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公開番号2025036317
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-14
出願番号2024147016
出願日2024-08-28
発明の名称部材
出願人TOTO株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類B32B 27/18 20060101AFI20250306BHJP(積層体)
要約【課題】 水垢およびタンパク質等の汚染物質の付着を抑制することが可能な部材の提供。
【解決手段】 水と、有機成分および無機成分を含む汚染物質とが表面に付着し、且つ表面に水と汚染物質とが混在した状態で水が乾燥するというサイクルが繰り返される環境下で使用するための部材であって、当該部材は、基材と表面層とを含み、当該表面層は、特定のベタイン構造および親水性かつアニオン性を有する特定の構造を含むことを特徴とする、部材。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
部材であって、
当該部材は、基材と表面層とを含み、
当該表面層は、下記式(A1)で表される構造および下記式(A2)で表される構造を含み、
TIFF
2025036317000024.tif
28
170
TIFF
2025036317000025.tif
28
170
式(A1)において、


は、-COO-、-CONH-、-(CH



-(mは自然数である)のいずれか1つを含み、


は、HまたはCH

であり、


は、下記式(B)または下記式(C)で表される官能基であり、
TIFF
2025036317000026.tif
12
170
TIFF
2025036317000027.tif
28
170
式(B)において、


およびR

は、それぞれ独立して、-(CH



-(lは1~10の自然数である)で表される炭化水素基であり、


およびR

は、それぞれ独立して、必須成分としてCおよびHを、任意成分としてOを含み、かつ、NおよびSを含まない有機基であり、
式(C)において、


およびR

は、それぞれ独立して、-(CH



-(lは1~10の自然数である)で表される炭化水素基であり、


、R
10
、R
11
は、それぞれ独立して、必須成分としてCおよびHを、任意成分としてOを含み、かつ、NおよびSを含まない有機基であり、
式(A2)において、


は、-COO-、-CONH-、-(CH



-(mは自然数である)、-Ph-のいずれか1つを含み、


は、HまたはCH

であり、


は、下記式(D)または式(E)で表される官能基であり、
TIFF
2025036317000028.tif
11
170
TIFF
2025036317000029.tif
12
170
式(E)において、

12
は、必須成分としてCおよびHを、任意成分としてOを含み、かつ、NおよびSを含まない有機基であり、
前記部材の表面をX線光電子分光法(XPS)測定することによって得られるSi原子の濃度が1.0%以下であり、
前記部材は、水と、有機成分および無機成分を含む汚染物質とが表面に付着し、且つ表面に水と汚染物質とが混在した状態で水が乾燥するというサイクルが繰り返される環境下で使用されることを特徴とする、部材。
続きを表示(約 970 文字)【請求項2】
前記部材の表面から深さ1μmまでの領域をX線光電子分光法(XPS)測定することにより得られるSi原子の濃度が1.0%以下である、請求項1に記載の部材。
【請求項3】
前記部材の表面をX線光電子分光法(XPS)測定することによって得られる、S原子の濃度、またはP原子の濃度、またはS原子の濃度とP原子の濃度との合計が0.6%以上である、請求項1に記載の部材。
【請求項4】
前記部材の表面をX線光電子分光法(XPS)測定することによって得られる、S原子の濃度、またはP原子の濃度、またはS原子の濃度とP原子の濃度との合計が0.6%以上である、請求項2に記載の部材。
【請求項5】
前記部材の表面をX線光電子分光法(XPS)測定することによって得られるN

原子の濃度が0.3%以上である、請求項1に記載の部材。
【請求項6】
前記部材の表面をX線光電子分光法(XPS)測定することによって得られるN

原子の濃度が0.3%以上である、請求項2に記載の部材。
【請求項7】
前記部材の表面をX線光電子分光法(XPS)測定することによって得られるN

原子の濃度が0.3%以上である、請求項3に記載の部材。
【請求項8】
前記部材の表面をX線光電子分光法(XPS)測定することによって得られるN

原子の濃度が0.3%以上である、請求項4に記載の部材。
【請求項9】
前記部材の表面をX線光電子分光法(XPS)測定することによって得られるN

原子の濃度、S原子の濃度、P原子の濃度から以下の式で計算されるベタイン比率が、16%以上55%以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の部材。
ベタイン比率(%)=100×[N

原子の濃度/(S原子の濃度+P原子の濃度)]
【請求項10】
前記表面層が、前記式(A1)で表される構造および前記式(A2)で表される構造のランダム共重合体を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の部材。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、部材に関する。具体的には、水と、有機成分および無機成分を含む汚染物質とが表面に付着し、且つ表面に水と汚染物質とが混在した状態で水が乾燥するというサイクルが繰り返される環境下で使用するための部材に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
水がかかり得る環境下で使用される部材の表面に水道水が付着し乾燥すると、水道水に含まれる無機成分の付着により、水垢が形成される。代表的な無機成分として、ケイ酸イオン(SiO

