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公開番号
2025105581
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-10
出願番号
2024231242
出願日
2024-12-26
発明の名称
肝実質細胞の精製方法
出願人
学校法人関西医科大学
代理人
弁理士法人京都七条特許事務所
主分類
C12N
5/071 20100101AFI20250703BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】肝実質細胞特異的な代謝経路を利用した、肝実質細胞を高純度に精製できる方法、特にセルソーティングを用いることなく、肝実質細胞を精製できる方法、および該方法により得られる肝実質細胞を高純度で含む細胞集団の提供。
【解決手段】肝実質細胞を含む細胞集団を、グルコース、フルクトースおよびガラクトースの非存在下で培養する工程を含む、肝実質細胞が濃縮された細胞集団を製造する方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
肝実質細胞を含む細胞集団を、グルコース、フルクトースおよびガラクトースの非存在下で培養する工程を含む、肝実質細胞が濃縮された細胞集団を製造する方法。
続きを表示(約 610 文字)
【請求項2】
前記培養が、ヘキソキナーゼ阻害剤の存在下での培養である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
肝実質細胞を含む細胞集団を、グルコースの非存在下かつヘキソキナーゼ阻害剤の存在下で培養する工程を含む、肝実質細胞が濃縮された細胞集団を製造する方法。
【請求項4】
前記培養が、フルクトースの存在下での培養である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ヘキソキナーゼ阻害剤の少なくとも1種が3-ブロモピルビン酸である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
ヘキソキナーゼ阻害剤の少なくとも1種が3-ブロモピルビン酸である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
肝実質細胞を含む細胞集団を、グルコースの非存在下、フルクトースおよびホスホフルクトキナーゼ阻害剤の存在下かつ酸素濃度が5%以下の条件下で培養する工程を含む、肝実質細胞が濃縮された細胞集団を製造する方法。
【請求項8】
前記培養が、ガラクトースの非存在下での培養である、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記培養が、糖原性アミノ酸の存在下での培養である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記培養が、尿素サイクルの中間代謝物の存在下での培養である、請求項1に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝実質細胞が濃縮された細胞集団の製造方法などに関する。より詳細には、肝実質細胞特異的な代謝経路を利用した、肝実質細胞が濃縮された細胞集団の製造方法、および該方法により製造された細胞集団の用途などに関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
肝実質細胞は肝臓の重要な生理機能である栄養素の代謝、薬物や添加物等の解毒、胆汁産生、アルブミン合成などを担う細胞であり、非実質細胞(胆管上皮細胞、肝星細胞、類洞内皮細胞等)と区別される。肝臓には、再生能力があるため、肝臓に病気が発症した場合であっても、修復、再生し機能が維持される。しかしながら、慢性肝炎などでは再生能力が低下し、線維化や肝硬変へと進行し、最終的には肝がんが引き起こされる可能性もある。このような重篤な肝疾患には、肝臓移植しか根本的な治療法がないが、日本においては深刻なドナー不足との問題がある。肝臓移植に代えて、生体肝移植が多く行われているものの、ドナーの死亡や合併症を発症するリスクもある。無限に増殖できる多能性幹細胞由来肝細胞が有益な肝実質細胞のソースとなり得るため、多能性幹細胞、特に人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用した肝臓再生医療に注目が集まっている。しかしながら、多能性幹細胞を利用した再生医療には、移植臓器への未分化細胞や、意図せず分化した増殖性細胞の混入による腫瘍化リスクが存在する。
【0003】
そこで、より均一で安全性の高い肝実質細胞を取得するため、細胞集団から、多能性幹細胞由来の肝実質細胞を高純度に精製する技術の開発が望まれている。このような肝実質細胞を精製する技術としては、例えば、遺伝子改変法(例えば、非特許文献1など)が存在するが、この方法では、遺伝子を改変することによる、毒性、副作用が問題となり、さらに、遺伝子改変の不確実性や、精製純度や収率が十分とは言えないとの課題も存在する。また、mRNAスイッチ法(非特許文献2)もあるが、この方法では、外因性のmRNAが残存するとのリスクが存在する。抗Asialoglycoprotein receptor 1(ASGR1)抗体法(非特許文献3)も存在するが、この方法では、多能性幹細胞由来の細胞集団を用いた場合、肝実質細胞のごく一部の細胞(最大30%程度)にしか発現しないASGR1を指標とするため、収率が低く、特殊な細胞のみが抽出されてしまうとの課題がある。本発明者らは以前、ミトコンドリア染色と抗Activated leukocyte cell adhesion molecule(ALCAM)抗体法(非特許文献4)を報告している。しかしこれらの方法は、いずれもセルソーティングによる精製方法であり、酵素処理や機械的ストレスによって、目的細胞の生存回収率が低く、臨床応用に適用できるだけの十分な数の細胞を準備するのは困難である。
