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公開番号
2025096902
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-30
出願番号
2023212889
出願日
2023-12-18
発明の名称
皮膜付き軸受およびこれに用いられるしゅう動皮膜剤
出願人
株式会社不二越
代理人
個人
主分類
F16C
35/067 20060101AFI20250623BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約
【課題】含フッ素有機化合物を含まないしゅう動皮膜剤であって、含フッ素有機化合物に代替する成分を見出し、含フッ素有機化合物を含むしゅう動皮膜剤からなるしゅう動皮膜と略同等のしゅう動性と耐摩耗性、さらに相手材の耐摩耗性を実現するしゅう動皮膜剤およびそのしゅう動皮膜を適用した軸受を提供する。また、含フッ素有機化合物を潤滑剤として用いたのでは困難な、耐高温性を実現するしゅう動皮膜剤およびそのしゅう動皮膜を適用した軸受の提供を目的とする。
【解決手段】内輪と外輪と前記両者の間に介在し転動可能に配置された玉もしくはころを具備する皮膜付き軸受であって、しゅう動皮膜剤から形成されるしゅう動皮膜を軸受のしゅう動面に有し、前記しゅう動皮膜剤が、固体潤滑剤としてのチタン酸カリウムと有機樹脂とを含有し、含フッ素有機化合物を実質的に含まない軸受。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
内輪と外輪と前記両者の間に介在し転動可能に配置された玉もしくはころを具備する皮膜付き軸受であって、
しゅう動皮膜剤から形成されるしゅう動皮膜を軸受のしゅう動面に有し、前記しゅう動皮膜剤が、固体潤滑剤としてのチタン酸カリウムと有機樹脂とを含有し、含フッ素有機化合物を実質的に含まない皮膜付き軸受。
続きを表示(約 460 文字)
【請求項2】
前記固体潤滑剤が二硫化モリブデンおよび/またはグラファイトを含み、前記有機樹脂がベース樹脂と硬化剤とを含む請求項1に記載の皮膜付き軸受。
【請求項3】
前記しゅう動面が前記軸受外輪の外径面である請求項1に記載の皮膜付き軸受。
【請求項4】
前記しゅう動皮膜が前記しゅう動皮膜剤を焼成して形成されたものである請求項1~3のいずれかに記載の皮膜付き軸受。
【請求項5】
軸受の外輪の外径面に適用されるしゅう動皮膜を形成するしゅう動皮膜剤であって、チタン酸カリウムを含む固体潤滑剤と有機樹脂とを含有し、含フッ素有機化合物を実質的に含まないしゅう動皮膜剤。
【請求項6】
前記しゅう動皮膜剤がさらに固体潤滑剤として二硫化モリブデンおよびグラファイトを含有する請求項5に記載のしゅう動皮膜剤。
【請求項7】
前記しゅう動皮膜が前記しゅう動皮膜剤を焼成して形成されるものである請求項5および6のいずれかに記載のしゅう動皮膜剤。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膜付き軸受およびこれに用いられるしゅう動皮膜剤に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
軸受をはじめとして、その機構においてしゅう動する面を有する装置又は部品がある。このしゅう動面あるいは相手材の表面は使用に応じて摩耗していき性能が劣化する。そのような劣化を抑えるためにしゅう動面に固体潤滑剤を含むしゅう動皮膜を形成することがある。例えば、軸受の外輪の外径面にしゅう動皮膜剤を焼成したしゅう動皮膜が適用されることがある。そのような固体潤滑剤成分として、二硫化モリブデン、グラファイト、ふっ素樹脂を含有するものがある(非特許文献1)。
一方、欧州や日本を始めとした動きとして、PFASが包含する約1万種の含フッ素有機化合物について、その使用に規制をかけることが議論されている(非特許文献2)。それは、含フッ素有機化合物がその耐久性の高さから、自然界において分解されず、生命体に蓄積されていくことへの影響が懸念されるためである。したがって、軸受についても、PTFEなどの含フッ素有機化合物を用いないしゅう動皮膜剤が望まれ、これに代替する材料の開発が急務となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
https://www.parker-kako.co.jp/processing/paproslidem/
https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2023/0622_06.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の技術的かつ社会的な動向に鑑み、本発明は、含フッ素有機化合物を含まないしゅう動皮膜剤であって、含フッ素有機化合物に代替する成分を見出し、含フッ素有機化合物を含むしゅう動皮膜剤からなるしゅう動皮膜と略同等のしゅう動性と耐摩耗性、さらに相手材の耐摩耗性を実現するしゅう動皮膜剤およびそのしゅう動皮膜を適用した軸受の提供を目的とする。また、含フッ素有機化合物を潤滑剤として用いたのでは困難な、耐高温性を実現するしゅう動皮膜剤およびそのしゅう動皮膜を適用した軸受の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的に対して、本発明者らは鋭意検討し、さまざまな化合物について、しゅう動皮膜剤としての性能について確認を進めた。その結果、含フッ素有機化合物に代えチタン酸カリウムを用いることで、しゅう動皮膜剤をしゅう動皮膜としたきの特性を維持できる可能性があることを見出した。また、チタン酸カリウムは熱的に安定で耐高温性にも優れることも見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されたものである。すなわち、本発明は以下の手段を提供する。
(1)内輪と外輪と前記両者の間に介在し転動可能に配置された玉もしくはころを具備する皮膜付き軸受であって、
しゅう動皮膜剤から形成されるしゅう動皮膜を軸受のしゅう動面に有し、前記しゅう動皮膜剤が、固体潤滑剤としてのチタン酸カリウムと有機樹脂とを含有し、含フッ素有機化合物を実質的に含まない皮膜付き軸受。
