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公開番号
2025072090
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-09
出願番号
2023182607
出願日
2023-10-24
発明の名称
腫瘍治療用の医薬組成物および組合せ治療薬
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
A61K
51/10 20060101AFI20250430BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】腹膜播種を有しかつ腹膜播種とは別の腫瘍を有する転移がん患者において当該別の腫瘍を治療する技術を提供する。
【解決手段】腹膜播種を有しかつ腹膜とは別の部位に第1の腫瘍を有する転移がん患者において第1の腫瘍を治療するための医薬組成物であって、医薬組成物は、腹膜播種の細胞表面に発現される腫瘍関連抗原に対する標的化部分にコンジュゲート化されたアスタチン-211を含み、腹腔内投与され、免疫チェックポイント阻害剤との併用で投与される。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
腹膜播種を有しかつ腹膜とは別の部位に第1の腫瘍を有する転移がん患者において前記第1の腫瘍を治療するための医薬組成物であって、
前記医薬組成物はアスタチン-211を含み、前記アスタチン-211は腹膜播種の細胞表面に発現される腫瘍関連抗原に対する標的化部分にコンジュゲート化されており、
前記医薬組成物は腹腔内投与され、
前記医薬組成物は免疫チェックポイント阻害剤との併用で投与される、
医薬組成物。
続きを表示(約 1,400 文字)
【請求項2】
前記標的化部分は、前記腫瘍関連抗原に対する抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含むか、または、
前記標的化部分は、前記腫瘍関連抗原に対する抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含み、かつ、
211
At-C
6
H
4
-CONH-の基を介してアスタチン-211とコンジュゲート化されている、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、抗PD-L1抗体、もしくはそれらの抗原結合フラグメント、またはそれらの2つ以上の組合せである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記医薬組成物は、前記第1の腫瘍と共に前記腹膜播種を治療する用途のものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記第1の腫瘍は原発巣にあり前記腹膜播種は前記第1の腫瘍からの転移腫瘍であるか、または、前記第1の腫瘍および前記腹膜播種はどちらも原発巣からの転移腫瘍である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記原発巣は胃がんである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記腫瘍関連抗原は、CEACAM5、CEACAM6、CLDN4、CLDN7、EpCAM、CA72-4、CA19-9、および増殖因子受容体からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記増殖因子受容体は、EGFR、HER2、EGFR3、EGFR4、c-MET、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、VEGF受容体、インスリン受容体、およびPDGF受容体からなる群から選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記腫瘍関連抗原はFGFR4であり、前記標的化部分は、
(i)配列番号1に対して95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号2に対して95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、抗FGFR4抗体もしくはその抗原結合フラグメントであるか、または、
(ii)配列番号4に対して95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号5に対して95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗FGFR4抗体である、
請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
腹膜播種を有しかつ腹膜とは別の部位に第1の腫瘍を有する転移がん患者において前記第1の腫瘍を治療するための組合せ治療薬であって、前記組合せ治療薬は、
アスタチン-211と、
抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、抗PD-L1抗体、およびそれらの抗原結合フラグメント、ならびにそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される免疫チェックポイント阻害剤と
