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公開番号2025113756
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-04
出願番号2024008074
出願日2024-01-23
発明の名称熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C08L 55/02 20060101AFI20250728BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】耐薬品性に優れ、かつ成型収縮率が小さく、剛性を損なわず高い耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)と(B)の合計を100重量部として、ゴム質重合体の存在下に、少なくともシアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体を含有するビニル系単量体混合物をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(A)20~60重量部、少なくともシアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含有するビニル系単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体(B)40~80重量部を含むスチレン系樹脂組成物100重量部に対し、エチレン、(メタ)アクリル酸エステルならびに、一酸化炭素および/または無水マレイン酸を共重合してなるポリオレフィン系共重合体(C)1~4重量部、およびシリコーン系化合物(D)0.01~0.1重量部を含む、熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(A)と(B)の合計を100重量部として、ゴム質重合体の存在下に、少なくともシアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体を含有するビニル系単量体混合物をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(A)20~60重量部、少なくともシアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含有するビニル系単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体(B)40~80重量部を含むスチレン系樹脂組成物100重量部に対し、エチレン、(メタ)アクリル酸エステルならびに、一酸化炭素および/または無水マレイン酸を共重合してなるポリオレフィン系共重合体(C)1~4重量部、およびシリコーン系化合物(D)0.01~0.1重量部を含む、熱可塑性樹脂組成物。
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
前記ビニル系共重合体(B)が、グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)の合計を100重量部として、以下のビニル系共重合体(B-1)39~70重量部、およびビニル系共重合体(B-2)1~10重量部を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
ビニル系共重合体(B-1);シアン化ビニル系単量体25~40重量%、芳香族ビニル系単量体60~75重量%を共重合してなり、ビニル系共重合体(B-1)全体の平均シアン化ビニル含有率よりもシアン化ビニル含有率が2重量%以上高い組成を有する共重合体が、共重合体中40重量%未満であるビニル系共重合体。
ビニル系共重合体(B-2);シアン化ビニル系単量体30~50重量%、芳香族ビニル系単量体70~50重量%を共重合してなり、かつビニル系共重合体(B-2)全体の平均シアン化ビニル含有率よりもシアン化ビニル含有率が2重量%以上高い組成を有する共重合体が、共重合体中40重量%以上60重量%以下であるビニル系共重合体。
【請求項3】
前記ビニル系共重合体(B-1)の重量平均分子量が11万~15万である請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記スチレン系樹脂組成物100重量部に対し、多価アルコール脂肪酸エステル(E)を0.5~3.5重量部を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
ジエン系ゴムなどのゴム質重合体に、スチレン、α-メチルスチレンなどの芳香族ビニル系化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物をグラフト共重合して得られるABS樹脂は、耐衝撃性、剛性などの機械的強度、成形性、外観およびコストパフォーマンスなどに優れることから、家電製品、通信関連機器、一般雑貨および医療関連機器などの用途分野で幅広く利用されている。
【0003】
さらにその中で、樹脂割れの原因となる薬品との接触頻度が高い化粧品容器用途等においては、高い耐薬品性が求められる。一般的にABS樹脂においては、芳香族ビニル化合物に対してシアン化ビニル化合物の比率を高める程、シアノ基に起因する分子間力によって薬品浸透性を抑制でき、耐薬品性を高めることができる。しかしながら、シアン化ビニル化合物の比率を高める手法においては、シアン化ビニル化合物の比率が増加するほど、共重合時にシアン化ビニル化合物が隣接した構造を生成する確率が著しく増加し、隣接したシアン化ビニル化合物同士が熱によって環化反応を起こすことで樹脂加工時の黄変(熱着色)の原因となり、色調安定性を損なう。そのため、種々の添加剤を含有することにより耐薬品性を向上する手法が検討されている。
【0004】
特許文献1ではゴム粒子径、およびグラフト率が特定範囲にあるゴム含有グラフト共重合体と、特定構造を有するシアン化ビニル系共重合体と、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素からなる共重合体および/または芳香族ポリエステル系重合体とを組み合わせることにより、溶融時の色調安定性に優れた耐薬品性熱可塑性樹脂組成物が得られることを報告している。
【0005】
特許文献2ではポリアミド樹脂、ゴム含有スチレン系樹脂を含むスチレン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物に対し、ごく少量のシリコーンオイルを含有することにより、機械的強度や良好な耐薬品性を有する熱可塑性樹脂組成物が得られることを報告している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平9-132684号公報
特開2011-80000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の樹脂組成物は、ポリオレフィン系共重合体の添加を行うことで耐薬品性を向上しているが、添加量が増えると成型収縮率が高くなり、成型不具合を生じやすくなる。一方で添加量を減らすと所望の耐薬品性が維持できない。
【0008】
特許文献2に記載の樹脂組成物はシリコーンオイルを添加することで耐衝撃性、耐薬品性を向上しているが、シリコーン添加により樹脂組成物が軟化し、ABSの特性の一つである剛性が低下する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では樹脂組成物及び添加剤の組み合わせ、配合のバランスを鋭意検討した結果、上記課題の解決手段として、ゴム質重合体の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体を含有するビニル系単量体混合物をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(A)20~60重量部、少なくとも芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を含有するビニル系単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体(B)40~80重量部を含む熱可塑性樹脂であり、前記樹脂成分100重量部に対し、エチレンおよび(メタ)アクリル酸エステルと、一酸化炭素または無水マレイン酸から選択される化合物とを共重合してなるポリオレフィン系共重合体(C)1~4重量部、前記樹脂成分100重量部に対し、シリコーン系化合物(D)0.01~0.1重量部を含む、熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0010】
本発明は、以下のとおりである。
(1)(A)と(B)の合計を100重量部として、ゴム質重合体の存在下に、少なくともシアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体を含有するビニル系単量体混合物をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(A)20~60重量部、少なくともシアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含有するビニル系単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体(B)40~80重量部を含むスチレン系樹脂組成物100重量部に対し、エチレン、(メタ)アクリル酸エステルならびに、一酸化炭素および/または無水マレイン酸を共重合してなるポリオレフィン系共重合体(C)1~4重量部、およびシリコーン系化合物(D)0.01~0.1重量部を含む、熱可塑性樹脂組成物。
(2)前記ビニル系共重合体(B)が、グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)の合計を100重量部として、以下のビニル系共重合体(B-1)39~70重量部、およびビニル系共重合体(B-2)1~10重量部を含む、(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
ビニル系共重合体(B-1);シアン化ビニル系単量体25~40重量%、芳香族ビニル系単量体60~75重量%を共重合してなり、ビニル系共重合体(B-1)全体の平均シアン化ビニル含有率よりもシアン化ビニル含有率が2重量%以上高い組成を有する共重合体が、共重合体中40重量%未満であるビニル系共重合体。
ビニル系共重合体(B-2);シアン化ビニル系単量体30~50重量%、芳香族ビニル系単量体70~50重量%を共重合してなり、かつビニル系共重合体(B-2)全体の平均シアン化ビニル含有率よりもシアン化ビニル含有率が2重量%以上高い組成を有する共重合体が、共重合体中40重量%以上60重量%以下であるビニル系共重合体。
(3)前記ビニル系共重合体(B-1)の重量平均分子量が11万~15万である(3)記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)前記スチレン系樹脂組成物100重量部に対し、多価アルコール脂肪酸エステル(E)を0.5~3.5重量部を含む、(1)~(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)(1)~(4)のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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