【0004】
セルソーティングを用いることなく肝実質細胞を精製する方法として、密度勾配遠心法(非特許文献5)も存在するが、この方法では、高度な精製は不可能であるとの課題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Yang G. et al., BMC Biol. 11: 86 (2013)
Miki K. et al., Cell Stem Cell. 16(6):699-711 (2015)
Peters E.T. et al., Development. 143: 1475-1481 (2016)
Yamashita H. et al., JMA J. 2(2): 174-183 (2019)
Pfeiffer E. Exp Biol Med (Maywood). 240(5): 645-656 (2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、肝実質細胞が特異的に有するエネルギー代謝経路を利用した、肝実質細胞を高純度に精製できる方法、特にセルソーティングを用いることなく、肝実質細胞を精製できる方法を提供することを課題とする。また、前記方法により得られる肝実質細胞を高純度で含む細胞集団を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を進めた結果、肝実質細胞の代謝特性を利用し、肝実質細胞のみ生存可能な培養条件で細胞を培養することで、肝実質細胞を精製できるのではないかとの着想を得た。本発明者らは、全ての細胞がグルコースの代謝に依存して生存していることから、グルコースを肝実質細胞の代謝的特徴に則したエネルギー源に置換することで、肝実質細胞だけを生存させることを着想した。そこで本発明者らは、第一に、肝実質細胞で特異的に発現するケトヘキソキナーゼ(KHK)に着目した。KHKは、フルクトースをリン酸化してフルクトース1-リン酸の生成を触媒する酵素である。そして、培地のエネルギー源である糖として、通常用いられるグルコースではなくフルクトースを用いることを着想した。一方で、肝実質細胞以外の細胞(非肝実質細胞)においては、フルクトースをフルクトース6-リン酸へと変換する反応を触媒するヘキソキナーゼ(HK)が存在するため、並行してHKを阻害することとした。その結果、肝実質細胞を含む細胞集団から、非肝実質細胞を選択的に死滅させ、肝実質細胞を濃縮することに成功した。
【0008】
本発明者らは、第二に、地中で生育するハダカデバネズミにおけるフルクトース代謝経路に着目した。一般的な哺乳類動物では、フルクトース代謝は肝臓のみで行われる。一方、低酸素状態である地中で生育するハダカデバネズミは、あらゆる臓器でKHKによるフルクトース代謝が可能である。通常の解糖系の代謝経路では、HKにより生成されたフルクトース6-リン酸からフルクトース1,6-ビスリン酸への生成を触媒するホスホフルクトキナーゼ(PFK)に対するフィードバック阻害機構があるために、低酸素でも解糖系が抑制されてしまう可能性がある。そのため、ハダカデバネズミは、フィードバック阻害による調節が無いフルクトースのKHK代謝をあらゆる臓器で可能とし、無酸素症を回避することが知られている(Park et al., Science 356, 307-311 (2017))。そのため、本発明者らは、ヒト細胞では、肝細胞以外の細胞はKHKによる代謝が出来ないため、低酸素状態で培養することで、PFKに対するフィードバック阻害を機能させることができ、それにより非肝実質細胞を死滅させることができるのではないかとの着想を得た。
【0009】
そこで、実際に実験を行ったところ、非肝実質細胞を死滅させることができなかった。この原因を探求したところ、非肝実質細胞において、意外にも、低酸素条件下では逆にPFKの活性化に関連する酵素の遺伝子(PFKFB3)発現が上昇していることを見出した。そこで、低酸素条件下において、PFKを阻害することにより、非肝実質細胞の解糖系の代謝を抑制することを着想した。その結果、肝実質細胞を含む細胞集団から、非肝実質細胞を選択的に死滅させ、肝実質細胞を濃縮することに成功した。
【0010】
本発明者らは、第三に、肝実質細胞が、グリコーゲンを貯蔵する特性に着目した。肝実質細胞は、培地にグルコースなどの糖が存在しない場合に、グリコーゲンを分解してエネルギー源を獲得するが、非肝実質細胞では貯蔵するグリコーゲン量が少なく、エネルギー源の確保は困難である。そこで、グルコースおよびフルクトース等の糖が存在しない培地で肝実質細胞を含む細胞集団を培養したところ、肝実質細胞を選択的に死滅させることに成功した。さらに、HK阻害剤を併用したところ、より効率よく非肝実質細胞を死滅させることを見出した。
(【0011】以降は省略されています)
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