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公開番号2025154115
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024056933
出願日2024-03-29
発明の名称熱処理油
出願人出光興産株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類C21D 1/58 20060101AFI20251002BHJP(鉄冶金)
要約【課題】冷却性と蒸発性とを両立可能な熱処理油を提供する。
【解決手段】基油としてポリα-オレフィンを含む熱処理油であって、前記ポリα-オレフィンの40℃における動粘度が5.0~12.0mm2/sである熱処理油。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
基油としてポリα-オレフィンを含む熱処理油であって、前記ポリα-オレフィンの40℃における動粘度が5.0~12.0mm

/sである熱処理油。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
前記ポリα-オレフィンの100℃における動粘度が、1.5~3.0mm

/sである、請求項1に記載の熱処理油。
【請求項3】
前記ポリα-オレフィンの含有量が、前記熱処理油の全量基準で、50質量%以上である請求項1又は2に記載の熱処理油。
【請求項4】
クリーブランド開放法で測定される引火点が150℃以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱処理油。
【請求項5】
前記ポリα-オレフィンの下記測定条件で測定される残油量が1.0質量%以下である請求項1~4のいずれか1項に記載の熱処理油。
[測定条件]
JIS K0129:2005のTg-DTA装置を用い、試料油を5.0mg秤量し、加熱炉の試料測定場所にセットして加熱炉を閉じ、窒素を200mL/分で流しつつ、25℃/分で200℃まで昇温を行い、200℃到達後に2時間保持した後、保持後の残油の質量を測定した際の、保持前の質量に対する質量比。
【請求項6】
焼入油として用いられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱処理油。
【請求項7】
加熱した金属部材を、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱処理油に浸漬して冷却する焼入れ工程を含む金属部材の製造方法。
【請求項8】
前記焼入れ工程における焼入れ温度が、600~1400℃である請求項7に記載の金属部材の製造方法。
【請求項9】
前記焼入れ工程後に、金属部材の洗浄を行わずに、再度加熱する焼戻し工程を行う請求項7又は8に記載の金属部材の製造方法。
【請求項10】
前記焼戻し工程における加熱温度が150~600℃である請求項9に記載の金属部材の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理油に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
金属材料の焼入れ等の熱処理加工は、通常熱処理液を用いて金属材料に所望の硬さを付与するために行われる。そのため、熱処理液には、金属材料の硬さを高め得る、優れた冷却性能を有することが必要である。
冷却能力に非常に優れた液体は水であるが、水系の熱処理液は、冷却性能が高過ぎて金属材料に焼割れが生ずる危険性があり、焼入れ歪も大きい。そのため、金属材料の焼入れ等の熱処理加工では、油系の熱処理液、すなわち熱処理油が一般的に使用されている。
【0003】
熱処理油の冷却性を示す指標としては、JIS K2242:2012で規定される冷却曲線において、800℃から300℃までの冷却時間から算出する、焼入強烈度(H値)が広く用いられている。
【0004】
また、金属材料の焼入れに関し、加熱された金属材料を熱処理油に投入した場合、冷却速度は一定ではなく、通常以下の(1)~(3)の三つの段階を経て冷却される。
(1)金属材料が熱処理油の蒸気で包まれる第1段階(蒸気膜段階)。
(2)蒸気膜が破れて沸騰が起こる第2段階(沸騰段階)。
(3)金属材料の温度が熱処理油の沸点以下となり、対流により熱が奪われる第3段階(対流段階)。
上記の三つの段階のうち、冷却速度は第2段階の沸騰段階が最も大きい。そして、第1段階の蒸気膜段階が終了するまでの時間(JIS K2242:2012に準拠した冷却性試験における「特性秒数」)が長いと、材質により、例えば炭素鋼などでは、得られる金属材料の硬さが不十分となりやすい。
【0005】
一方、金属材料に対し焼入れを行うと硬さは向上するが、さらに粘り強さを付与すべく、再度加熱する焼戻し処理を行うことがある。この際、焼入れ後の金属材料には焼入れ油が付着しているため、これを除去すべく洗浄処理を施した上で焼戻し処理を行うことが一般的であるが、生産性を改善する観点からは、洗浄処理の軽減又は省略について検討がなされている。
例えば、特許文献1には、焼入れ処理後の水系洗浄性が良好なものとして、複数種の金属石鹸を用いた熱処理油に関する発明が開示されており、特許文献2には、冷却材として熱処理油に代えてガスを用いることで洗浄処理を不要とするガス焼入れ方法が開示されており、また特許文献3には、熱処理油を気化させるために、減圧乾燥室を設けた装置に関する発明が開示されている。
さらに、特許文献4には、特定のα-オレフィンオリゴマー系化合物を含む熱処理油が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平9-176728号公報
特許第5817173号公報
国際公開第2021/240718号公報
特開2008-69321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の熱処理油を用いたとしても、完全に洗浄処理を省略することができず、生産性の観点では課題が残る。
次に、特許文献2に記載のガス焼入れ方法では、冷却ガスの吹付け圧力にもよるが、H値が不十分となることがあり、その場合には得られる金属材料の硬さは十分ではない。また、冷却ガスの圧力が高い部分と低い部分とで冷却性にムラが生じる虞がある。さらに、熱処理油による焼入れ方法を採っている場合においては、ガス焼き入れ方法に変更する際には既存の熱処理装置を完全に入れ替える必要性が生じてしまう。
特許文献3に記載の装置も、既存の熱処理装置の入れ替えが必要となる上、用いる熱処理油によっては蒸発性が不十分となる虞がある。
さらに、特許文献4においては、熱処理後の洗浄処理を省略可能とする基油についての検討はなされていない。
【0008】
そこで本発明においては、既存の熱処理設備を利用しつつ、熱処理後の洗浄処理を省略可能とする観点から、冷却性と蒸発性とを両立可能な熱処理油を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、基油として特定のポリα-オレフィンを含む熱処理油が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、下記[1]~[10]を提供する。
[1]基油としてポリα-オレフィンを含む熱処理油であって、前記ポリα-オレフィンの40℃における動粘度が5.0~12.0mm

/sである熱処理油。
[2]前記ポリα-オレフィンの100℃における動粘度が、1.5~3.0mm

/sである、上記[1]に記載の熱処理油。
[3]前記ポリα-オレフィンの含有量が、前記熱処理油の全量基準で、50質量%以上である上記[1]又は[2]に記載の熱処理油。
[4]クリーブランド開放法で測定される引火点が150℃以上である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の熱処理油。
[5]前記ポリα-オレフィンの下記測定条件で測定される残油量が1.0質量%以下である上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の熱処理油。
[測定条件]
JIS K0129:2005のTg-DTA装置を用い、試料油を5.0mg秤量し、加熱炉の試料測定場所にセットして加熱炉を閉じ、窒素を200mL/分で流しつつ、25℃/分で200℃まで昇温を行い、200℃到達後に2時間保持した後、保持後の残油の質量を測定した際の、保持前の質量に対する質量比。
[6]焼入油として用いられる、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の熱処理油。
[7]加熱した金属部材を、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の熱処理油に浸漬して冷却する焼入れ工程を含む金属部材の製造方法。
[8]前記焼入れ工程における焼入れ温度が、600~1400℃である上記[7]に記載の金属部材の製造方法。
[9]前記焼入れ工程後に、金属部材の洗浄を行わずに、再度加熱する焼戻し工程を行う上記[7]又は[8]に記載の金属部材の製造方法。
[10]前記焼戻し工程における加熱温度が150~600℃である上記[9]に記載の金属部材の製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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