特許ウォッチ

公開番号2025086390
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-09
出願番号2023200312
出願日2023-11-28
発明の名称IPアドレス付与装置
出願人サクサ株式会社,サクサシステムエンジニアリング株式会社
代理人個人,個人
主分類H04L 61/5014 20220101AFI20250602BHJP(電気通信技術)
要約【課題】同じネットワークに複数のIPアドレス付与装置を設けた場合において、適切に分散化を実現し、動的な変化にも対応し得るようにする。
【解決手段】許可リスト登録部121が、自機からのIPアドレスの付与先として許可するクライアント装置のクライアント識別情報を受け付けて、許可リスト記憶部1032に登録する。発見メッセージの送信→提案メッセージの受信→辞退メッセージの送信といった一連のメッセージの送受信を通じて、他のIPアドレス付与装置の存在を認識する。存在を認識した他のIPアドレス付与装置に対して、少なくとも許可リスト記憶部1032に記憶されている許可MACアドレスを提供する。当該他のIPアドレス付与装置では、送信されて来る許可MACアドレスを受信して、無視リスト記憶部1033に記憶する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項１】
自機からのＩＰアドレスの付与先として許可するクライアント装置のクライアント識別情報を受け付けて、許可リスト記憶部に登録する許可リスト登録手段と、
同じネットワークに接続された他のＩＰアドレス付与装置を発見するために用いられる発見メッセージを送信する発見メッセージ送信処理手段と、
前記発見メッセージを受信した前記他のＩＰアドレス付与装置からの、提供可能なＩＰアドレスと当該他のＩＰアドレス付与装置の付与装置識別情報とを含む提案メッセージを受信する提案メッセージ受信処理手段と、
前記提案メッセージの送信元の前記他のＩＰアドレス付与装置に対して、ＩＰアドレスの付与の辞退を通知する辞退メッセージを送信する辞退メッセージ送信手段と、
前記提案メッセージの送信元の前記他のＩＰアドレス付与装置に対して、自機の装置識別情報と、少なくとも前記許可リスト記憶部に記憶されている前記クライアント識別情報を送信する許可リスト提供手段と、
前記他のＩＰアドレス付与装置からの前記発見メッセージを受信する発見メッセージ受信処理手段と、
前記発見メッセージ受信処理手段を通じて、前記発見メッセージを受信した場合に、前記提案メッセージを形成して送信する提案メッセージ送信処理手段と、
前記他のＩＰアドレス付与装置からの前記付与装置識別情報と前記クライアント識別情報とを受信する識別情報受信処理手段と、
前記識別情報受信処理手段を通じて前記付与装置識別情報と前記クライアント識別情報とを受信した場合に、送信元の前記他のＩＰアドレス付与装置に対して、応答メッセージを送信する応答メッセージ送信処理手段と、
前記識別情報受信処理手段を通じて受信した前記クライアント識別情報を、無視リスト記憶部に登録する無視リスト登録手段と
を備えることを特徴とするＩＰアドレス付与装置。
続きを表示（約 1,200 文字）【請求項２】
請求項１に記載のＩＰアドレス付与装置であって、
同じネットワークに接続された他のＩＰアドレス付与装置の装置識別情報を記憶保持する他サーバリスト記憶部の前記装置識別情報により特定されるＩＰアドレス付与装置のそれぞれに対して、定期的に、存在することを確認するための確認メッセージを送信する確認メッセージ送信処理手段と、
前記確認メッセージを送信した相手先であるＩＰアドレス付与装置からの確認応答メッセージを受信する確認応答メッセージ受信処理手段と、
前記確認応答メッセージ受信処理手段を通じて前記確認応答メッセージを受信した場合には、当該確認応答メッセージの送信先のＩＰアドレス付与装置に対して、少なくとも前記許可リスト記憶部のクライアント識別情報を提供する第２の許可リスト提供手段と、
前記確認メッセージ送信処理手段を通じて前記確認メッセージの送信先のＩＰアドレス付与装置から前記確認応答メッセージが送信されてこなかった場合に、当該送信先のＩＰアドレス付与装置の付与装置識別情報により特定される前記他サーバリスト記憶部の１以上の前記クライアント識別情報を、前記無視リスト記憶部から削除する無視リスト削除手段と、
