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公開番号2025151813
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-09
出願番号2024053403
出願日2024-03-28
発明の名称潤滑油基油
出願人出光興産株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C10M 171/00 20060101AFI20251002BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】電動車両に搭載される機器の冷却及び駆動機構の潤滑に用いるための潤滑油組成物に好適な潤滑油基油を提供すること。
【解決手段】下記要件(I)~(II)を満たす、電動車両に搭載される機器の冷却及び駆動機構の潤滑に用いられる、潤滑油基油。
・要件(I):NMR装置を用いて測定された1H-NMRスペクトルから算出したCH基及びCH2基の合計積分強度比(nonCH3)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)により測定された平均炭素数(Cav)、及び、NMR装置を用いて測定された13C-NMRスペクトルから算出した平均分岐数(avB)か算出されるパラフィン率が0.880以上である。
・要件(II):前記平均分岐数(avB)と前記平均炭素数(Cav)との比[avB/Cav]が0.110以下である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記要件(I)~(II)を満たす、電動車両に搭載される機器の冷却及び駆動機構の潤滑に用いられる、潤滑油基油。
・要件(I):下記式(i)から算出されるパラフィン率が0.880以上である。
式(i):パラフィン率=[nonCH

×3×(avB+2)+3×(avB+2)]/[2×Cav+2]
前記式(i)中、
nonCH

は、NMR装置を用いて測定された

H-NMRスペクトルにおいてCH

基に由来のピークの積分強度S2に対する、CH基又はCH

基に由来のピークの積分強度S1との比[S1/S2]であるCH基及びCH

基の合計積分強度比である。
Cavは、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)により測定された平均炭素数である。
avBは、平均分岐数を示し、NMR装置を用いて測定された
13
C-NMRスペクトルにおける、化学シフト5.0~60.0ppmの範囲の積分強度の合計(a)に対する、末端CH

基に由来する化学シフト5.0~20.0ppm及び22.45~22.80ppmの範囲の積分強度の合計(b)の割合[(b)/(a)]の値から、下記式(ii)に基づいて算出した値である。
式(ii):avB=Cav×[(b)/(a)]-2
・要件(II):前記平均分岐数(avB)と前記平均炭素数(Cav)との比[avB/Cav]が0.110以下である。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
さらに下記要件(III)を満たす、請求項1に記載の潤滑油基油。
・要件(III):前記平均炭素数(Cav)が、19.1以上である。
【請求項3】
さらに下記要件(IV)を満たす、請求項1又は2に記載の潤滑油基油。
・要件(IV):前記CH基及びCH

基の合計積分強度比(nonCH

)が2.00以上である。
【請求項4】
前記平均分岐数(avB)が、1.80以上3.00以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
【請求項5】
前記比[avB/Cav]が、0.080以上0.110以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
【請求項6】
前記潤滑油基油が、石炭から生成したCTL油を含む原料油を精製処理して得られた基油である、請求項1~5のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
【請求項7】
前記精製処理が、水素化異性化処理を少なくとも含む、請求項6に記載の潤滑油基油。
【請求項8】
石炭から生成したCTL油の精製処理油であり、電動車両に搭載される機器の冷却に用いられる、潤滑油基油。
【請求項9】
前記潤滑油基油の100℃における動粘度が、1.80mm

/s以上4.30mm

/s以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
【請求項10】
前記潤滑油基油の40℃における動粘度が、5.0mm

