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公開番号
2024157855
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023072476
出願日
2023-04-26
発明の名称
変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素及びそれを用いたアンブレインの製造方法
出願人
国立大学法人 新潟大学
,
国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人
個人
,
個人
主分類
C12N
15/61 20060101AFI20241031BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素、及びそれを用いた簡便に且つ効率的にアンブレインを得ることができるアンブレインの製造方法を提供する。
【解決手段】(a)QXXXGX(F/W)モチーフの第7番目のアミノ酸残基であるトリプトファン、(b)TALXSYAモチーフのC末から9番目のアミノ酸残基であるアスパラギン酸、及び(c)NGLYXWPモチーフの第5番目のアミノ酸残基であるプロリン、からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸を有する変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素であって、スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示す、変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
(a)QXXXGX(F/W)モチーフの第7番目のアミノ酸残基であるトリプトファン、(b)TALXSYAモチーフのC末から9番目のアミノ酸残基であるアスパラギン酸、及び(c)NGLYXWPモチーフの第5番目のアミノ酸残基であるプロリン、からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸を有する変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素であって、
(i)前記変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素は、DXDDモチーフを基準として、N末端側に100アミノ酸残基以上離れた位置にQXXXGX(W/F)モチーフ、N末端側に180~250アミノ酸残基離れた位置にNGLYXWPモチーフ、N末端側に180~250アミノ酸残基離れた位置に(A/S/G)RX(H/N)XXPモチーフ、N末端側に80~140アミノ酸残基離れた位置に(D/N)G(T/L)(L/F/Y)(Y/F)SYモチーフ、N末端側に25~90アミノ酸残基離れた位置にTALXSYAモチーフ、N末端側に10~50アミノ酸残基離れた位置にQXXXX(G/A/S)X(F/W/Y)モチーフ、C末端側に20~50アミノ酸残基離れた位置にQXXXGX(F/W/Y)モチーフ、C末端側に50~120アミノ酸残基離れた位置にQXXXGXWモチーフ、C末端側に120~170アミノ酸残基離れた位置にQXXXGX(F/W)モチーフ、及びC末端側に180~250アミノ酸残基離れた位置に前記GXGX(G/A/P)モチーフを有し、
(ii)配列番号1で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であり、並びに
(iii)スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示す、
変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素。
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【請求項2】
前記変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素を構成するポリペプチドが、
(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列からなるポリペプチド、
(2)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、及び/又は(c)以外のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、しかも、スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示すポリペプチド、
(3)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、及び/又は(c)以外のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、しかも、スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示すポリペプチド、
(4)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示すポリペプチド、
(5)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、及び/又は(c)以外のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示すポリペプチド、又は
(6)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、及び/又は(c)以外のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示すポリペプチド、
である、請求項1に記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素。
【請求項3】
前記(a)のトリプトファンがトリプトファン以外のアミノ酸がトリプトファンに置換されたものであり、前記(b)のアスパラギン酸がアスパラギン酸以外のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されたものであり、前記(c)のプロリンがプロリン以外のアミノ酸がプロリンに置換されたものである、請求項1に記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素。
【請求項4】
前記変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素が、
(1)(d)DXDDモチーフの第4番目のアミノ酸残基がシステインであるか、
(2)(d)DXDDモチーフの第4番目のアミノ酸残基がシステイン、及び(e)(A/S/G)RX(H/N)XXPモチーフのN末に隣接するアミノ酸残基がアラニンであるか、
(3)(d)DXDDモチーフの第4番目のアミノ酸残基がシステイン、及び(f)GXGX(G/A/P)モチーフの4番目のアミノ酸残基がアラニンであるか、又は
(4)(d)DXDDモチーフの第4番目のアミノ酸残基がシステイン、(e)(A/S/G)RX(H/N)XXPモチーフのN末に隣接するアミノ酸残基がアラニン、及び(f)GXGX(G/A/P)モチーフの4番目のアミノ酸残基がアラニンであり、並びに
スクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示す、
請求項1に記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素。
【請求項5】
前記変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素を構成するポリペプチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から327番目のアスパラギン酸の前記(d)のシステインへの置換を含み、そして
(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列からなるポリペプチド、