を組み合わせてなり、
前記アスタチン-211は、腹膜播種の細胞表面に発現される腫瘍関連抗原に対する標的化部分にコンジュゲート化されていて腹腔内投与され、前記免疫チェックポイント阻害剤は腹腔内投与または静脈内投与される、
組合せ治療薬。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は腫瘍の治療に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)
【背景技術】
【0002】
ヒトを含む哺乳類の体内において消化器系、泌尿器系等の臓器を収容する空間が腹腔であり、腹腔内の臓器は腹膜により覆われている。腹腔のなかの臓器に発生したがんの細胞が、その臓器から漏れ出て腹膜に転移して、種が播かれたような外観で腹膜表面上に散らばって形成される腫瘍が腹膜播種である。腹膜播種は、胃がん、膵臓がん、大腸がんなどの消化器がん、および卵巣がん、尿管がんなどを原発巣とし得、特に胃がんにおいては、腹膜播種はリンパ節転移および肝転移と並んで最も頻度が高い転移の一つである。
【0003】
腹膜播種に対しては、現在有効な治療法がほとんどない。手術で腹膜播種を完全に除去することは難しく、また仮に術後に肉眼的には除去されたと見える場合でも、再発することが多い。そのため、例えば胃がんの腹膜播種に対して通常は胃の切除は行われず、抗がん剤の点滴静脈注射や内服による全身化学療法が行われることが多い。いずれにせよ一般に、腹膜播種を伴うがんは予後が不良な深刻な状態である。腹膜播種自体も、著しい腹部膨満感、吐き気、嘔吐等の症状を伴いながら腸閉塞、腹水、水腎症、および癌性腹膜炎など、生命を脅かす病態につながる。また、腹膜播種と同時に存在する転移能の高い悪性腫瘍も、継続的な腹膜播種その他の転移がん発生の温床であり、当然ながら、可能な限り減少または消失させることが望まれるものであるが、それが腹膜播種と共存するという事実、および既に転移を示しているという事実は、焦点を絞った効果的な治療を行うことを一層困難にする。
【0004】
非特許文献1は、免疫不全マウスの腹腔にHER2陽性ヒト胃がん細胞を注入することにより作製した腹膜転移モデルにおいて、α線放射核種であるアスタチン-211(
211
At)で標識された抗HER2抗体トラスツズマブが、腹膜播種を消失させることができたことを記載している。
【0005】
特に腹膜播種に言及する文献ではない特許文献1は、チェックポイント蛋白質の阻害と、がん細胞損傷の標的化療法とを組み合わせると、より毒性が低く効力が改善された療法を提供し得ることを記載している。特許文献1は、マウス結腸がんモデルに対して、アクチニウム-225(
225
Ac)で標識された抗IGF-1R抗体とチェックポイント阻害剤を併用する実験により実証を行っている。チェックポイント阻害剤による処置単独では、そのマウス結腸がんの腫瘍体積の中程度の減少を示し、
225
Ac標識抗体による処置単独では、腫瘍体積のより大きな減少を示したが、両者を合わせて投与すると、腫瘍体積がさらに著しく小さくなったことが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Li et al., Cancer Sci 108 (2017) 1648-1656
【特許文献】
【0007】
国際公開第2020/115556号
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、腹膜播種の細胞表面に発現される腫瘍関連抗原に対して標的化されたある種のアルファ線放射核種を腹腔内投与し、さらにそれを免疫チェックポイント阻害剤の使用と組み合わせると、腹膜播種の減少はもとより、腹膜とは別の部位に存在する別の腫瘍の増大の有意な抑制も得られることを見出した。従って本開示の実施形態は、腹膜播種を有しかつ腹膜播種とは別の腫瘍を有する転移がん患者において当該別の腫瘍を治療する技術を提供するものである。
【0009】
本開示は以下の実施形態を含む。
[1]
腹膜播種を有しかつ腹膜とは別の部位に第1の腫瘍を有する転移がん患者において前記第1の腫瘍を治療するための医薬組成物であって、
前記医薬組成物はアスタチン-211を含み、前記アスタチン-211は腹膜播種の細胞表面に発現される腫瘍関連抗原に対する標的化部分にコンジュゲート化されており、
前記医薬組成物は腹腔内投与され、
前記医薬組成物は免疫チェックポイント阻害剤との併用で投与される、
医薬組成物。
[2]
前記標的化部分は、前記腫瘍関連抗原に対する抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含むか、または、
前記標的化部分は、前記腫瘍関連抗原に対する抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含み、かつ、
211
At-C
6
H
4
-CONH-の基を介してアスタチン-211とコンジュゲート化されている、
[1]に記載の医薬組成物。
[3]
