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公開番号2025115363
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-06
出願番号2024199082
出願日2024-11-14
発明の名称生命維持方法、生命維持装置および生命維持プログラム、ならびに気球用キャビン
出願人株式会社岩谷技研
代理人弁理士法人佐川国際特許商標事務所
主分類B64B 1/22 20060101AFI20250730BHJP(航空機;飛行;宇宙工学)
要約【課題】気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において、搭乗者の生命を維持することはもとより、安全かつ快適に内圧及びガス濃度を調整することができる生命維持方法、生命維持装置及び生命維持プログラムならびに気球用キャビンを提供する。
【解決手段】飛行する際に密閉され、排気のみ可能な気球用キャビン100内における生命維持方法であって、内圧調整モードを読み込む内圧調整モード読込ステップと、ガス濃度調整モードを読み込むガス濃度調整モード読込ステップと、内圧調整モードに従って内圧を調整する内圧調整ステップと、ガス濃度調整モードに従ってガス濃度を調整するガス濃度調整ステップと、を実行する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において生命を維持するための生命維持方法であって、
前記気球用キャビンは、飛行する際に密閉され、排気のみ可能な気密構造を有しているとともに、
前記気球用キャビン内を昇圧するための昇圧用ガスが充填された昇圧用ガスのボンベと、
前記気球用キャビン内に供給するための酸素が充填された酸素ボンベと、
前記昇圧用ガスのボンベから供給される昇圧用ガスの供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能なガス供給流量制御弁と、
前記酸素ボンベから供給される酸素の供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能な酸素供給流量制御弁と、
前記気球用キャビンから排気される気体の排出流量を弁開度によって目標流量に調整可能な排出流量制御弁と、
圧力センサによって検出される前記気球用キャビンの内圧値およびガスセンサによって検出される前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度値のうち、少なくとも前記内圧値に基づいて、前記ガス供給流量制御弁、前記酸素供給流量制御弁および前記排出流量制御弁からなる各制御弁の弁開度を調整する生命維持装置と、
を含み、
前記生命維持装置は、
前記気球用キャビン内の内圧範囲に対応付けて前記各制御弁の目標流量が設定された内圧調整モードを読み込む内圧調整モード読込ステップと、
前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度範囲に対応付けて前記各制御弁の目標流量が設定されたガス濃度調整モードを読み込むガス濃度調整モード読込ステップと、
検出された前記内圧値が、いずれかの前記内圧調整モードの内圧範囲に含まれる場合、当該内圧調整モードの目標流量に対応する弁開度に前記各制御弁を設定し、前記内圧値が生命を維持するのに好ましい好適圧力範囲内となるように調整する内圧調整ステップと、
前記内圧範囲が相対的に大きい前記内圧調整モードにおいて、検出された酸素または二酸化炭素の前記濃度値が、前記ガス濃度調整モードの濃度範囲に含まれる場合、当該ガス濃度調整モードの目標流量に対応する弁開度に前記各制御弁を設定し、前記濃度値が生命を維持するのに好ましい好適濃度範囲内となるように調整するガス濃度調整ステップと、
を実行する、生命維持方法。
続きを表示(約 5,500 文字)【請求項2】
前記内圧調整モードは、少なくとも以下に示すモード1~3を含む、請求項1に記載の生命維持方法;
(1)モード1:前記好適圧力範囲の上限値(PU)を超える内圧範囲では、酸素の目標流量に対する昇圧用ガスの目標流量の比である供給流量比を第1比率値(A1)に維持し、前記排出流量は前記供給流量の総和より大きくする;
(2)モード2:前記好適圧力範囲の下限値(PL)より大きく前記上限値(PU)以下の内圧範囲では、前記供給流量比を前記第1比率値(A1)より小さい第2比率値(A2)に維持し、前記排出流量は前記供給流量の総和と同一または略同一にする;
(3)モード3:前記下限値(PL)以下の内圧範囲では、前記供給流量比を前記第2比率値(A2)より小さい第3比率値(A3)に維持し、前記排出流量はゼロまたは略ゼロにする。
【請求項3】
前記ガス濃度調整モードは、前記モード1または前記モード2において、検出された酸素または二酸化炭素の前記濃度値が前記好適濃度範囲外の場合に実行され、前記供給流量比を前記第2比率値(A2)より小さく前記第3比率値(A3)より大きい第4比率値(A4)に維持し、前記排出流量は前記供給流量の総和より大きくする、請求項2に記載の生命維持方法。
【請求項4】
前記モード2は、前記内圧範囲が前記好適圧力範囲内で予め設定された中間値(PM)より大きく前記上限値(PU)以下である場合に実行され、前記内圧範囲が前記下限値(PL)より大きく前記中間値(PM)以下である場合、以下に示すモード2Aが実行される、請求項2に記載の生命維持方法;
モード2A:前記供給流量比を前記第1比率値(A1)より小さく前記第2比率値(A2)より大きい第5比率値(A5)に維持し、前記排出流量は前記供給流量の総和より少なくする。
