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公開番号
2025083598
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-02
出願番号
2022058415
出願日
2022-03-31
発明の名称
RNA/DNAキメラプライマーを用いたPCR及びその増幅断片連結方法
出願人
国立大学法人埼玉大学
,
株式会社Epsilon Molecular Engineering
代理人
弁理士法人川口國際特許事務所
主分類
C12N
15/10 20060101AFI20250526BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】所望の核酸配列の増幅断片を効率よくかつ正確に連結する方法を提供する。
【解決手段】所望の核酸配列について、少なくとも一つのプライマーが5’側にRNA配列を含むRNA/DNAキメラプライマーである、一又は複数のプライマー対を用いてPCRを行い、前記所望の核酸配列を鋳型とした増幅断片を作成する工程と、RNaseH処理によって前記増幅断片中に含まれるRNA配列を消化して突出末端を形成する工程と、突出末端同士を連結させることにより少なくとも2つの増幅断片を連結させて、連結された核酸を作成する工程とを含む方法により、核酸を連結する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
所望の核酸配列について、少なくとも一つのプライマーが5’側にRNA配列を含むRNA/DNAキメラプライマーである、一又は複数のプライマー対を用いてPCRを行い、前記所望の核酸配列を鋳型とした増幅断片を作成する工程と、
RNaseH処理によって前記増幅断片中に含まれるRNA配列を消化して突出末端を形成する工程と、
突出末端同士を連結させることにより少なくとも2つの増幅断片を連結させて、連結された核酸を作成する工程と
を含む、核酸の連結方法。
続きを表示(約 890 文字)
【請求項2】
前記連結された核酸に含まれる増幅断片のうち、連結されたときに互いに隣接する増幅断片を増幅するプライマー対のうちの一方のプライマー対のフォワードプライマーがRNA/DNAキメラプライマーであり、他方のプライマー対のリバースプライマーがRNA/DNAキメラプライマーであり、前記フォワードプライマー及び前記リバースプライマーに含まれるRNA配列が実質的に相補的な配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PCRをrTthDNAポリメラーゼにより行う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記PCRをMn
2+
の存在下で行う、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記PCRをMg
2+
の存在下で行う、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記PCRを複製忠実度が高いDNAポリメラーゼ、又はTaqDNAポリメラーゼにより行い、RNaseH処理前にさらにrTthDNAポリメラーゼにより逆転写を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記逆転写をMn
2+
の存在下で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記逆転写をMg
2+
の存在下で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
突出末端同士の連結が、TaqDNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、及びE.coli DNAリガーゼからなる群から選択される酵素により行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
所望の核酸配列について、一対のプライマーのうち少なくとも一つのプライマーが、5’側にRNA配列を含むRNA/DNAキメラプライマーであるプライマー対を用いたPCRにより増幅された、前記所望の核酸配列の5’又は3’末端のいずれか、又は5’末端及び3’末端の両方に前記キメラプライマーに由来するRNA配列を含む核酸断片。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸化学の技術に関する。より詳細には、本発明は、RNA/DNAキメラプライマーを用いたPCR及びその増幅断片連結方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
