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公開番号2025140548
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-29
出願番号2024040015
出願日2024-03-14
発明の名称二酸化炭素輸送活性を有するアクアポリン
出願人国立大学法人 岡山大学
代理人弁理士法人せとうち国際特許事務所
主分類C07K 14/415 20060101AFI20250919BHJP(有機化学)
要約【課題】従来のアクアポリンとは異なり、水輸送活性を有さず、かつ二酸化炭素輸送活性を有するアクアポリンを提供する。
【解決手段】配列番号3の8位~25位において、少なくとも1つ以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されてなるアミノ酸配列を有するアクアポリンである。
【選択図】なし


特許請求の範囲【請求項1】
水輸送活性を有さず、かつ二酸化炭素輸送活性を有するアクアポリン。
続きを表示(約 360 文字)【請求項2】
配列番号3の8位~25位において、少なくとも1つ以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されてなるアミノ酸配列を有する請求項1に記載のアクアポリン。
【請求項3】
配列番号3の8位~25位において、すべてのアミノ酸が欠失されてなるアミノ酸配列を有する請求項2に記載のアクアポリン。
【請求項4】
植物由来である請求項1に記載のアクアポリン。
【請求項5】
請求項2又は3に記載のアクアポリンをコードする遺伝子。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかに記載のアクアポリンを含む二酸化炭素分離膜。
【請求項7】
請求項4に記載のアクアポリンを植物の葉肉細胞で発現させることにより、当該植物の光合成活性を向上させる方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素輸送活性を有するアクアポリンに関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
アクアポリンは水の輸送を促進するチャネルとして発見された。1991年に哺乳類の赤血球に豊富に存在する膜タンパク質(CHIP28,現在のAQP1)として初めてクローニングされた(Preston & Agre, 1991)。このタンパク質をアフリカツメガエル卵母細胞で発現させることにより水輸送活性が測定され、水チャネルとしての機能が発見された(Preston et al., 1992)。その後、植物においても同様のタンパク質が発見され、植物におけるその役割について多くの総説が発表されている(Javot & Maurel, 2002;Tyerman et al., 2002; Kaldenhoff & Fischer, 2006; Katsuhara et al., 2008; Maurel et al., 2009;Prado & Maurel, 2013; Chaumont & Tyerman, 2014; Maurel et al., 2015; Moshelion et al., 2015)。植物のアクアポリンは30以上の遺伝子を含む大きなファミリーを形成し、多様な基質特異性を示す。近年、ホウ酸、ケイ酸、過酸化水素、亜ヒ酸、二酸化炭素など水以外の基質も輸送することが明らかにされている(Nakhoul et al., 1998; Takano et al., 2002; Ma et al., 2006; Bienert et al., 2007; Ma et al., 2008)。
【0003】
アクアポリンの水輸送の工業的な利用に関して、特許文献1に、塩分濃度差電力の生成に使用されるアクアポリン水輸送タンパク質を備える生体模倣水性膜が記載されている。アクアポリンは駆動力として浸透圧を利用し、水を輸送するために自然が設計した分子であり、環境に優しいエネルギーを生成するとされている。アクアポリンは水輸送の性質を有することが技術常識であり、水輸送活性を有さず、かつ二酸化炭素輸送活性を有するアクアポリンは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2009-510301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、従来のアクアポリンとは異なり、水輸送活性を有さず、かつ二酸化炭素輸送活性を有するアクアポリンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]から[11]である。
【0007】
[1]水輸送活性を有さず、かつ二酸化炭素輸送活性を有するアクアポリン;
