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公開番号2025127101
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-01
出願番号2024023621
出願日2024-02-20
発明の名称水性塗料用艶消し剤、それを含む水性塗料およびその艶消し剤の製造方法
出願人東ソー・シリカ株式会社
代理人弁理士法人特許事務所サイクス
主分類C09C 3/10 20060101AFI20250825BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】ワックスを含む水性塗料用艶消し剤であって、水性塗料中での沈降安定性に優れ、溶媒へのワックスの溶出を抑制でき、かつ粉体としての保管安定性に優れる艶消し剤を提供する。さらに、上記艶消し剤を含む水性塗料、および上記艶消し剤の製造を可能にする艶消し剤の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の艶消し剤は、湿式シリカ粒子および湿式シリカ粒子表面を被覆するワックスを含む水性塗料用艶消し剤であって、ワックスが、85~120℃の範囲の融点、および6%以下の特定部分融解熱を有し、ならびに艶消し剤が50~250 m2/gの範囲のBET比表面積を有する。特定部分融解熱は、ワックスの示差熱分析曲線における吸熱ピーク全体から算出される全融解熱に対する、40~60℃の範囲の吸熱量から算出される融解熱の割合を意味する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
湿式シリカ粒子および湿式シリカ粒子表面を被覆するワックスを含む水性塗料用艶消し剤であって、
ワックスが、85~120℃の範囲の融点、および6%以下の特定部分融解熱を有し、特定部分融解熱は下記式により算出されるものであり、ならびに
艶消し剤が、50~250 m
2
/gの範囲のBET比表面積を有する、艶消し剤。
特定部分融解熱% = [(示差熱分析曲線における40~60℃の融解熱)÷(示差熱分析曲線の吸熱ピーク全体から算出される融解熱(全融解熱))]×100
続きを表示(約 870 文字)【請求項2】
前記特定部分融解熱が5%以下である、請求項1に記載の艶消し剤。
【請求項3】
前記ワックスの融点が90℃以上である、請求項1または2に記載の艶消し剤。
【請求項4】
前記艶消し剤中の前記ワックスの含有量が湿式シリカ粒子100質量部に対して2~25質量部である、請求項1または2に記載の艶消し剤。
【請求項5】
ワックスの溶出率が40%以下である、請求項1または2に記載の艶消し剤:
但し、ワックスの溶出率は、100質量部のトルエンに5質量部の艶消し剤を分散させ、50℃で三日間静置する試験を行い、試験前後の艶消し剤中の炭素量に基づいて下記式で算出する。
ワックスの溶出率% =
[(試験前の炭素量-試験後の炭素量)÷(試験前の炭素量)]×100
【請求項6】
前記艶消し剤が、3.0~10.0 μmの範囲の粒度分布における体積平均粒子径D50を有し、かつ2.0以下の粒度分布におけるD90/D50を有する、請求項1または2に記載の艶消し剤。
【請求項7】
前記艶消し剤が、2.5×10
-2
~4.5×10
-2
cm
3
/m
2
の範囲の水銀総細孔容積とBET比表面積の比(水銀細孔容積/BET比表面積)を有する、請求項1または2に記載の艶消し剤。
【請求項8】
前記艶消し剤が、100~320 mmol/kgの範囲のDBA吸着量を有する、請求項1または2に記載の艶消し剤。
【請求項9】
前記艶消し剤が、150~350 mL/100gの範囲の吸油量を有する、請求項1または2に記載の艶消し剤。
【請求項10】
前記艶消し剤が、9.0%以下の105℃における加熱減量を有し、0.05~0.30 g/mLの範囲のかさ密度を有する、請求項1または2に記載の艶消し剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水性塗料用艶消し剤、それを含む水性塗料およびその艶消し剤の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
金属塗装、木工塗装、プラスチック塗装および紙塗装などの塗装に使われる塗料用の艶消し剤として湿式シリカ粒子が利用されている。湿式シリカ粒子は、水中で合成された非晶質シリカ粒子の総称であり、粉末としては沈降シリカ粒子およびゲルシリカ粒子がよく知られている。通常、湿式シリカ粒子は、粉砕や分級等の追加処理によってミクロンサイズに制御されたのち、塗料に配合される。
【0003】
湿式シリカ粒子の表面をワックスおよび界面活性剤などのコーティング剤で被覆して特定の機能を持たせた艶消し剤も知られている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載されているように、ワックスでシリカ粒子をコーティングして得た艶消し剤の場合、その艶消し剤を含む塗料で作製した塗膜の耐化学性を改善することができる。
【0005】
このほか、特許文献2には、艶消し性能を維持したまま塗料の沈降安定性を向上させるために、沈降シリカ粒子を一定量のポリエチレンワックスで被覆して得た艶消し剤が記載されている。特許文献3には、沈降シリカ粒子をワックスで表面処理した艶消し剤であって、その表面処理を、溶融温度を上回りかつ分解温度を下回る温度範囲で空気に接触させながら実施して得た艶消し剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2020-530868号公報
特開平7-166091号公報
特開2002-97385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
溶剤型塗料は溶媒として揮発性有機化合物(VOC)を含む。VOCは、塗料を乾燥して塗膜を形成する際に大気中に放出され、塗膜中に残存する僅かなVOCも経時的に大気中に放出される。VOCは、人の呼吸器官に有害な影響を及ぼすとされているため、VOCの使用には一定の規制があり、近年その規制はより厳しくなっている。人体への有害性に加えて、持続可能な社会を実現させる観点から、環境に対する配慮への関心も高まっている。このような状況から、塗料に関する分野において、溶剤型塗料から、水性塗料或いはVOCを含まず低粘度樹脂を使用した無溶剤塗料への転換が進んでいる。
【0008】
一般に、艶消し剤を塗料に入れた場合、艶消し剤は自重により沈降しやすいため、艶消し剤には、沈降した後でも塗料の撹拌によって再分散しやすいこと(沈降安定性が高いこと)が求められる。前述した水性塗料のニーズが高まる近年、艶消し剤の水性塗料中での沈降安定性の重要度が増している。
【0009】
そこで、本発明者らは、ワックスを含む水性塗料用艶消し剤に関して、水性塗料中での優れた沈降安定性を付与するために鋭意研究を行った。その際、本発明者らは、水性塗料に使用される水性溶媒がワックスを溶出させる効果を有することを見出した。本明細書でいう水性溶媒とは、水性塗料で使用される溶媒を指し、具体的には主成分が水であり適宜水溶性の有機溶媒(アルコールやグリコール系など)を含むものである。水性塗料中に、ワックスを含む艶消し剤を配合すると、ワックスが艶消し剤から塗料に溶出し、塗膜表面にワックスが浮き出て、塗膜物性が悪化する問題が生じ得る。これより、ワックスを含む艶消し剤において、水性塗料中での優れた沈降安定性に加えて、溶媒へのワックスの溶出を抑制することも望まれる。
【0010】
さらに、本発明者らは、ワックスを含む艶消し剤は、粉体として保管した際、保管庫内の気温の変化でワックスの一部が融解および固結を繰り返し、粉体状の艶消し剤が経時的に凝結する問題を見出した。艶消し剤が凝結してしまった場合、艶消し剤を塗料に配合する際の作業性が悪化し、さらに塗膜物性が悪化する可能性がある。そこで、ワックスを含む艶消し剤は、粉体としての保管安定性に優れることも望まれる。
(【0011】以降は省略されています)

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