(2)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び/又は(f)以外のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、しかも、スクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示すポリペプチド、
(3)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び/又は(f)以外のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、しかも、スクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示すポリペプチド、
(4)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示すポリペプチド、
(5)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び/又は(f)以外のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示すポリペプチド、又は
(6)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び/又は(f)以外のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示すポリペプチド、
である、請求項4に記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素。
【請求項6】
前記(a)のトリプトファンがトリプトファン以外のアミノ酸がトリプトファンに置換されたもの、前記(b)のアスパラギン酸がアスパラギン酸以外のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されたものであり、前記(c)のプロリンがプロリン以外のアミノ酸がプロリンに置換されたものであり、前記(d)のシステインがシステイン以外のアミノ酸がシステインに置換されたものであり、前記(e)のアラニンがアラニン以外のアミノ酸がアラニンに置換されたものであり、前記(f)のアラニンがアラニン以外のアミノ酸がアラニンに置換されたものである、請求項4に記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素をコードするポリヌクレオチド。
【請求項8】
請求項7に記載のポリヌクレオチドを有する微生物。
【請求項9】
請求項7に記載のポリヌクレオチドを持つDNAを含むベクター。
【請求項10】
請求項9に記載のベクターを有する形質転換体。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素及びそれを用いたアンブレインの製造方法に関する。本発明によれば、効率的にアンブレインを製造することができる。
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【背景技術】
【0002】
龍涎香(ambergris)は、7世紀ごろから世界各地で使用されてきた高級香料であり、漢方薬としても使用されている。龍涎香は、マッコウクジラが食物(タコ、イカ等)の不消化物を消化管分泌物により結石化させ、排泄したものと考えられているが、詳細な生成メカニズムは不明である。龍涎香の主成分はアンブレインであり、龍涎香が海上を浮遊する間に日光と酸素によって酸化分解を受け、各種の香りを持つ化合物を生成すると考えられている。
【0003】
龍涎香の主成分アンブレインは、香料又は薬剤として用いられているが、自然界から大量に入手することは不可能である。このため、種々の有機合成法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開WO2017/150695号パンフレット
国際公開WO2019/045058号パンフレット
国際公開WO2021/193806号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素(D373C等)を用いることによって、スクアレンから、1個の酵素を使用した2段階の反応で、アンブレインを得る方法を見出し、提案している(特許文献1~3)。
しかしながら、これらの方法は、アンブレインの生成について改善の余地があり、更に効率的なアンブレインの産生方法が期待されていた。
従って、本発明の目的は、簡便に且つ効率的にアンブレインを得ることができるアンブレインの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、簡便に且つ効率的にアンブレインを得ることができるアンブレインの製造方法について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、わずかな特定の変異を有する変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素がスクアレンから効率的に高い収率で2環性トリテルペン(8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン)を生成することができることを見出した。本発明者らは、更にD373C等のアミノ酸を有する変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素は、スクアレンから効率的に高い収率でアンブレインを産生することができることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1](a)QXXXGX(F/W)モチーフの第7番目のアミノ酸残基であるトリプトファン、(b)TALXSYAモチーフのC末から9番目のアミノ酸残基であるアスパラギン酸、及び(c)NGLYXWPモチーフの第5番目のアミノ酸残基であるプロリン、からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸を有する変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素であって、(i)前記変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素は、DXDDモチーフを基準として、N末端側に100アミノ酸残基以上離れた位置にQXXXGX(W/F)モチーフ、N末端側に180~250アミノ酸残基離れた位置にNGLYXWPモチーフ、N末端側に180~250アミノ酸残基離れた位置に(A/S/G)RX(H/N)XXPモチーフ、N末端側に80~140アミノ酸残基離れた位置に(D/N)G(T/L)(L/F/Y)(Y/F)SYモチーフ、N末端側に25~90アミノ酸残基離れた位置にTALXSYAモチーフ、N末端側に10~50アミノ酸残基離れた位置にQXXXX(G/A/S)X(F/W/Y)モチーフ、C末端側に20~50アミノ酸残基離れた位置にQXXXGX(F/W/Y)モチーフ、C末端側に50~120アミノ酸残基離れた位置にQXXXGXWモチーフ、C末端側に120~170アミノ酸残基離れた位置にQXXXGX(F/W)モチーフ、及びC末端側に180~250アミノ酸残基離れた位置に前記GXGX(G/A/P)モチーフを有し、(ii)配列番号1で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であり、並びに(iii)スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示す、変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素、
