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公開番号
2025107990
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-22
出願番号
2025003693
出願日
2025-01-09
発明の名称
フィラグリン遺伝子型決定法およびキット
出願人
国立大学法人 筑波大学
代理人
弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類
C12Q
1/6869 20180101AFI20250714BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】FLG exon3領域のロングリードシークエンスを行うために十分なPCR産物を短時間で得るための方法の実現。
【解決手段】本開示のフィラグリン遺伝子のexon3領域をロングリードシークエンスする方法は、プライマーセットおよびDNAポリメラーゼを使用したPCR法によって、フィラグリン遺伝子のexon3領域の核酸配列を増幅する工程を含む。プライマーセットは、第1ユニバーサル配列および第1バーコード配列を含むフォワードプライマーならびに、第2ユニバーサル配列および第2バーコード配列を含むリバースプライマーを含む、少なくとも1種のプライマー対を含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
プライマーセットおよびDNAポリメラーゼを使用したPCR法によって、フィラグリン遺伝子のexon3領域の核酸配列を増幅する工程を含み、
前記プライマーセットは、第1ユニバーサル配列および第1バーコード配列を含むフォワードプライマー、ならびに、第2ユニバーサル配列および第2バーコード配列を含むリバースプライマーを含む、少なくとも1種のプライマー対を含み、
前記第1バーコード配列と前記第2バーコード配列とは互いに異なり、
前記第1ユニバーサル配列が、配列番号1で表される配列、配列番号1で表される配列において1もしくは2塩基の欠失、置換、付加もしくは挿入を含む塩基配列、または、配列番号1で表される配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列であり、
前記第2ユニバーサル配列が、配列番号2で表される配列、配列番号2で表される配列において1もしくは2塩基の欠失、置換、付加もしくは挿入を含む塩基配列、または、配列番号1で表される配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列である、フィラグリン遺伝子のexon3領域をロングリードシークエンスする方法。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記DNAポリメラーゼがサーモコッカス・コダカラエンシス由来のDNAポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PCR法は1種類のPCRサイクルで実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種のプライマー対がForward Primer 24種とReverse Primer 24種を組み合わせた計576種の組み合わせのプライマー対のいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項の記載の方法を使用してフィラグリン遺伝子のexon3領域をロングリードシークエンスする工程を含む、フィラグリン遺伝子のexon3領域における変異を検出する方法。
【請求項6】
前記変異が1塩基変異、Indel変異およびコピー数変異からなる群から選択される少なくとも1種の変異である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第1ユニバーサル配列および第1バーコード配列を含むフォワードプライマー、ならびに、第2ユニバーサル配列および第2バーコード配列を含むリバースプライマーを含む、少なくとも1種のプライマー対を含むプライマーセットを含み、
前記第1バーコード配列と前記第2バーコード配列とは互いに異なり、
前記第1ユニバーサル配列が、配列番号1で表される配列、配列番号1で表される配列において1もしくは2塩基の欠失、置換、付加もしくは挿入を含む塩基配列、または、配列番号1で表される配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列であり、
前記第2ユニバーサル配列が、配列番号2で表される配列、配列番号2で表される配列において1もしくは2塩基の欠失、置換、付加もしくは挿入を含む塩基配列、または、配列番号1で表される配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列である、フィラグリン遺伝子のexon3領域をロングリードシークエンスするためのキット。
【請求項8】
サーモコッカス・コダカラエンシス由来のDNAポリメラーゼをさらに含む、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記少なくとも1種のプライマー対がForward Primer 24種とReverse Primer 24種を組み合わせた計576種の組み合わせのプライマー対のいずれかである、請求項7に記載のキット。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラグリン遺伝子のexon3領域をロングリードシークエンスする方法およびキットに関する。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
