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公開番号2025091529
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-19
出願番号2023206775
出願日2023-12-07
発明の名称発光性ナノカーボン
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類C09K 11/65 20060101AFI20250612BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】本発明は、耐光性に優れる発光性ナノカーボン、該発光性ナノカーボンを含有する樹脂組成物、及び該発光性ナノカーボンの製造方法を提供する。
【解決手段】〔1〕ポリスチレンを標準物質としてUV検出器を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が1,000以上100,000以下である、発光性ナノカーボン、〔2〕前記〔1〕に記載の発光性ナノカーボンと樹脂とを含有する樹脂組成物であって、該樹脂が、アクリル系樹脂、カーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレンビニルアセテート系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上である、樹脂組成物、及び〔3〕炭素源化合物(C)と、窒素源化合物(N)とを、100℃以上350℃以下において開放系で加熱合成し、発光性ナノカーボンを得る工程を含み、該工程により得られる発光性ナノカーボンのポリスチレンを標準物質としてUV検出器を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が1,000以上100,000以下である、発光性ナノカーボンの製造方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリスチレンを標準物質としてUV検出器を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が1,000以上100,000以下である、発光性ナノカーボン。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
ポリスチレンを標準物質としてUV検出器を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される分子量分布のクロマトグラムにおいて、分子量1,000以上の成分に該当する面積の割合が、全体面積に対して30%以上である、請求項1に記載の発光性ナノカーボン。
【請求項3】
量子収率(QY)が40%以上100%以下である、請求項1又は2に記載の発光性ナノカーボン。
【請求項4】
発光波長のピークトップが380nm以上500nm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の発光性ナノカーボン。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の発光性ナノカーボンと樹脂とを含有する樹脂組成物であって、該樹脂が、アクリル系樹脂、カーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレンビニルアセテート系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上である、樹脂組成物。
【請求項6】
炭素源化合物(C)と、窒素源化合物(N)とを、100℃以上350℃以下において開放系で加熱合成し、発光性ナノカーボンを得る工程を含み、
該工程により得られる発光性ナノカーボンのポリスチレンを標準物質としてUV検出器を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が1,000以上100,000以下である、発光性ナノカーボンの製造方法。
【請求項7】
前記炭素源化合物(C)及び前記窒素源化合物(N)の合計仕込み量に対する炭素源化合物(C)の仕込み量のmol比[炭素源化合物(C)/(炭素源化合物(C)+窒素源化合物(N))]が0.2以上0.65以下である、請求項6に記載の発光性ナノカーボンの製造方法。
【請求項8】
前記炭素源化合物(C)が有機酸である、請求項6又は7に記載の発光性ナノカーボンの製造方法。
【請求項9】
前記炭素源化合物(C)がクエン酸である、請求項6~8のいずれか1項に記載の発光性ナノカーボンの製造方法。
【請求項10】
前記窒素源化合物(N)が、ヒドロキシアミン及び脂肪族アミンからなる群から選ばれる1種以上である、請求項6~9のいずれか1項に記載の発光性ナノカーボンの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、発光性ナノカーボン、該発光性ナノカーボンを含有する樹脂組成物、及び該発光性ナノカーボンの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
量子ドットとは、10~1000個の原子が直径2~20nm程度の微小粒子を形成しているものである。該微小粒子はその粒子と粒子の間では互いに影響は及ばず、一つの微小粒子を形成する原子を結びつけている電子は高々20nmの空間内に閉じ込められていることになるので、同一組成の一般的な物質と異なった性質を示す。例えば、量子ドットに紫外線を照射すると、該量子ドットを形成する原子の性質や該微小粒子のサイズに応じて、近紫外から近赤外にわたり広範囲の発光波長の蛍光を発することが知られている。
しかしながら、一般によく知られている金属系量子ドットは、毒性の高いカドミウム、セレン、鉛といった有害な金属や、ユーロピウムやテルビウムといった希少な金属を用いている。そのため、環境への負荷を低減することができ、安価で簡便な材料を用いた量子ドットの開発が求められている。このよう量子ドットとして、原子が炭素であるカーボン量子ドットの検討がなされている。
【0003】
カーボン量子ドットは発光性ナノカーボンとも称されており、その発光機構としては、(1)グラフェンコアのπ共役による発光、(2)発光性ナノカーボンの表面欠陥由来の発光、(3)特定の色素構造による発光、がある。
