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公開番号2025092273
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-19
出願番号2023208051
出願日2023-12-08
発明の名称空気吸入部を備えたサイフォン送水装置及びこのサイフォン送水装置を使用したサイフォン送水方法
出願人株式会社山辰組
代理人個人,個人
主分類E02B 7/18 20060101AFI20250612BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】サイフォン管(管部材)内の負圧が増大しても、その増大の程度に応じて外部の空気を流入させることができるため、管財部が閉塞することを防止することができる空気吸入部を備えて構成されたサイフォン送水装置を提供する。
【解決手段】本願のサイフォン送水装置の一部に構成されてなる空気吸入部材100は、サイフォン送水装置200を構成する管部材10の一部に備えられてなり、空気吸入部110の吸入孔130は、サイフォン作用により管部材10内部の負圧の増大量に応じて自動的に外部の空気を管部材10内部へ流入させ、管部材10が閉塞するほどの大きさの負圧がかからないよう管部材10内の負圧を緩和して管部材10が閉塞することを防止することを特徴とするサイフォン送水装置及びサイフォン送水方法を提供する。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
本体通水部と、前記本体通水部に設けられている空気吸入部と、前記本体通水部の両端に設けられる連結用フランジとを備えており、サイフォン送水装置の一部に前記連結用フランジに連結されてなる空気吸入部材、を備えているサイフォン送水装置において、
前記空気吸入部は、吸入孔の大きさを調節可能な開閉部材を備えたことを特徴とするサイフォン送水装置。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記空気吸入部は、サイフォン吸水口の閉塞や降雨などにより湛水部の水位が上昇して吐出し口との水頭差が大きくなることが起因して生ずる管部材が潰れるほどの大きな負圧が管部材内へかかる前に、前記管部材内の負圧の影響を受けて空気吸入部から自動的に負圧の増量に応じた吸引力に伴って外気を前記管部材の内部に流入させることにより前記管部材内の負圧の増大を未然に防いで前記管部材が閉塞することを防止するため、
前記サイフォン送水装置の内部の負圧の変化に応ずることができるよう前記吸入孔をサイフォン起動前、又はサイフォン起動後に任意の大きさに開口し、前記サイフォン送水装置内の負圧に吸引され、常時外気を前記サイフォン送水装置内へ吸入し続けてなることを特徴とする請求項1に記載のサイフォン送水装置。
【請求項3】
前記空気吸入部の形状は、円形又は楕円形をしていることを特徴とする請求項2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項4】
前記空気吸入部の形状は、相対する2辺が平行な縦長形状又は四角形であることを特徴とする請求項2にサイフォン送水装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のサイフォン装置を使用してなることを特徴とするサイフォン送水方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のサイフォン装置を使用してなるサイフォン送水方法において、
空気吸入部の吸入孔を現場地形条件などに応じて適度に開いた状態で送水機器でサイフォン送水装置内へ送水を開始し、サイフォン吐出し口から水が流出し始めたら空気吸入部の吸入孔の面積を徐々に調節する操作を行い、これによりサイフォン送水量を適量に調節してサイフォンを起動させることを特徴とするサイフォン送水方法。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のサイフォン装置を使用してなるサイフォン送水方法において、