2-
)およびカルシウムイオン(Ca
2+
)が挙げられる。ケイ酸イオン(SiO

2-
)は脱水縮合によりポリマー化され、カルシウムイオンは大気中あるいは水中のCO

と反応して、水の蒸発とともに炭酸カルシウムとして緻密結晶化し、それらが単独でまたは混合物として部材の表面に付着して、水垢が形成される。部材表面への水の付着量が多い場合や、部材表面への水の付着および乾燥が繰り返される場合などは、部材表面におけるケイ酸イオンおよびカルシウムイオンの付着量や付着頻度が増加し、水垢の形成が加速され、部材表面に水垢が強く付着した状態、すなわち部材表面に水垢が固着した状態が生じる。
【0003】
また、部材の表面には、水だけでなく、上記に示す無機成分(ケイ酸イオン、カルシウムイオンなど)や有機成分(皮脂、石鹸カス、リンス、タンパク質など)など、様々な汚染物質が付着する。これらの汚染物質は、水が乾燥すると部材の表面に残る。多くの場合、部材の表面においてはこれらの汚染物質が少なくとも1種類以上付着するため、乾燥後の部材表面に水垢と汚染物質の混合物が形成される。このような汚れの付着を抑制し、また付着した汚れの清掃性を向上させるため、部材の表面を改質する技術が提案されている。
【0004】
例えば、特開2008-239949号公報(特許文献1)には、防汚性、防曇性及びその耐摩擦性に優れた表面を有する親水性部材が開示されている。具体的には、末端又は側鎖にシランカップリング基を有する親水性ポリマーに、ベタイン構造を有する両性イオン低分子化合物をシランカップリングで結合させ、Si、Ti、Zr、Alなどの無機成分を導入して緻密化させた親水性膜を基材上に形成した部材が開示されている。
【0005】
また、WO2018/079592号公報(特許文献2)には、基材層と、水性ポリエステル系樹脂と双性イオンポリマーを含有する樹脂組成物を用いて形成された親水性コート層とを有する積層シートが開示されている。この積層シートは、曇りが生じにくく、かつ防汚性に優れるものとされている。
【0006】
また、WO2018/155577号公報(特許文献3)には、基体、中間層及び親水性層がこの順に積層されてなる層構造を有する親水性構造体であって、前記中間層がシロキサン系ポリマーを含有する層であり、前記親水性層がケイ素原子を有しない双性イオンポリマーを含有することを特徴とする親水性構造体が開示されている。この構造体は、親水性、耐汚染性、密着性、及び耐水性に優れるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2008-239949号公報
WO2018/079592号公報
WO2018/155577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、水と、有機成分および無機成分を含む汚染物質とが表面に付着し、且つ表面に水と汚染物質とが混在した状態で水が乾燥するというサイクルが繰り返される環境下で使用される部材の表面に存在する様々な汚染物質のうちタンパク質の存在割合が高いことに着眼した。例えば、浴室環境で発生する代表的なタンパク質としては、ヒト由来のケラチンが挙げられる。タンパク質は、分子中に疎水性領域、正電荷領域および負電荷領域を有するため、水まわり部材として一般的に使用されているガラスや陶器等の無機材料、樹脂材料、または金属材料等のいずれに対しても、疎水作用や静電作用等により付着することができる。このため、タンパク質を主要な汚染物質と考えた。そして、このような主要な汚染物質であるタンパク質の部材の表面への付着を抑制することが重要であるとの着想に至った。そこで、まず、部材表面にベタイン構造を含ませることにより、タンパク質の付着を抑制できることを確認した。しかし、部材表面にベタイン構造を含ませることにより、水と、有機成分および無機成分を含む汚染物質とが表面に付着し、且つ表面に水と汚染物質とが混在した状態で水が乾燥するというサイクルが繰り返される環境下で使用される部材に特異的な課題が発生することを見出した。すなわち、部材表面にベタイン構造を含ませることにより、水垢の形成が促進されるとの新規な課題を見出した。そこで、部材表面にベタイン構造に加えて親水性のアニオン構造を含ませることで、タンパク質の付着を抑制できると同時に水垢の形成も抑制することができることを見出し、上記課題を解決した。本発明は、これらの知見に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による部材は、
水と、有機成分および無機成分を含む汚染物質とが表面に付着し、且つ表面に水と汚染物質とが混在した状態で水が乾燥するというサイクルが繰り返される環境下で使用される部材であって、
当該部材は、基材と表面層とを含み、
当該表面層は、下記式(A1)で表される構造および下記式(A2)で表される構造を含み、
TIFF
2025036317000002.tif
28
170
TIFF
2025036317000003.tif
28
170
式(A1)において、


は、-COO-、-CONH-、-(CH



-(mは自然数である)のいずれか1つを含み、


は、HまたはCH

であり、


は、下記式(B)または下記式(C)で表される官能基であり、
TIFF
2025036317000004.tif
12
170
TIFF
2025036317000005.tif
28
170
式(B)において、


およびR

は、それぞれ独立して、-(CH



-(lは1~10の自然数である)で表される炭化水素基であり、


およびR

は、それぞれ独立して、必須成分としてCおよびHを、任意成分としてOを含み、かつ、NおよびSを含まない有機基であり、
式(C)において、


およびR

は、それぞれ独立して、-(CH



-(lは1~10の自然数である)で表される炭化水素基であり、


、R
10
、R
11
は、それぞれ独立して、必須成分としてCおよびHを、任意成分としてOを含み、かつ、NおよびSを含まない有機基であり、
式(A2)において、


は、-COO-、-CONH-、-(CH



-(mは自然数である)、-Ph-のいずれか1つを含み、


は、HまたはCH

であり、


は、下記式(D)または式(E)で表される官能基であり、
TIFF
2025036317000006.tif
11
170
TIFF
2025036317000007.tif
12
170
式(E)において、

12
は、必須成分としてCおよびHを、任意成分としてOを含み、かつ、NおよびSを含まない有機基であり、
前記部材の表面をX線光電子分光法(XPS)測定することによって得られるSi原子の濃度が1.0%以下である、
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水と、有機成分および無機成分を含む汚染物質とが表面に付着し、且つ表面に水と汚染物質とが混在した状態で水が乾燥するというサイクルが繰り返される環境下において、表面への汚れ、とりわけ水垢およびタンパク質の付着または固着を抑制することができ、さらに付着した汚れを容易に、すなわち小さい清掃負荷で除去することができる部材が提供される。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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