【請求項5】
気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において生命を維持するための生命維持装置であって、
前記気球用キャビンは、飛行する際に密閉され、排気のみ可能な気密構造を有しているとともに、
前記気球用キャビン内を昇圧するための昇圧用ガスが充填された昇圧用ガスのボンベと、
前記気球用キャビン内に供給するための酸素が充填された酸素ボンベと、
前記昇圧用ガスのボンベから供給される昇圧用ガスの供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能なガス供給流量制御弁と、
前記酸素ボンベから供給される酸素の供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能な酸素供給流量制御弁と、
前記気球用キャビンから排気される気体の排出流量を弁開度によって目標流量に調整可能な排出流量制御弁と、
を含み、
前記生命維持装置は、圧力センサによって検出される前記気球用キャビンの内圧値およびガスセンサによって検出される前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度値のうち、少なくとも前記内圧値に基づいて、前記ガス供給流量制御弁、前記酸素供給流量制御弁および前記排出流量制御弁からなる各制御弁の弁開度を調整するものであり、
前記気球用キャビン内の内圧範囲に対応付けて前記各制御弁の目標流量が設定された内圧調整モードを読み込む内圧調整モード読込ステップと、
前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度範囲に対応付けて前記各制御弁の目標流量が設定されたガス濃度調整モードを読み込むガス濃度調整モード読込ステップと、
検出された前記内圧値が、いずれかの前記内圧調整モードの内圧範囲に含まれる場合、当該内圧調整モードの目標流量に対応する弁開度に前記各制御弁を設定し、前記内圧値が生命を維持するのに好ましい好適圧力範囲内となるように調整する内圧調整ステップと、
前記内圧範囲が相対的に大きい前記内圧調整モードにおいて、検出された酸素または二酸化炭素の前記濃度値が、前記ガス濃度調整モードの濃度範囲に含まれる場合、当該ガス濃度調整モードの目標流量に対応する弁開度に前記各制御弁を設定し、前記濃度値が生命を維持するのに好ましい好適濃度範囲内となるように調整するガス濃度調整ステップと、
を実行する、生命維持装置。
【請求項6】
気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において生命を維持するための生命維持方法であって、
前記気球用キャビンは、飛行する際に密閉され、排気のみ可能な気密構造を有しているとともに、
前記気球用キャビン内を昇圧するための昇圧用ガスが充填された昇圧用ガスのボンベと、
前記気球用キャビン内に供給するための酸素が充填された酸素ボンベと、
前記昇圧用ガスのボンベから供給される昇圧用ガスの供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能なガス供給流量制御弁と、
前記酸素ボンベから供給される酸素の供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能な酸素供給流量制御弁と、
前記気球用キャビンから排気される気体の排出流量を弁開度によって目標流量に調整可能な排出流量制御弁と、
圧力センサによって検出される前記気球用キャビンの内圧値およびガスセンサによって検出される前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度値のうち、少なくとも前記内圧値に基づいて、前記ガス供給流量制御弁および前記酸素供給流量制御弁からなる各供給流量制御弁および前記排出流量制御弁の弁開度を調整する生命維持装置と、
を含み、
前記生命維持装置は、
前記気球用キャビン内の内圧範囲に対応付けて、前記各供給流量制御弁の目標流量、または前記各供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための供給側内圧目標値と、前記排出流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための排出側内圧目標値とが設定された内圧調整モードを読み込む内圧調整モード読込ステップと、
前記気球用キャビン内の酸素の濃度範囲に対応付けて前記酸素供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための酸素目標値が設定されるとともに、前記気球用キャビン内の二酸化炭素の濃度範囲に対応付けて前記ガス供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための二酸化酸素目標値が設定されたガス濃度調整モードを読み込むガス濃度調整モード読込ステップと、
検出された前記内圧値が、いずれかの前記内圧調整モードの内圧範囲に含まれる場合、前記各供給流量制御弁は、当該内圧調整モードの目標流量に対応する弁開度に設定し、または当該内圧調整モードに対応する前記供給側内圧目標値と前記内圧値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記排出流量制御弁は、当該内圧調整モードに対応する前記排出側内圧目標値と前記内圧値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記内圧値が生命を維持するのに好ましい好適圧力範囲内となるように調整する内圧調整ステップと、
