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公開番号2025100241
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-03
出願番号2023217462
出願日2023-12-22
発明の名称歯ブラシ
出願人サンスター株式会社
代理人弁理士法人柳野国際特許事務所
主分類A46B 5/00 20060101AFI20250626BHJP(ブラシ製品)
要約【課題】所定の力で芯材部と被覆体が確実に相対移動することができる歯ブラシ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】被覆体6は、芯材部5を被覆する被覆部7と、該被覆部の基端に、芯材部5の基端よりもさらに基端側に突出し、内側に前記芯材部が存在しない余剰空間S1を有する突出部8とを備え、芯材部5の余剰空間を臨む基端部と被覆部7との境界部分に沿って、芯材部5の基端部が被覆部7よりも所定量だけ飛び出た形態の段差部62が設けられ、芯材部及び被覆体は、所定の力を超える力が作用したときに、互いに離間し、前記余剰空間側への相対移動を許容するように構成されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
毛束が植設されたヘッド部と、該ヘッド部の基端側に連設されたネック部と、該ネック部の基端側に連設された持ち手となる柄部とを備え、前記柄部が、前記ネック部と一体に形成された第一の硬質樹脂からなる芯材部と、前記第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する第二の硬質樹脂により前記芯材部を被覆するように形成された被覆体とを有し、前記被覆体の外面が把持部として機能する歯ブラシであって、
前記被覆体は、前記芯材部を被覆する被覆部と、該被覆部の基端に、前記芯材部の基端よりもさらに基端側に突出し、内側に前記芯材部が存在しない余剰空間を有する突出部とを備え、
前記芯材部の前記余剰空間を臨む基端部と前記被覆部との境界部分に沿って、前記芯材部の前記基端部が前記被覆部よりも所定量だけ飛び出た形態の段差部が設けられ、
前記芯材部及び被覆体は、所定の力を超える力が作用したときに、互いに離間し、前記余剰空間側への相対移動を許容するように構成されている歯ブラシ。
続きを表示（約 1,800 文字）【請求項２】
前記芯材部の前記基端部の前記段差部より更に基端側に、前記被覆部に接触せずに余剰空間内に延び出た延出部が設けられている、請求項１記載の歯ブラシ。
【請求項３】
前記芯材部および前記被覆体には、互いに係合して前記芯材部が前記被覆体の前記突出部内側の余剰空間側へ相対移動することを阻害する係合突部又は被係合部が設けられ、
前記係合突部及び被係合部は、所定の力を超える力が作用したときに、互いに離間又は前記係合突部が折れることで係合状態が外れ、前記余剰空間側への相対移動を許容するように構成されている請求項１又は２に記載の歯ブラシ。
【請求項４】
毛束が植設されたヘッド部と、該ヘッド部の基端側に連設されたネック部と、該ネック部の基端側に連設された持ち手となる柄部とを備え、前記柄部が、前記ネック部と一体に形成された第一の硬質樹脂からなる芯材部と、前記第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する第二の硬質樹脂により前記芯材部を被覆するように形成された被覆体とを有し、前記被覆体の外面が把持部として機能する歯ブラシであり、
前記被覆体は、前記芯材部を被覆する被覆部と、該被覆部の基端に、前記芯材部の基端よりもさらに基端側に突出し、内側に前記芯材部が存在しない余剰空間を有する突出部とを備え、
前記芯材部及び被覆体は、所定の力を超える力が作用したときに、互いに離間し、前記余剰空間側への相対移動を許容するように構成される歯ブラシの製造方法であって、
前記被覆部を成形する二次金型に、該二次金型にインサートされる前記芯材部の前記余剰空間を臨む基端部と前記二次金型により成形される前記被覆部との境界部分に沿って、前記芯材部の基端部が前記被覆部よりも所定量だけ飛び出た形態の段差部を形成するための段差凸部を設け、
該二次金型に射出した前記第二の硬質樹脂により、前記芯材部の基端部との間で前記段差部を形成する前記被覆部を成形する、歯ブラシの製造方法。
【請求項５】
前記歯ブラシにおいて、前記芯材部の前記基端部の前記段差部より更に基端側に、前記被覆部に接触せずに余剰空間内に延び出た延出部がさらに設けられており、
前記二次金型に、前記芯材部の前記延出部を支持する支持部を設け、
該二次金型に前記芯材部を装着するとき、前記支持部に前記延出部の先端位置を合わせて装着する、請求項４記載の歯ブラシの製造方法。
【請求項６】
