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公開番号
2025120199
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-15
出願番号
2025088532,2022542797
出願日
2025-05-28,2021-07-30
発明の名称
積層体、積層体の製造方法およびフレキシブル電子デバイスの製造方法
出願人
東洋紡株式会社
代理人
主分類
B32B
9/04 20060101AFI20250807BHJP(積層体)
要約
【課題】大面積であっても耐熱高分子フィルムと無機基板との間に安定して、低い接着力を有し、かつブリスター欠点が少なく、大面積高精細のフレキシブル電子デバイスを作製するための仮支持体として有用な積層体の提供。
【解決手段】無機基板、アミノ基を含んだシランカップリング剤層、耐熱高分子フィルムを、この順で有する積層体であって、前記無機基板から前記耐熱高分子フィルムを90°剥離した後の無機基板側の剥離面の窒素元素成分比が3.5原子%を超えて11原子%以下であることを特徴とする積層体。
【選択図】 なし
特許請求の範囲
【請求項1】
無機基板、アミノ基を含んだシランカップリング剤層、耐熱高分子フィルムを、この順で有する積層体であって、前記無機基板から前記耐熱高分子フィルムを90°剥離した後の無機基板側の剥離面の窒素元素成分比が3.5原子%を超えて11原子%以下であり、
ブリスター欠点密度が1平方mあたり12か所以下であることを特徴とする積層体。
続きを表示(約 320 文字)
【請求項2】
前記積層体から前記耐熱高分子フィルムを剥離する際の90°剥離法による接着強度が、0.06N/cm以上、0.25N/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記無機基板の表面粗さRaが1nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記耐熱高分子フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記積層体が長方形であり、面積が0.65平方m以上であり、長方形の一辺が少なくとも700mm以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の積層体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、積層体の製造方法およびフレキシブル電子デバイスの製造方法に関する。
続きを表示(約 4,600 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子など機能素子の軽量化、小型・薄型化、フレキシビリティ化を目的として、高分子フィルム上にこれらの素子を形成する技術開発が活発に行われている。すなわち、情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダーや高速情報処理装置などといった電子部品の基材の材料としては、従来、耐熱性を有し且つ情報通信機器の信号帯域の高周波数化(GHz帯に達する)にも対応し得るセラミックが用いられていたが、セラミックはフレキシブルではなく薄型化もしにくいので、適用可能な分野が限定されるという欠点があったため、最近は高分子フィルムが基板として用いられている。
【0003】
半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子などの機能素子を高分子フィルム表面に形成するにあたっては、高分子フィルムの特性であるフレキシビリティを利用した、いわゆるロール・ツー・ロールプロセスにて加工することが理想とされている。しかしながら、半導体産業、MEMS産業、ディスプレイ産業等の業界では、これまでウエハベースまたはガラス基板ベース等のリジッドな平面基板を対象としたプロセス技術が構築されてきた。そこで、既存インフラを利用して機能素子を高分子フィルム上に形成するために、高分子フィルムを、例えばガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属板などの無機物からなるリジッドな支持体(無機基板)に貼り合わせ、その上に所望の素子を形成した後に支持体から剥離するというプロセスが用いられている。
【0004】
ところで、高分子フィルムと無機物からなる支持体とを貼り合わせた積層体に所望の機能素子を形成するプロセスにおいては、該積層体は高温に曝されることが多い。例えば、ポリシリコンや酸化物半導体などの機能素子の形成においては200℃~600℃程度の温度域での工程が必要である。また、水素化アモルファスシリコン薄膜の作製においては200~300℃程度の温度がフィルムに加わる場合あり、さらにアモルファスシリコンを加熱、脱水素化して低温ポリシリコンとするためには450℃~600℃程度の加熱が必要になる場合がある。したがって、積層体を構成する高分子フィルムには耐熱性が求められるが、現実問題としてかかる高温域にて実用に耐える高分子フィルムは限られている。また、支持体への高分子フィルムの貼り合わせには一般に粘着剤や接着剤を用いることが考えられるが、その際の高分子フィルムと支持体との接合面(すなわち貼り合せ用の接着剤や粘着剤)にも耐熱性が求められる。しかし、通常の貼り合せ用の接着剤や粘着剤は十分な耐熱性を有していないため、機能素子の形成温度が高い場合には接着剤や粘着剤による貼り合わせは適用できない。
【0005】
充分な耐熱性を有する粘着剤や接着剤が存在しないため、従来、上述した用途においては、高分子溶液または高分子の前駆体溶液を無機基板上に塗布して無機基板上で乾燥・硬化させてフィルム化し、当該用途に使用する技術が採用されていた。しかしながら、かかる手段により得られる高分子フィルムは、脆く裂けやすいため、高分子フィルム表面に形成された機能素子は無機基板から剥離する際に破壊してしまう場合が多い。特に無機基板から大面積のフィルムを剥離するのは極めて難しく、およそ工業的に成り立つ歩留まりを得ることはできない。
このような事情に鑑み、フレキシブルな基板上に機能素子を形成した、いわゆるフレキシブル電子デバイスを製造するための、高分子フィルムと無機基板との積層体として、耐熱性に優れ強靭で薄膜化が可能なポリイミドフィルムを、シランカップリング剤を介して無機基板に貼り合わせた積層体が提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第5152104号公報
特許第5304490号公報