前記免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、抗PD-L1抗体、もしくはそれらの抗原結合フラグメント、またはそれらの2つ以上の組合せである、[1]または[2]に記載の医薬組成物。
[4]
前記医薬組成物は、前記第1の腫瘍と共に前記腹膜播種を治療する用途のものである、[1]~[3]にいずれか一項に記載の医薬組成物
[5]
前記第1の腫瘍は原発巣にあり前記腹膜播種は前記第1の腫瘍からの転移腫瘍であるか、または、前記第1の腫瘍および前記腹膜播種はどちらも原発巣からの転移腫瘍である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[6]
前記原発巣は胃がんである、[5]に記載の医薬組成物。
[7]
前記腫瘍関連抗原は、CEACAM5、CEACAM6、CLDN4、CLDN7、EpCAM、CA72-4、CA19-9、および増殖因子受容体からなる群から選択される、[1]~[6]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[8]
前記増殖因子受容体は、EGFR、HER2、EGFR3、EGFR4、c-MET、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、VEGF受容体、インスリン受容体、およびPDGF受容体からなる群から選択される、[7]に記載の医薬組成物。
[9]
前記腫瘍関連抗原はFGFR4であり、前記標的化部分は、
(i)配列番号1に対して95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号2に対して95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、抗FGFR4抗体もしくはその抗原結合フラグメントであるか、または、
(ii)配列番号4に対して95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号5に対して95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗FGFR4抗体である、
[8]に記載の医薬組成物。
[10]
腹膜播種を有しかつ腹膜とは別の部位に第1の腫瘍を有する転移がん患者において前記第1の腫瘍を治療するための組合せ治療薬であって、前記組合せ治療薬は、
アスタチン-211と、
抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、抗PD-L1抗体、およびそれらの抗原結合フラグメント、ならびにそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される免疫チェックポイント阻害剤と
を組み合わせてなり、
前記アスタチン-211は、腹膜播種の細胞表面に発現される腫瘍関連抗原に対する標的化部分にコンジュゲート化されていて腹腔内投与され、前記免疫チェックポイント阻害剤は腹腔内投与または静脈内投与される、
組合せ治療薬。
[11]
前記標的化部分は、前記腫瘍関連抗原に対する抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含むか、または、
前記標的化部分は、前記腫瘍関連抗原に対する抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含み、かつ、
211
At-C
6
H
4
-CONH-の基を介してアスタチン-211とコンジュゲート化されている、
[10]に記載の組合せ治療薬。
[12]
前記組合せ治療薬は、前記第1の腫瘍と共に前記腹膜播種を治療する用途のものである、[10]または[11]に記載の組合せ治療薬。
[13]
前記第1の腫瘍は原発巣にあり前記腹膜播種は前記第1の腫瘍からの転移腫瘍であるか、または、前記第1の腫瘍および前記腹膜播種はどちらも原発巣からの転移腫瘍である、[10]~[12]のいずれか一項に記載の組合せ治療薬。
[14]
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、抗FGFR4抗体にコンジュゲート化された
211
At、免疫チェックポイント阻害剤、またはそれらの組合せが投与されたマウスにおける、第1の腫瘍のサイズの推移を、非投与対照群の腫瘍サイズと比べて示している。
図2は図1と同様の実験を例示するが、2種の免疫チェックポイント阻害剤ではなく1種だけの免疫チェックポイント阻害剤が使用されている。
図3は、
211
At-antiFGFR4の腹腔内投与(i.p.)による
211
Atの腹腔蓄積を、非コンジュゲート化
211
At投与ならびに静脈内投与(i.v.)および胃内投与(i.g.)した場合と比べて示す定量結果である。
図4は
211
At投与後10日目の腹膜播種の状態を示す腹腔切開の写真である。
図5は、
211
At投与後7日目の腹膜播種の組織のヘマトキシリン・エオジン染色(上段)、抗リン酸化ヒストンH2A.X染色(中段)、および抗HMGB1染色(下段)を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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