前記他のＩＰアドレス付与装置からの前記確認メッセージを受信する確認メッセージ受信処理手段と、
前記確認メッセージ受信処理手段を通じて、前記確認メッセージを受信した場合に、前記確認応答メッセージを形成して送信する確認メッセージ送信手段と、
前記確認メッセージ送信手段を通じて、前記確認応答メッセージを送信した場合に、送信されて来るクライアント識別情報を用いて、前記無視リスト記憶部のクライアント識別情報を更新する無視リスト更新手段と
を備えることを特徴とするＩＰアドレス付与装置。
【請求項３】
請求項１に記載のＩＰアドレス付与装置であって、
クライアント装置に対してＩＰアドレスを付与した場合に、付与先のクライアント識別情報を含む割り当て済みリストを保持する割り当て済みリスト保持手段を備え、
前記許可リスト提供手段は、前記許可リスト記憶部の前記クライアント識別情報に加えて、前記割り当て済みリスト保持手段の前記クライアント識別情報を送信する
ことを特徴とするＩＰアドレス付与装置。
【請求項４】
請求項２に記載のＩＰアドレス付与装置であって、
クライアント装置に対してＩＰアドレスを付与した場合に、付与先のクライアント識別情報を含む割り当て済みリストを保持する割り当て済みリスト保持手段を備え、
前記第２の許可リスト提供手段は、前記許可リスト記憶部の前記クライアント識別情報に加えて、前記割り当て済みリスト保持手段の前記クライアント識別情報を送信する
ことを特徴とするＩＰアドレス付与装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
この発明は、例えば、同一のネットワークに接続され、分散化を実現するＩＰ（Internet Protocol）アドレス付与装置に関する。
続きを表示（約 2,900 文字）【背景技術】
【０００２】
ＤＨＣＰ（Dynamic Host Configuration Protocol）サーバは、ＬＡＮ（Local Area Network）上のネットワーク機器からの要求に応じて、ＩＰアドレスなどのネットワーク利用に必要な設定情報を自動的に割り当てる機能を実現する。これにより、各ネットワーク機器においてネットワークに関する詳細な設定を行わなくても、ＬＡＮを通じた通信やインターネットへの接続が可能になる。なお、ＤＨＣＰサーバは、例えばルータなどと呼ばれるネットワーク間を中継する装置などに搭載される場合が多い。また、ネットワーク機器は、例えば、ＰＣ（Personal Computer）やタブレットＰＣなどの通信機能を備えた種々の通信端末装置を意味し、提供側を意味するサーバ装置に対して、提供を受ける側を意味するクライアント装置などとも呼ばれるものである。
【０００３】
ＬＡＮシステムを構築する場合に、例えば、冗長化のために複数のＤＨＣＰサーバを１つのＬＡＮに設けることが行われている。ＤＨＣＰサーバに関する冗長化とは、ＤＨＣＰサーバに何らかの障害が発生した場合に備えて、障害発生後でもシステム全体の機能を維持し続けられるように、予備のＤＨＣＰサーバを平常時からバックアップとして配置し運用することを意味する。後に記す特許文献１には、同一ネットワークにおいて、ＤＨＣＰサーバを多重化することにより、ＤＨＣＰサーバの信頼性を向上させ、動的にＤＨＣＰサーバの入れ替えを行うことができる多重化ＤＨＣＰサーバに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
特開２００１－２３０７８８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ネットワークの構築に際しては、冗長化の他に分散化といった考え方がある。図１０は、ＤＨＣＰサーバの分散化とその際に発生する問題点について説明するための図である。図１０（Ａ）に示すように、ＬＡＮ２には、グループＡ用ＤＨＣＰサーバＳＡと、グループＢ用ＤＨＣＰサーバＳＢとが設けられ、そのそれぞれがインターネット４に接続されている。図１０（Ａ）に示した例の場合には、ＤＨＣＰサーバＳＡとＤＨＣＰサーバＳＢとは、例えば、ルータに搭載されているものである。図１０（Ａ）において、ＤＨＣＰサーバＳＡが、グループＡに属するＰＣ３Ａ（１）、３Ａ（２）、…のＬＡＮ２を通じた通信やインターネット４への接続を可能にするものである。また、図１０（Ａ）において、ＤＨＣＰサーバＳＢが、グループＢに属するＰＣ３Ｂ（１）、３Ｂ（２）、…のＬＡＮ２を通じた通信やインターネット４への接続を可能にするものである。
