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公開番号2025088491
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-11
出願番号2023203221
出願日2023-11-30
発明の名称単相ダイレクトAC-ACコンバータとその電力制御方法
出願人国立大学法人神戸大学
代理人弁理士法人グローバル知財
主分類H02M 5/02 20060101AFI20250604BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】パルス幅変調を組み合わせて広いソフトスイッチング範囲と、固定周波数動作に適した可変インダクタンス制御を有し、スイッチング損失を効果的に削減し、回路パラメータを最適化できる単相ダイレクトAC-ACコンバータを提供する。
【解決手段】コイルLp及びコンデンサCrから成る共振タンクと双方向スイッチ1bを備える高周波電力変換回路において、導通電流によりインダクタンスが変化する可変インダクタLvが、共振タンクのコイルLpに直列接続される。そして、双方向スイッチ1bが、常に逆導通モードのみとなるようにスイッチを駆動し、導通電流の実効値を検出してリファレンス値と比較し、可変インダクタLvのインダクタンスを変化させ、直列に接続されたコイルLpに流れる電流の上昇率を変えて双方向スイッチ1bの実効電流を調整する。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
コイル及びコンデンサから成る共振タンクと双方向スイッチを備える高周波電力変換回路において、
導通電流によりインダクタンスが変化する可変インダクタが、前記共振タンクの前記コイルに直列接続され、
前記双方向スイッチの駆動回路が、常に逆導通モードのみとなるようにスイッチを駆動し、導通電流の実効値を検出してリファレンス値と比較し、前記可変インダクタのインダクタンスを変化させ、直列に接続された前記コイルに流れる電流の上昇率を変えて前記双方向スイッチの実効電流を調整することを特徴とする単相ダイレクトAC-ACコンバータ。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記双方向スイッチの駆動回路は、所定のスイッチング周波数で固定して駆動することを特徴とする請求項1に記載の単相ダイレクトAC-ACコンバータ。
【請求項3】
前記双方向スイッチの駆動回路は、
入力電源の正半サイクルと負半サイクルで、主スイッチと副スイッチを入れ替え、副スイッチを常時オンとし、
正半サイクルと負半サイクルは、共に、以下の動作1)、2)を行い、前記コイルに流れる双方向スイッチの実効電流を調整することを特徴とする請求項1に記載の単相ダイレクトAC-ACコンバータ:
1)主スイッチのターンオフにより、前記共振タンクのキャパシタ電圧が電源電圧から下降し、前記コイル及び前記可変インダクタと共振し、主スイッチの電圧はゼロから上昇してゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)・ターンオフとなり、前記双方向スイッチの電圧がピーク値に達した後に下降しゼロになると同時に主スイッチの逆並列ダイオードを経由して電流が逆流し、その間にスイッチを駆動してゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)・ターンオンを実現する、
2)主スイッチのターンオン後に電流が逆流から正流となり上昇し、電流の実効値とリファレンス値の差に基づいて前記可変インダクタの値を変更させ、その変更のタイミングは電流がゼロ又はゼロの近傍で行い、導通電流の勾配に変化をもたらし、主スイッチのターンオフタイミングで可変インダクタの値を初期値に戻す。
【請求項4】
前記双方向スイッチの駆動回路における主スイッチのスイッチング周期が、20kHz以上に固定され、前記入力電源の電流における低周波脈動が低減されることを特徴とする請求項3に記載の単相ダイレクトAC-ACコンバータ。
【請求項5】
コイル及びコンデンサから成る共振タンクと双方向スイッチを備え、導通電流によりインダクタンスが変化する可変インダクタが前記共振タンクの前記コイルに直列接続された高周波電力変換回路の電力制御方法であって、
前記双方向スイッチの駆動回路が、
常に逆導通モードのみとなるようにスイッチを駆動するステップと、
導通電流の実効値を検出してリファレンス値と比較するステップと、
電流の実効値とリファレンス値の差に基づいて、前記可変インダクタのインダクタンスを変化させ、前記可変インダクタに直列に接続された前記コイルに流れる電流の上昇率を変えて電流量を調整するステップ、
を備えることを特徴とする単相ダイレクトAC-ACコンバータの電力制御方法。
