公開番号2025152756 公報種別公開特許公報(A) 公開日2025-10-10 出願番号2024054811 出願日2024-03-28 発明の名称リチウムイオン電池用正極活物質の評価方法及びリチウムイオン電池用正極活物質 出願人JX金属株式会社 代理人アクシス国際弁理士法人 主分類H01M 4/525 20100101AFI20251002BHJP(基本的電気素子) 要約【課題】電池を作製することなく、効率よくサイクル特性を評価することが可能なリチウムイオン電池用正極活物質の評価方法を提供する。 【解決手段】組成式:LiaNi(1-b-c-d)CobMncO2で表される正極活物質のXRD回折パターンを測定する工程と、XRD回折パターンから、シェラーの式を用いて(003)面の結晶子サイズを算出する工程と、正極活物質のうち、(003)面の結晶子サイズが各々異なる正極活物質を電池の電極材料として用いて作製された各電池についてサイクル特性評価を行い、得られたサイクル特性評価結果と、正極活物質の結晶子サイズとの相関関係を導く工程と、相関関係に基づいて、一群の正極活物質の結晶子サイズに対応する評価用正極活物質の結晶子サイズを測定し、評価用正極活物質の結晶子サイズから、評価用正極活物質のサイクル特性の評価を行う工程と、を含む、リチウムイオン電池用正極活物質の評価方法。 【選択図】図2 特許請求の範囲【請求項1】 それぞれ、組成式:Li a Ni (1-b-c-d) Co b Mn c M d O 2 (式中、MはMg、Al、Ca及びTaから選択される一種以上であり、0.98≦a≦1.10、0.13≦b≦0.22、0.02≦c≦0.32、0≦d≦0.007である。) で表される一群のリチウムイオン電池用正極活物質のXRD回折パターンを測定する工程と、 前記正極活物質のXRD回折パターンから、シェラーの式を用いて(003)面の結晶子サイズを算出する工程と、 前記正極活物質のうち、(003)面の結晶子サイズが各々異なる正極活物質を電池の電極材料として用いて作製された各電池についてサイクル特性評価を行い、得られたサイクル特性評価結果と、前記正極活物質の前記結晶子サイズとの相関関係を導く工程と、 前記相関関係に基づいて、前記一群の正極活物質の前記結晶子サイズに対応する評価用正極活物質の前記結晶子サイズを測定し、前記評価用正極活物質の前記結晶子サイズから、前記評価用正極活物質のサイクル特性の評価を行う工程と、 を含む、リチウムイオン電池用正極活物質の評価方法。 続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】 前記正極活物質が、組成式:Li a Ni (1-b-c-d) Co b Mn c M d O 2 (式中、MはMg、Al及びCaから選択される一種以上であり、1.03≦a≦1.10、0.18≦b≦0.22、0.28≦c≦0.32、0≦d≦0.007である。) で表される、請求項1に記載のリチウムイオン電池用正極活物質の評価方法。 【請求項3】 前記評価用正極活物質の前記結晶子サイズが580~840Åであれば、前記評価用正極活物質のサイクル特性を良好と評価する、請求項2に記載のリチウムイオン電池用正極活物質の評価方法。 【請求項4】 前記正極活物質が、組成式:Li a Ni (1-b-c-d) Co b Mn c M d O 2 (式中、MはTaであり、0.98≦a≦1.09、0.13≦b≦0.16、0.02≦c≦0.05、0≦d≦0.007である。) で表される、請求項1に記載のリチウムイオン電池用正極活物質の評価方法。 【請求項5】 前記評価用正極活物質の前記結晶子サイズが400~650Åであれば、前記評価用正極活物質のサイクル特性を良好と評価する、請求項4に記載のリチウムイオン電池用正極活物質の評価方法。 【請求項6】 組成式:Li a Ni (1-b-c-d) Co b Mn c M d O 2 (式中、MはMg、Al及びCaから選択される一種以上であり、1.03≦a≦1.10、0.18≦b≦0.22、0.28≦c≦0.32、0≦d≦0.007である。) で表されるリチウムイオン電池用正極活物質であって、前記正極活物質のXRD回折パターンを測定し、前記正極活物質のXRD回折パターンから、シェラーの式を用いて(003)面の結晶子サイズを算出した際に、前記結晶子サイズが580~840Åである、リチウムイオン電池用正極活物質。 【請求項7】 組成式:Li a Ni (1-b-c-d) Co b Mn c M d O 2 (式中、MはTaであり、0.98≦a≦1.09、0.13≦b≦0.16、0.02≦c≦0.05、0≦d≦0.007である。) で表されるリチウムイオン電池用正極活物質であって、前記正極活物質のXRD回折パターンを測定し、前記正極活物質のXRD回折パターンから、シェラーの式を用いて(003)面の結晶子サイズを算出した際に、前記結晶子サイズが400~650Åである、リチウムイオン電池用正極活物質。
発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、リチウムイオン電池用正極活物質の評価方法及びリチウムイオン電池用正極活物質に関する。 続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】 【0002】 近年、携帯電話、ノートパソコン等の小型電子機器の急速な拡大とともに、充放電可能な電源として、非水系電解質二次電池の需要が急激に伸びている。非水系電解質二次電池の正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO 2 )で代表されるリチウムコバルト複合酸化物とともに、ニッケル酸リチウム(LiNiO 2 )で代表されるリチウムニッケル複合酸化物、マンガン酸リチウム(LiMnO 2 )で代表されるリチウムマンガン複合酸化物等が広く用いられており、これらを用いたリチウムイオン電池用正極活物質の研究・開発が盛んに行われている。 