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公開番号2025086528
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-09
出願番号2023200563
出願日2023-11-28
発明の名称リチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物、リチウムイオン二次電池用負極、及びリチウムイオン二次電池
出願人DIC株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H01M 4/62 20060101AFI20250602BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】集電体と負極層との間の結着性に優れた負極及び二次電池が得られる、リチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】負極活物質と、バインダーと、添加剤とを含み、前記添加剤は、窒素原子を含む複素環式化合物であって、前記複素環式化合物は、チオール基又は-SM基(Mは金属元素を表す)を含む置換基を有する、リチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
負極活物質と、バインダーと、添加剤とを含み、
前記添加剤は、窒素原子を含む複素環式化合物であって、
前記複素環式化合物は、チオール基又は－ＳＭ基（Ｍは金属元素を表す）を含む置換基を有する、リチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物。
続きを表示（約 1,800 文字）【請求項２】
前記置換基のうち少なくとも一つがチオール基又は－ＳＭ基を表し、前記複素環式化合物に直接結合している、請求項１に記載のリチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物。
【請求項３】
前記添加剤が下記一般式（１）で表される複素環式化合物である、請求項２に記載のリチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物。
TIFF
2025086528000009.tif
37
60
（一般式（１）において、Ｑ
１
は－ＳＨ基、又は－ＳＭ基（Ｍは金属元素を表す）を表す。Ｑ
２
は－ＳＨ基、－ＳＭ基（Ｍは金属元素を表す）、－Ｈ基、－ＯＨ基、－ＮＨ
２
基、ハロゲン基、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、アシル基、－Ｏ－Ｒ
１
、－Ｓ－Ｒ
１
、又は－ＮＨ－Ｒ
１
を表す。但し、Ｒ
１
は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよい芳香族置換基を表す。Ｘ
１
、Ｘ
２
は各々独立に炭素原子、又は窒素原子である。Ｙ
１
は－ＳＨ基、－ＳＭ基（Ｍは金属元素を表す）、－Ｈ基、－ＯＨ基、－ＮＨ
２
基、ハロゲン基、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、アシル基、－Ｏ－Ｒ
２
基、－Ｓ－Ｒ
２
基、又は－ＮＨ－Ｒ
２
基を表す。但し、Ｒ
２
は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよい芳香族置換基を表す。）
【請求項４】
前記添加剤が１，３，５－トリアジン－２，４，６－トリチオール、１，３，５－トリアジン－２，４，６－トリチオール三ナトリウム塩水和物、１，３，５－トリアジン－２，４，６－トリチオール二ナトリウム塩水和物、１，３，５－トリアジン－２，４，６－トリチオール一ナトリウム塩水和物、２－（ジブチルアミノ）－１，３，５－トリアジン－４，６－ジチオール、２－（ジブチルアミノ）－１，３，５－トリアジン－４，６－ジチオール二ナトリウム塩、２－（ジブチルアミノ）－１，３，５－トリアジン－４，６－ジチオール一ナトリウム塩、２－アミノ－１，３，５－トリアジン－４，６－ジチオール、２－アミノ－１，３，５－トリアジン－４，６－ジチオール二ナトリウム塩、２－アミノ－１，３，５－トリアジン－４，６－ジチオール一ナトリウム塩、２－（Ｎ－カルボキシメチル－Ｎ－フェニル）アミノ－４，６－ジメルカプト－１，３，５－トリアジン、２－（Ｎ－カルボキシメチル－Ｎ－フェニル）アミノ－４，６－ジメルカプト－１，３，５－トリアジン二ナトリウム塩、Ｎ－（４，６－ジメルカプト－１，３，５－トリアジン）－Ｎ－フェニルグリシンナトリウム、２－メルカプトピリミジン、ピリミジン－２－チオールナトリウム塩、４－アミノ－２－メルカプトピリミジン、４－アミノ－２－メルカプトピリミジンナトリウム塩から選ばれる少なくとも一つである、請求項２に記載のリチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物。
【請求項５】
前記添加剤を含有する水溶液またはエタノール溶液に負極集電体用銅箔を浸漬したとき、前記添加剤が前記銅箔の表面に吸着する、請求項１に記載のリチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物。