特許第5531781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した積層体では、無機基板と耐熱高分子フィルムとの間にシランカップリング剤を含む層を介在させることにより、デバイス形成前や形成中に無機基板がポリイミドフィルムから剥がれてしまうことを防止するとともに、デバイス形成後には、容易に無機基板をポリイミドフィルムから剥離することを意図している。
しかしながら、高分子フィルムと無機基板との接着力はシランカップリング剤の厚さによって変動するため、大面積において均一な接着強度で両社の接着力をコントロールすることは極めて難しい。すなわち、大型基板においてシランカップリング剤を均一厚さになるように塗布することは困難であり、特に第4.5世代と呼ばれる730mm×920mm以上のサイズを有するガラス基板においては、第4世代(660mm×800mm)サイズに比較して非常に難易度が高く、工業生産上多くの問題を抱えていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはかかる状況に鑑み、鋭意研究を続けた結果、第4.5世代サイズを超える大面積においても、容易にシランカップリング剤の厚さを、ごく薄くかつ均一に制御することが可能で、さらにブリスター欠点が少なく高品位な積層体を得ることができる製造方法を見出した。また本発明の製造方法により、きわめて均質な、極薄いシランカップリング剤層により耐熱高分子フィルムと無機基板が積層された積層体を実現するに至り、さらにかかる積層体を用いることにより、高品位なフレキシブル電子デバイスを製造することができることを見出した。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
[1]無機基板、アミノ基を含んだシランカップリング剤層、耐熱高分子フィルムを、この順で有する積層体であって、前記無機基板から前記耐熱高分子フィルムを90°剥離した後の無機基板側の剥離面の窒素元素成分比が3.5原子%を超えて11原子%以下であることを特徴とする積層体。
[2]前記積層体から前記耐熱高分子フィルムを剥離する際の90°剥離法による接着強度が、0.06N/cm以上、0.25N/cm以下であることを特徴とする[1]に記載の積層体。
[3]前記無機基板の表面粗さRaが1nm以上1000nm以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の積層体
[4]前記耐熱高分子フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]ブリスター欠点密度が1平方mあたり5か所以下であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]前記耐熱高分子フィルムが長方形であり、面積が0.65平方m以上であり、長方形の一辺が少なくとも700mm以上であることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]
(1)無機基板の少なくとも一方の面にアミノ基を含んだシランカップリング剤を塗布する工程、
(2)前記無機基板のシランカップリング剤塗布面、及び/又は、耐熱高分子フィルムの接着面側に、水性媒体を供給する工程、
(3)前記無機基板のシランカップリング剤塗布面と耐熱高分子フィルムとを重ねる工程、
(4)前記水性媒体を無機基板のシランカップリング剤塗布面と耐熱高分子フィルムの接着面との間から押し出しながら両者を加圧する工程、
を少なくとも有することを特徴とする、無機基板、アミノ基を含んだシランカップリング剤層、耐熱高分子フィルムを、この順で有する積層体の製造方法。
[8]
(1)耐熱性高分子フィルムの少なくとも一方の面にアミノ基を含んだシランカップリング剤を塗布する工程、
(2)無機基板の接着面側、及び/又は、耐熱高分子フィルムのシランカップリング剤塗布面に、水性媒体を供給する工程、
(3)前記無機基板と耐熱性高分子フィルムのシランカップリング剤塗布面とを重ねる工程、
(4)前記水性媒体を無機基板の接着面と耐熱高分子フィルムのシランカップリング剤塗布面との間から押し出しながら両者を加圧する工程、
を少なくとも有することを特徴とする、無機基板、アミノ基を含んだシランカップリング剤層、耐熱高分子フィルムを、この順で有する積層体の製造方法。
[9]前記[7]または[8]に記載の製造工程で得られた積層体の、耐熱高分子フィルムの無機基板との接着面とは反対側の面に機能素子を形成する工程を含むフレキシブル電子デバイスの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
従来技術にて説明した通り、フレキシブル電子デバイスを製造するための耐熱高分子フィルムと、主にガラス板などの無機基板との積層体においては、特に大面積において、シランカップリング剤を均質に塗布することが困難であり、結果として耐熱高分子フィルムと無機基板との接着強度を均一適正に制御することが困難であった。
しかしながら、本発明によれば、この接着強度を、0.06N/cm以上、0.25N/cm以下の範囲に制御可能であり、さらに前記耐熱高分子フィルムと前記無機基板の間のブリスター欠点が生じにくく、面積が0.65平方m以上の長方形で、少なくとも一辺が700mm以上ある大面積な積層体を実現でき、さらにこの積層体を用いることにより、大面積のフレキシブル電子デバイスの製造方法を提供することができる。
【0010】
以下、煩雑さを避けるために耐熱高分子フィルムを単に高分子フィルムあるいはフィルム、無機基板を単に基板と記す場合がある。また単にシランカップリング剤はアミノ基含有シランカップリング剤である。
本発明は、高分子フィルムないし無機基板のいずれかにシランカップリング剤を塗布した後に両者を貼り合わせ(ラミネート)する点は従来技術と同じであるが、ラミネートの際に、両者の間に水性媒体(例えば純水ないし水と低級アルコールなどの水溶性溶剤と混合溶媒)を介在させ、該水性媒体を接着面から外に押し出しながらラミネートする点が大きく異なる。
かかる方法により、無機基板ないし高分子フィルム間の余分なシランカップリング剤を除去することができ、シランカップリング剤の量は、基板、フィルムの少なくともいずれかの表面に親和力で配意した必要最低限の量にコントロールされる。
基板と高分子フィルムとの接着力が経時的に、あるいは、高温プロセスを経た後などに変化するのは、過剰に存在し、未反応だったシランカップリング剤の反応が進むためであると推察されるが、本発明の方法によればこのような余剰の未反応物を基板とフィルムとの接着界面から排除することができるのである。
(【0011】以降は省略されています)
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