前記内圧範囲が相対的に大きい前記内圧調整モードにおいて、検出された酸素または二酸化炭素の前記濃度値が、前記ガス濃度調整モードの濃度範囲に含まれる場合、前記ガス濃度調整モードに対応する前記酸素目標値または前記二酸化炭素目標値と前記濃度値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記濃度値が生命を維持するのに好ましい好適濃度範囲内となるように調整するガス濃度調整ステップと、
を実行する、生命維持方法。
【請求項7】
前記内圧調整モードは、以下に示すモード1~3を含む、請求項6に記載の生命維持方法;
(1)モード1:前記好適圧力範囲の上限値(PU)を超える内圧範囲では、酸素の目標流量に対する昇圧用ガスの目標流量の比である供給流量比を第1比率値(A1)に維持し、前記排出流量は前記内圧値が、前記好適圧力範囲の下限値(PL)より大きく前記上限値(PU)よりも小さい前記排出側内圧目標値(Pr1)となるようにフィードバック制御する;
(2)モード2:前記好適圧力範囲の下限値(PL)より大きく前記上限値(PU)以下の内圧範囲では、前記供給流量比を前記第1比率値(A1)より小さい第2比率値(A2)に維持し、前記排出流量は前記内圧値が前記排出側内圧目標値(Pr1)となるようにフィードバック制御する;
(3)モード3:前記下限値(PL)以下の内圧範囲では、前記供給流量比を前記第2比率値(A2)より小さい第3比率値(A3)に維持し、前記供給流量は前記内圧値が、前記下限値(PL)より大きい前記供給側内圧目標値(Pr2)となるようにフィードバック制御するとともに、前記排出流量は前記内圧値が前記排出側内圧目標値(Pr1)となるようにフィードバック制御する。
【請求項8】
前記ガス濃度調整モードは、前記モード1または前記モード2において、
検出された酸素の濃度値が前記好適濃度範囲外の場合、当該濃度値が前記酸素目標値(Or1)となるように酸素の供給流量をフィードバック制御するとともに、検出された内圧値が前記排出側内圧目標値(Pr1)となるように排出流量をフィードバック制御し、
検出された二酸化炭素の濃度値が前記好適濃度範囲外の場合、当該濃度値が前記二酸化炭素目標値(Cr1)となるように昇圧用ガスの供給流量をフィードバック制御するとともに、検出された内圧値が前記排出側内圧目標値(Pr1)となるように排出流量をフィードバック制御する、
請求項7に記載の生命維持方法。
【請求項9】
前記モード1または前記モード2において、検出された前記内圧値が前記上限値(PU)より大きい異常値(P0)を超える場合、前記ガス濃度調整モードを実行しない、請求項3または請求項8に記載の生命維持方法。
【請求項10】
気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において生命を維持するための生命維持装置であって、
前記気球用キャビンは、飛行する際に密閉され、排気のみ可能な気密構造を有しているとともに、
前記気球用キャビン内を昇圧するための昇圧用ガスが充填された昇圧用ガスのボンベと、
前記気球用キャビン内に供給するための酸素が充填された酸素ボンベと、
前記昇圧用ガスのボンベから供給される昇圧用ガスの供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能なガス供給流量制御弁と、
前記酸素ボンベから供給される酸素の供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能な酸素供給流量制御弁と、
前記気球用キャビンから排気される気体の排出流量を弁開度によって目標流量に調整可能な排出流量制御弁と、
を含み、
前記生命維持装置は、圧力センサによって検出される前記気球用キャビンの内圧値およびガスセンサによって検出される前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度値のうち、少なくとも前記内圧値に基づいて、前記ガス供給流量制御弁および前記酸素供給流量制御弁からなる各供給流量制御弁および前記排出流量制御弁の弁開度を調整するものであり、
前記気球用キャビン内の内圧範囲に対応付けて、前記各供給流量制御弁の目標流量、または前記各供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための供給側内圧目標値と、前記排出流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための排出側内圧目標値とが設定された内圧調整モードを読み込む内圧調整モード読込ステップと、
前記気球用キャビン内の酸素の濃度範囲に対応付けて前記酸素供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための酸素目標値が設定されるとともに、前記気球用キャビン内の二酸化炭素の濃度範囲に対応付けて前記ガス供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための二酸化酸素目標値が設定されたガス濃度調整モードを読み込むガス濃度調整モード読込ステップと、
検出された前記内圧値が、いずれかの前記内圧調整モードの内圧範囲に含まれる場合、前記各供給流量制御弁は、当該内圧調整モードの目標流量に対応する弁開度に設定し、または当該内圧調整モードに対応する前記供給側内圧目標値と前記内圧値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記排出流量制御弁は、当該内圧調整モードに対応する前記排出側内圧目標値と前記内圧値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記内圧値が生命を維持するのに好ましい好適圧力範囲内となるように調整する内圧調整ステップと、