フィラグリン(FLG)は染色体1q21の表皮分化複合体(Epidermal Differentiation Complex; EDC)に存在する(非特許文献1)。FLGは3つのexonから構成され、3番目のexonには90%以上の相同性を持つ972bp程度の繰り返し配列が10-12個程度存在する(非特許文献2~3、図1)。日本人のアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis, AD)患者においてショットガン法でFLGの塩基配列を決定した先行研究では、繰り返し配列数が11-13個であると報告されている(非特許文献4)。Exon3領域には、ナンセンス変異またはフレームシフト変異等によって翻訳が阻害される機能喪失変異が多く存在し、人種特異的であることが知られている(非特許文献5)。
【0003】
このFLGの繰り返し配列が前駆体であるプロフィラグリンを形成し(非特許文献6)、表皮の顆粒層内に存在するケラトヒアリン顆粒の主成分となる(非特許文献7)。不溶性なプロフィラグリンは脱リン酸化を受け、複数個のフィラグリンモノマーへと分解される(非特許文献3)。フィラグリンが完全に分解されると天然保湿因子(NMF;Natural Moisturizing Factor)となり、角層の最外層の水分を保つことができる(非特許文献1)。以上より、FLGは表皮のバリア機能において重要な役割を担っている。FLGの機能喪失変異は、FLGの発現量の減少に影響を与えている。皮膚のバリア機能が低下するので抗原等の外的物質が侵入し易くなり(非特許文献7)、免疫反応の活性化に関与するので、アトピー性皮膚炎等の各アレルギー疾患発症に影響を及ぼす。
【0004】
ヒトFLGについて、Ganらはサザンプロットによりexon3領域に個人間で異なる10-12個の(非特許文献3)、Sasakiらは11-13個の1つあたり972bp程度のリピート構造が存在することを示した(非特許文献4)。この各リピート構造の相同性が高いため、FLG遺伝子構造を複雑化させ、FLG遺伝子変異を同定することは容易ではない。
【0005】
これまでに、FLGの変異について様々な研究が行われている。次世代シークエンサー(next generation sequence, NGS)が使用される前の研究では、少数のサンプルを対象にサンガー法等のダイレクトシークエンスを用いて塩基配列を決定し、TaqMan Genotyping assay等を用いて集団内の主要な変異について遺伝子型を決定する手法がとられていた(非特許文献8)。
【0006】
シークエンスを行うにあたってFLG exon3領域の増幅が必要であったが、リピート配列による構造の複雑化によって全体を増幅することは困難であり、exon3を複数の領域に分割してPCRを実施し、目的の領域を増幅していた。2006年にSmithらによってFLG exon3領域全体をカバーするLong-range PCR方法が開発されたものの、領域の塩基配列全体を完全に決定するにいたらなかったと報告されている(非特許文献9)。2007年にはSandilandsらによってexon3領域の塩基配列をサンガー法によって完全決定できる手法が報告された(非特許文献10)が、exon3領域内では複数のプライマーの設計およびそれに準じたPCRが必要であり、遺伝子型決定に多くの手間を要した。その後2012年にBrownらによって、exon3領域内を2分割にしてLong-range PCRを行う方法が報告された(非特許文献2)。
【0007】
遺伝子型決定法についてはFLG変異ごとに方法が異なっており、例えばヨーロッパ人集団内で頻度の高い変異であるR501XはTaqMan Genotyping assayが、2282del4または3702delGは蛍光標識されたPCR産物のサイジングによって行われている(非特許文献10)。Konoらは、日本人で報告された10種類のFLG変異を迅速かつ簡易に検出・スクリーニングするため、TaqMan-PCR等のFRETの原理に基づいたリアルタイムPCR法で使用できるプライマーおよび蛍光プローブを設計し(非特許文献11)、その後開発したプライマーとプローブについて特許を取得している(特許文献1)。
【0008】
上述したようなダイレクトシークエンスを行ってから遺伝子型決定を行う方法は、大変な手間がかかるものであり、さらに1つ当たりのリピートサイズが972bp程度で、かつ、リピート配列相同性が99%程度のリピート配列が複数連なる場合(例としてリピート8)、サンガー法によるダイレクトシークエンスではその検出に限界がある。
【0009】
2017年にRomeroらはPrimeSTAR(登録商標)GXL DNA Polymeraseを用いてカニクイザル(Macaca fascicularis)、オランウータン(Pongo abelii)、ゴリラ(Gorilla gorilla)、チンパンジー(Pan troglodytes)、ヒト(Homo sapiens)のFLGリピート配列について、PacBio RSIIおよびillumina MiSeqのショートリードシークエンスによって決定したと報告した(非特許文献12)。2018年にWongらはilluminaのMiSeqを用いた配列決定法を開発し、一度に多くのサンプルを解析することが可能となった(非特許文献13)。
【0010】
2023年にはMaresoらによって、PrimeSTARを使用してライブラリを調製したのち、PacBioのロングリードシークエンスを使用した解析方法が報告された(非特許文献14)。この方法は2段階でLong-range PCRを行っている。第一段階で領域特異的なプライマーにユニバーサル配列を5’側に付加して増幅し、第二段階でさらにバーコードを付加するためのPCRを実施するという手法がとられている。プロトコルの最適化のため、第一段階のサイクル数は25回であるのに対し、第二段階のサイクル数は7回としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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