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公開番号2025112239
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-31
出願番号2024029189
出願日2024-01-18
発明の名称フッ素樹脂塗装鋼板の保管方法
出願人個人
代理人
主分類C23C 2/28 20060101AFI20250724BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】 加工性や耐候性等の物性を良好に維持しつつ、経時加工性に優れた塗装鋼板を提供する。
【解決手段】 上記目的を達成するべく、本発明は、溶融Al-Zn系めっき鋼板上に、化成処理皮膜、プライマー層及びトップコート層が形成された塗装鋼板であって、当該トップコート層はポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が50~80%である樹脂成分と、着色顔料を含むことを特徴とするフッ素樹脂塗装鋼板をガラス転移温度以下に保管することを特徴とする。
特許請求の範囲【請求項1】
溶融Al-Zn系めっき鋼板上に、化成処理皮膜、プライマー層及びトップコート層が形成された塗装鋼板であって、当該トップコート層はポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が50~80%である樹脂成分と当該フッ化ビニリデン樹脂に相溶性のあるアクリル樹脂が50~20%であり、着色顔料を含むことを特徴とするフッ素樹脂塗装鋼板をガラス転移温度以下に保管することを特徴とする、結晶性フッ素樹脂塗装鋼板の経時加工性低下の防止方法。
続きを表示(約 310 文字)【請求項2】
フッ素樹脂塗装鋼板を構成する溶融Al-Zn系めっき鋼板が、めっき層の伸び率を改善するために予めアニール処理されためっき鋼板で製造された結晶性フッ素樹脂塗装鋼板であることを特徴とする請求項1の塗装鋼板。
【請求項3】
フッ素樹脂塗装鋼板をガラス転移温度以下に保管するための温度が、マイナス35℃以下であることを特徴とする、請求項1の経時加工性低下の防止方法。
【請求項4】
上記温度をマイナス35℃以下に保管するための冷却手段が、温度を可変で調節できる冷凍庫、ドライアイス、液体窒素や液体空気中に保管することを特徴とする、請求項3の経時加工性低下の防止方法。

発明の詳細な説明【発明の詳細な説明】
【】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経時加工性に優れた塗装鋼板に関するものである。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
めっき層中にアルミニウムを約55質量%、ケイ素を約1.6質量%含有し、残部が亜鉛となる標準組成を有する溶融Al-Zn系めっき鋼板(以下、「55%Al-Zn系めっき鋼板」または、「ガルバリウム鋼板」という事がある。)は、優れた耐食性を示すことから、国際社会の要求であるSDGs目標に合致することもあり、近年、建材分野を中心に需要が増加しつつある。また、55%Al-Zn系めっき鋼板にフッ素樹脂を塗装したフッ素樹脂塗装鋼板は、フッ素樹脂の優れた加工性と耐候性から、エンボスロールで石、木や陶磁器を模倣した複雑な成型柄に嵌合形状を組み合わせた金属サイディングとして、住宅、店舗の壁材に用いられている。
【0003】
フッ素樹脂塗装鋼板として、例えば文献1には、表面に化成処理層と更にその上にプライマー層とが形成されている金属板の最上層に、特定のフッ化ビニリデン樹脂を含むトップコート層が形成されている塗装金属板が開示されている。例えば、文献1に記載されているように、フッ化ビニリデン樹脂は熱可塑性であり、かつ、結晶性の樹脂であることから、焼付塗装後の急冷によって結晶化を抑制して非晶質にすることにより、優れた加工性をフッ素樹脂塗装鋼板に付与している。
特許1853338号公報
【0004】
特殊な用途を除いて、一般にフッ化ビニリデン樹脂は単独で用いられることは少ない。その理由は、フッ素系樹脂の高価であることが挙げられる。このような場合、フッ素系樹脂の持つ耐候性と加工性を低下させない範囲で、安価で当該フッ素系樹脂と相溶性の良好なアクリル樹脂をブレンドして用いられる。それらの重量比は、
フッ化ビニリデン樹脂 : アクリル樹脂 = 80重量% : 20重量%
から
= 50重量% : 50重量%
である。(文献2、参照)
特開2023-19125公報
【0005】
フッ化ビニリデン樹脂が結晶性樹脂であることは、例えば、特許文献2に開示されているように、広角X線回折分析で鋭いピークの観測から知ることが可能である。また、当該フッ素樹脂塗装鋼板が急冷により非晶質化したことは、同じX線回折分析を行う事か、DSC測定(示差熱分析測定)による昇温時の融点測定で確認できる。
【0006】
フッ化ビニリデン樹脂が結晶化すると、なぜ加工性の低下を引き起こすのかは、明確に解明されていない。現在の所その理由は、フッ素樹脂を形成するポリフッ化ビニリデン分子が、規則正しく配列することで熱力学的に安定化し、分子骨格が伸びて可撓性が失われるためと考えられている。当該安定化のエネルギーはDSC測定(示差熱分析測定)による融解熱が30~40(J/g)程度である。
【0007】
また、フッ化ビニリデン樹脂の分子内熱運動が激しくなる事に起因するガラス転位点は、マイナス35℃と低いことから、室温雰囲気下倉庫等で保管すると経時で結晶化が進み加工性が失われるという問題(経時加工性の問題)があった。
【0008】
低分子量の分子において、結晶化は分子が移動して凝集してから熱力学的に安定するように整然と並ぶことと言える。この時、分子が移動するには分子運動が活発になることが必須である。同時に、結晶化時に安定化により発生する熱を取り去るために冷却すると言った、相反する操作を必要とする。その結果、結晶化は2つの要因の最大公約数的な条件で効率よく進行する。高分子の場合においても同様なことが言えるものの、一本の高分子の重心が移動することは熱力学的に不利である。このことから、高分子では、当該高分子の重心の移動を伴わないセグメント単位の熱運動で結晶化は説明されている。(文献3参照)
川西勝次,フッ素樹脂塗装鋼板の加工性に及ぼす結晶化の影響,色材,69〔7〕,429―434 (1996)
【0009】
結晶化が進行したフッ素樹脂塗装鋼板は、再度、当該フッ素樹脂の融点以上に加熱後急冷することで、良好な加工性の回復は見られるものの、再加熱による表面の凹凸の変化による光沢度の変化や、再度生産工程を通すと言った、美観や経済的に損失の方が大きいものであった。
【0010】
このような中で、フッ素樹脂塗装鋼板の経時加工性の問題を解決するため、種々の技術が検討されている。例えば、文献4には、トップコート層を構成する材料として5μm以下の細かいフッ素系樹脂粒子を用いることにより、アクリル樹脂との相溶性を改善し、フッ素樹脂の結晶化を抑制するという技術が開示されている。しかしながら、文献4の方法では、一定の加工性向上効果が得られるものの、3か月後のフッ素系樹脂のトップコート層には、結晶化を十分に抑えきれないため、サイディング形成時に加工部の曲げRの小さい部分にクラックが発生する。そのため、依然として経時加工性の改善された技術が望まれていた。
特開平6-262139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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