/s以上25.0mm

/s以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油基油、当該潤滑油基油を含む潤滑油組成物、当該潤滑油組成物を用いた機器の冷却方法、及び、駆動機構の潤滑するための方法に関する。
続きを表示(約 4,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から二酸化炭素削減が強く求められている。例えば、自動車の分野でも省燃費技術の開発に力が注がれており、燃費および環境性能に優れた自動車であるハイブリッド車や電気自動車の普及が進められている。ハイブリッド車や電気自動車は電動モーターや発電機、インバーター、バッテリーなどを備え、電動モーターの力を利用して走行する。
【0003】
このような電動車両に搭載された各種機器は高温になると効率の低下や破損をまねくため、冷却が必要である。電動車両に搭載された、電動モーター、発電機、及びバッテリー等の機器の冷却には、主に既存のオートマチックトランスミッションフルード(以下、ATF)や連続可変トランスミッションフルード(以下、CVTF)などの潤滑油が使用されている。また、ハイブリッド車や電気自動車では歯車減速機を有する形式のものもあることから、これらに用いる潤滑油組成物は、潤滑性に加えて冷却性を備えることが必要とされる。
例えば、特許文献1には、運動エネルギー回生システム(KERS)またはハイブリッド車両における電池または電動機を冷却および/または絶縁するための潤滑組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2013-522409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、電動車両に搭載された機器を冷却するための潤滑油組成物には、冷却性だけでなく、機器の潤滑性能に関係する特性(例えば、粘度特性、低温流動性、省燃費性)や取扱性等の様々な特性が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みたものであって、電動車両に搭載される機器の冷却及び駆動機構の潤滑に用いるための潤滑油組成物に好適な潤滑油基油を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、電動車両に搭載される機器の冷却及び駆動機構の潤滑するための潤滑油組成物に適した潤滑油基油について鋭意検討を重ねた。その結果、所定の要件を満たすように調整した潤滑油基油が、上記の潤滑油組成物の調製に好適であるとの知見を得た。本発明は、当該知見を基に完成されたものである。
具体的には、本発明の一態様として、下記[1]~[21]に記載の発明を提供する。
[1]下記要件(I)~(II)を満たす、電動車両に搭載される機器の冷却及び駆動機構の潤滑に用いられる、潤滑油基油。
・要件(I):下記式(i)から算出されるパラフィン率が0.880以上である。
式(i):パラフィン率=[nonCH

×3×(avB+2)+3×(avB+2)]/[2×Cav+2]
前記式(i)中、
nonCH

は、NMR装置を用いて測定された

H-NMRスペクトルにおいてCH

基に由来のピークの積分強度S2に対する、CH基又はCH

基に由来のピークの積分強度S1との比[S1/S2]であるCH基及びCH

基の合計積分強度比である。
Cavは、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)により測定された平均炭素数である。
avBは、平均分岐数を示し、NMR装置を用いて測定された
13
C-NMRスペクトルにおける、化学シフト5.0~60.0ppmの範囲の積分強度の合計(a)に対する、末端CH

基に由来する化学シフト5.0~20.0ppm及び22.45~22.80ppmの範囲の積分強度の合計(b)の割合[(b)/(a)]の値から、下記式(ii)に基づいて算出した値である。
式(ii):avB=Cav×[(b)/(a)]-2
・要件(II):前記平均分岐数(avB)と前記平均炭素数(Cav)との比[avB/Cav]が0.110以下である。
[2]さらに下記要件(III)を満たす、上記[1]に記載の潤滑油基油。
・要件(III):前記平均炭素数(Cav)が、19.1以上である。
[3]さらに下記要件(IV)を満たす、上記[1]又は[2]に記載の潤滑油基油。
・要件(IV):前記CH基及びCH

基の合計積分強度比(nonCH

)が2.00以上である。
[4]前記平均分岐数(avB)が、1.80以上3.00以下である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[5]前記比[avB/Cav]が、0.080以上0.110以下である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[6]前記潤滑油基油が、石炭から生成したCTL油を含む原料油を精製処理して得られた基油である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[7]前記精製処理が、水素化異性化処理を少なくとも含む、上記[6]に記載の潤滑油基油。
[8]石炭から生成したCTL油の精製処理油であり、電動車両に搭載される機器の冷却に用いられる、潤滑油基油。
[9]前記潤滑油基油の100℃における動粘度が、1.80mm

/s以上4.30mm

/s以下である、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[10]前記潤滑油基油の40℃における動粘度が、5.0mm

