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公開番号2025076222
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-15
出願番号2023197000
出願日2023-11-01
発明の名称大規模真空沸騰圧密工法と大深度気水分離タンク
出願人個人
代理人
主分類E02D 3/10 20060101AFI20250508BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】高深度で大規模な真空沸騰圧密工法の地盤沸騰における最大の課題は、高水圧の影響を受けること、真空圧密システムが大規模となることにある。高深度で大規模な地盤は、従来の工法では減圧沸騰させることが極めて難しい。その要因は高水圧対策工が煩雑であり、大容量の真空圧密システムのコストパフォーマンスが良くないことにある。
【解決手段】本発明の解決手段は、ウルトラファインバブルの圧密促進効果が長く持続する特性と大深度気水分離タンクの機能である。前者は巨大容量の真空圧密システムの使用ではなく、改良対象地盤を大深度気水分離タンクの容量、及び既存の真空圧密システムの能力に合わせて分割し、分割地盤を順次沸騰地盤とした。後者は工法で対処できる地盤の沸騰要素である減圧変化の大きさと速さ、及び減圧変化率の大きさについて、地盤を沸騰させる高真空圧を瞬時に地盤に伝達する大深度気水分離タンクの機能により、沸騰要素を最大レベルに上げることで急激な圧密促進を実現する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
大規模真空沸騰圧密工法において、当該工法に使用する鉛直ドレーン及び気水分離タンクは、大深度気水分離タンクと通常の鉛直ドレーン及び地表の気水分離タンクを組み合わせたものであり、大深度気水分離タンクの構造的特徴は、気水分離タンクとしての構造に加えて、下方向排水の鉛直ドレーンとこれの排水先の底部集水タンクを有し、機能的特徴は、タンクの内圧と改良対象地盤の間隙水圧に係る遮断(オフ)と解放(オン)の切替えを瞬時に行うオンオフ装置を有するものであり、当該工法は遮断状態で大深度気水分離タンクの内圧を地盤が沸騰する高真空にしてから瞬時に開放状態とすることで、大規模な改良対象地盤を急速に大減圧して、沸騰地盤状態とした後に真空圧密工法を継続することで急激な圧密促進を発揮することを工法的特徴とする大規模真空沸騰圧密工法。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
大深度気水分離タンクの構造において、本体は表面が鉛直ドレーン材で被覆された長いパイプであり、パイプの頂部は密閉蓋とし、パイプ底部分の周壁には複数の集水孔を設け、且つ、この底部分は底版及び内部通水口のある上面版で区分された底部集水タンクを形成し、上面版の内部通水口を塞ぐ状態でオンオフ装置を設置した請求項1記載の大深度気水分離タンク。
【請求項3】
大深度気水分離タンクのオンオフ装置において、底部集水タンクの上面版に設けた内部通水口を塞ぐ状態でオンオフ装置を設置するものであるが、当該装置は水中ポンプの台座を兼ね、台座が上昇すると解放状態となり、これを制御するストッパーが付けられているもので、この装置の構造は台座の上に垂直のガイドパイプと水平方向のストッパーを固定し、ガイドパイプの底部分の周壁には複数の通水孔が有り、これの外周面には転がり摩擦とする回転部材が取り付けられ、当該装置は大深度気水分離タンクへの挿入が容易で、大深度気水分離タンクにぴったりと収まる請求項1記載の水中ポンプの台座を兼ねたオンオフ装置。
【請求項4】
大深度気水分離タンクのオンオフ装置において、底部集水タンクの上面版に設けた内部通水口を塞ぐ状態でオンオフ装置を設置するものであるが、当該装置は水中ポンプと鉛直ガイドパイプが一体で、鉛直ガイドパイプは水中ポンプの中間位置にあり、当該装置を設置すると水中ポンプは内部通水口を抜けて底部集水タンクの底に着き、鉛直ガイドパイプの底面が遮水版となるもので、当該装置が上昇すると解放状態となり、これを制御するストッパーが付けられているもので、鉛直ガイドパイプの構造はこれの底面上に水平方向のストッパーを固定し、鉛直ガイドパイプの底部分の周壁には複数の通水孔が有り、これの外周面には転がり摩擦とする回転部材が取り付けられたもので、当該装置は大深度気水分離タンクへの挿入が容易で、気水分離タンクにぴったりと収まる請求項1記載の水中ポンプと鉛直ガイドパイプが一体となったオンオフ装置。
