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公開番号
2025091501
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-19
出願番号
2023206722
出願日
2023-12-07
発明の名称
Y2Ti2O5S2の製造方法
出願人
信越化学工業株式会社
,
国立大学法人信州大学
代理人
弁理士法人英明国際特許事務所
主分類
C01G
23/00 20060101AFI20250612BHJP(無機化学)
要約
【課題】有毒な硫化水素ガスを使用せず、安全に、大量のY
2
Ti
2
O
5
S
2
を製造する方法を提供すること。
【解決手段】上端に開口部を有する反応容器の下部に硫黄、Y
2
O
3
、TiO
2
、Y
2
S
3
およびアルカリ金属のハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種のフラックスを収容した後、反応容器の開口部を上方に保持し、反応容器の開口部を閉じ、反応容器の上部を加熱しない状態で反応容器の下部を加熱することで、硫黄を気化させてY
2
O
3
、TiO
2
およびY
2
S
3
と反応させてY
2
Ti
2
O
5
S
2
を得るとともに、気化した硫黄を反応容器の上部で液化させて降下させ、液化した硫黄を加熱された反応容器の下部で再度気化させることを繰り返しながら、気化した硫黄とY
2
O
3
、TiO
2
およびY
2
S
3
とを反応させてY
2
Ti
2
O
5
S
2
を得る工程を含むY
2
Ti
2
O
5
S
2
の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
上端に開口部を有する反応容器の下部に硫黄、Y
2
O
3
、TiO
2
、Y
2
S
3
およびアルカリ金属のハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種のフラックスを収容した後、反応容器の開口部を上方に保持し、反応容器の開口部を閉じ、反応容器の上部を加熱しない状態で反応容器の下部を加熱することで、硫黄を気化させてY
2
O
3
、TiO
2
およびY
2
S
3
と反応させてY
2
Ti
2
O
5
S
2
を得るとともに、
気化した硫黄を反応容器の上部で液化させて降下させ、液化した硫黄を加熱された反応容器の下部で再度気化させることを繰り返しながら、気化した硫黄とY
2
O
3
、TiO
2
およびY
2
S
3
とを反応させてY
2
Ti
2
O
5
S
2
を得る工程を含むY
2
Ti
2
O
5
S
2
の製造方法。
続きを表示(約 410 文字)
【請求項2】
反応容器の下部を加熱し、反応容器の上部を硫黄の沸点未満の温度に保持することにより、気化した硫黄が反応容器の上部で冷却されて液化し、液化した硫黄が反応容器の下部へ自然に降下するようにした請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
加熱温度が、600~1100℃である請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
反応容器の下部に硫黄を収容した後、Y
2
O
3
、TiO
2
、Y
2
S
3
およびフラックスを混合して原料収容容器に入れ、この原料収容容器を反応容器に収容して上記反応を行う請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
フラックスが、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、KI、CsCl、CsBrおよびCsIから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒として使用されるY
2
Ti
2
O
5
S
2
の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の抑制、および枯渇しつつある化石資源依存からの脱却の観点から、太陽光エネルギーのみで水から水素を発生させることができる光触媒による水素製造に関する技術が注目を浴びており、その社会的要請が高まっている。
【0003】
光触媒による水分解反応は、古くから広く研究されている。例えば、酸性水溶液中における光触媒粒子上での水の分解反応は、次のように推定されている。
H
2
O+2h
+
→1/2O
2
+2H
+
2H
+
+2e
-
→H
2
【0004】
光触媒物質としては、従来、TiO
2
にCr、Vなどの遷移金属をドーピングしたものが提案されていたが、近年、優れた光触媒活性をもつ光触媒として、Y
2
Ti
2
O
5
S
2
が見出された。
【0005】
Y
2
Ti
2
O
5
S
2
の製造方法として、既に、真空封管法および硫化水素法が適用されている(特許文献1~4)。
真空封管法とは、化学量論比でY
2
Ti
2
O
5
S
2
となるように、粉体のY
2
O
3
、TiO
2
、Y
2
S
3
を秤量し、さらに、硫黄(S)を添加後、これらの混合物を石英管に入れて真空封入し、この混合物を750℃程度の温度で96時間程度加熱することで、Y
2
Ti
