特許ウォッチ

公開番号2025112892
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-01
出願番号2024007416
出願日2024-01-22
発明の名称グリップ用ゴム組成物およびゴルフクラブグリップ
出願人住友ゴム工業株式会社
代理人個人,個人
主分類C08L 15/00 20060101AFI20250725BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】基材ゴムとして水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル-ブタジエンゴムを含有するゴム組成物であって、高温加硫においても、機械的強度に優れ、かつ、高い摩擦係数を有する架橋ゴムが得られるゴム組成物を提供する。
【解決手段】グリップ用ゴム組成物は、基材ゴム、加硫剤および加硫促進剤を含有し、基材ゴムが水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル-ブタジエンゴムを含有し、基材ゴム100質量部に対して、チウラム系加硫促進剤を4質量部以上、スルフェンアミド系加硫促進剤を0.3質量部以上、チオウレア系加硫促進剤を0.1質量部以上含有し、ゴム組成物を加硫温度185℃で硬化させた架橋ゴムを、動的粘弾性装置(加振周波数10Hz、歪振幅0.05%、引張モード)を用いて測定した、25℃における損失係数(tanδ)と複素弾性率(E^*)(MPa)の比(tanδ/E^*)が0.027～0.052であることを特徴とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
基材ゴム、加硫剤および加硫促進剤を含有するグリップ用ゴム組成物であって、
前記基材ゴムが、水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル－ブタジエンゴムを含有し、
前記加硫促進剤が、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、および、チオウレア系加硫促進剤を含有し、
前記チウラム系加硫促進剤の含有量が、前記基材ゴム１００質量部に対して４質量部以上であり、
前記スルフェンアミド系加硫促進剤の含有量が、前記基材ゴム１００質量部に対して０．３質量部以上であり、
前記チオウレア系加硫促進剤の含有量が、前記基材ゴム１００質量部に対して０．１質量部以上であり、
前記グリップ用ゴム組成物を加硫温度１８５℃で硬化させた架橋ゴムについて、動的粘弾性装置を用いて、加振周波数１０Ｈｚ、歪振幅０．０５％、引張モードの測定条件で測定した、２５℃における損失係数（ｔａｎδ）と複素弾性率（Ｅ
*
）（ＭＰａ）の比（ｔａｎδ／Ｅ
*
）が０．０２７～０．０５２であることを特徴とするグリップ用ゴム組成物。
続きを表示（約 470 文字）【請求項２】
前記グリップ用ゴム組成物は、加硫温度１８５℃で測定した加硫曲線における９０％加硫時間（ｔ９０）が５ｍｉｎ以下である請求項１に記載のグリップ用ゴム組成物。
【請求項３】
前記グリップ用ゴム組成物を加硫温度１８５℃で硬化させた架橋ゴムの切断時引張強さが、２３ＭＰａ以上である請求項１に記載のグリップ用ゴム組成物。
【請求項４】
前記グリップ用ゴム組成物を加硫温度１８５℃で硬化させた架橋ゴムの密度が１．０５ｇ／ｃｍ
3
～１．１０ｇ／ｃｍ
3
である請求項１に記載のグリップ用ゴム組成物。
【請求項５】
前記グリップ用ゴム組成物を加硫温度１８５℃で硬化させた架橋ゴムの硬度が、ショアＡ硬度で、５２～６２である請求項１に記載のグリップ用ゴム組成物。
【請求項６】
円筒部を有し、前記円筒部の少なくとも一部が、請求項１～５のいずれか一項に記載のグリップ用ゴム組成物から形成されていることを特徴とするゴルフクラブグリップ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、グリップの製造に用いられるグリップ用ゴム組成物に関する。
続きを表示（約 2,300 文字）【背景技術】
【０００２】
スポーツ用品等に装着されるグリップ（防滑部材）として、ゴム製のグリップが多用されている。このようなグリップにおいて、基材ゴムとして、水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル－ブタジエンゴムを使用することが提案されている。
【０００３】
例えば、特許文献１には、最表層が、（Ａ）基材ゴムおよび（Ｂ）軟化点が５℃～１２０℃である樹脂を含有し、前記（Ａ）基材ゴムが、アクリロニトリル－ブタジエン系ゴムを含有し、前記（Ｂ）樹脂が、水素添加ロジンエステル、不均化ロジンエステル、エチレン－酢酸ビニル共重合体、クマロン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂およびスチレン樹脂よりなる群から選択される少なくとも１種である表層用ゴム組成物から形成されていることを特徴とするスポーツ用品用グリップが記載されている（特許文献１（請求項１、段落００１３、００１９）参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
