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公開番号2025097491
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-01
出願番号2023213710
出願日2023-12-19
発明の名称直流電気溶解炉
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人樹之下知的財産事務所
主分類F27B 3/18 20060101AFI20250624BHJP(炉,キルン,窯;レトルト)
要約【課題】炉壁の地金の溶解を抑制しつつ、溶鉄よりも密度が小さく湯面に浮上しやすい原料を含む溶解原料を、より効率よく溶解させることができる直流電気溶解炉を提供すること。
【解決手段】本発明に係る直流電気溶解炉は、スラグに浸漬している第1上部電極および第2上部電極と、炉体の側面または上面に設けられ、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を含む原料を炉内に投入する原料投入管と、を備える直流電気溶解炉において、陽極である上記第1上部電極と、負極である上記第2上部電極と、を結ぶ直線の中点が炉中心と一致し、上記炉中心と、上記第1上部電極または上記第2上部電極のいずれかの中心と、の距離R、上部電極の半径r、溶鉄の湯面における炉の内径dが、
0.05≦(R-r)/d≦0.18
の関係を満たす。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
スラグに浸漬している第1上部電極および第2上部電極と、
炉体の側面または上面に設けられ、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を含む原料を炉内に投入する原料投入管と、
を備える直流電気溶解炉において、
陽極である前記第1上部電極と、負極である前記第2上部電極と、を結ぶ直線の中点が炉中心と一致し、
前記炉中心と、前記第1上部電極または前記第2上部電極のいずれかの中心と、の距離R、上部電極の半径r、溶鉄の湯面における炉の内径dが、
0.05≦(R-r)/d≦0.18
の関係を満たす直流電気溶解炉。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
スラグに浸漬している第1上部電極、第2上部電極、第3上部電極および第4上部電極と、
炉体の側面または上面に設けられ、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を含む原料を炉内に投入する原料投入管と、
を備える直流電気溶解炉において、
前記第1上部電極および前記第3上部電極は陽極であり、
前記第2上部電極および前記第4上部電極は負極であり、
前記第1上部電極、前記第2上部電極、前記第3上部電極および前記第4上部電極の順で、それぞれの電極の中心を結んだ形状が正方形となるとともに、
前記第1上部電極と前記第3上部電極とを結ぶ直線および前記第2上部電極と前記第4上部電極とを結ぶ直線が炉中心で交差し、
前記炉中心と、前記第1上部電極、前記第2上部電極、前記第3上部電極または前記第4上部電極のいずれかの中心と、の距離R、上部電極の半径r、溶鉄の湯面における炉の内径dが、
0.125≦(R-r)/d≦0.20
の関係を満たす直流電気溶解炉。
【請求項3】
スラグに浸漬している第1上部電極、第2上部電極、第3上部電極および第4上部電極と、
炉体の側面または上面に設けられ、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を含む原料を炉内に投入する原料投入管と、
を備える直流電気溶解炉において、
前記第1上部電極および前記第2上部電極は陽極であり、
前記第3上部電極および前記第4上部電極は負極であり、
前記第1上部電極、前記第2上部電極、前記第3上部電極および前記第4上部電極の順で、それぞれの電極の中心を結んだ形状が正方形となるとともに、
前記第1上部電極と前記第3上部電極とを結ぶ直線および前記第2上部電極と前記第4上部電極とを結ぶ直線が炉中心で交差し、
前記炉中心と、前記第1上部電極、前記第2上部電極、前記第3上部電極または前記第4上部電極のいずれかの中心と、の距離R、上部電極の半径r、溶鉄の湯面における炉の内径dが、
0.125≦(R-r)/d≦0.20
の関係を満たす直流電気溶解炉。
【請求項4】
スラグに浸漬している第1上部電極、第2上部電極、第3上部電極および第4上部電極と、
炉体の側面または上面に設けられ、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を含む原料を炉内に投入する原料投入管と、
を備える直流電気溶解炉において、
前記第1上部電極は炉中心に設けられた陽極であり、