前記サイフォン送水装置の内部の負圧の変化に応ずることができるよう前記吸入孔をサイフォン起動前、又はサイフォン起動後に前記吸入孔の開口面積を送水量に合わせて調節して適量に開いた状態でサイフォン送水作業を開始し、常時外気を前記サイフォン送水装置内へ流入し続けてなることで、前記サイフォン送水装置内の負圧に吸引され、常時外気を前記サイフォン送水装置内へ流入し続け、サイフォン吸水口の閉塞や、降雨などにより湛水部の水位が上昇して吐出し口との水頭差が大きくなることが起因して生ずる管部材が潰れるほどの大きな負圧が前記管部材内へかかる前に、前記管部材内の負圧の変化の影響を受けて空気吸入部から自動的に負圧の変化に応じた吸入力に伴って外気を前記管部材内部に流入させることにより、負圧が前記管部材内の負圧の増大を未然に防いで、前記管部材が閉塞することを防止でき、湛水部の水位が低下し吐出し口との水頭差が小さくなり負圧が緩くなるのに応じて管部材内への外気の吸入量が減ることでサイフォン送水機能が増量することを特徴とするサイフォン送水方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高水域にある水又は、水及び土砂を低地域に送水するサイフォン送水装置に使用される管部材の内部の負圧による管部材の閉塞(潰れ)を防止する機能とサイフォン送水量調節機能及びサイフォン作用停止機能を兼ね備えた空気吸入部であり、この空気吸入部を備えたサイフォン送水装置であり、このサイフォン送水装置を使用した送水方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
従来から、池、沼、河、プール、ダム等の湛水部から水を送水する方法としては、水中ポンプ等の送水機器を使用して送水する方法がある。これは、高水域の湛水部に送水機器を浸漬し、サクションホースやサニーホース等の管部材を仮締切や盛土等の堤防の内側表面や壁面の天端に向かって上向きに配管し、さらに天端を越えて仮締切堤防や構造物の外側に吐出口を配置して排水し、そこからは自然に流下させる排水工法である。しかし、水中ポンプ送水工法は電気や燃料の消費を伴うためコストが増大した。
【0003】
そこで、本願出願者は電気や燃料の消費を伴わないサイフォンの作用による送水装置を開発した。しかし、サイフォン送水用管部材の配管については、地面上の平坦な形状に配管する場合は問題ないが、上流部のサイフォン吸水する湛水部などでは単管パイプ等で足場を組んで、水面から管頂部となるダム天端等を乗り越えて配管をする場合がある。その単管パイプの上に管部材を載せて配管する場合、管部材の重量の支持が単管パイプの一点に集中することとなる。こうした状態で管部材に水を通すと、管部材内の水の重さが単管パイプ上の1点に収集するため、その部分から管部材が折れるように潰れて閉塞してしまうという現象が生じた。また、サイフォン送水作業を行う際に、上流側の湛水部に浸付けしたサイフォン吸水口に備えた防塵防塵カゴの周囲へ流出してきた木クズや枯葉などの塵埃が防塵カゴを覆い包んで密閉する現象が生じた。サイフォンの吸水力により塵埃が防塵防塵カゴの金網と共にサイフォン吸水口に吸い付けられるため吸水口が閉塞するという現象も生じた。つまり、サイフォン吸水により水が管部材内へ持続して供給されなくなることが原因で管部材のサイフォンホースが潰れることとなった。また、サイフォンの作用はサイフォン吸水側から管頂部までの管材の延長、管頂部からサイフォン排水側の管材の延長、湛水面から管頂部を乗り越える揚程の高さ、上流側湛水面と排水の吐出し口の標高差である水頭差等の数値の大小により排水量が変動する。サイフォン送水用配管を設置した場合に配管の延長や、特に揚程が7mを超えない場合であっても、また水頭差が今までの実績に基づき14mを超えて大きすぎる場合などは管材内の負圧が大きくなり過ぎて管材を押し潰して閉塞させる大きな負圧が発生する配管条件のとなるため、クレーンなどを用いて吐出し口を引き上げる作業を行い水頭差を小さくして配管材内の負圧を緩めるなど配管条件を変更するしか方法がなかったが、この方法も上流側の湛水部の水位に大きな変動がない場合には適用できたが、湛水部の水位が大きく変動する場合は、その都度吐出し口の高さを移動して水頭差を適正にして管部材内の負圧が大きくなり過ぎないように調節することに努めなければならなかった。又、サイフォン機能は、吸水側の管部材の延長、下流側の管部材の延長、湛水部水位と配管管頂部との揚程の大きさ、湛水部水位と下流側吐出し口との高低差(水頭差)の数値により送水量が変動することと、地形に影響される配管条件によりサイフォン起動する前から管部材内の負圧現象が大きくなりすぎることが理論上の試算ができるため、吐出し口をワイヤー等で吊り上げて標高を高くして湛水部の水位との水頭差を小さくするなどの方法が行われたが、湛水部の水位変動に伴って何度も吐出し口の標高を移動するのはクレーンなどの使用を伴うため費用が発生するなど煩わしく課題となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第5785634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、前述した課題を解決するため、管部材の閉塞(潰れ)を防止するための管閉塞防止機能とサイフォン送水量調節機能と及びサイフォン作用停止機能を兼ね備えた空気吸入部材を考案した。