【請求項6】
前記双方向スイッチの駆動回路が、
a)入力電源の正半サイクルで前記双方向スイッチの一方が主スイッチ、他方が副スイッチで、負半サイクルで主スイッチと副スイッチの対応を入れ変え、副スイッチを常時オンにして常に逆導通モードのみとなるようにスイッチを駆動するステップと、
b)主スイッチのターンオフにより、前記共振タンクのキャパシタ電圧を下降させ、前記コイル及び前記可変インダクタと共振させるステップと、
c)主スイッチの電圧はゼロから上昇してゼロ電圧ソフトスイッチング・ターンオフとなるステップと、
d)前記双方向スイッチの電圧がピーク値に達した後に下降しゼロになると同時に主スイッチの逆並列ダイオードを経由して電流が逆流する間に主スイッチを駆動してゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)・ターンオンするステップと、
e)主スイッチのターンオン後に電流が逆流から正流となり上昇するステップと、
f)導通電流の実効値を検出してリファレンス値と比較するステップと、
g)電流の実効値とリファレンス値の差に基づいて、前記可変インダクタのインダクタンスを変化させ、前記可変インダクタに直列に接続された前記コイルに流れる電流の上昇率を変えて電流量を調整するステップと、
h)主スイッチが再びターンオフして上記a)に戻って各ステップを繰り返すステップ、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の単相ダイレクトAC-ACコンバータの電力制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源から単相高周波交流を直接に生成できる単相ダイレクトAC-ACコンバータであって、特に、誘導加熱システムやワイヤレス電力伝送(WPT)のアプリケーション向けの可変インダクタと統合された固定周波数の単相ダイレクトAC-ACコンバータに関するものである。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
誘導加熱(IH;Induction Heating)システムは、高効率、省エネ、正確な加熱技術であり、多くの工業用加工、金属溶融、溶接、家庭用調理のアプリケーションなど各種応用に用いられる。その原理は電磁誘導に基づいており、交流電流を利用して導体コイルを通じて変化する磁場を発生させ、それによって隣接する導体物体の中に電流を発生させ、この電流は材料の抵抗を通じて電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、それによって物体を加熱する。
IHシステムは、加熱が必要な物体の内部に直接熱エネルギーを発生させ、エネルギーの浪費を減らすため、従来の加熱方法に比べてIHの方が効率的である。
【0003】
IHシステムでは、高周波インバータを用いて、商用電源を整流回路で一旦整流化して、それを直流パルス電力にし、インバータ回路によって高周波電流に変換している。高周波インバータは、図12に示すように、通常、整流器ステージ、ブーストPFC(力率改善)ステージ、およびDC-HFAC(直流-高周波交流)インバータで構成されており、これらの構成要素はIHシステムのコアコンポーネントである。高周波インバータでは、通常、3段または2段の構成を特徴とする。そのため、多段変換の下で、IHシステム全体で多数の部品が必要となり、効率が低下しやすく、設計が非常に複雑になり、効率的に電力を制御することができない。すなわち、電源から負荷に電力を伝送する段階で、多くパワー半導体デバイスや受動部品での電力損失を伴うこととなる。加えて、回路内のインダクタやコンデンサなどの受動部品には10~30%程度の製造誤差があり、誤差が大きくなると電力伝送システムの信頼性が低下する。
また、従来は周波数変換による制御が主流であったが、2台以上の機器を同時に動作させると、周波数の違いにより人間の耳に聞こえるメカニカルノイズが発生しやすくなる。加えて,平滑フィルタにおける高調波除去効果も負荷電力に大きく依存するため,動作周波数に対するフィルタ容量が必ずしも最適に設計できるとは限らない。以上のように,高周波IH応用機器におけるパルス周波数変調に基づく電力制御には実用上課題点がある。
【0004】
従来の加熱方式と比較して制御可能な電力範囲を拡大し、同時に機械ノイズや周波数変調によるノイズ、電磁妨害問題を解決でき、商用電源から単相高周波交流を直接に生成できる固定周波数制御の単相ダイレクトAC-ACコンバータが求められている。
本発明者らは、既に固定周波数制御の単相ダイレクトAC-ACコンバータを提案している(特許文献2を参照)。提案済みのダイレクトAC-ACコンバータでは、図13に示す通り、単相商用電源とIH負荷が接続され、双方向スイッチ(Q