【請求項６】
前記添加剤を１．０～１０．０ｍｍｏｌ／Ｌの濃度で含有する水溶液またはエタノール溶液に、負極集電体用銅箔を室温で６～２４時間浸漬したときの前記銅箔に対する前記添加剤の吸着量が、１．０μｍｏｌ／ｄｍ
２
以上である、請求項１に記載のリチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物。
【請求項７】
前記負極スラリー組成物の固形分全体質量に対して前記添加剤が０．５～５．０質量％含まれる、請求項１に記載のリチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物。
【請求項８】
請求項１～７のいずれか１項に記載のリチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物を用いて形成された負極層を備える、リチウムイオン二次電池用負極。
【請求項９】
請求項８に記載のリチウムイオン二次電池用負極を備えるリチウムイオン二次電池。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、リチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物、リチウムイオン二次電池用負極、及びリチウムイオン二次電池に関する。
続きを表示（約 1,600 文字）【背景技術】
【０００２】
リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるため、移動情報端末の駆動電源などに広く利用されている。近年は、大容量を必要とする電気・ハイブリッド自動車への搭載など産業用途での使用も広まりつつあり、更なる高容量化や高性能化のための検討がなされている。
【０００３】
その試みの一つとしては、例えば、単位体積あたりのリチウム吸蔵量が多いケイ素やスズ、或いはこれらを含む合金を用いて、充放電容量を増大させようとするものである。しかしながら、ケイ素やスズ、或いはこれらを含む合金のような充放電容量の大きな活物質を使用した場合、充放電時におけるリチウムイオンの吸蔵及び放出反応に起因する負極活物質の体積変化が著しく大きいため、負極活物質を含む負極層が負極集電体から剥離し、負極活物質が脱離しやすいことが知られている。
【０００４】
従来、バインダー（結着剤）として用いられているポリフッ化ビニリデン（ＰＶＤＦ）は、結着力と柔軟性が低いため多量に使用する必要がある。さらに、ＰＶＤＦは有機溶剤にしか溶解しないため、環境負荷の低減できる結着剤が求められてきた。
【０００５】
結着力を低下させずに環境負荷を低減できる水系結着剤として、ゴム質重合体であるスチレンブタジエンゴム（ＳＢＲ）を使用することが検討されている。しかしながら、ケイ素含有粒子を使用した負極のような膨張収縮の大きい活物質を使用した際の結着力に課題がある。この課題を解決するため、高いエネルギー密度、および、優れたサイクル特性を有する電池を開発するため、負極集電体に対する負極層の結着力向上に関する検討が行われている。
【０００６】
例えば、特許文献１では、一部架橋したポリアクリル酸をバインダーに用いることで、電極構造の破壊を抑制する手法が提案されている。また、特許文献２では、アクリル酸とポリビニルアルコールの共重合体をバインダーに用いることで、優れた結着性を発揮する手法が提案されている。しかしながら、上記特許文献１、２に記載のバインダーでは、二次電池とした際における高温及び低温のサイクル特性が必ずしも十分ではなかった。
【０００７】
また、負極スラリーに添加剤を加えることで、集電体と負極層との間の剥離強度を向上させる検討も行われている。特許文献３では、リグニン類物質及び腐植酸類物質を添加し、特許文献４では、水溶性添加剤を添加しており、いずれも剥離強度の向上が確認された。しかしながら、特許文献３、４に記載の技術では、剥離強度や充放電サイクル特性は必ずしも十分ではなく、未だ改善の余地がある。
【０００８】
さらに、特許文献５、６ではトリアジン誘導体を添加することで分散安定性及び塗膜密着性を向上させる検討も行われている。しかしながら、特許文献５、６では、剥離強度に関する測定は行われておらず、結着力に関しては十分な効果が得られているか定かではない。また、特許文献６においては塩基性官能基を有する樹脂との併用が必須であるため、使用できる原料に制約がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
特許第６４５７０４３号公報
特許第６８８８１３９号公報
特許第６９５０７６４号公報
特許第６１８３２１６号公報
特許第６２０２３９５号公報
特許第５２８７０３２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明は、負極活物質を含む負極層と集電体との間の結着性に優れた負極及び二次電池が得られる、リチウムイオン二次電池用負極スラリー組成物を提供することを目的とする。さらに、該負極スラリー組成物を用いて形成される負極及び二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
（【００１１】以降は省略されています）

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