2
O
5
S
2
の化合物を得る方法である。
また、硫化水素法とは、石英管の中央部に、化学量論比でY
2
Ti
2
O
5
S
2
となるように原料となるY
2
O
3
、TiO
2
、Y
2
S
3
粉体の混合物を置き、硫化水素ガスをフローしながら、1100℃程度で3時間程度加熱し、Y
2
Ti
2
O
5
S
2
を得る方法である。この方法では、硫化水素ガスをフローしながら合成するため、残存している酸素は、水(H
2
O)となり、合成中の酸素による影響を低減できるメリットがある。
なお、上記の方法でY
2
Ti
2
O
5
S
2
を合成する場合、原料の混合物に、フラックスとなるハロゲン化物を混合した後、上記の方法にて、Y
2
Ti
2
O
5
S
2
を合成することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2023/113019号
特開2023-58296号公報
特開2020-138188号公報
特開2014-110172号公報
特開2021-118030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、真空封管法では、石英管を真空封入しなければならないため、一度に大量の合成ができず、さらに内圧が高まって破裂の危険性がある。また、硫化水素法では、大量合成は可能なものの、有毒である硫化水素ガスを使用するため、その安全性に問題がある。一方、硫黄を原料とする化合物の合成において、硫黄蒸気を用いる方法も提案されている(特許文献5)が、Y
2
Ti
2
O
5
S
2
を合成した報告例はない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、有毒な硫化水素ガスを使用せず、安全に、大量のY
2
Ti
2
O
5
S
2
を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、上端に開口部を有する反応容器の下部に硫黄、Y
2
O
3
、TiO
2
、Y
2
S
3
およびアルカリ金属のハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種のフラックスを収容した後、反応容器の開口部を上方に保持し、反応容器の開口部を閉じ、反応容器の上部を加熱しない状態で反応容器の下部を加熱することで、硫黄を気化させてY
2
O
3
、TiO
2
およびY
2
S
3
と反応させてY
2
Ti
2
O
5
S
2
を得るとともに、気化した硫黄を反応容器の上部で液化させて降下させ、液化した硫黄を加熱された反応容器の下部で再度気化させることを繰り返しながら、気化した硫黄とY
2
O
3
、TiO
2
およびY
2
S
3
とを反応させてY
2
Ti
2
O
5
S
2
を得ることで、有毒な硫化水素ガスを使用せず、安全に、大量のY
2
Ti
2
O
5
S
2
を製造できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
1. 上端に開口部を有する反応容器の下部に硫黄、Y
2
O
3
、TiO
2
、Y
2
S
3
およびアルカリ金属のハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種のフラックスを収容した後、反応容器の開口部を上方に保持し、反応容器の開口部を閉じ、反応容器の上部を加熱しない状態で反応容器の下部を加熱することで、硫黄を気化させてY
2
O
3
、TiO
2
およびY
2
S
3
と反応させてY
2
Ti
2
O
5
S
2
を得るとともに、
気化した硫黄を反応容器の上部で液化させて降下させ、液化した硫黄を加熱された反応容器の下部で再度気化させることを繰り返しながら、気化した硫黄とY
2
O
3
、TiO
2
およびY
2
S
3
とを反応させてY
2
Ti
2
O
5
S
2
を得る工程を含むY
2
Ti
2
O
5
S
2
の製造方法、
2. 反応容器の下部を加熱し、反応容器の上部を硫黄の沸点未満の温度に保持することにより、気化した硫黄が反応容器の上部で冷却されて液化し、液化した硫黄が反応容器の下部へ自然に降下するようにした1記載の製造方法、
3. 加熱温度が、600~1100℃である1または2記載の製造方法、
4. 反応容器の下部に硫黄を収容した後、Y
2
O
3
、TiO
2
、Y
2
S
3
およびフラックスを混合して原料収容容器に入れ、この原料収容容器を反応容器に収容して上記反応を行う1~3のいずれかに記載の製造方法、
5. フラックスが、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、KI、CsCl、CsBrおよびCsIから選ばれる少なくとも1種である1~4のいずれかに記載の製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、硫化水素ガスを使用せず、より簡単かつ安全に、一度に大量のY
2
Ti
2
O
5
S
2
を、しかも従来より短時間で合成できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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