【請求項5】
請求項1の大規模真空沸騰圧密工法において、当該工法は底部集水タンクの上面版に設けた内部通水口を塞ぐ状態でオンオフ装置を設置するものであるが、このオンオフ装置の遮断面を境界とする遮断面積と内部通水口面積の面積比に関して、タンクの内圧が地盤を沸騰させる高真空の限界値に達したとき、遮断面に加わる間隙水圧と内圧の力の大きさを考慮して
面積比
を設定することで、安定して内圧と地盤の間隙水圧の遮断が解放に切替えとなることを特徴とする大規模真空沸騰圧密工法。
【請求項6】
請求項1の大規模真空沸騰圧密工法において、当該工法は改良対象地盤を大深度気水分離タンクの容量、及びこれの真空圧密システムの能力に合わせて分割して、1本の大深度気水分離タンクを中心に必要数の通常の鉛直ドレーン及び地表の気水分離タンクを配置した改良対象地盤を1単位地盤とし、地盤の沸騰は1単位地盤ごとに順次、大深度気水分離タンクの内圧を地盤の間隙水圧と遮断状態で地盤が沸騰する高真空にしてから瞬時に開放状態とすることで、大深度の改良対象地盤を急速に大減圧して沸騰地盤状態とし、その後に、真空圧密工法を継続することで、既存レベルの真空圧密システムの能力で改良対象地盤全体の急激な圧密促進を発揮することを特徴とする大規模真空沸騰圧密工法。
【請求項7】
請求項1の大規模真空沸騰圧密工法において、改良対象地盤内に中間砂層が存在する場合、中間砂層を改良区域外と遮断して、大深度気水分離タンクはこれの底部に設けた集水孔のある底部集水タンクをこの中間砂層に合わせて水平ドレーン層として利用するものであり、また、通常の鉛直ドレーンはこれの天端位置が改良対象地盤の密閉が確保される深さ以上となるように打設して、人工の地表の水平ドレーン及び地表の気水分離タンクを省くものであり、当該工法は地盤の間隙水圧と遮断状態で大深度気水分離タンクの内圧を地盤が沸騰する高真空にしてから瞬時に開放状態とすることで、大深度の改良対象地盤を急速に大減圧して沸騰地盤状態とし後に、大深度気水分離タンクを介して真空圧密工法を継続するものであり、中間砂層の活用により大深度で大規模な改良対象地盤を、さらに効率的で急激な圧密促進を発揮することを特徴とする大規模真空沸騰圧密工法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧沸騰の原理に基づき、間隙水で飽和された常温の地盤を高真空圧密システムで減圧沸騰させる真空沸騰圧密工法をさらに発展させ、改良対象地盤を大深度に拡大した大規模な地盤改良の真空沸騰圧密工法に関する。また、本工法は圧密沈下による廃棄物の最終処分場の処分容積の拡大にも利用する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
真空圧密工法は1949年頃、スウェーデンのKjellmanが盛土荷重の代わりに大気圧を用いた大気圧載荷工法を発案したことに始まる。真空圧密工法は鉛直ドレーン工法と併用される。鉛直ドレーン工法は水平方向の圧密排水距離を縮小して圧密時間を短縮することを目的とする。現在の真空圧密システムは真空ポンプを排気専用として排気と排水を分離した気水分離タンク方式へと進化している。真空圧密工法はその工法の特性から、載荷盛土ができないような軟弱地盤にも容易に適用される。ちなみに、通常の大気圧は101.3kPaであるが、これより低い気圧を真空状態という。従って、真空圧密工法の真空載荷圧(大気圧と真空圧との差)は101.3kPaの理論限界値となる。
【0003】
JIS規格では、真空を圧力の範囲によって「低真空」から「極高真空」の5段階に分類されている。真空圧密工法の真空圧は最も低い低真空(10

kPa~10
-1
kPa)に分類される。しかし、対象となる空間の真空は大容量である。ここが他の産業の真空圧利用とは大きく異なるところである。
【0004】
2019年に真空圧密システムにおいて、気密シート下の減圧が限りなく-100kPaに迫る高真空圧密システムが発明された。従来の真空圧密システムの減圧は-70~-80kPa程度である。前記の高真空圧密システムは、地盤の間隙水を沸騰させる高真空という意味で高真空圧密システムと称している。沸騰させたならば、沸騰を起こさない範囲の高真空圧を継続させることで効率よく粘土地盤の圧密沈下が急激に進行する。この真空(減圧)沸騰で急激に圧密沈下が進行する現象を真空沸騰圧密と称している。(特許文献1参照)
【0005】
