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公開番号2025032874
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-12
出願番号2023138372
出願日2023-08-28
発明の名称アンモニア製造方法
出願人国立大学法人 東京大学,出光興産株式会社
代理人弁理士法人平和国際特許事務所
主分類C01C 1/04 20060101AFI20250305BHJP(無機化学)
要約【課題】サマリウムを用いなくてもアンモニアを製造できるアンモニア製造方法を提供する。
【解決手段】(1)窒素を活性化する錯体、(2)プロトン源、(3)電子源、及び(4)サマリウムを構成元素として含まないルイス酸を用いて、窒素からアンモニアを製造する、アンモニア製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(1)窒素を活性化する錯体、(2)プロトン源、(3)電子源、及び(4)サマリウムを構成元素として含まないルイス酸を用いて、窒素からアンモニアを製造する、アンモニア製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記窒素を活性化する錯体を還元することを含む、請求項1に記載のアンモニア製造方法。
【請求項3】
前記ルイス酸が、水と反応させたときにpH2.0~8.3を示すルイス酸である、請求項1又は2に記載のアンモニア製造方法。
【請求項4】
前記ルイス酸が、塩素を構成元素として含まないルイス酸である、請求項1~3のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
【請求項5】
前記ルイス酸が、ホウ素化合物、ネオジム化合物、イッテルビウム化合物、ランタン化合物、ハフニウム化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、ガリウム化合物、スカンジウム化合物、インジウム化合物、銀化合物、銅化合物、イットリウム化合物、チタン化合物、亜鉛化合物及びマンガン化合物からなる群から選択される1種以上である、請求項1~3のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
【請求項6】
前記ルイス酸が、トリスペンタフルオロフェニルボラン、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)、スカンジウム(III)トリフラート、ネオジム(III)トリフラート、イッテルビウム(III)トリフラート、ランタン(III)トリフラート、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF

・Et

O)、トリフルオロメタンスルホン酸マンガン(II)、2,4-(CF



-C





B、B(Mesityl)

F、FeCl

、GaCl

、YbCl

・6H

O、ハフニウム(IV)トリフラート及びAlCl

からなる群から選択される1種以上である、請求項1~5のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
【請求項7】
前記窒素を活性化する錯体がモリブデン錯体である、請求項1~6のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
【請求項8】
前記プロトン源が、水及びアルコールからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1~7のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
【請求項9】
前記電子源が、還元剤及び電極からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1~8のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
【請求項10】
アンモニア生成における電子効率が10%以上である、請求項1~9のいずれかに記載のアンモニア製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示技術は、アンモニア製造方法に関する。
具体的には、本開示技術は、レアアースであるサマリウムを用いなくてもアンモニアを製造できるアンモニア製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
アンモニアは、肥料や化学製品の基礎材料として用いられる重要な化学原料であり、近年は石炭火力発電混焼やエネルギーキャリアとしての利用が注目されている。アンモニアの化学合成は、100年以上前にドイツの研究者ハーバーとボッシュが鉄系触媒を用い大量生産に成功した。このハーバー・ボッシュ法は、下記反応式に示すように、空気中の窒素と化石燃料中の水素との反応によってアンモニアを製造するものである。


+3H

→ 2NH

しかしながら、上記の反応は、高温高圧(400~600℃、100~200気圧)の条件で行われる。また、使用される水素は化石燃料由来であり、温室効果ガスである二酸化炭素を排出する。
【0003】
再生エネルギーを用いた水の電気分解で水素を得る方法も提案されている。しかしながら、アンモニアの製造には大型で、特殊な材質の装置が必要であり、製造には大きなエネルギーを必要とする。
【0004】
西林仁昭らは、特定のMo錯体触媒を用いて、常温常圧下で、水をプロトン源とし、アンモニア製造が可能であることを見出した(特許文献1、2及び非特許文献1)。また、西林仁昭らは、特定のMo錯体触媒に電子求引基を導入することで触媒の活性を向上させた(特許文献3及び非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2010-195703号公報
特開2013-159568号公報
国際公開第2022/025054号
【非特許文献】
【0006】
Y.Ashida, K.Arashiba, K.Nakajima, and Y.Nishibayashi., Molybdenum-Catalysed Ammonia Production with Samarium Diiodide and Alcohols or Water, Nature, 2019, 568, 536-540
Y.Ashida, T.Mizushima, K.Arashiba, A.Egi, H.Tanaka, K.Yoshizawa, and Y.Nishibayashi., Catalytic Production of Ammonia from Dinitrogen Employing Molybdenum Complexes Bearing N-Heterocyclic Carbene-Based PCP-Type Pincer Ligands, Nature Synthesis, 2023, 2, 635-644
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、窒素からアンモニアを生成するためには、プロトン(H

