLV-416)との対比において示す。
図12は、PK15-BLVΔRT細胞株におけるウイルスタンパク質の発現量について、ウエスタンブロットの結果を示す。なお、陽性対照にはBLV持続感染細胞であるFLK-BLV細胞を使用した。
図13は、PK15-BLVΔRT細胞株におけるウイルスタンパク質の細胞内局在について、免疫蛍光抗体法の結果を示す。なお、陽性対照にはBLV持続感染細胞であるFLK-BLV細胞を使用した。
図14Aは、PK15-BLVΔRT細胞株により産生されたウイルスタンパク質の放出量を示す。図14Bは、His-p24抗原を標準として作成した標準曲線を示す。
図15は、PK15-BLVΔRT細胞株により産生されたウイルスを接種したマウス(PK15-BLVΔRT)および陰性対照としてPBSを接種したマウス(PBS)における抗p24抗体の産生量の推移をそれぞれ示す(各群n=5)。なお、エラーバーは標準偏差を示す。
図16は、PK15-BLVΔRT細胞株により産生されたウイルスを接種したマウスから採取した血清(0週、3週、6週)の中和抗体価を示す。
図17は、PK15-BLVΔRT細胞株により産生されたウイルスを接種したウシにおける抗p24抗体の産生量の推移を示す。
図18は、PK15-BLVΔRT細胞株により産生されたウイルスを接種したウシにおける抗gp51抗体の産生量の推移を示す。
図19は、PK15-BLVΔRT細胞株により産生されたウイルスを接種したウシにおけるプロウイルス量の推移を示す。
図20は、PK15-BLVΔRT細胞株により産生されたウイルスを接種したウシにおけるリンパ数の推移を示す。
図21は、PK15-BLVΔRT細胞株により産生されたウイルスを接種したウシから採取した血清(0週、3週、6週)の中和抗体価を示す。
【発明の具体的説明】
(【0011】以降は省略されています)
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