前記内圧範囲が相対的に大きい前記内圧調整モードにおいて、検出された酸素または二酸化炭素の前記濃度値が、前記ガス濃度調整モードの濃度範囲に含まれる場合、前記ガス濃度調整モードに対応する前記酸素目標値または前記二酸化炭素目標値と前記濃度値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記濃度値が生命を維持するのに好ましい好適濃度範囲内となるように調整するガス濃度調整ステップと、
を実行する、生命維持装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において、搭乗者の生命を維持するための生命維持方法、生命維持装置および生命維持プログラム、ならびに気球用キャビンに関するものである。なお、本発明における「高高度」とは、通常航空機が運航する高度よりも高い高度、具体的には2万メートル以上で最高約50万メートルまでの高度を指す。
続きを表示(約 5,800 文字)【背景技術】
【0002】
従来、有人飛行する航空機の内部において、搭乗者の生命を維持するための技術が知られている。例えば、特開平2-262498号公報には、航空機の高度に応じて航空機キャビンの内圧を所定の圧力範囲に加圧するキャビン加圧装置を備えた生命維持装置が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平2-262498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された生命維持装置を含め、従来の生命維持装置が搭載されている航空機は、せいぜい1万m前後の高度を数百人規模の乗客を乗せて飛行するものである。このため、航空機では、高速で飛行することによって強制的に大量の外気を取り込む構造が不可欠であり、当該取り込んだ外気を加圧装置で加圧し、空調装置で適温に調節した上で航空機キャビンの内部へ供給している。これにより、航空機キャビンの内部では、内圧やガス濃度(酸素濃度や二酸化炭素濃度)が適切な状態に保たれている。
【0005】
一方、気球によって2万m以上の高高度を有人飛行する気球用キャビンは、航空機の飛行条件と比べてさらに低い気圧に晒される上、航空機に比べて極めて低速度で飛行する。このため、航空機のような方法によって気球用キャビン内に外気を取り込むことはできず、むしろ気球用キャビン内の空気が流出しないように密閉する必要がある。また、気球用キャビンは、気球の浮力によって飛行するため軽量化が必須であり、航空機キャビンに比べて極めて狭小なため、航空機に搭載されるような加圧装置や空調装置等の大型で重量のある装置を搭載することもできない。このように様々な制約がある気球用キャビンの内部において、搭乗者の生命を維持しうるように内圧およびガス濃度の双方を適切に調整する技術は、従来、実現されていない。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において、搭乗者の生命を維持することはもとより、安全かつ快適に内圧およびガス濃度を調整することができる生命維持方法、生命維持装置および生命維持プログラム、ならびに気球用キャビンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る生命維持方法は、気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において、搭乗者の生命を維持することはもとより、安全かつ快適に内圧およびガス濃度を調整するという課題を解決するために、気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において生命を維持するための生命維持方法であって、前記気球用キャビンは、飛行する際に密閉され、排気のみ可能な気密構造を有しているとともに、前記気球用キャビン内を昇圧するための昇圧用ガスが充填された昇圧用ガスのボンベと、前記気球用キャビン内に供給するための酸素が充填された酸素ボンベと、前記昇圧用ガスのボンベから供給される昇圧用ガスの供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能なガス供給流量制御弁と、前記酸素ボンベから供給される酸素の供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能な酸素供給流量制御弁と、前記気球用キャビンから排気される気体の排出流量を弁開度によって目標流量に調整可能な排出流量制御弁と、圧力センサによって検出される前記気球用キャビンの内圧値およびガスセンサによって検出される前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度値のうち、少なくとも前記内圧値に基づいて、前記ガス供給流量制御弁、前記酸素供給流量制御弁および前記排出流量制御弁からなる各制御弁の弁開度を調整する生命維持装置と、を含み、前記生命維持装置は、前記気球用キャビン内の内圧範囲に対応付けて前記各制御弁の目標流量が設定された内圧調整モードを読み込む内圧調整モード読込ステップと、前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度範囲に対応付けて前記各制御弁の目標流量が設定されたガス濃度調整モードを読み込むガス濃度調整モード読込ステップと、検出された前記内圧値が、いずれかの前記内圧調整モードの内圧範囲に含まれる場合、当該内圧調整モードの目標流量に対応する弁開度に前記各制御弁を設定し、前記内圧値が生命を維持するのに好ましい好適圧力範囲内となるように調整する内圧調整ステップと、前記内圧範囲が相対的に大きい前記内圧調整モードにおいて、検出された酸素または二酸化炭素の前記濃度値が、前記ガス濃度調整モードの濃度範囲に含まれる場合、当該ガス濃度調整モードの目標流量に対応する弁開度に前記各制御弁を設定し、前記濃度値が生命を維持するのに好ましい好適濃度範囲内となるように調整するガス濃度調整ステップと、を実行する。