[2]配列番号3の8位~25位において、少なくとも1つ以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されてなるアミノ酸配列を有する[1]に記載のアクアポリン;
[3]配列番号3の8位~25位において、すべてのアミノ酸が欠失されてなるアミノ酸配列を有する[1]又は[2]に記載のアクアポリン;
[4]植物由来である[1]~[3]のいずれかに記載のアクアポリン;
[5][1]~[4]のいずれかに記載のアクアポリンをコードする遺伝子;
[6][1]~[4]のいずれかに記載のアクアポリンを含む二酸化炭素分離膜;
[7][4]に記載のアクアポリンを植物の葉肉細胞で発現させることにより、当該植物の光合成活性を向上させる方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、水輸送活性を有さず、かつ二酸化炭素輸送活性を有するアクアポリンを提供することができる。二酸化炭素を選択的に輸送する本発明のアクアポリンは、乾燥下で気孔の開度が小さく気孔コンダクタンスが低下していても、葉肉コンダクタンスを向上させることができる。したがって、本発明のアクアポリンを植物の葉肉細胞で発現させることにより、当該植物の光合成活性を向上させることが可能となる。また、本発明のアクアポリンを利用すれば、二酸化炭素を選択的に分離する分離膜等を好適に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
RT-PCRで増幅されて得られたDNA断片(SlPIP2;1, SlPIP2;4, SlPIP2;6, SlPIP2;8およびSlPIP2;9)の電気泳動像である。
SlPIP2;1、SlPIP2;4、SlPIP2;6 v1、SlPIP2;6 v2、SlPIP2;8およびSlPIP2;9のアミノ酸配列をアライメントした結果を示した図であり、四角で囲まれた配列はDiacidicモチーフを示す。
SlPIP2;6 v1とSlPIP2;6 v2の塩基配列およびアミノ酸配列の一部の領域について、それぞれアライメントした結果を示した図である。
Micro-Tom由来のSlPIP2;6 v1とSlPIP2;6 v2のアミノ酸配列、並びにHeinz 1706由来のSlPIP2;6 v1とSlPIP2;6 v2のアミノ酸配列をアライメントした結果を示した図である。
Micro-Tomの葉と果実の両方でSlPIP2;6バリアントの発現を確認した電気泳動像である。
pXβG-ev1ベクターへのサブクローニングの概略を示した図である。
アフリカツメガエルUTR部分を含むSlPIP2;1、SlPIP2;4、SlPIP2;6 v1、SlPIP2;6 v2、SlPIP2;8およびSlPIP2;9のcRNA電気泳動像である。
アフリカツメガエル卵母細胞の水透過係数(P
f
)のトマトアクアポリンPIP2 cRNAインジェクション量依存性を示した図である。
トマトアクアポリンSlPIP2のcRNAをインジェクションしたアフリカツメガエル卵母細胞の細胞膜の水透過係数(P
f
)を示した図である。
微小pH電極法によるアフリカツメガエル卵母細胞内の細胞内酸性化の測定における生記録の例を示した図である。
トマトアクアポリンSlPIP2およびオオムギアクアポリンHvPIP2;1のcRNAをインジェクションしたアフリカツメガエル卵母細胞の細胞膜の二酸化炭素透過係数(P
CO2
)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のアクアポリンは、水輸送活性を有さず、かつ二酸化炭素輸送活性を有することを特徴とするものである。後述する実施例のとおり、本発明者らは矮性トマト品種Micro-Tomの葉からバリアントを含む6つのPIP2型アクアポリンの全長コーディング配列を含むcDNAをクローニングした。アフリカツメガエル卵母細胞での異細胞発現系により、水透過係数(P
f
)および二酸化炭素透過係数(P
CO2
)を測定し、それぞれの水輸送活性と二酸化炭素輸送活性を評価した。図9と11の結果から分かるように、SlPIP2;1、SlPIP2;4、SlPIP2;6 v1およびSlPIP2;8は、水輸送活性と二酸化炭素輸送活性の両方を示している。一方、SlPIP2;6 v2は、水輸送活性を有さないが、二酸化炭素輸送活性を有することが分かった。SlPIP2;9は、水輸送活性を有するが、二酸化炭素輸送活性を有さないことが分かった。これらアクアポリンは、卵母細胞の細胞膜に移行しており、水輸送活性と二酸化炭素輸送活性の両方、又はいずれか一方の活性を有すると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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