本発明は、空気吸入部の吸入孔の大きさを調節して空気をサイフォン装置の管部材内へ注入することで、水頭差が大きすぎるなどの配管条件が悪く管部材内の大きな負圧の影響を受けて潰れる恐れのある管部材内の負圧を軽減するため空気吸入量を調節する空気吸入部材を有するサイフォン送水装置とそれを用いた送水方法である。吸入孔の空気吸入部をボールバルブ等を用いて開口の大きさを調節して空気の吸入量を変化させて水頭差が大きすぎるなどの配管条件の悪影響を防止することができる管閉塞防止機能とサイフォン送水量調節機能及びサイフォン停止機能を兼ね備えた空気吸入部材を備えたサイフォン送水装置、及びこの空気吸入部材を備えたサイフォン送水装置を使用したサイフォン送水方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明にかかる管部材の閉塞(潰れ)を防止するための管閉塞防止機能とサイフォン送水量調節機能とサイフォン作用停止機能を兼ね備えた空気吸入部材は、サイフォン送水装置を構成する管部材の一部に備えられて成り、サイフォン配管条件又は湛水部の水位の変動が起因となる管部材内部の負圧の増大によって、前記管部材が閉塞するほどの大きな負圧が掛かる水頭差となった場合も、所定の負圧より大きくならないよう空気吸入部の吸入孔の大きさを予め又は状況に応じて開閉し外気を管部材内部に吸入させることにより、大きな負圧の影響を軽減することが可能となり、管部材が潰れることを防止することができる。サイフォン作用を停止する場合は空気吸入部材の空気吸入部を大きく開くことで空気を大量に吸入させてサイフォン作用を停止させることができる。例えば、口径50mmの吸入孔を5mm開けた状態でサイフォン作用を持続させた後に、吸入孔を全開してサイフォンを停止させて、再び5mmの大きさに開いた位置に戻しておき、再度サイフォンを起動させる時は吸入孔を5mm開いたまま送水機器を稼働してサイフォン作用を起動することができることも実験により確認している。勿論、開けた幅が5mmは一例であり、開口率は適宜選択することができる。
【0008】
地形などが原因となって揚程が7m以上の場合、水中ポンプとサイフォン送水併用で送水作業を行うこととなるが、従来のようにサイフォン停止用に備えた空気吸入部材の空気吸入部を閉じた状態として水中ポンプ送水を開始するのでなく、吸入孔を開いた状態で水中ポンプ送水を開始する。水中ポンプ送水開始に伴いサイフォン吐出し口から水が流出し始めたらサイフォン作用が起動を開始する目安となるため、空気吸入部材の空気吸入部の開口面積を徐々に小さくする操作を行う。これにより、サイフォン作用を徐々に大きく増大させることができることとなり、吸入部の開口面積を徐々に大きくする操作を行うことでサイフォン送水量は少なくなるため全体の送水量が減少させることができる。管部材の閉塞具合を肉眼で注視しながら、又は流量計又は気圧計をサイフォン送水装置に取り付けることで空気吸入部材の空気吸入部を徐々に開閉する作業を行うこととなるため管部材内の負圧が大きくなり過ぎて管部材が潰れることを防止できる。吸入孔を開口状態で水中ポンプとサイフォンの併用作業を稼働することで課題を解決できることとなった。また、揚程7m以下の場合でも水頭差が14m以上となる場合には、サイフォンを起動するときに揚程7m以上の場合と同様にサイフォン起動操作を行うこととし、吸入孔を開口状態で水中ポンプを稼働してサイフォン作用を起動し、起動後は水中ポンプを停止してサイフォン作用のみで送水作業を行うことができることとなる。サイフォン起動時に仮に上流側のサイフォン吸水口がゴミなどで閉塞して管部材内の負圧が大きく増大してもそれに比例した量の外気を吸入孔から吸入することで過度な負圧の増大を防いで管部材の閉塞(潰れ)を未然に防ぐことができることとなった。
【0009】
さらに、空気吸入部の形状は、円形又は楕円形であることを特徴とするものであってもよい。
【0010】
さらに、空気吸入部の形状を四角形状又は長方形状にすることで100%全開開口状態に対する何%の開口状態であるかという割合を求め易くすることを特徴とするものであってもよい。空気吸入部の形状を円形又は楕円形にした場合、吸入孔の形状は、ハンドルの操作により三日月形状と満月形状の間の形状に変化するが、100%の全開口状態に対して何%の開口面積の割合なのかの数値が求めにくい。そこで、本発明にかかる空気吸入部の吸入孔の形状を四角形状又は長方形状にすることで全開開口状態に対する何割の開口面積の状態であるという数値を目視でも求め易くすることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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