、Q

)を介して接続されたIH負荷には、並列にキャパシタC

が接続されており、スイッチオフ時にはワークコイルの自己インダクタンスおよび加熱負荷の等価インダクタクスを含むIH負荷の等価インダクタンスと共振回路を形成するものである。入力電源V
in
が正半サイクルではQ

が主スイッチ、Q

が副スイッチであり、負半サイクルではその対応が入れ変わり、主スイッチの高速動作により、入力V
in
からの交流電圧は、図14に示すようにIH負荷に包絡線を含みながら高周波交流へと直接変換される。このダイレクトAC-ACコンバータには、副スイッチを常時オフするRBモード(導通モード)と副スイッチを常時オンするRCモード(逆導通モード)の2つの動作パターンが存在する。
本発明の単相ダイレクトAC-ACコンバータは、常に逆導通モードのみとなるようにスイッチを駆動し、可変インダクタのインダクタンスを変化させることにより、双方向スイッチの実効電流を調整できることに着目して成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2000-253989号公報
特願2023-006876号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる状況に鑑みて、本発明は、パルス幅変調を組み合わせて広いソフトスイッチング範囲と、固定周波数動作に適した可変インダクタンス制御を有し、スイッチング損失を効果的に削減し、回路パラメータを最適化できる単相ダイレクトAC-ACコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の単相ダイレクトAC-ACコンバータは、コイル及びコンデンサから成る共振タンクと双方向スイッチを備える高周波電力変換回路において、導通電流によりインダクタンスが変化する可変インダクタが、共振タンクのコイルに直列接続される。そして、双方向スイッチの駆動回路が、常に逆導通モードのみとなるようにスイッチを駆動し、導通電流の実効値を検出してリファレンス値と比較し、可変インダクタのインダクタンスを変化させ、直列に接続されたコイルに流れる電流の上昇率を変えて双方向スイッチの実効電流を調整する。
本発明では、可変インダクタンス技術と組み合わせたパルス幅変調(PWM)技術により、各パルスの実効電力はインダクタンス値によって調整され、負荷条件に応じて出力電力を制御する。双方向スイッチの駆動回路は、所定のスイッチング周波数で固定して駆動する。
ここで、逆導通モードとは、単に負荷電流(ワークコイルと並列キャパシタから成る負荷共振タンク)が主スイッチのオン前に入力電源へ瞬時的回生する区間を伴う双方スイッチ導通動作をいう。
【0008】
本発明の単相ダイレクトAC-ACコンバータにおける双方向スイッチの駆動回路は、入力電源の正半サイクル(正の半周期サイクル)と負半サイクル(負の半周期サイクル)で、主スイッチと副スイッチを入れ替え、副スイッチを常時オンとする。主スイッチのターンオフにより、共振タンクのキャパシタ電圧が下降し、コイル及び可変インダクタと共振し、主スイッチの電圧はゼロから上昇してゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)・ターンオンとなり、双方向スイッチの電圧がピーク値に達した後に下降しゼロになると同時に主スイッチの逆並列ダイオードを経由して電流が逆流し,この間に主スイッチをオンしてゼロ電圧ソフトスイッチング・ターンオンを実現する。そして、主スイッチのターンオン後に電流が逆流から正流となり上昇し、電流の実効値とリファレンス値の差に基づいて、可変インダクタのインダクタンスを変化させ、コイルに流れる電流量を調整する。
【0009】
また、双方向スイッチの駆動回路における主スイッチのスイッチング周期が20kHz以上に固定され、入力電源の電流における低周波脈動が低減される。導通電流の実効値を高周波スイッチング周期のまま調整できることから、入力電源の電流における低周波脈動といった課題を回避する。
【0010】
本発明の単相ダイレクトAC-ACコンバータの電力制御方法は、コイル及びコンデンサから成る共振タンクと双方向スイッチを備え、導通電流によりインダクタンスが変化する可変インダクタが共振タンクのコイルに直列接続された高周波電力変換回路の電力制御方法であって、双方向スイッチの駆動回路が、以下の1)~3)のステップを備える。
1)常に逆導通モードのみとなるようにスイッチを駆動するステップ。
2)導通電流の実効値を検出してリファレンス値と比較するステップ。
3)電流の実効値とリファレンス値の差に基づいて、可変インダクタのインダクタンスを変化させ、可変インダクタに直列に接続されたコイルに流れる電流の上昇率を変えて電流量を調整するステップ。
(【0011】以降は省略されています)

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