【０００６】
ＤＨＣＰサーバに対して、ＩＰアドレスの付与を要求する場合には、ＤＨＣＰメッセージが用いられる。図１０（Ｂ）に示すように、ＤＨＣＰサーバＳＡは、ＩＰアドレスが「１９２．１６８．１．１」であり、ネットワークセグメント「１９２．１６８．１」のＩＰアドレスをネットワーク機器に付与する機能を実現する。また、図１０（Ｂ）に示すように、ＤＨＣＰサーバＳＢは、ＩＰアドレスが「１９２．１６８．２．１」であり、ネットワークセグメント「１９２．１６８．２」のＩＰアドレスを付与する機能を実現する。この場合に、図１０（Ｂ）に示したように、グループＡのＰＣ３Ａ（１）がＩＰアドレスの付与を要求する場合の例について、図１１のシーケンス図を用いて具体的に説明する。
【０００７】
図１１は、ＤＨＣＰメッセージについて説明するための図である。図１１に示すように、グループＡのＰＣ３Ａ（１）は、ＩＰアドレスの付与を求める場合、まず、ＤＨＣＰディスカバー（発見）メッセージをブロードキャストで送信する（ステップＭ１）。当該ＤＨＣＰディスカバーメッセージは、宛先ＩＰアドレスを「２５５．２５５．２５５．２５５」とし、送信元ＩＰアドレスを「０．０．０．０」とし、クライアントＩＰアドレスも、サーバＩＰアドレスも「０．０．０．０」であるものである。当該ＤＨＣＰディスカバーメッセージは、ＩＰアドレスの付与が可能なＤＨＣＰサーバを発見するためのものである。
【０００８】
当該ＤＨＣＰディスカバーメッセージを受信したＤＨＣＰサーバＳＡは、ＤＨＣＰオファー（提示）メッセージをブロードキャストで送信する（ステップＭ２）。当該ＤＨＣＰオファーメッセージは、宛先ＩＰアドレスを「２５５．２５５．２５５．２５５」とし、送信元ＩＰアドレスを「１９６．１６８．１．１」とするものである。また、当該ＤＨＣＰオファーメッセージは、クライアントＩＰアドレスを「１９２．１６８．１．１０」とし、サーバＩＰアドレスを「１９２．１６８．１．１」とするものである。この例において、当該ＤＨＣＰオファーメッセージは、ＩＰアドレスが「１９２．１６８．１．１」であるＤＨＣＰサーバＳＡが、ＩＰアドレス「１９２．１６８．１．１０」の付与が可能であることを各クライアント装置に通知するためのものである。
【０００９】
これに応じて、ＰＣ３Ａ（１）は、一番早くＤＨＣＰオファーメッセージを提供したＤＨＣＰサーバに対して、ＤＨＣＰリクエスト（要求）メッセージを送信する（ステップＭ３）。当該ＤＨＣＰリクエストメッセージは、宛先ＩＰアドレスを「２５５．２５５．２５５．２５５」とし、送信元ＩＰアドレスを「０．０．０．０」とするものである。また、当該ＤＨＣＰリクエストメッセージは、クライアントＩＰアドレスを「０．０．０．０」とし、サーバＩＰアドレスを「１９２．１６８．１．１」とするものである。また、当該ＤＨＣＰリクエストメッセージは、要求ＩＰアドレスとして、ＤＨＣＰオファーにより提案を受けた「１９２．１６８．１．１０」の付与を要求するものとなる。この例において、当該ＤＨＣＰリクエストメッセージは、ＩＰアドレスが「１９２．１６８．１．１」であるＤＨＣＰサーバＳＡに対して、ＩＰアドレス「１９２．１６８．１．１０」の付与を要求するものである。
【００１０】
これに応じて、ＤＨＣＰサーバＳＡは、要求元のＰＣ３Ａ（１）に対して、ＤＨＣＰアック（承認）メッセージを送信する（ステップＭ４）。当該ＤＨＣＰアックメッセージは、宛先ＩＰアドレスを「２５５．２５５．２５５．２５５」とし、送信元ＩＰアドレスを「１９２．１６８．１．１」とするものである。また、当該ＤＨＣＰアックメッセージは、クライアントＩＰアドレスを「１９２．１６８．１．１０」とし、サーバＩＰアドレスを「１９２．１６８．１．１」とするものである。この例において、当該ＤＨＣＰアックメッセージは、ＩＰアドレスが「１９２．１６８．１．１」であるＤＨＣＰサーバＳＡが、ＤＨＣＰリクエストに応じて、ＰＣ３Ａ（１）に対して、ＩＰアドレス「１９２．１６８．１．１０」を付与するものである。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許