毛束が植設されたヘッド部と、該ヘッド部の基端側に連設されたネック部と、該ネック部の基端側に連設された持ち手となる柄部とを備え、前記柄部が、前記ネック部と一体に形成された第一の硬質樹脂からなる芯材部と、前記第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する第二の硬質樹脂により前記芯材部を被覆するように形成された被覆体とを有し、前記被覆体の外面が把持部として機能する歯ブラシであり、
前記被覆体は、前記芯材部を被覆する被覆部と、該被覆部の基端に、前記芯材部の基端よりもさらに基端側に突出し、内側に前記芯材部が存在しない余剰空間を有する突出部とを備え、
前記芯材部及び被覆体は、所定の力を超える力が作用したときに、互いに離間し、前記余剰空間側への相対移動を許容するように構成される歯ブラシの製造方法であって、
前記被覆体を成形する二次金型の射出ゲートを、前記突出部を形成する空間に開口して設け、
該射出ゲートから前記第二の硬質樹脂を射出して前記被覆体を成形することを特徴とする、歯ブラシの製造方法。
【請求項７】
前記歯ブラシにおいて、前記芯材部および前記被覆体には、互いに係合して前記芯材部が前記被覆体の前記突出部内側の余剰空間側へ相対移動することを阻害する係合突部又は被係合部が設けられ、前記係合突部及び被係合部は、所定の力を超える力が作用したときに、互いに離間することで係合状態が外れ、前記余剰空間側への相対移動を許容するように構成されており、
前記二次金型の内面における前記射出ゲートの開口位置と軸に対して反対側の所定の位置に、前記被覆部に形成される切り抜き形状の前記係合突部の該切り抜き部分を形成する一対の突起を設け、
該突起により前記芯材部を支持した状態で、前記射出ゲートから前記第二の硬質樹脂を射出し、前記係合突部を有する被覆部を成形する、請求項６記載の歯ブラシの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、毛束が植設されたヘッド部と、該ヘッド部の基端側に連設されたネック部と、該ネック部の基端側に連設された持ち手となる柄部とを備えた歯ブラシに係り、とくに、喉を突いた際に衝撃を緩和できる歯ブラシに関する。
続きを表示（約 3,300 文字）【背景技術】
【０００２】
この種の歯ブラシとしては、従来、柄部の基端側に熱可塑性エラストマーで成形された緩衝部を設け、喉を突いた際の衝撃を緩和する幼児用歯ブラシが提案されている（例えば、特許文献１参照）。しかしながら、従来のものは、エラストマーという素材の屈曲で衝撃を緩和するものであるため、エラストマーが硬めだと喉を突いた際の緩和効果が低く、柔らかすぎると通常の操作の際の操作性や清掃性が著しく低下することとなり、両立が難しく、素材も高価で、成形が難しいという課題があった。
【０００３】
これに対し、本発明者は既に、ネック部と一体に形成された第一の硬質樹脂からなる芯材部と、第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する第二の硬質樹脂により芯材部を被覆するように形成された被覆体とで柄部を構成し、被覆体の外面が把持部として機能する歯ブラシであり、被覆体の基端部に芯材部が存在しない余剰空間を有する突出部を備え、芯材部および被覆体に、互いに係合して芯材部が被覆体の基端側へ相対移動することを阻害する係合突部又は被係合部が設けられ、係合突部及び被係合部は、所定の力を超える力が作用したときに、互いに離間又は係合突部が折れることで係合状態が外れ、相対移動を許容するように構成された歯ブラシを提案している（特許文献２）。
【０００４】
このような歯ブラシによれば、エラストマーからなるものに比べて衝撃の緩和効果と通常使用時の操作性、清掃性の両立を容易に実現することができるとともに、高価な特定のエラストマーを使用する必要がなく、比較的材料選択の幅が広いためコスト削減が可能であり、さらに複数部品の組付けでなく二色成形等により容易に効率よく製造できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
特開２０１８－２０２００４号公報
特開２０２３－０８４２８６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、特許文献２に記載の構造を有する歯ブラシを実際に金型を用いて成形を行ったところ、芯材部と被覆体とが相対移動を開始するときの力がばらつき、最悪の場合は、両者が相対移動しない場合があることが判明した。そこで、その要因を鋭意検討したところ、以下の状況が観察された。
芯材部をインサートして被覆体を二次成形する際、相対移動させるために厚み方向で芯材部をピン等で支持しておくことができず、条件（第二の硬質樹脂の射出の圧力、温度）によって一次成形品である芯材部が反ってその端部が二次成形品である被覆体に食い込んでしまう場合があること等が観察された。そして、成形の際にこのような状況が生じることで、芯材部と被覆体とが所定の力で相対移動を開始することが妨げられる要因となっていると考えられた。
