特許ウォッチ

公開番号2025094858
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-25
出願番号2023210656
出願日2023-12-13
発明の名称溶接治具、及び電池の製造方法
出願人ダイハツ工業株式会社
代理人個人
主分類H01M 50/50 20210101AFI20250618BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】電池セルにおける電極タブを加工性良く溶接可能にする溶接治具を提供する。
【解決手段】複数の電池セル2における複数の電極タブ3を溶接するための溶接治具1であり、電極タブ3を突出させるスリット14を備え、スリット14から突出させた電極タブ3を支持する支持部10と、スリット14から突出させた電極タブ3に接触する接触部32を備えると共に、接触部32を電極タブ3に対して交差する方向に相対移動させるスライド部30とを備え、スライド部30は、接触部32が支持部10の内側に入り込んだ状態で、電極タブ3に対して交差する方向に相対移動することにより、隣接する一対の電極タブ3,3が互いに重なるように折り曲げるものであり、支持部10は、スライド部30によって折り曲げられた電極タブ3を支持部10との間に支持する爪部18を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
複数の電池セルにおける複数の電極タブを溶接するための溶接治具であって、
前記複数の電極タブを突出させるスリットを備え、当該スリットから突出させた前記複数の電極タブを支持する支持部と、
前記スリットから突出させた前記複数の電極タブのそれぞれに接触する接触部を備えると共に、当該接触部をそれぞれの前記電極タブに対して交差する方向に相対移動させるスライド部と、
を備え、
前記スライド部は、前記接触部が前記支持部の内側に入り込んだ状態で、それぞれの前記電極タブに対して交差する方向に相対移動することにより、隣接する一対の前記電極タブが互いに重なるように折り曲げるものであり、
前記支持部は、前記スライド部によって折り曲げられた前記電極タブを前記支持部との間に支持する少なくとも一つの爪部を備えることを特徴とする溶接治具。
続きを表示（約 420 文字）【請求項２】
前記支持部は、重ね合わせた一対の前記電極タブの重ね合わせ面と対向するバスバーを備えており、
前記爪部は、前記バスバーに対して所定の間隔を空けて設けられると共に、前記電極タブの重ね合わせ面と対向する位置に配されていることを特徴とする請求項１に記載の溶接治具。
【請求項３】
請求項１又は２に記載の溶接治具を用いて、複数の電池セルが有する複数の電極タブを溶接することによって電池を製造する電池の製造方法であって、
前記スリットから、前記電極タブを突出させる突出工程と、
前記接触部が前記支持部の内側に入り込んだ状態で、前記スライド部を前記電極タブに対して交差する方向に相対移動させることにより、隣接する一対の前記電極タブを互いに重なるように折り曲げる電極タブ折り曲げ工程と、
互いに重なる一対の前記電極タブを溶接する溶接工程と、
を実行する電池の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、電池セルにおける電極タブを溶接するために用いられる溶接治具に関する。また、本発明は、複数の電池セルを積層して電池（組電池）を製造する電池の製造方法に関する。
続きを表示（約 2,100 文字）【背景技術】
【０００２】
従来、複数の電池セルを積層し、それぞれの電極タブを溶接等により接続することにより、電池（組電池とも称する）を製造することが行われている（例えば、特許文献１）。特許文献１に記載の組電池の製造方法では、電極タブを、複数の電池セルを収容するケースのスリットより突出させる工程と、前記スリットより突出した前記電極タブについて、隣接する電池セルの電極タブ同士を互いに折り重なるように折り曲げる工程と、前記電極タブが折り重なる部分を溶着する工程と、を行うものとされている。このような組電池は、例えば、電気自動車やハイブリッド車等の駆動用バッテリとして利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
特開２０１９－６７６７６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、近年、上述のような組電池（例えば、車両の駆動用バッテリ）の性能向上のため、電池セルの積層数を増やしたり、小型化の要請から複数の電池セル間の距離（例えば、２～１０ｍｍ程度）を縮小したりすることが行われている。これらに伴い、複数の電池セルの間の距離も縮小されている。そのため、上記のような組電池の製造においては、溶接代も広く採ることが困難とされている。
【０００５】
しかしながら、特許文献１に記載の組電池の製造方法は、組電池における電極タブ間の距離が近接している場合、電極タブの折り曲げ加工性が悪くなったり、絶縁性が確保できなくなったりする懸念があった。
【０００６】
そこで本発明は、複数の電池セルにおけるそれぞれの電極タブを加工性良く溶接可能にする（折り曲げできる）と共に、電極タブ間の接続代を確保して絶縁性を確保できる溶接治具を提供することを目的とする。また、本発明は、複数の電池セルにおける電極タブの加工性を向上させつつ、電池を製造できる電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
（１）上述した課題を解決すべく提供される本発明の溶接治具は、複数の電池セルにおける複数の電極タブを溶接するための溶接治具であって、前記複数の電極タブを突出させるスリットを備え、当該スリットから突出させた前記複数の電極タブを支持する支持部と、前記スリットから突出させた前記複数の電極タブのそれぞれに接触する接触部を備えると共に、当該接触部をそれぞれの前記電極タブに対して交差する方向に相対移動させるスライド部と、を備え、前記スライド部は、前記接触部が前記支持部の内側に入り込んだ状態で、それぞれの前記電極タブに対して交差する方向に相対移動することにより、隣接する一対の前記電極タブが互いに重なるように折り曲げるものであり、前記支持部は、前記スライド部によって折り曲げられた前記電極タブを前記支持部との間に支持する少なくとも一つの爪部を備えることを特徴とするものである。
【０００８】
上述した溶接治具は、スリットから突出させた複数の電極タブが支持部に支持された状態で、スライド部によって接触部を電極タブに対して交差する方向（例えば、直交する方向）に相対移動させることができる。このとき、接触部が支持部の内側に入り込んだ状態で、相対移動することにより、隣接する一対の電極タブが互いに重なるように折り曲げられる。そのため、上述した溶接治具によれば、隣接する電極タブの間の幅が狭い場合であっても、隣接する一対の電極タブを容易に折り曲げて互いに重ねることができる。このように、上述した溶接治具は、電極タブの折り曲げ加工性を向上させることができる。また、上述した溶接治具は、接続代を確保することができるので、絶縁性を確保することができる。ここで、支持部は、絶縁部材で構成されているとよい。これにより、上述した溶接治具は、より一層の絶縁性を確保することができる。
【０００９】
また、上述した溶接治具は、隣接する電池セル間の距離を縮小できるので、例えば、電池セルの積層数を増やして電池を大容量化したり、小型化したりすることができる。また、上述した溶接治具は、支持部が、スライド部によって折り曲げられた電極タブを当該支持部との間に支持する少なくとも一つの爪部を備えている。したがって、上述した溶接治具によれば、折り曲げられた電極タブを支持部の間に支持できるので、溶接する際に、電極タブがずれることを抑制できる。これにより、上述した溶接治具は、溶接精度を向上させることができる。なお、上述した溶接治具は、使用態様に応じて、支持部及びスライド部のいずれか一方が、他方に対して移動（相対移動）できるものであればよい。
【００１０】
（２）上述した本発明の溶接治具において、前記支持部は、重ね合わせた一対の前記電極タブの重ね合わせ面と対向するバスバーを備えており、前記爪部は、前記バスバーに対して所定の間隔を空けて設けられると共に、前記電極タブの重ね合わせ面と対向する位置に配されていることを特徴とするとよい。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許