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公開番号2025134229
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-17
出願番号2024031998
出願日2024-03-04
発明の名称温度応答性ビーズの製造方法
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類C08J 3/12 20060101AFI20250909BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】 工業的に容易なプロセスで温度応答性ビーズを製造する方法を提供すること
【解決手段】 下限臨界溶解温度(LSCT)を0℃以上50℃以下の範囲に有する温度応答性ポリマーを少なくとも含むコート剤と担体とから構成される温度応答性ビーズの製造方法であって、前記コート剤を溶解した反応液に前記担体を分散させる工程と、前記コート剤および前記担体を含有する液に前記コート剤の貧溶媒を作用させて、担体表面に前記コート剤を析出させる工程と、を少なくとも含む、方法を提供する。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
下限臨界溶解温度(LSCT)を0℃以上50℃以下の範囲に有する温度応答性ポリマーを含むコート剤と担体とから構成される温度応答性ビーズの製造方法であって、
前記コート剤に前記担体を分散させる工程と、
前記コート剤および前記担体を含有する液に前記コート剤の貧溶媒を作用させて、担体表面に前記コート剤を析出させる工程と、を少なくとも含む、前記方法。
続きを表示(約 540 文字)【請求項2】
析出させるコート剤が、担体質量に対し0.1質量%以上3質量%以下の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
担体の粒径が50μm以上1000μm以下の範囲にあり、析出させるコート剤が当該担体表面への膜厚として10nm以上1000nm以下の範囲にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
コート剤がさらに細胞接着性ポリマーを含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
温度応答性ポリマーが下記(A)、(B)および(C)のブロックを含むブロック共重合体である、請求項4に記載の方法;
(A)HLB値(グリフィン法)が7以上20以下の範囲にある重合体ブロック
(B)HLB値(グリフィン法)が0以上7未満の範囲にある重合体ブロック
(C)LCSTが0℃以上50℃以下の範囲にある温度応答性重合体ブロック。
【請求項6】
細胞接着性ポリマーがp-カルボキシスチレンとスチレンとの共重合体である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
細胞接着性ポリマーがp-カルボキシスチレンとスチレンとの共重合体である、請求項5に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、温度応答性ビーズの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
多能性幹細胞は、あらゆる系統の細胞へと分化できる多能性を有していることから、再生医療や細胞医療の確立に向け研究が進められている。一方で、培地や増殖因子などの消耗品のコスト低減が課題になっており、安価で安定な細胞供給システムが求められる。一般的にヒト細胞を含め多くの動物細胞は足場依存性があり、細胞を増殖する際は足場が必要である。コスト低減に当たり、単位培地量当たりの細胞増殖が高くなる足場の設計を行う必要があった。これを解決するため、合成高分子や多糖などの天然高分子を原料としたビーズから構成されるマイクロキャリアが開発されている。マイクロキャリアを細胞懸濁液入りの容器に投入し培養することで、細胞は容器表面だけでなくマイクロキャリア表面にも接着し増殖し、単位培地量当たりの細胞増殖を高めることができる。
【0003】
一方、増殖後の細胞は足場から剥離して回収する必要がある。細胞は、細胞が産出した接着性タンパク質により足場に接着しており、一般的に、足場に接着した細胞を剥離して回収するには、トリプシンなどのタンパク質分解酵素が用いられる。しかしながら、トリプシンなどのタンパク質分解酵素は接着性タンパク質を分解するのと同時に、細胞固有の表面タンパク質も分解するため、細胞にダメージを与える点が課題であった。
【0004】
こうした課題を解決するために、例えば特許文献1では、温度応答性ポリマーをコートされたビーズにより、培養細胞を酵素不使用の冷却処理で回収することを可能にしていることが開示されている。また、特許文献1ではフラスコの中にポリスチレンビーズとポリマー溶媒を入れて、エバポレーターで撹拌しながら減圧することで、ビーズにポリマーをコートする方法が開示されている。
【0005】
しかしこの方法は作製可能な温度応答性ビーズの量が制限され、エバポレーターの洗浄やメンテナンスに手間がかかるという問題があり、工業的生産に不向きである。
【0006】
さらに特許文献2にも、温度応答性細胞培養用ビーズの調製方法が開示されており、基材表面の原子移動ラジカル重合開始点から触媒の存在下で原子移動ラジカル法により温度応答性ポリマーを成長反応させる方法、または原子移動ラジカル重合開始剤を固定化し、その開始剤から触媒の存在下で原子移動ラジカル法により温度応答性ポリマーを成長反応させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第6954047号公報
特許第6313822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、工業的に容易なプロセスで温度応答性ビーズを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、貧溶媒を加えることによりポリマーをビーズ表面に析出した後、ビーズを濾過することで、工業的に容易に温度応答性ビーズを製造可能であることを見出した。すなわち本発明は以下の態様を包含する。
[1]下限臨界溶解温度(LSCT)を0℃以上50℃以下の範囲に有する温度応答性ポリマーを含むコート剤と担体とから構成される温度応答性ビーズの製造方法であって、前記コート剤に前記担体を分散させる工程と、前記コート剤および前記担体を含有する液に前記コート剤の貧溶媒を作用させて、担体表面に前記コート剤を析出させる工程と、を少なくとも含む、前記方法。
[2]析出させるコート剤が、担体質量に対し0.1質量%以上3質量%以下の範囲にある、[1]に記載の方法。
[3]担体の粒径が50μm以上1000μm以下の範囲にあり、析出させるコート剤が当該担体表面への膜厚として10nm以上1000nm以下の範囲にある、[1]または[2]に記載の方法。
[4]コート剤がさらに細胞接着性ポリマーを含む、[1]から[3]のいずれかに記載の方法。
[5]温度応答性ポリマーが下記(A)、(B)および(C)のブロックを含むブロック共重合体である、[1]から[4]に記載の方法;
(A)HLB値(グリフィン法)が7以上20以下の範囲にある重合体ブロック
(B)HLB値(グリフィン法)が0以上7未満の範囲にある重合体ブロック
(C)LCSTが0℃以上50℃以下の範囲にある温度応答性重合体ブロック。
[6]細胞接着性ポリマーがp-カルボキシスチレンとスチレンとの共重合体である、[4]または[5]に記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明に記載される方法により、温度応答性ビーズの工業的生産が可能になる。また当該方法は、加熱工程を含まないため、ポリマーや温度応答性ビーズが加熱により劣化する恐れを生じない。さらに添加するポリマー量によって、ポリマー層の膜厚をコントロールできる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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