【０００７】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、所定の力で芯材部と被覆体が確実に相対移動することができる歯ブラシ及びその製造方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明者は、かかる現況に鑑み鋭意検討した結果、被覆体を、芯材部を被覆する被覆部と、その基端に芯材部が存在しない余剰空間を有する突出部とを備えるようにし、芯材部の余剰空間を臨む基端部と被覆部との境界部分に沿って、芯材部の基端部が被覆部よりも所定量だけ飛び出た形態の段差部を設けることで、芯材部が反った場合でも、芯材部の端部が被覆体に食い込んで引っ掛かり、基端側への芯材部の相対移動が妨げられることを防止できることを見出した。
また、被覆体を成形する二次金型の射出ゲートを、その突出部を形成する空間に開口して設け、この射出ゲートから第二の硬質樹脂を射出して被覆体を成形することで、芯材部の反りを抑制し、芯材部の端部が被覆体に食い込むことで基端側への芯材部の相対移動が妨げられることを抑制できることも見出した。
本発明者は、以上のような知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【０００９】
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
（１）毛束が植設されたヘッド部と、該ヘッド部の基端側に連設されたネック部と、該ネック部の基端側に連設された持ち手となる柄部とを備え、前記柄部が、前記ネック部と一体に形成された第一の硬質樹脂からなる芯材部と、前記第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する第二の硬質樹脂により前記芯材部を被覆するように形成された被覆体とを有し、前記被覆体の外面が把持部として機能する歯ブラシであって、
前記被覆体は、前記芯材部を被覆する被覆部と、該被覆部の基端に、前記芯材部の基端よりもさらに基端側に突出し、内側に前記芯材部が存在しない余剰空間を有する突出部とを備え、
前記芯材部の前記余剰空間を臨む基端部と前記被覆部との境界部分に沿って、前記芯材部の前記基端部が前記被覆部よりも所定量だけ飛び出た形態の段差部が設けられ、
前記芯材部及び被覆体は、所定の力を超える力が作用したときに、互いに離間し、前記余剰空間側への相対移動を許容するように構成されている歯ブラシ。
（２）前記芯材部の前記基端部の前記段差部より更に基端側に、前記被覆部に接触せずに余剰空間内に延び出た延出部が設けられている、前項（１）記載の歯ブラシ。
（３）前記芯材部および前記被覆体には、互いに係合して前記芯材部が前記被覆体の前記突出部内側の余剰空間側へ相対移動することを阻害する係合突部又は被係合部が設けられ、
前記係合突部及び被係合部は、所定の力を超える力が作用したときに、互いに離間又は前記係合突部が折れることで係合状態が外れ、前記余剰空間側への相対移動を許容するように構成されている前項（１）又は（２）に記載の歯ブラシ。
【００１０】
（４）毛束が植設されたヘッド部と、該ヘッド部の基端側に連設されたネック部と、該ネック部の基端側に連設された持ち手となる柄部とを備え、前記柄部が、前記ネック部と一体に形成された第一の硬質樹脂からなる芯材部と、前記第一の硬質樹脂に対して低密着の性質を有する第二の硬質樹脂により前記芯材部を被覆するように形成された被覆体とを有し、前記被覆体の外面が把持部として機能する歯ブラシであり、
前記被覆体は、前記芯材部を被覆する被覆部と、該被覆部の基端に、前記芯材部の基端よりもさらに基端側に突出し、内側に前記芯材部が存在しない余剰空間を有する突出部とを備え、
前記芯材部及び被覆体は、所定の力を超える力が作用したときに、互いに離間し、前記余剰空間側への相対移動を許容するように構成される歯ブラシの製造方法であって、
前記被覆部を成形する二次金型に、該二次金型にインサートされる前記芯材部の前記余剰空間を臨む基端部と前記二次金型により成形される前記被覆部との境界部分に沿って、前記芯材部の基端部が前記被覆部よりも所定量だけ飛び出た形態の段差部を形成するための段差凸部を設け、
該二次金型に射出した前記第二の硬質樹脂により、前記芯材部の基端部との間で前記段差部を形成する前記被覆部を成形する、歯ブラシの製造方法。
（５）前記歯ブラシにおいて、前記芯材部の前記基端部の前記段差部より更に基端側に、前記被覆部に接触せずに余剰空間内に延び出た延出部がさらに設けられており、
前記二次金型に、前記芯材部の前記延出部を支持する支持部を設け、
該二次金型に前記芯材部を装着するとき、前記支持部に前記延出部の先端位置を合わせて装着する、前項（４）記載の歯ブラシの製造方法。
（【００１１】以降は省略されています）

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