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公開番号2025111905
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-31
出願番号2024005831
出願日2024-01-18
発明の名称改質小麦粉の加工適性の評価方法
出願人株式会社ニップン
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類A23L 7/10 20160101AFI20250724BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】改質処理により、小麦粉の加工品への加工適性がどの程度変化したかを簡易的に評価する方法を提供すること
【解決手段】小麦粉の乳化における乳化層の容積を測定する簡便な測定方法により、改質前小麦粉の乳化力に対する改質小麦粉の乳化力の相対値を求め、当該相対値から改質小麦粉の前記加工適性の変化を簡便に評価することができる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
改質小麦粉の加工品への加工適性の簡易評価方法であって、水及び常温液体油に改質前後の小麦粉をそれぞれ懸濁して乳化液を得て、これを遠心分離して生じる各乳化層の容積を求めることを含み、改質前後の小麦粉の乳化層の容積比を改質前後の小麦粉の乳化力の相対値と見なして、改質前後の乳化力の相対値により加工適性を判断することを含む、前記方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
改質小麦粉の加工品への加工適性の簡易評価方法であって、下記工程a~eにより求めた、改質前小麦粉の乳化力に対する改質小麦粉の乳化力の相対値y/xが1.1以上の場合に改質小麦粉の前記加工適性が良好であると判断する、前記方法。
工程a:改質小麦粉1gを蒸留水15mLに懸濁する
工程b:工程aで得られる懸濁液に常温液体油20mLを加えて混合し、乳化液を得る
工程c:工程bで得られる乳化液を1600×gで遠心分離する
工程d:工程cの遠心分離により分離される中間層(乳化層)の容積yを測定する
工程e:改質前小麦粉について工程a~dを行い、改質前小麦粉の中間層(乳化層)の容積xを測定して、相対値y/xを求める
ここで、相対値y/xは、改質前小麦粉の乳化力に対する改質小麦粉の乳化力の相対値に相当すると見なす。
【請求項3】
小麦粉の改質方法において、改質処理中の小麦粉における改質の程度を評価する方法であって、下記工程A~Eにより求めた、改質前小麦粉の乳化力に対する改質処理中の小麦粉の乳化力の相対値Y/Xを求めることにより改質の程度を評価する、前記方法。
工程A:改質処理中の小麦粉を採取して水に懸濁する
工程B:工程Aで得られる懸濁液に常温液体油を加えて混合し、乳化液を得る
工程C:工程Bで得られる乳化液を遠心分離する
工程D:工程Cの遠心分離により分離される中間層(乳化層)の容積Yを測定する
工程E:改質前小麦粉について工程A~Dを行い、改質前小麦粉の中間層(乳化層)の容積Xを測定して、相対値Y/Xを求める
ここで、相対値Y/Xは、改質前小麦粉の乳化力に対する改質小麦粉の乳化力の相対値に相当すると見なす。
【請求項4】
相対値Y/Xが1.1以上の場合に改質が完了したと判断する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程a~dにより測定される改質小麦粉の容積yが、2.2cm
3
以上である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
改質小麦粉が、蛋白変性処理を受けた小麦粉である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
蛋白変性処理が熱処理である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
熱処理が乾熱処理である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