前記第2上部電極、前記第3上部電極および前記第4上部電極は、それぞれの電極の中心を結んだ形状が正三角形となるとともに、前記正三角形の中心が前記炉中心と一致するように設けられた負極であり、
前記炉中心と、前記第2上部電極、前記第3上部電極または前記第4上部電極のいずれかの中心と、の距離R、上部電極の半径r、溶鉄の湯面における炉の内径dが、
0.18≦(R-r)/d≦0.30
の関係を満たす直流電気溶解炉。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電気溶解炉に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年ではCO

排出削減のため、製鋼プロセスは従来の高炉法からよりカーボン排出量が低い電気溶解炉による製法への移行が求められている。しかし、従来の高炉法と同じ溶鋼の生産量を達成するためには、炉の大型化に加え、原料としてスクラップだけでなく直接還元鉄の使用が必要となる。そのため、大型の電気溶解炉で効率よく直接還元鉄を溶解させることが重要である。電気溶解炉の中でも、電極をスラグに浸漬させた場合、電極をスラグに浸漬させない場合と比べ、アークの輻射熱による熱の損失を防ぐことから還元鉄の溶解効率が良いと考えられる。
【0003】
直接還元鉄は、鉄鉱石を水素などの還元性のガスにより、鉄鉱石または鉄鉱石ペレットを直接還元したものであり、DRI(Direct Reduced Iron)と呼ばれる。また、還元処理後のDRIを熱間で圧縮成形したものは、HBI(Hot Briquetted Iron)と呼ばれる。DRIの見かけ密度は3500kg/m

程度であり、HBIの見かけ密度は5000から5500kg/m

程度である。溶鉄の密度は7000kg/m

程度であるため、DRIおよびHBIのいずれも溶鉄より軽く、湯面に浮上する。そのため、湯面に浮上しているDRIおよびHBIを、より効率よく溶解させるためには、溶鉄を攪拌させることが重要となる。非特許文献1では、陽極および負極の電極をスラグに浸漬させた電気溶解炉が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Yu, Y., Li, B., Liu, Z. et al. "Analysis of Electrical Energy Consumption in a Novel Direct Current Submerged Arc Furnace for Ferrochrome Production. " Metall Mater Trans B (2023).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大型の電気溶解炉において溶解原料を効率的に溶解させるためには、炉内の広範囲に溶解原料を分散させる必要があることから、スラグ及び溶鉄を電磁力によっていかに攪拌させるかが重要となる。しかしながら、電気溶解炉の大型化によって、炉内の断面積に対して電極による加熱範囲が狭くなる。そのため、電極の位置が炉中心に近すぎると熱や攪拌力の局在化による溶解効率低下の問題が発生する。
【0006】
他方、電極による加熱領域を分散する為に電極を炉壁に近くに設置すると、炉壁付近に発生する攪拌力によって、連続操業時に重要となる炉壁を守る地金(メタルコーティング)が溶解してしまう。そのため、適切な位置に電極を配置する必要がある。なお、大型の電気溶解炉では、1回あたり300tоnの出湯量が必要であり、そのためには約18m以上の炉直径が必要である。非特許文献1に記載されている電気溶解炉の直径は8.4mであり、容量が小さい。
【0007】
そこで、本発明は、炉壁の地金の溶解を抑制しつつ、溶鉄よりも密度が小さく湯面に浮上しやすい原料を含む溶解原料を、より効率よく溶解させることができる直流電気溶解炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]スラグに浸漬している第1上部電極および第2上部電極と、炉体の側面または上面に設けられ、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を含む原料を炉内に投入する原料投入管と、を備える直流電気溶解炉において、陽極である上記第1上部電極と、負極である上記第2上部電極と、を結ぶ直線の中点が炉中心と一致し、上記炉中心と、上記第1上部電極または上記第2上部電極のいずれかの中心と、の距離R、上部電極の半径r、溶鉄の湯面における炉の内径dが、
0.05≦(R-r)/d≦0.18
の関係を満たす直流電気溶解炉。