)及び電子(e

)が供給される必要がある。ここで、H

Oをプロトン源及び電子源として用いようとしても、H

O内のO-H結合が非常に強いため、通常は困難である。これに対して、上述した従来の技術では、SmI

にH

Oを配位させることでH

O内のO-H結合を弱めて、下記プロトン共役電子移動(proton-coupled electron transfer:PCET)反応によりプロトン(H

)及び電子(e

)を供給可能にしている。その結果、Mo錯体の存在下で、下記アンモニア生成反応により、窒素からアンモニアが生成する。
・PCET反応
SmI

+H

O→SmI

(H

O)→SmI

(OH)+H

+e

・アンモニア生成反応(Mo錯体触媒の存在下)


+6SmI

+6H

O→2NH

+6SmI

(OH)
【0008】
しかしながら、以上のようなアンモニア製造方法では、レアアースであるサマリウムを含む還元剤を、生成するアンモニアの3倍モル必要とする点から、コスト等の観点で改善の余地がある。
【0009】
本開示技術の目的の1つは、サマリウムを用いなくてもアンモニアを製造できるアンモニア製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討の結果、窒素を活性化する錯体、プロトン源、電子源、及びサマリウムを構成元素として含まないルイス酸を用いることにより、サマリウムを用いなくても、窒素からアンモニアを製造できることを見出し、本開示技術を完成した。
本開示技術によれば、以下のアンモニア製造方法等を提供できる。
1.(1)窒素を活性化する錯体、(2)プロトン源、(3)電子源、及び(4)サマリウムを構成元素として含まないルイス酸を用いて、窒素からアンモニアを製造する、アンモニア製造方法。
2.前記窒素を活性化する錯体を還元することを含む、1に記載のアンモニア製造方法。
3.前記ルイス酸が、水と反応させたときにpH2.0~8.3を示すルイス酸である、1又は2に記載のアンモニア製造方法。
4.前記ルイス酸が、塩素を構成元素として含まないルイス酸である、1~3のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
5.前記ルイス酸が、ホウ素化合物、ネオジム化合物、イッテルビウム化合物、ランタン化合物、ハフニウム化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、ガリウム化合物、スカンジウム化合物、インジウム化合物、銀化合物、銅化合物、イットリウム化合物、チタン化合物、亜鉛化合物及びマンガン化合物からなる群から選択される1種以上である、1~3のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
6.前記ルイス酸が、トリスペンタフルオロフェニルボラン、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)、スカンジウム(III)トリフラート、ネオジム(III)トリフラート、イッテルビウム(III)トリフラート、ランタン(III)トリフラート、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF

・Et

O)、トリフルオロメタンスルホン酸マンガン(II)、2,4-(CF



-C





B、B(Mesityl)

F、FeCl

、GaCl

、YbCl

・6H

O、ハフニウム(IV)トリフラート及びAlCl

からなる群から選択される1種以上である、1~5のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
7.前記窒素を活性化する錯体がモリブデン錯体である、1~6のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
8.前記プロトン源が、水及びアルコールからなる群から選択される1種以上を含む、1~7のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
9.前記電子源が、還元剤及び電極からなる群から選択される1種以上を含む、1~8のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
10.アンモニア生成における電子効率が10%以上である、1~9のいずれかに記載のアンモニア製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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