/s以上25.0mm

/s以下である、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[11]前記潤滑油基油の15℃における密度が、0.750g/cm

以上である、上記[1]~[10]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[12]前記潤滑油基油の引火点が160℃以上である、上記[1]~[11]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[13]前記潤滑油基油の流動点が-30.0℃以下である、上記[1]~[12]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[14]前記潤滑油基油の、油温40℃、荷重70N、平均転がり速度2000mm/s、すべり率50%の条件下で測定したトラクション係数が0.0470以下である、上記[1]~[13]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[15]前記潤滑油基油の20℃における熱伝導率が、0.130W/(m・K)以上である、上記[1]~[14]のいずれか一項に記載の潤滑油基油。
[16]上記[1]~[15]のいずれか一項に記載の潤滑油基油を含む、電動車両に搭載される機器の冷却及び駆動機構の潤滑に用いられる、潤滑油組成物。
[17]さらに、流動点降下剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、極圧剤、金属系清浄剤、無灰系分散剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、防錆剤、及び消泡剤から選ばれる1種以上の潤滑油用添加剤を含有する、上記[16]に記載の潤滑油組成物。
[18]前記潤滑油用添加剤の合計含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、5.0質量%以下である、上記[17]に記載の潤滑油組成物。
[19]上記[16]~[18]のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を用いて、電動車両に搭載される機器を冷却する、機器の冷却方法。
[20]前記機器が、モーター、バッテリー、インバーター、及びエンジンから選択される少なくとも一つである、上記[19]に記載の機器の冷却方法。
[21]前記機器が、モーターと減速機が一体化した機器である、上記[19]に記載の機器の冷却方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の好適な一態様の潤滑油基油は、粘度特性、低温流動性、取扱性、省燃費性、及び冷却性等の各種特性に優れており、電動車両に搭載される機器の冷却及び駆動機構の潤滑に用いるために好適な物性を有する潤滑油組成物を調製し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本実施例に記載の条件に基づいて測定した潤滑油基油(1)の

H-NMRスペクトルである。
本実施例に記載の条件に基づいて測定した潤滑油基油(1)の
13
C-NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載された数値範囲については、上限値及び下限値を任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「好ましくは30~100、より好ましくは40~80」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。また、例えば、数値範囲として「好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、また、好ましくは100以下、より好ましくは80以下である」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。
加えて、本明細書に記載された数値範囲として、例えば「60~100」との記載は、「60以上(60又は60超)、100以下(100又は100未満)」という範囲であることを意味する。
【0010】
〔潤滑油基油の構成〕
本発明の一態様の潤滑油基油は、電動車両に搭載される機器の冷却及び駆動機構の潤滑に用いられる潤滑油基油であって、下記要件(I)~(II)を満たす。
・要件(I):下記式(i)から算出されるパラフィン率が0.880以上である。
式(i):パラフィン率=[nonCH

×3×(avB+2)+3×(avB+2)]/[2×Cav+2]
前記式(i)中、
nonCH

は、NMR装置を用いて測定された

H-NMRスペクトルにおいてCH

基に由来のピークの積分強度S2に対する、CH基又はCH

基に由来のピークの積分強度S1との比[S1/S2]であるCH基及びCH

基の合計積分強度比である。
Cavは、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)により測定された平均炭素数である。
avBは、平均分岐数を示し、NMR装置を用いて測定された
13
C-NMRスペクトルにおける、化学シフト5.0~60.0ppmの範囲の積分強度の合計(a)に対する、末端CH

基に由来する化学シフト5.0~20.0ppm及び22.45~22.80ppmの範囲の積分強度の合計(b)の割合[(b)/(a)]の値から、下記式(ii)に基づいて算出した値である。
式(ii):avB=Cav×[(b)/(a)]-2
・要件(II):前記平均分岐数(avB)と前記平均炭素数(Cav)との比[avB/Cav]が0.110以下である。
(【0011】以降は省略されています)

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