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公開番号2025100328
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-03
出願番号2024162386
出願日2024-09-19
発明の名称免疫グロブリン結合性タンパク質の保存溶液
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類C07K 1/22 20060101AFI20250626BHJP(有機化学)
要約【課題】 Finegoldia属細菌由来Protein L(FpL)の免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含む、ポリペプチドの安定性を向上させる保存溶液を提供する。
【解決手段】 前記保存溶液に0.03mol/L以上3.0mol/L以下の糖類を含ませることで、前記課題を解決する。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
Finegoldia属細菌由来Protein L(FpL)の免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチド用の保存溶液であって、
0.03mol/L以上3.0mol/L以下の糖類を含む、前記保存溶液。
続きを表示(約 920 文字)【請求項2】
糖類がトレハロース、グルコースおよびスクロースより選択される1つ以上である、請求項1に記載の保存溶液。
【請求項3】
糖類がトレハロースである、請求項2に記載の保存溶液。
【請求項4】
FpLの免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドと請求項1から3のいずれかに記載の保存溶液とを接触させる工程を含む、前記ポリペプチドの保存方法。
【請求項5】
FpLの免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドを含む溶液をクロマトグラフィ用担体充填カラムにアプライし、当該担体に前記ポリペプチドを吸着させる工程と、
溶出緩衝液を前記カラムにアプライし、前記担体に吸着した前記ポリペプチドを溶出させる工程と、
溶出した前記ポリペプチドを含む画分を回収する工程と、
回収した画分を保存する工程と、を含む、
FpLの免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドの製造方法であって、
前記保存する工程が請求項1から3のいずれかに記載の保存溶液で保存する工程である、前記製造方法。
【請求項6】
FpLの免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドが以下の(a)から(c)のいずれかに記載のポリペプチドである、請求項1から3のいずれかに記載の保存溶液;
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド、
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるアミノ酸残基を少なくとも含み、当該アミノ酸残基において、1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、ただし、特定の変異が維持された、アミノ酸配列を有し、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるアミノ酸残基を少なくとも含み、当該アミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有し、ただし、特定の変異が維持された、アミノ酸配列を有し、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫グロブリン結合性タンパク質の保存溶液に関する。特にFinegoldia属細菌由来Protein L(FpL)の免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドの安定性を向上させる保存溶液に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
抗体医薬は生体内の免疫機能を担う分子である抗体(免疫グロブリン)を利用した医薬である。抗体医薬は抗体が有する可変領域の多様性により標的分子に対し高い特異性と親和性をもって結合する。そのため抗体医薬は副作用が少なく、また、近年では適応疾患が広がってきていることもあり市場が急速に拡大している。
【0003】
抗体医薬の製造は培養工程と精製工程を含み、培養工程では生産性を向上させるために抗体産生細胞の改質や培養条件の最適化が図られている。また、精製工程では粗精製としてアフィニティクロマトグラフィが採用され、その後の中間精製、最終精製、およびウイルス除去を経て製剤化される。
【0004】
精製工程では抗体分子を特異的に認識するアフィニティー担体が用いられる。前記担体で用いられるリガンドタンパク質として、抗体(免疫グロブリン)に結合する性質を有した、ブドウ球菌(Staphylococcus)属細菌由来Protein Aが多く用いられている(特許文献1)。しかしながら、Protein Aは抗体のFc領域に特異的に結合するタンパク質であるため、シングルチェーンFv(scFv)、Fab、F(ab’)

、IgAおよび二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体といったFc領域を有しない抗体の精製には適用できなかった。一方、Finegoldia属細菌由来Protein L(以下、「FpL」とも表記する)は、免疫グロブリンのκ軽鎖に結合するタンパク質であり、FpLをリガンドタンパク質とすることで、前述したProtein Aでは精製できない、Fc領域を有しない抗体の精製も可能となる(特許文献2)。
【0005】
これまでに抗体結合性タンパク質である、Fcγレセプターの保存方法が開示されているが(引用文献3、4)、FpLの保存方法については十分に検討されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2010-504754号公報
WO2017/191748号公報
特開2016-183112号公報
特開2015-178468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
Finegoldia属細菌由来Protein L(FpL)の免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドの安定性を向上させる保存溶液を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために鋭意検討した結果、保存溶液に糖類を含ませることで、FpLの免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドの安定性を向上させられることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下の態様を包含する。
[1]Finegoldia属細菌由来Protein L(FpL)の免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチド用の保存溶液であって、
0.03mol/L以上3.0mol/L以下の糖類を含む、前記保存溶液。
[2]糖類がトレハロース、グルコースおよびスクロースより選択される1つ以上である、請求項1に記載の保存溶液。
[3]糖類がトレハロースである、請求項2に記載の保存溶液。
[4]FpLの免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドと請求項1から3のいずれかに記載の保存溶液とを接触させる工程を含む、前記ポリペプチドの保存方法。
[5]FpLの免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドを含む溶液をクロマトグラフィ用担体充填カラムにアプライし、当該担体に前記ポリペプチドを吸着させる工程と、
溶出緩衝液を前記カラムにアプライし、前記担体に吸着した前記ポリペプチドを溶出させる工程と、
溶出した前記ポリペプチドを含む画分を回収する工程と、
回収した画分を保存する工程と、を含む、
FpLの免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドの製造方法であって、
前記保存する工程が請求項1から3のいずれかに記載の保存溶液で保存する工程である、前記製造方法。
[6]FpLの免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドが以下の(a)から(c)のいずれかに記載のポリペプチドである、請求項1から3のいずれかに記載の保存溶液;
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド、
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるアミノ酸残基を少なくとも含み、当該アミノ酸残基において、1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、ただし、特定の変異が維持された、アミノ酸配列を有し、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるアミノ酸残基を少なくとも含み、当該アミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有し、ただし、特定の変異が維持された、アミノ酸配列を有し、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、Finegoldia属細菌由来Protein L(FpL)の免疫グロブリン結合ドメインを少なくとも含むポリペプチドの保存溶液に糖類を含ませることを特徴としている。本発明により、FpLの保存溶液中での安定性を向上させられる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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