周知のように水は沸騰しなくても蒸発する。特に水蒸気は真空中では活発に発生する。水が気体(水蒸気)に変わるときは体積が激増する。それ故に水蒸気の発生は減圧に対して逆の極めて大きな加圧として作用する。従来の真空圧密システムはこの水蒸気圧の影響を見逃していた。このため、従来の真空圧密システムの減圧は70~80kPa程度が限界となっている。この水蒸気圧の解決手段は気水分離タンクから真空ポンプに至る真空経路に増強真空タンク(高真空圧貯留タンク)とコールドトラップを組み込んだものが高真空圧密システムである。(特許文献1参照)
【0006】
真空沸騰圧密を可能とする高真空圧密システムの真空関連装置は、気水分離真空タンクと真空ポンプの間に増強真空タンク(高真空貯留タンク),コールドトラップの順番で設置する。コールドトラップの役割は、真空経路に発生する水蒸気をコールドトラップで霜(氷)として捕集することで乾燥空気にする。真空ポンプを最大限に機能させるものである。増強真空タンクは高真空圧を大量に貯留するタンクで、大気圧状態の気水分離タンクを一気に高真空とするときに使われる。(特許文献1参照)
【0007】
真空圧密工法による地盤改良深度の限界は理論的に10mである。鉛直ドレーンが水に満たされ、水位面から10mの深度までしか真空ポンプで水を吸い上げられない。大深度の粘土地盤の間隙水を沸騰させるためには、高真空圧を直接に粘性土地盤に伝達する必要がある。そこで、鉛直ドレーン内の滞留水を空気と置き換えることで、真空圧密工法による地盤改良の限界深度10mを大きく拡大する高深度の真空圧密工法が発明された。(特許文献1参照)(特許文献2参照)
【0008】
2021年に真空沸騰圧密のメカニズムを明らかにして定量的な設計,施工管理を可能とした真空沸騰圧密工法が発明された。(特許文献3参照)真空沸騰圧密の原理は新しく確認されたファインバブル効果にある。直径100μm以上の通常の気泡であるミリバブル,センチバブルは目視でき、水中に発生するとすぐに拡大しながら浮上して水面で破裂する。これに対して、100μm以下の気泡をファインバブルと言う。この気泡は2種類に分けられる。直径100μm以下で1μm以上の気泡をマイクロバブル、直径1μm以下の気泡をウルトラファインバブルと区分されている。マイクロバブルはゆっくり浮上しながら縮小して水中で消滅する。マイクロバブルは白濁するので目視可能。ウルトラファインバブルは長期間消滅せずにブラウン運動で漂っている。ウルトラファインバブルは無色透明なので目視できない。しかし、緑のレーザー光を照射するとブラウン運動による散乱光の軌跡が直接的に確認可能である。ファインバブルには界面活性作用がある。ファインバブルは水中では表面が負に帯電し、正に帯電する物体を引き付け、負に帯電する物体を反発する。真空沸騰圧密のファインバブル効果の詳細は「次世代の真空圧密工法-真空沸騰圧密工法と脱炭素社会に向けたブルーカーボン」と題した論文において、実験を基に考察されている。(非特許文献1参照)
【0009】
真空沸騰圧密のメカニズムを明らかにするに当たって、粘土試料を沸騰させる真空沸騰圧密試験装置が開発された。この装置による真空沸騰圧密試験と重錘圧密試験を行い、これらの比較検討をした。その結果、粘土試料に必要なファイバブル量が発生する沸騰時間を十分に与えると驚異的な圧密促進効果が確認された。気泡の発生場所は粘土試料の間隙水である。この間隙はミリバブルが発生する広さはない。発生した微細な気泡はファインバブルである。ファインバブルの表面は水中では負に帯電している。真空沸騰圧密において、このファインバブルの特性が決定打となる。すなわち、常温の地盤の間隙水を真空圧で減圧沸騰させると、ファインバブルが発生して粘土構造の電気的平衡が崩れ急速に圧密が進行する。この時の必要なファインバブル量は粘性土地盤等の陽イオン交換容量で決まり、ファインバブル量は沸騰時間で決まってくることを明らかにした。
【0010】
それ故、真空沸騰圧密工法の設計,施工管理は、ファインバブル量を粘性土地盤等の陽イオン交換容量及び真空圧密試験を基にして設定し、ファインバブルの相当量を発生させる有効沸騰時間を別枠で真空圧密工程に組み入れる。ファインバブル効果により粘土の骨格を形成するペッド間の電気的平衡を一時的に崩して、合わせて粘土の透水性を向上させて急速真空圧密を行うことで、粘土地盤等の圧密時間の短縮と圧密沈下の増大を図る地盤改良、あるいは殺菌,有害なイオン等を圧密排水と共に除去する土壌浄化を図るというものである(特許文献3参照)(非特許文献1参照)
(【0011】以降は省略されています)

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