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公開番号2025105700
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-10
出願番号2025069082,2020205666
出願日2025-04-18,2020-12-11
発明の名称グリース組成物及びこのグリース組成物を用いた摺動部分の潤滑方法
出願人ENEOS株式会社
代理人弁理士法人 もえぎ特許事務所
主分類C10M 169/04 20060101AFI20250703BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】高温条件下においても、接触している樹脂、特にアセタール樹脂を劣化させないグリース組成物を提供する。
【解決手段】
(A)潤滑油基油と、(B)増ちょう剤と、(C)有機モリブデン化合物及び硫黄系極圧剤からなる群から選択される少なくとも1つとを含み、硫黄系極圧剤を含む場合、硫黄系極圧剤の含有量が、組成物全量基準で0.05質量%以上2.5質量%以下であり、そしてジアルキルジチオリン酸亜鉛を実質的に含まない、樹脂用グリース組成物により、前記課題を解決することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(A)鉱油と、
(B)リチウムコンプレックスと、
(C)モリブデンジチオカーバメイト及びジオクチルポリスルフィドの両方を含み、
ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含まない樹脂用グリース組成物であって、
前記鉱油の40℃での動粘度が25mm
2
/s以上70mm
2
/s以下であり、
前記リチウムコンプレックスの含有量が組成物全量基準で11質量%以上20質量%以下であり、
前記ジオクチルポリスルフィドの含有量が組成物全量基準で0.1質量%以上2.0質量%以下であり、
前記モリブデンジチオカーバメイトの含有量が組成物全量基準で0.05質量%以上5質量%以下である、樹脂用グリース組成物。
続きを表示(約 560 文字)【請求項2】
前記樹脂が、アセタール樹脂である、請求項1に記載の樹脂用グリース組成物。
【請求項3】
ちょう度が、265以上475以下である、請求項1または請求項2に記載の樹脂用グリース組成物。
【請求項4】
前記鉱油の含有量が、組成物全量基準で50質量%以上95質量%以下である、請求項1または請求項2に記載の樹脂用グリース組成物。
【請求項5】
前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が組成物全量基準で1質量%以下である、請求項1または請求項2に記載の樹脂用グリース組成物。
【請求項6】
アセタール樹脂と金属とを含む部材に用いられる、請求項2に記載の樹脂用グリース組成物。
【請求項7】
前記金属が銅である、請求項6に記載の樹脂用グリース組成物。
【請求項8】
高温条件下で前記樹脂用グリース組成物に樹脂を90℃以上で100時間以上浸漬させた場合に、前記樹脂の質量増加が0%以上0.20%以下である、請求項1または請求項2に記載の樹脂用グリース組成物。
【請求項9】
前記高温条件下とは、前記樹脂用グリース組成物に樹脂を、105℃で168時間浸漬させる条件をいう、請求項8に記載の樹脂用グリース組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、グリース組成物に関する。本発明はまた、このグリース組成物を用いた摺動部分の潤滑方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
樹脂成型品は、様々な機械の部品として用いられている。中でも、ポリアセタール樹脂(アセタール樹脂)の成型品は、機械的特性及び成型性等において、優れた特性を有している。このような特性により、アセタール樹脂の成型品は、家電及び電気電子製品などにおいて、広く用いられている。
【0003】
グリースは、主にすべり軸受、転がり軸受(ベアリング)、又は摺動部に用いられている。使用されるグリースは、その使用条件に合わせて選別される。
グリースの潤滑性及び材質への適合性の改善のため、基油、増ちょう剤、添加剤の選択が種々提案されている。一方で、材質等の摺動部の条件により、摩擦特性は異なる。また、使用されるグリースが、特定の材質を劣化させてしまう場合もある。したがって、材質などを考慮して、最適な組成を有するグリースを選択する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2011-157477号公報
国際公開WO2015/083695号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、潤滑不良が起こることなく、且つグリースが飛び散っても、周辺設備に留まることなく、汚染を防ぐことが可能なグリース組成物を開示する。特許文献2は、摺動抵抗が低く、機械要素の消費電力、特には軸受回転時の消費電力を大幅に低減しうるグリース組成物を開示する。しかしながら、これらの文献においては、樹脂に対する適正は試験されていない。したがって、樹脂に対する適正を有するかどうかは不明であった。特に、摺動部は高温となる場合も多い。したがって、高温条件下においても、接触している樹脂を劣化させないグリース組成物が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、高温条件下においても、接触している樹脂、特にアセタール樹脂を劣化させないグリース組成物について、鋭意検討した。そして、成分(A)~(C)を含有し、硫黄系極圧剤を含む場合、硫黄系極圧剤の含有量が、組成物全量基準で0.05質量%以下2.5質量%以下であり、そして、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を実質的に含有しないグリース組成物を用いることで、前記課題を解決できることを見出し、発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、かかる知見に基づきなされたもので、以下の通りである。
<1>
(A)潤滑油基油と、(B)増ちょう剤と、(C)有機モリブデン化合物及び硫黄系極圧剤からなる群から選択される少なくとも1つとを含み、
硫黄系極圧剤を含む場合、硫黄系極圧剤の含有量が、組成物全量基準で0.05質量%以上2.5質量%以下であり、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を実質的に含まない、樹脂用グリース組成物。
<2>
樹脂が、アセタール樹脂である、<1>に記載の樹脂用グリース組成物。
<3>
有機モリブデン化合物を含み、有機モリブデン化合物の含有量が、組成物全量基準で0.05質量%以上5質量%以下である、<1>又は<2>に記載の樹脂用グリース組成物。
<4>
有機モリブデン化合物及び硫黄系極圧剤の両方を含む、<1>~<3>のいずれかに記載の樹脂用グリース組成物。
<5>
増ちょう剤が、金属石けん系増ちょう剤である、<1>~<4>のいずれかに記載の樹脂用グリース組成物。
<6>
ちょう度が、265以上475以下である、<1>~<5>のいずれかに記載の樹脂用グリース組成物。
<7>
(A)潤滑油基油の含有量が、組成物全量基準で、50質量%以上95質量%以下であり、そして
(B)増ちょう剤の含有量が、組成物全量基準で、2質量%以上30質量%以下である、
<1>~<6>のいずれかに記載の樹脂用グリース組成物。
<8>
摺動部分に<1>~<7>のいずれかに記載のグリース組成物を介在させる、摺動部分の潤滑方法。
また本発明は以下の内容にも関する。
<1a>
(A)鉱油と、
(B)リチウムコンプレックスと、
(C)モリブデンジチオカーバメイト及びジオクチルポリスルフィドの両方を含み、
ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含まない樹脂用グリース組成物であって、
前記鉱油の40℃での動粘度が25mm
2
/s以上70mm
2
/s以下であり、
前記リチウムコンプレックスの含有量が組成物全量基準で11質量%以上20質量%以下であり、
前記ジオクチルポリスルフィドの含有量が組成物全量基準で0.1質量%以上2.0質量%以下であり、
前記モリブデンジチオカーバメイトの含有量が組成物全量基準で0.05質量%以上5質量%以下である、樹脂用グリース組成物。
<2a>
前記樹脂が、アセタール樹脂である、<1a>に記載の樹脂用グリース組成物。
<3a>
ちょう度が、265以上475以下である、<1a>または<2a>に記載の樹脂用グリース組成物。
<4a>
前記鉱油の含有量が、組成物全量基準で50質量%以上95質量%以下である、<1a>または<2a>に記載の樹脂用グリース組成物。
<5a>
前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量が組成物全量基準で1質量%以下である、<1a>または<2a>に記載の樹脂用グリース組成物。
<6a>
アセタール樹脂と金属とを含む部材に用いられる、<2a>に記載の樹脂用グリース組成物。
<7a>
前記金属が銅である、<6a>に記載の樹脂用グリース組成物。
<8a>
高温条件下で前記樹脂用グリース組成物に樹脂を90℃以上で100時間以上浸漬させた場合に、前記樹脂の質量増加が0%以上0.20%以下である、<1a>または<2a>に記載の樹脂用グリース組成物。
<9a>
前記高温条件下とは、前記樹脂用グリース組成物に樹脂を、105℃で168時間浸漬させる条件をいう、<8a>に記載の樹脂用グリース組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明のグリース組成物によれば、高温条件下においても、接触している樹脂、特にアセタール樹脂を劣化させないグリース組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔成分(A):潤滑油基油〕
本発明において使用される潤滑油基油としては、鉱油又は合成系基油のいずれも用いることができる。潤滑油基油の40℃における動粘度は、特に制限されないが、優れた潤滑性を有するグリースを安全に調製する観点から、好ましくは10mm