改質小麦粉が製菓用小麦粉である、請求項2または4に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦粉を用いた加工品の技術分野に属し、詳しくは、クッキーやスポンジケーキなどの小麦粉の加工品への加工適性を推定することを可能にする評価方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
熱処理を受けた改質小麦粉はグルテンを構成する蛋白質にダメージを受け、グルテンの形成量や質が生地や製品品質に影響する。例えば菓子類のような小麦粉の加工品目は、改質小麦粉への熱処理の強さが製品品質を決定する要因の一つになる。このため、熱処理により小麦粉がどの程度改質されたか推定することは、改質小麦粉に加工適性があるか否かを間接的に推定するために有用である。しかし、従来のグルテンへの熱ダメージの程度を利用して熱処理による改質程度を推定する分析方法では、煩雑で分析に時間がかかる問題があり、さらに熱処理の程度が弱すぎるもの及び強すぎるもの同士の比較ではその差が分析値に現れ難い問題があった。
前記のような事情から、原料としての改質小麦粉の菓子など加工品への加工適性があるか否かの評価は従来のグルテンへの熱ダメージの評価方法による測定や外観観察だけでは難しく、加工品の作製プロセスに従って実際に調理してみることが必要となる。しかしながら、加工品を作製して品質評価するには、多くの試料量を必要とする上、手間もかかる。そのため、加工品の品質評価においては、できるだけ早く簡便に、使用する小麦粉に加工適性があるか否かを判定できる、簡便な分析方法の確立が望まれている。
水及び小麦粉を攪拌混合し油脂を加えてさらに攪拌混合し、これを遠心分離して生じるゲル層の幅から製パン性を評価する小麦粉の製パン性の評価方法が文献1に開示されているが、改質小麦粉の処理程度と相関があることは記述も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2012-183029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改質処理により、小麦粉の加工品への加工適性(以下、単に加工適性ともいう)がどの程度変化したかを簡易的に評価する方法を提供することである。
また本発明の他の目的は、小麦粉の改質方法において、改質の進行程度を知るための改質小麦粉の簡易的な評価方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、小麦粉の改質による小麦粉の加工品への加工適性の変化が、所定条件下において測定した小麦粉の改質による乳化力の変化(所定条件で測定した改質前小麦粉の乳化力に対する改質小麦粉の乳化力の相対値である乳化力比)と一定の関係を示すことを見いだし、改質後の小麦粉の加工適性を簡易的に評価する方法を提供するという課題を達成した。
また本発明者らは、小麦粉の改質方法における改質の進行程度を、所定条件下において測定した小麦粉の乳化力の変化(乳化力比)により簡易的に評価することができることを見いだし、改質の進行程度を知るための改質小麦粉の簡易的な評価方法を提供するという上記課題を達成した。
【0006】
本発明は以下の態様を提供する。
〔1〕改質小麦粉の加工品への加工適性の簡易評価方法であって、水及び常温液体油に改質前後の小麦粉をそれぞれ懸濁して乳化液を得て、これを遠心分離して生じる各乳化層の容積を求めることを含み、改質前後の小麦粉の乳化層の容積比を改質前後の小麦粉の乳化力の相対値と見なして、改質前後の乳化力の相対値により加工適性を判断することを含む、前記方法。
〔2〕改質小麦粉の加工品への加工適性の簡易評価方法であって、下記工程a~eにより求めた、改質前小麦粉の乳化力に対する改質小麦粉の乳化力の相対値y/xが1.1以上の場合に改質小麦粉の前記加工適性が良好であると判断する、前記方法。
工程a:改質小麦粉1gを蒸留水15mLに懸濁する
工程b:工程aで得られる懸濁液に常温液体油20mLを加えて混合し、乳化液を得る
工程c:工程bで得られる乳化液を1600×gで遠心分離する
工程d:工程cの遠心分離により分離される中間層(乳化層)の容積yを測定する
工程e:改質前小麦粉について工程a~dを行い、改質前小麦粉の中間層(乳化層)の容積xを測定して、相対値y/xを求める
ここで、相対値y/xは、改質前小麦粉の乳化力に対する改質小麦粉の乳化力の相対値に相当すると見なす。
〔3〕小麦粉の改質方法において、改質処理中の小麦粉における改質の程度を評価する方法であって、下記工程A~Eにより求めた、改質前小麦粉の乳化力に対する改質処理中の小麦粉の乳化力の相対値Y/Xを求めることにより改質の程度を評価する、前記方法。