例えば、非特許文献1では、炭素源化合物と窒素源化合物を加熱することで発光性ナノカーボンを合成する方法として、マイクロ波を用いて加熱する方法が開示され、また、非特許文献2では、オートクレーブ等の耐圧密閉容器を用いて、溶媒の沸点以上に加熱して発光性ナノカーボンを合成するソルボサーマル法が開示されている。しかしながら、非特許文献3及び非特許文献4によると、非特許文献1及び非特許文献2で開示されている合成方法で得られた発光性ナノカーボンは、特定の色素構造による発光機構となっていることが多いことが示されている。そして、非特許文献5では、発光性ナノカーボンの種々の安定性について検討されてきたことが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Nanoscale, 2016, 8, 15281-15287
Nanoscale, 2017, 9, 491-496
Materials Chemistry Frontiers, 2020, 4, 400-420
Ya-Ping Sun著、「Carbon Dots」Springer出版、2021年4月2日、pp.1-209
RSC Advances, 2023, 13, 13845-13861
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、色素構造による発光においては、耐光性が十分でなく、発光性ナノカーボンの耐光性の向上が求められている。
本発明は、耐光性に優れる発光性ナノカーボン、該発光性ナノカーボンを含有する樹脂組成物、及び該発光性ナノカーボンの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、発光性ナノカーボンのポリスチレンを標準物質としてUV検出器を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が特定の範囲であることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]~[3]に関する。
[1]ポリスチレンを標準物質としてUV検出器を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が1,000以上100,000以下である、発光性ナノカーボン。
[2]前記[1]に記載の発光性ナノカーボンと樹脂とを含有する樹脂組成物であって、該樹脂が、アクリル系樹脂、カーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレンビニルアセテート系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上である、樹脂組成物。
[3]炭素源化合物(C)と、窒素源化合物(N)とを、100℃以上350℃以下において開放系で加熱合成し、発光性ナノカーボンを得る工程を含み、
該工程により得られる発光性ナノカーボンのポリスチレンを標準物質としてUV検出器を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が1,000以上100,000以下である、発光性ナノカーボンの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、耐光性に優れる発光性ナノカーボン、該発光性ナノカーボンを含有する樹脂組成物、及び該発光性ナノカーボンの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施例1で得られた発光性ナノカーボン(CD1)の吸収スペクトルと発光スペクトルである。図1中の破線は吸収スペクトルを示し、図1中の実線は発光スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[発光性ナノカーボン]
本発明の発光性ナノカーボン(以下、単に「発光性ナノカーボン」ともいう)は、ポリスチレンを標準物質としてUV検出器を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が1,000以上100,000以下である。
【0010】
本発明によれば、発光性ナノカーボンの耐光性に優れる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
一般に、有機色素が酸素に接触するような条件下で光が当たると、発生したラジカルがオキシラジカルとなり、構造の分解が促進されることが知られている。そのため、発光性ナノカーボンの発光機構が有機色素の構造による発光である場合においては、有機色素と酸素の接触を阻害することが重要である。
発光性ナノカーボンの粒子のサイズは、透過電子顕微鏡(TEM)や原子間力顕微鏡(AFM)でも測定は可能であるが、観測している対象が光の吸収があるものかどうかは不明である。例えば、透過電子顕微鏡(TEM)や原子間力顕微鏡(AFM)では、観測している対象が、粒子の形状にはなっているものの、有機色素を含んでいない、副生成物のみからなる場合もある。
本発明において、発光性ナノカーボンの重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としてUV検出器を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される。本発明におけるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)では、UV検出器を用いてUVの吸収により検出しているため、発光性ナノカーボンが、その分子量でUV光を吸収していることが明確であり、このような方法により測定される重量平均分子量は、有機色素を含む発光性ナノカーボンのサイズの指標として用いることができる。
そして、本発明においては、上記のサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される発光性ナノカーボンの重量平均分子量が特定の値以上であることにより、有機色素が発光性ナノカーボンの粒子の外に遊離している状態よりも、発光性ナノカーボンの粒子内に取り込まれている状態となり、また、発光性ナノカーボンの粒子のサイズは大きいため、発光性ナノカーボンの粒子に内包されている有機色素と酸素の接触が起こりにくく、耐光性を向上させることができると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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