【0008】
また、本発明に係る生命維持装置は、気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において、搭乗者の生命を維持することはもとより、安全かつ快適に内圧およびガス濃度を調整するという課題を解決するために、気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において生命を維持するための生命維持装置であって、前記気球用キャビンは、飛行する際に密閉され、排気のみ可能な気密構造を有しているとともに、前記気球用キャビン内を昇圧するための昇圧用ガスが充填された昇圧用ガスのボンベと、前記気球用キャビン内に供給するための酸素が充填された酸素ボンベと、前記昇圧用ガスのボンベから供給される昇圧用ガスの供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能なガス供給流量制御弁と、前記酸素ボンベから供給される酸素の供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能な酸素供給流量制御弁と、前記気球用キャビンから排気される気体の排出流量を弁開度によって目標流量に調整可能な排出流量制御弁と、を含み、前記生命維持装置は、圧力センサによって検出される前記気球用キャビンの内圧値およびガスセンサによって検出される前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度値のうち、少なくとも前記内圧値に基づいて、前記ガス供給流量制御弁、前記酸素供給流量制御弁および前記排出流量制御弁からなる各制御弁の弁開度を調整するものであり、前記気球用キャビン内の内圧範囲に対応付けて前記各制御弁の目標流量が設定された内圧調整モードを読み込む内圧調整モード読込ステップと、前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度範囲に対応付けて前記各制御弁の目標流量が設定されたガス濃度調整モードを読み込むガス濃度調整モード読込ステップと、検出された前記内圧値が、いずれかの前記内圧調整モードの内圧範囲に含まれる場合、当該内圧調整モードの目標流量に対応する弁開度に前記各制御弁を設定し、前記内圧値が生命を維持するのに好ましい好適圧力範囲内となるように調整する内圧調整ステップと、前記内圧範囲が相対的に大きい前記内圧調整モードにおいて、検出された酸素または二酸化炭素の前記濃度値が、前記ガス濃度調整モードの濃度範囲に含まれる場合、当該ガス濃度調整モードの目標流量に対応する弁開度に前記各制御弁を設定し、前記濃度値が生命を維持するのに好ましい好適濃度範囲内となるように調整するガス濃度調整ステップと、を実行する。
【0009】
さらに、本発明に係る生命維持方法は、気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において、搭乗者の生命を維持することはもとより、安全かつ快適に内圧およびガス濃度を調整するという課題を解決するために、気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において生命を維持するための生命維持方法であって、前記気球用キャビンは、飛行する際に密閉され、排気のみ可能な気密構造を有しているとともに、前記気球用キャビン内を昇圧するための昇圧用ガスが充填された昇圧用ガスのボンベと、前記気球用キャビン内に供給するための酸素が充填された酸素ボンベと、前記昇圧用ガスのボンベから供給される昇圧用ガスの供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能なガス供給流量制御弁と、前記酸素ボンベから供給される酸素の供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能な酸素供給流量制御弁と、前記気球用キャビンから排気される気体の排出流量を弁開度によって目標流量に調整可能な排出流量制御弁と、圧力センサによって検出される前記気球用キャビンの内圧値およびガスセンサによって検出される前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度値のうち、少なくとも前記内圧値に基づいて、前記ガス供給流量制御弁および前記酸素供給流量制御弁からなる各供給流量制御弁および前記排出流量制御弁の弁開度を調整する生命維持装置と、を含み、前記生命維持装置は、前記気球用キャビン内の内圧範囲に対応付けて、前記各供給流量制御弁の目標流量、または前記各供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための供給側内圧目標値と、前記排出流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための排出側内圧目標値とが設定された内圧調整モードを読み込む内圧調整モード読込ステップと、前記気球用キャビン内の酸素の濃度範囲に対応付けて前記酸素供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための酸素目標値が設定されるとともに、前記気球用キャビン内の二酸化炭素の濃度範囲に対応付けて前記ガス供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための二酸化酸素目標値が設定されたガス濃度調整モードを読み込むガス濃度調整モード読込ステップと、検出された前記内圧値が、いずれかの前記内圧調整モードの内圧範囲に含まれる場合、前記各供給流量制御弁は、当該内圧調整モードの目標流量に対応する弁開度に設定し、または当該内圧調整モードに対応する前記供給側内圧目標値と前記内圧値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記排出流量制御弁は、当該内圧調整モードに対応する前記排出側内圧目標値と前記内圧値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記内圧値が生命を維持するのに好ましい好適圧力範囲内となるように調整する内圧調整ステップと、前記内圧範囲が相対的に大きい前記内圧調整モードにおいて、検出された酸素または二酸化炭素の前記濃度値が、前記ガス濃度調整モードの濃度範囲に含まれる場合、前記ガス濃度調整モードに対応する前記酸素目標値または前記二酸化炭素目標値と前記濃度値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記濃度値が生命を維持するのに好ましい好適濃度範囲内となるように調整するガス濃度調整ステップと、を実行する。
【0010】
また、本発明に係る生命維持装置は、気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において、搭乗者の生命を維持することはもとより、安全かつ快適に内圧およびガス濃度を調整するという課題を解決するために、気球によって高高度を有人飛行する気球用キャビンの内部において生命を維持するための生命維持装置であって、前記気球用キャビンは、飛行する際に密閉され、排気のみ可能な気密構造を有しているとともに、前記気球用キャビン内を昇圧するための昇圧用ガスが充填された昇圧用ガスのボンベと、前記気球用キャビン内に供給するための酸素が充填された酸素ボンベと、前記昇圧用ガスのボンベから供給される昇圧用ガスの供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能なガス供給流量制御弁と、前記酸素ボンベから供給される酸素の供給流量を弁開度によって目標流量に調整可能な酸素供給流量制御弁と、前記気球用キャビンから排気される気体の排出流量を弁開度によって目標流量に調整可能な排出流量制御弁と、を含み、前記生命維持装置は、圧力センサによって検出される前記気球用キャビンの内圧値およびガスセンサによって検出される前記気球用キャビン内の酸素および二酸化炭素の濃度値のうち、少なくとも前記内圧値に基づいて、前記ガス供給流量制御弁および前記酸素供給流量制御弁からなる各供給流量制御弁および前記排出流量制御弁の弁開度を調整するものであり、前記気球用キャビン内の内圧範囲に対応付けて、前記各供給流量制御弁の目標流量、または前記各供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための供給側内圧目標値と、前記排出流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための排出側内圧目標値とが設定された内圧調整モードを読み込む内圧調整モード読込ステップと、前記気球用キャビン内の酸素の濃度範囲に対応付けて前記酸素供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための酸素目標値が設定されるとともに、前記気球用キャビン内の二酸化炭素の濃度範囲に対応付けて前記ガス供給流量制御弁の弁開度をフィードバック制御するための二酸化酸素目標値が設定されたガス濃度調整モードを読み込むガス濃度調整モード読込ステップと、検出された前記内圧値が、いずれかの前記内圧調整モードの内圧範囲に含まれる場合、前記各供給流量制御弁は、当該内圧調整モードの目標流量に対応する弁開度に設定し、または当該内圧調整モードに対応する前記供給側内圧目標値と前記内圧値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記排出流量制御弁は、当該内圧調整モードに対応する前記排出側内圧目標値と前記内圧値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記内圧値が生命を維持するのに好ましい好適圧力範囲内となるように調整する内圧調整ステップと、前記内圧範囲が相対的に大きい前記内圧調整モードにおいて、検出された酸素または二酸化炭素の前記濃度値が、前記ガス濃度調整モードの濃度範囲に含まれる場合、前記ガス濃度調整モードに対応する前記酸素目標値または前記二酸化炭素目標値と前記濃度値との差に基づいて弁開度をフィードバック制御し、前記濃度値が生命を維持するのに好ましい好適濃度範囲内となるように調整するガス濃度調整ステップと、を実行する。
(【0011】以降は省略されています)

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