特開２０１７－１１３３８８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル－ブタジエンゴムは、不飽和結合量が少ないことで耐候性や耐オゾン性といった性能を発現しているが、一方で不飽和結合量が少ないことで加硫速度が遅く、架橋ゴムの生産性が悪いといった課題があった。
ここで、ゴム組成物の加硫速度を速める方法としては、加硫温度を高くすることが一般的である。しかしながら、高温での加硫は、得られる架橋ゴムの機械的強度が低下する傾向がある。
また、スポーツ用品等に装着されるグリップには優れた防滑性能が求められる。グリップの防滑性能は表面に溝パターンを形成することでも高めることができるが、グリップの形成に使用されるゴム組成物自体が高い摩擦係数を有していることが好ましい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、基材ゴムとして水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル－ブタジエンゴムを含有するゴム組成物であって、高温加硫においても、機械的強度に優れ、かつ、高い摩擦係数を有する架橋ゴムが得られるゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記課題を解決することができた本発明のグリップ用ゴム組成物は、基材ゴム、加硫剤および加硫促進剤を含有し、前記基材ゴムが、水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル－ブタジエンゴムを含有し、前記加硫促進剤が、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、および、チオウレア系加硫促進剤を含有し、前記チウラム系加硫促進剤の含有量が、前記基材ゴム１００質量部に対して４質量部以上であり、前記スルフェンアミド系加硫促進剤の含有量が、前記基材ゴム１００質量部に対して０．３質量部以上であり、前記チオウレア系加硫促進剤の含有量が、前記基材ゴム１００質量部に対して０．１質量部以上であり、前記グリップ用ゴム組成物を加硫温度１８５℃で硬化させた架橋ゴムについて、動的粘弾性装置を用いて、加振周波数１０Ｈｚ、歪振幅０．０５％、引張モードの測定条件で測定した、２５℃における損失係数（ｔａｎδ）と複素弾性率（Ｅ
*
）（ＭＰａ）の比（ｔａｎδ／Ｅ
*
）が０．０２７～０．０５２であることを特徴とする。
【０００７】
本発明のグリップ用ゴム組成物は、高温加硫でも、機械的強度に優れ、かつ、高い摩擦係数を有する架橋ゴムが得られる。よって、グリップ成形時の加硫温度を高く設定し、加硫時間を短縮することができ、グリップの生産性が向上する。
【発明の効果】
【０００８】
本発明のグリップ用ゴム組成物を用いることで、機械的強度に優れ、かつ、防滑性能に優れたグリップを得ることができ、また、グリップの生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
本発明のゴルフクラブ用グリップの一例を示す斜視図である。
本発明のゴルフクラブ用グリップを備えたゴルフクラブの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
［ゴム組成物］
本発明のグリップ用ゴム組成物（以下、単に「ゴム組成物」と称する場合がある。）は、グリップの成形に用いられるものである。
前記ゴム組成物は、基材ゴム、加硫剤および加硫促進剤を含有し、前記基材ゴムが、水素添加カルボキシ変性アクリロニトリル－ブタジエンゴムを含有し、前記加硫促進剤が、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、および、チオウレア系加硫促進剤を含有し、前記チウラム系加硫促進剤の含有量が、前記基材ゴム１００質量部に対して４質量部以上であり、前記スルフェンアミド系加硫促進剤の含有量が、前記基材ゴム１００質量部に対して０．３質量部以上であり、前記チオウレア系加硫促進剤の含有量が、前記基材ゴム１００質量部に対して０．１質量部以上である。
さらに、前記ゴム組成物は、加硫温度１８５℃で硬化させた架橋ゴムについて、動的粘弾性装置を用いて、加振周波数１０Ｈｚ、歪振幅０．０５％、引張モードの測定条件で測定した、２５℃における損失係数（ｔａｎδ）と複素弾性率（Ｅ
*
）（ＭＰａ）の比（ｔａｎδ／Ｅ
*
）が０．０２７～０．０５２である。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許