【0003】 特許文献1には、組成が次式:Li a Ni b Co c Mn d O 2 (式中、1.00≦a≦1.02、0.8≦b≦0.9、b+c+d=1である)で表される正極活物質粒子と、正極活物質粒子の表面を部分的に被覆するニオブ酸リチウムを含む被覆層と、を有し、Ni、Co及びMnの総量に対するNbの割合が0.4~1.2mol%であるリチウムイオン電池用正極活物質が開示されている。そして、このような構成によれば、良好な電池特性を有するリチウムイオン電池用正極活物質を提供できると記載されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 特開2019-139862号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 リチウムイオン電池用正極活物質の開発において、電池特性であるサイクル特性を評価することは重要である。しかしながら、電池特性の評価には精緻なセル電極を作製し、充放電試験機により数日間充放電を繰り返し行うことでデータを取得するため、結果判明までに時間がかかるという問題がある。 【0006】 本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、電池を作製することなく、効率よくサイクル特性を評価することが可能なリチウムイオン電池用正極活物質の評価方法及びリチウムイオン電池用正極活物質を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記知見を基礎にして完成した本発明は以下で規定される。 (1)それぞれ、組成式:Li a Ni (1-b-c-d) Co b Mn c M d O 2 (式中、MはMg、Al、Ca及びTaから選択される一種以上であり、0.98≦a≦1.10、0.13≦b≦0.22、0.02≦c≦0.32、0≦d≦0.007である。) で表される一群のリチウムイオン電池用正極活物質のXRD回折パターンを測定する工程と、 前記正極活物質のXRD回折パターンから、シェラーの式を用いて(003)面の結晶子サイズを算出する工程と、 前記正極活物質のうち、(003)面の結晶子サイズが各々異なる正極活物質を電池の電極材料として用いて作製された各電池についてサイクル特性評価を行い、得られたサイクル特性評価結果と、前記正極活物質の前記結晶子サイズとの相関関係を導く工程と、 前記相関関係に基づいて、前記一群の正極活物質の前記結晶子サイズに対応する評価用正極活物質の前記結晶子サイズを測定し、前記評価用正極活物質の前記結晶子サイズから、前記評価用正極活物質のサイクル特性の評価を行う工程と、 を含む、リチウムイオン電池用正極活物質の評価方法。 (2)前記正極活物質が、組成式:Li a Ni (1-b-c-d) Co b Mn c M d O 2 (式中、MはMg、Al及びCaから選択される一種以上であり、1.03≦a≦1.10、0.18≦b≦0.22、0.28≦c≦0.32、0≦d≦0.007である。) で表される、前記(1)に記載のリチウムイオン電池用正極活物質の評価方法。 (3)前記評価用正極活物質の前記結晶子サイズが580~840Åであれば、前記評価用正極活物質のサイクル特性を良好と評価する、前記(2)に記載のリチウムイオン電池用正極活物質の評価方法。 (4)前記正極活物質が、組成式:Li a Ni (1-b-c-d) Co b Mn c M d O 2 (式中、MはTaであり、0.98≦a≦1.09、0.13≦b≦0.16、0.02≦c≦0.05、0≦d≦0.007である。) で表される、前記(1)に記載のリチウムイオン電池用正極活物質の評価方法。 (5)前記評価用正極活物質の前記結晶子サイズが400~650Åであれば、前記評価用正極活物質のサイクル特性を良好と評価する、前記(4)に記載のリチウムイオン電池用正極活物質の評価方法。 (6)組成式:Li a Ni (1-b-c-d) Co b Mn c M d O 2 (式中、MはMg、Al及びCaから選択される一種以上であり、1.03≦a≦1.10、0.18≦b≦0.22、0.28≦c≦0.32、0≦d≦0.007である。) で表されるリチウムイオン電池用正極活物質であって、前記正極活物質のXRD回折パターンを測定し、前記正極活物質のXRD回折パターンから、シェラーの式を用いて(003)面の結晶子サイズを算出した際に、前記結晶子サイズが580~840Åである、リチウムイオン電池用正極活物質。 (7)組成式:Li a Ni (1-b-c-d) Co b Mn c M d O 2 (式中、MはTaであり、0.98≦a≦1.09、0.13≦b≦0.16、0.02≦c≦0.05、0≦d≦0.007である。) で表されるリチウムイオン電池用正極活物質であって、前記正極活物質のXRD回折パターンを測定し、前記正極活物質のXRD回折パターンから、シェラーの式を用いて(003)面の結晶子サイズを算出した際に、前記結晶子サイズが400~650Åである、リチウムイオン電池用正極活物質。 【発明の効果】 【0008】 本発明によれば、電池を作製することなく、効率よくサイクル特性を評価することが可能なリチウムイオン電池用正極活物質の評価方法及びリチウムイオン電池用正極活物質を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【0009】 リチウムイオン電池用正極活物質のXRD回折パターンの例である。 試験例1A~11Aの正極活物質の結晶子サイズをX軸、サイクル特性をY軸にとったグラフである。 試験例1B~10Bの正極活物質の結晶子サイズをX軸、サイクル特性をY軸にとったグラフである。 【発明を実施するための形態】 【0010】 次に本発明を実施するための形態を詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する