(2)前記固体潤滑剤が二硫化モリブデンおよび/またはグラファイトを含み、前記有機樹脂がベース樹脂と硬化剤とを含む請求項1に記載の皮膜付き軸受。
(3)前記しゅう動面が前記軸受外輪の外径面である(1)に記載の皮膜付き軸受。
(4)前記しゅう動皮膜が前記しゅう動皮膜剤を焼成して形成されたものである(1)~(3)のいずれかに記載の皮膜付き軸受。
(5)軸受の外輪の外径面に適用されるしゅう動皮膜を形成するしゅう動皮膜剤であって、チタン酸カリウムを含む固体潤滑剤と有機樹脂とを含有し、含フッ素有機化合物を実質的に含まないしゅう動皮膜剤。
(6)前記しゅう動皮膜剤がさらに固体潤滑剤として二硫化モリブデンおよびグラファイトを含有する(5)に記載のしゅう動皮膜剤。
(7)前記しゅう動皮膜が前記しゅう動皮膜剤を焼成して形成されるものである(5)および(6)のいずれかに記載のしゅう動皮膜剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明のしゅう動皮膜剤によれば、含フッ素有機化合物を含まない一方、これを焼成したしゅう動皮膜として軸受のしゅう動面に組み込んだときに、含フッ素有機化合物を含むしゅう動皮膜と略同等のしゅう動性と耐摩耗性、さらに相手材の耐摩耗性を実現する。さらに、チタン酸カリウムは高温でも安定であり、含フッ素有機化合物では実現が難しい、しゅう動皮膜としたときの耐高温性に優れ、従来例とは異質な効果を発揮する。上記の本発明のしゅう動皮膜剤から焼成して形成されたしゅう動皮膜をしゅう動面に組み込んだ本発明の軸受は高性能かつ高耐久性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の一実施態様に係る玉軸受の一部とハウジングの一部を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の軸受は、しゅう動皮膜剤あるいはそれにより形成されるしゅう動皮膜を有し、前記しゅう動皮膜剤は含フッ素有機化合物を実質的に有さない。現在、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)においては、前述のPFAS(Per and Polyfluoroalkylsubstances:パーフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物)のうち、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、パーフルオロオクタン酸(PFOA)が規制対象として挙げられている。さらに、EUにおいて、PFAS全般を対象とする規制案の検討が進められている。2023年3月から9月まで、パブリックコメントの募集が行われており、規制の採択は25年ごろと想定されている。同条約に基づき日本においても製造・輸入が原則禁止となっている。今回のEUにおける規制案は、POPs条約に定める規制の範囲を大幅に超えて、広範に対象を拡大するものである。かかる社会環境のなか、本発明は、軸受のしゅう動皮膜またはその組成物においても含フッ素有機化合物を実質的に含まないことを必須の要件とした。含フッ素有機化合物を「実質的」に有さないとしたのは、不可避不純物として系内に含まれうるものを排除しない意味である。すなわち、含フッ素有機化合物を不可避不純物として含有することは許容され、例えば、0.1%程度の量で含まれることを許容するものである。
【0009】
本発明のしゅう動皮膜剤は、有機樹脂、固体潤滑剤を含有する。以下、それぞれの成分について説明する。
有機樹脂はベース樹脂と硬化剤とを含むことが好ましい。ベース樹脂としては、特に限定されず、ニーズに応じたポリマーを選定して使用することができる。耐摩耗性や硬化剤による硬化性の観点からは、例えばポリアミドイミドやポリアミド(PA66:66ナイロン等)を用いることができる。
硬化剤としてはエポキシ系硬化剤を用いることができる。エポキシ系硬化剤には制限はないが、ビスフェノールA型、クレゾールノボラック型、ビフェニル型、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、脂肪族ポリアミン、ポリアミノアミド、ポリメルカプタン類、芳香族ポリアミン、酸無水物、ジシアンジアミド等を挙げることができる。エポキシ系硬化剤の反応性を高めるために硬化促進剤を併用することもでき、三級アミン、三級アミン塩、イミダゾール、ホスフィン、ホスホニウム塩、スルホニウム塩等を用いることができる。有機樹脂をこの組合せのベース樹脂と硬化剤とすることで、硬化温度を下げることができる。これによりしゅう動皮膜剤の焼成温度を低くすることができる。その結果、軸受の焼き戻し温度以下での処理が可能となり、軸受の変形による寸法変化や軟化による硬さの低下が生じることが回避される。
【0010】
固体潤滑剤としては、本発明はチタン酸カリウムを必須のものとして用いる。その他、二硫化モリブデン、グラファイト等が挙げられる。好ましくは、チタン酸カリウムと二硫化モリブデンとグラファイトとを併用することである。固体潤滑剤の配合量は適宜定めることができるが、上記有機樹脂を100質量部としたときに、チタン酸カリウムは20質量部以上60質量部以下であることが好ましく、30質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、35質量部以上45質量部以下であることがさらに好ましい。二硫化モリブデンは30質量部以上70質量部以下であることが好ましく、40質量部以上60質量部以下であることがより好ましく、45質量部以上55質量部以下であることがさらに好ましい。グラファイトの配合量は、有機樹脂100質量部に対して、3質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、7質量部以上15質量部以下であることがさらに好ましい。その他、固体潤滑剤としては、さらに酸化アンチモン(Sb
2
O
3
)等を含有していてもよい。
(【0011】以降は省略されています)
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