[2]前記変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素を構成するポリペプチドが、(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列からなるポリペプチド、(2)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、及び/又は(c)以外のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、しかも、スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示すポリペプチド、(3)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、及び/又は(c)以外のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、しかも、スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示すポリペプチド、(4)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示すポリペプチド、(5)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、及び/又は(c)以外のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示すポリペプチド、又は(6)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又はそれらの2つ以上の組み合わせの置換を含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、及び/又は(c)以外のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質として8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン生成活性を示すポリペプチド、
である、[1]に記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素、
[3]前記(a)のトリプトファンがトリプトファン以外のアミノ酸がトリプトファンに置換されたものであり、前記(b)のアスパラギン酸がアスパラギン酸以外のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されたものであり、前記(c)のプロリンがプロリン以外のアミノ酸がプロリンに置換されたものである、[1]又は[2]に記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素、
[4]前記変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素が、(1)(d)DXDDモチーフの第4番目のアミノ酸残基がシステインであるか(2)(d)DXDDモチーフの第4番目のアミノ酸残基がシステイン、及び(e)(A/S/G)RX(H/N)XXPモチーフのN末に隣接するアミノ酸残基がアラニンであるか、(3)(d)DXDDモチーフの第4番目のアミノ酸残基がシステイン、及び(f)GXGX(G/A/P)モチーフの4番目のアミノ酸残基がアラニンであるか、又は(4)(d)DXDDモチーフの第4番目のアミノ酸残基がシステイン、(e)(A/S/G)RX(H/N)XXPモチーフのN末に隣接するアミノ酸残基がアラニン、及び(f)GXGX(G/A/P)モチーフの4番目のアミノ酸残基がアラニンであり、並びにスクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示す、[1]に記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素、
[5]前記変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素を構成するポリペプチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から327番目のアスパラギン酸の前記(d)のシステインへの置換を含み、そして
(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列からなるポリペプチド、
(2)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び/又は(f)以外のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、しかも、スクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示すポリペプチド、
(3)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び/又は(f)以外のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、しかも、スクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示すポリペプチド、
(4)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示すポリペプチド、
(5)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び/又は(f)以外のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示すポリペプチド、又は
(6)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のフェニルアラニンの前記(a)のトリプトファンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から325番目のグルタミンの前記(b)のアスパラギン酸への置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から139番目のグルタミン酸の前記(c)のプロリンへの置換、又は(a)~(c)の2つ以上の組み合わせの置換を含み、そして配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から167番目のチロシンの前記(e)のアラニンへの置換、配列番号1で表されるアミノ酸配列におけるN末端側から596番目のロイシンの前記(f)のアラニンへの置換、又は(e)及び(f)の組み合わせの置換を更に含む、アミノ酸配列の前記置換された(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び/又は(f)以外のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、スクアレンを基質としてアンブレイン生成活性を示すポリペプチド、
である、[4]に記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素、
[6]前記(a)のトリプトファンがトリプトファン以外のアミノ酸がトリプトファンに置換されたもの、前記(b)のアスパラギン酸がアスパラギン酸以外のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されたものであり、前記(c)のプロリンがプロリン以外のアミノ酸がプロリンに置換されたものであり、前記(d)のシステインがシステイン以外のアミノ酸がシステインに置換されたものであり、前記(e)のアラニンがアラニン以外のアミノ酸がアラニンに置換されたものであり、前記(f)のアラニンがアラニン以外のアミノ酸がアラニンに置換されたものである、[4]又は[5]に記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素、
[7][1]~[6]のいずれかに記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素をコードするポリヌクレオチド、
[8][7]に記載のポリヌクレオチドを有する微生物、
[9][7]に記載のポリヌクレオチドを持つDNAを含むベクター、
[10][9]に記載のベクターを有する形質転換体、
[11][1]~[3]のいずれかに記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素をスクアレンに反応させて、8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエンを得ることを特徴とする、8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエンの製造方法、
[12][4]~[6]のいずれかに記載の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素をスクアレンに反応させて、アンブレインを得ることを特徴とする、アンブレインの製造方法、