[2]スラグに浸漬している第1上部電極、第2上部電極、第3上部電極および第4上部電極と、炉体の側面または上面に設けられ、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を含む原料を炉内に投入する原料投入管と、を備える直流電気溶解炉において、上記第1上部電極および上記第3上部電極は陽極であり、上記第2上部電極および上記第4上部電極は負極であり、上記第1上部電極、上記第2上部電極、上記第3上部電極および上記第4上部電極の順で、それぞれの電極の中心を結んだ形状が正方形となるとともに、上記第1上部電極と上記第3上部電極とを結ぶ直線および上記第2上部電極と上記第4上部電極とを結ぶ直線が炉中心で交差し、上記炉中心と、上記第1上部電極、上記第2上部電極、上記第3上部電極または上記第4上部電極のいずれかの中心と、の距離R、上部電極の半径r、溶鉄の湯面における炉の内径dが、
0.125≦(R-r)/d≦0.20
の関係を満たす直流電気溶解炉。
[3]スラグに浸漬している第1上部電極、第2上部電極、第3上部電極および第4上部電極と、炉体の側面または上面に設けられ、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を含む原料を炉内に投入する原料投入管と、を備える直流電気溶解炉において、上記第1上部電極および上記第2上部電極は陽極であり、上記第3上部電極および上記第4上部電極は負極であり、上記第1上部電極、上記第2上部電極、上記第3上部電極および上記第4上部電極の順で、それぞれの電極の中心を結んだ形状が正方形となるとともに、上記第1上部電極と上記第3上部電極とを結ぶ直線および上記第2上部電極と上記第4上部電極とを結ぶ直線が炉中心で交差し、上記炉中心と、上記第1上部電極、上記第2上部電極、上記第3上部電極または上記第4上部電極のいずれかの中心と、の距離R、上部電極の半径r、溶鉄の湯面における炉の内径dが、
0.125≦(R-r)/d≦0.20
の関係を満たす直流電気溶解炉。
[4]スラグに浸漬している第1上部電極、第2上部電極、第3上部電極および第4上部電極と、炉体の側面または上面に設けられ、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を含む原料を炉内に投入する原料投入管と、を備える直流電気溶解炉において、上記第1上部電極は炉中心に設けられた陽極であり、上記第2上部電極、上記第3上部電極および上記第4上部電極は、それぞれの電極の中心を結んだ形状が正三角形となるとともに、上記正三角形の中心が上記炉中心と一致するように設けられた負極であり、上記炉中心と、上記第2上部電極、上記第3上部電極または上記第4上部電極のいずれかの中心と、の距離R、上部電極の半径r、溶鉄の湯面における炉の内径dが、
0.18≦(R-r)/d≦0.30
の関係を満たす直流電気溶解炉。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、上部電極を適切に配置することによって、大型の直流電気溶解炉においてスラグおよび溶鉄に作用するローレンツ力を向上させることができ、スラグおよび溶鉄に作用する攪拌力によって、均一な溶解を行うことができる。そのため、炉壁の地金の溶解を抑制しつつ、溶鉄よりも密度が小さく湯面に浮上しやすい原料を含む溶解原料を、より効率よく溶解させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の一実施形態に係る直流電気溶解炉の構造を示す断面図である。
図1に示した直流電気溶解炉のII-II線断面図である。
本発明の一実施形態の第1の変形例の直流電気溶解炉の上部電極の配置を示す断面図である。
本発明の一実施形態の第2の変形例の直流電気溶解炉の上部電極の配置を示す断面図である。
本発明の一実施形態の第3の変形例の直流電気溶解炉の上部電極の配置を示す断面図である。
比較例に係る交流電気溶解炉の上部電極の配置を示す断面図である。
本発明に係る直流電気溶解炉における、炉中心と上部電極との距離と、スラグおよび溶鉄に発生するローレンツ力と、の関係を数値解析により評価した結果を示すグラフである。
本発明に係る直流電気溶解炉における、炉中心と上部電極との距離と、スラグおよび溶鉄に発生するローレンツ力と、の関係を数値解析により評価した結果を示すグラフである。
本発明に係る直流電気溶解炉における、炉中心と上部電極との距離と、スラグおよび溶鉄に発生するローレンツ力と、の関係を数値解析により評価した結果を示すグラフである。
本発明に係る直流電気溶解炉における、炉中心と上部電極との距離と、スラグおよび溶鉄に発生するローレンツ力と、の関係を数値解析により評価した結果を示すグラフである。
本発明に係る直流電気溶解炉においてシミュレートされた、スラグ下面の流速分布を示す図である。
本発明に係る直流電気溶解炉においてシミュレートされた、スラグの温度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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