/s以上、より好ましくは20mm

/s以上、さらに好ましくは25mm

/s以上であり、好ましくは700mm

/s以下、より好ましくは500mm

/s以下、さらに好ましくは70mm

/s以下である。また、一の実施形態において、潤滑油基油の40℃における動粘度は、好ましくは10mm

/s以上700mm

/s以下、より好ましくは20mm

/s以上500mm

/s以下、さらに好ましくは25mm

/s以上70mm

/s以下である。潤滑油基油の40℃における粘度指数は、特に制限されないが、優れた潤滑性を有するグリースを調製する観点から、好ましくは95以上250以下、より好ましくは95以上150以下である。
本明細書における粘度指数及び40℃の動粘度は、JIS K2283に準拠して測定された粘度指数及び40℃における動粘度をそれぞれ意味する。
潤滑油基油の引火点は、特に制限されないが、安全性の観点から、好ましくは、引火点が150℃以上である。
【0010】
本発明においては、炭化水素油(鉱油又は合成系基油など)を潤滑油基油として用いることが好ましく、鉱油を用いることがより好ましい。鉱油としては、原油を常圧蒸留して得られる留出油、又はこの留出油をさらに減圧蒸留して得られる留出油を、各種の精製プロセスで精製した潤滑油留分が挙げられる。精製プロセスとしては、水素化精製、溶剤抽出、溶剤脱ろう、水素化脱ろう、硫酸洗浄、白土処理などを、適宜組み合わせることができる。これらの精製プロセスを適宜の順序で組み合わせて処理することにより、本発明で使用できる潤滑油基油を得ることができる。異なる原油あるいは留出油を異なる精製プロセスの組合せに供することにより得られた、性状の異なる複数の精製油の混合物も使用可能である。
(【0011】以降は省略されています)

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