[13][8]に記載の微生物を培養することを特徴とする、アンブレインの製造方法、及び
[14][10]に記載の形質転換体を培養することを特徴とする、アンブレインの製造方法、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の変異型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素によれば、耐熱性が向上し、従来より高い温度で効率的に2環性トリテルペン(8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン)及び/又はアンブレインを産生することができる。特に、大腸菌の平均的な培養温度である37℃付近における酵素活性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
野生型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素(WT)、139番目のグルタミン酸がプロリンに置換したE139P、325番目のグルタミンがアスパラギンに置換したQ325D、530番目のフェニルアラニンがトリプトファンに置換したF530W、及びそれらの3つの置換を有するE139P/Q325D/F530Wについてスクアレンを基質として、36℃で2環化合物(8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン)を産生する活性を示したグラフである。
167番目のチロシンがアラニンに置換し、そして373番目のアスパラギン酸がシステインに置換したY167A/D373C、Y167A/D373C/E139P、Y167A/D373C/Q325D、Y167A/D373C/F530W、Y167A/D373C/E139P/Q325D/F530Wについて、スクアレンを基質として、36℃でアンブレインを産生する活性を示したグラフである。
野生型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素(WT)及びE139P/Q325D/F530W(EQF)のスクアレンを基質として、30℃、33℃、又は36℃で2環化合物(8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエン)を産生する活性を示したグラフである。
野生型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素(WildType)、E139P、Q325D、F530W、及びE139P/Q325D/F530W、Y167A/D373C、Y167A/D373C/E139P、Y167A/D373C/Q325D、Y167A/D373C/F530W、Y167A/D373C/E139P/Q325D/F530W、及びY167A/D373C/L596A/E139P/Q325D/F530Wのアミノ酸配列を示した図である。
野生型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素(WildType)、E139P、Q325D、F530W、及びE139P/Q325D/F530W、Y167A/D373C、Y167A/D373C/E139P、Y167A/D373C/Q325D、Y167A/D373C/F530W、Y167A/D373C/E139P/Q325D/F530W、及びY167A/D373C/L596A/E139P/Q325D/F530Wのアミノ酸配列を示した図である。
野生型テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素(WildType)、E139P、Q325D、F530W、及びE139P/Q325D/F530W、Y167A/D373C、Y167A/D373C/E139P、Y167A/D373C/Q325D、Y167A/D373C/F530W、Y167A/D373C/E139P/Q325D/F530W、及びY167A/D373C/L596A/E139P/Q325D/F530Wのアミノ酸配列を示した図である。
野生型バチルス・メガテリウム、プリエスティア・アリアブハッタイ(Priestia aryabhattai)、及びバチルス・メガテリウムQ3株(Bacillus Megaterium strain Q3)のアミノ酸配列を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素)
野生型のテトラプレニル-β-クルクメン環化酵素(以下、野生型TCと称することがある)は、片末端に単環を有する3-デオキシアキレオールAを基質として利用し、アンブレインを生成することができる。すなわち、テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素は、3-デオキシアキレオールAを基質として利用すると、3-デオキシアキレオールAの環状化されていない端を選択的に環化させて、両末端環化化合物を生成することができる。
また、テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素は、スクアレンを基質とし、2環性の8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエンを生成することができる。
すなわち、テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素は、EC4.2.1.129に分類され、水とテトラプレニル-β-クルクメンからバチテルペノールAを生成する反応、又は、スクアレンから8α-ヒドロキシポリポダ-13,17,21-トリエンを生成する反応を触媒し得る酵素である。
テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素は、例えばバチルス属、ブレビバチルス属、パエニバチルス属、又はジオバチルス属などの細菌が有している。バチルス属の細菌としては、枯草菌(バチルス・サブチルス)、バチルス・メガテリウム、プリエスティア・アリアブハッタイ(Priestia aryabhattai)又はバチルス・リケニフォルミスを挙げることができる。
【0010】
テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素は、DXDDモチーフを基準として、N末端側に100アミノ酸残基以上離れた位置にQXXXGX(W/F)モチーフ、N末端側に180~280アミノ酸残基離れた位置にNGLYXWPモチーフ、N末端側に180~250アミノ酸残基離れた位置に前記(A/S/G)RX(H/N)XXPモチーフ、N末端側に80~140アミノ酸残基離れた位置に前記(D/N)G(T/L)(L/F/Y)(Y/F)SYモチーフ、N末端側に25~90アミノ酸残基離れた位置にTALXSYAモチーフ、N末端側に10~50アミノ酸残基離れた位置にQXXXX(G/A/S)X(F/W/Y)モチーフ、C末端側に20~50アミノ酸残基離れた位置にQXXXGX(F/W/Y)モチーフ、C末端側に50~120アミノ酸残基離れた位置にQXXXGXWモチーフ、C末端側に120~170アミノ酸残基離れた位置にQXXXGX(F/W)モチーフ、及びC末端側に180~250アミノ酸残基離れた位置に前記GXGX(G/A/P)モチーフを有している。
本明細書における「DXDDモチーフ」とは、テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素において、閉環反応の開始を触媒するD372(例えば、配列番号1で表されるバチルス・メガテリウムのテトラプレニル-β-クルクメン環化酵素の372番目のアスパラギン酸)を含むDXDDの配列であり、由来の異なるテトラプレニル-β-クルクメン環化酵素において保存性が高い領域を意味する。本明細書において「DXDDモチーフを基準とする」とは、テトラプレニル-β-クルクメン環化酵素の中央部よりC末側に存在するDXDDモチーフから、各モチーフの位置を特定するものであり、例えばQXXXGX(W/F)モチーフは「DXDDモチーフを基準として、N末端側に100アミノ酸残基以上離れた位置」に存在するが、これはDXDDモチーフのN末に隣接するアミノ酸残基を1として、100アミノ酸残基以上離れた位置にQXXXGX(W/F)モチーフが存在することを意味する。
(【0011】以降は省略されています)
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