工程A:改質処理中の小麦粉を採取して水に懸濁する
工程B:工程Aで得られる懸濁液に常温液体油を加えて混合し、乳化液を得る
工程C:工程Bで得られる乳化液を遠心分離する
工程D:工程Cの遠心分離により分離される中間層(乳化層)の容積Yを測定する
工程E:改質前小麦粉について工程A~Dを行い、改質前小麦粉の中間層(乳化層)の容積Xを測定して、相対値Y/Xを求める
ここで、相対値Y/Xは、改質前小麦粉の乳化力に対する改質小麦粉の乳化力の相対値に相当すると見なす。
〔4〕相対値Y/Xが1.1以上の場合に改質が完了したと判断する、〔3〕に記載の方法
〔5〕工程a~eにより測定される改質小麦粉の容積yが、2.2cm
3
以上である、〔2〕に記載の方法。
〔6〕改質小麦粉が、蛋白変性処理を受けた小麦粉である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕蛋白変性処理が熱処理である、〔6〕に記載の方法。
〔8〕熱処理が乾熱処理である、〔7〕に記載の方法。
〔9〕改質小麦粉が製菓用小麦粉である、〔2〕または〔4〕に記載の方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、改質前小麦粉及びそれを改質処理した改質小麦粉の乳化力の相対値を測定することにより、加工品への加工適性における改質の影響を簡易的に評価することができる。
また本発明の方法により、小麦粉の改質方法において、改質前小麦粉の乳化力と改質小麦粉の乳化力の相対値を測定することにより、改質の進行程度を簡易的に評価し、あるいは、改質の完了を決定することができる。
本発明の方法は、グルテンへの改質度合いが小さく、従来の評価方法では十分に評価できない場合でも定量的に測定可能なため有用な手法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の方法の工程Eにおいて分離した改質小麦粉の乳化層を含む遠心チューブ中の各層を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第一の態様は、改質小麦粉の加工品への加工適性の簡易評価方法であって、水及び常温液体油に改質前後の小麦粉をそれぞれ懸濁して乳化液を得て、これを遠心分離して生じる各乳化層の容積を求めることを含み、改質前後の小麦粉の乳化層の容積比を改質前後の小麦粉の乳化力の相対値と見なして、改質前後の乳化力の相対値により加工適性を判断することを含む、前記方法である。
本発明の第二の態様は、改質小麦粉の加工品への加工適性の簡易評価方法であり、下記工程a~eにより求めた、改質前小麦粉の乳化力に対する改質小麦粉の乳化力の相対値y/xが1.1以上の場合に改質小麦粉の前記加工適性が良好であると判断する方法である。
工程a:改質小麦粉1gを蒸留水15mLに懸濁する
工程b:工程aで得られる懸濁液に常温液体油20mLを加えて混合し、乳化液を得る
工程c:工程bで得られる乳化液を1600×gで遠心分離する
工程d:工程cの遠心分離により分離される中間層(乳化層)の容積yを測定する
工程e:改質前小麦粉について工程a~dを行い、改質前小麦粉の中間層(乳化層)の容積xを測定して、相対値y/xを求める
ここで、相対値y/xは、改質前小麦粉の乳化力に対する改質小麦粉の乳化力の相対値に相当すると見なす。
【0010】
本発明の第三の態様は、小麦粉の改質方法において、改質処理中の小麦粉における改質の程度を評価する方法であって、下記工程A~Eにより求めた、改質前小麦粉の乳化力に対する改質処理中の小麦粉の乳化力の相対値Y/Xを求めることにより改質の程度を評価する方法である。
工程A:改質処理中の小麦粉を採取して水に懸濁する
工程B:工程Aで得られる懸濁液に常温液体油を加えて混合し、乳化液を得る
工程C:工程Bで得られる乳化液を遠心分離する
工程D:工程Cの遠心分離により分離される中間層(乳化層)の容積Yを測定する
工程E:改質前小麦粉について工程A~Dを行い、改質前小麦粉の中間層(乳化層)の容積Xを測定して、相対値Y/Xを求める
ここで、相対値Y/Xは、改質前小麦粉の乳化力に対する改質小麦粉の乳化力の相対値に相当すると見なす。
(【0011】以降は省略されています)

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