タンパク質の機能を改良するとき、一般的には、当該タンパク質をコードするDNAに変異を加えることにより、アミノ酸に置換等を加えることが多い。そのために、ランダムに様々な部位のアミノ酸を置換した変異体を含むライブラリーを作成し、そのライブラリーからより良い機能を持つ変異体のスクリーニングを行う。得られたタンパク質にさらに変異を加え、再度スクリーニングを加えることを繰り返し、より良い機能を持ったタンパクを得ることが可能となる。すなわち、この一連の作業は、天然で行われてきた分子進化の過程を実験室の中で超高速化し、生物がもっているような高機能の分子を目の前で進化させてつくり出すという新しいバイオテクノロジーである。自然界での進化の過程に類似するため、この技術は「進化分子工学」とも呼ばれる。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2016-098198号公報)には、抗体をコードするDNAを複数に分割した塩基配列からなる複数のDNA断片のうち、少なくともナンセンス変異又はフレームシフト変異を有しない前記DNA断片を選別して回収する工程と、回収した少なくとも2つの前記DNA断片を連結して前記抗体をコードするDNAを形成する工程とにより、DNAライブラリーを製造する方法が記載されている。この方法では、DNAを複数に分割した塩基配列からなる複数のDNA断片を選別して回収する工程において、分割した前記DNA断片をmRNAに転写し、前記mRNAの末端と核酸リンカーの末端とをライゲーションし、前記mRNAを翻訳して得られる生成物と前記mRNAとが前記核酸リンカーを介して連結した複合体を形成し、さらに、前記複合体の前記mRNAを逆転写し、前記DNA断片を回収することにより行う。この方法では、各DNA断片を、制限酵素認識配列を有するプライマーを用いてPCRを行い、各増幅断片の一方の末端又は両末端に制限酵素認識部位を導入する。その後、当該制限酵素により増幅断片を切断し、さらに連結させることによって、DNAライブラリーを作製する。
【0004】
連結核酸断片を作成するために、制限酵素を用いて断片化し、連結する方法が従来から知られている。しかし、制限酵素は配列依存性の切断を行うため、所望の箇所以外に制限酵素認識配列が含まれると、切断により読み枠がずれたり、設計通りの配列を有する連結核酸断片を得ることができず、機能を有するタンパク質が生成されないという問題が生じ得る。これらの現象を避けるためにライブラリーの自由度が制限される。
【0005】
近年、任意の位置にイノシンを導入したプライマーを用いてPCRを行い、増幅後にイノシンを認識して特定位置のホスホジエステル結合を分解する酵素を用いて突出末端を形成する技術が開発された。
【0006】
非特許文献1(Baumann et al. BMC Biotechnology 2013, 13:81)には、5’末端から3番目の塩基をデオキシイノシン塩基としたプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物をエンドヌクレアーゼVにより処理することによって、突出末端を作成する技術が開示されている。この方法では、タイプII制限酵素を使用することなく、また、配列によらずに突出末端を作成することができる。この方法は、核酸配列同士を連結させるためではなく、プラスミドベクターにそのまま導入されるために用いられる。
【0007】
特許文献2(特開2019-149985号公報)では、任意の位置にイノシンを含むプライマーを用いてPCRを行って複数の増幅断片を作成し、増幅産物をT4ピリミジンダイマーグリコシラーゼ(PDG)やエンドヌクレアーゼVにより処理して、突出末端を作成して、複数の増幅断片を連結させる技術が開示されている。
【0008】
核酸の増幅方法としては、規則的に温度を変化させて変性、アニーリング、増幅を繰り返すPCRや、等温で増幅を行う自律配列複製反応(3SR)、等温キメラプライマー開始核酸増幅(ICAN)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、LAMP法など各種知られている。このような核酸増幅方法において、一定の割合で変異を導入することによってより望ましい性質を有する変異タンパク質を作製することが行われている。
【0009】
RNA/DNAキメラプライマーは、等温条件下キメラプライマー開始核酸増幅(ICAN)による増幅等でも用いられる。ICANでは、プライマーの3’側にRNA部分を含むRNA/DNAキメラプライマーを用いて鎖を伸長させる。RNaseHがキメラプライマー由来のRNA部分を切断し、切断部分から鎖置換反応と鋳型交換反応を伴った伸長反応が起こる。この反応が繰り返し起こることにより遺伝子が増幅される。
【0010】
アルパカやリャマなどのラクダ科動物の血液中には、2つの重鎖(H鎖)と軽鎖(L鎖)で構成されるIgG抗体の他に、重鎖のみで構成される抗体(重鎖抗体;HCAb)が存在する。VHHと称されるHCAbの可変領域は、VHHは、CDR(相補性決定領域)と呼ばれる3つのCDR(CDR1~CDR3)可変領域と4つのフレームワーク領域(FR1~FR4)とからなり、IgG抗体、Fab断片、一本鎖抗体scFvと比較しても分子量が小さいため、抗体工学技術を応用した医薬品への応用が期待されている。VHHは、製造コストが安く、室温での安定な保存や輸送が可能であるうえ、VHHの結合する抗原結合部位(パラトープ)の構造は、従来の抗体の抗原結合部位よりも多様性に富む。そのため、経口、経肺、経鼻投与など各種の投与ルートが可能なVHHが開発されつつあり、今後の創薬への応用が期待されている。その応用の一つとして、特許文献3(特開2016-44126号公報)では、ラクダ科動物の抗体の重鎖中にある相補性決定領域を含む複数のDNA断片それぞれに所望の変異を導入し、これらを連結して修飾二本鎖DNAを合成し、これらをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させ、mRNA-リンカーを調製後にこれらを無細胞翻訳系にて翻訳し、得られたmRNA-変異導入抗体を固相に固定化した後に逆転写を行なってcDNAディスプレイを行ない、セレクションを行なう次世代型フラグメント抗体の作製方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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